手の届く存在

スカーレット

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本編

Girls side53話~望月和歌その2~

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大輝のスマホに入っていたゲームは、やらなくなったものもいくつかあるらしいが大まかに四つほどだった。
一つはボディ・リバース・ゲロというRPG……RPGっていうのがよくわからなくて意味を質問したら、睦月が腹を抱えて笑っていた。
今時、女子でも知っている、だそうだ。

そんな睦月を大輝が怒って、その後説明してくれたがどうやら探検して出現する敵を倒すのが大筋での目的のゲーム。
敵に攻撃する際のスキルなるものを、タップで発動できるとかで、タップしてみてください、と言われて足踏みをしたらまた睦月がおかしな顔をしていた。

「そのタップじゃない……」
「え?」
「こら。……画面をこう触ることをタップって言うんですよ。和歌さん、今度スマホ買いに行きましょうか」
「い、いやしかし……」
「大丈夫、和歌さんまだ若いんだし、すぐ慣れますって。必要なら俺たちが教えますから」
「うーむ……」

ともかくそんなやり取りがあって、そのボディ・リバース・ゲロ……略してボディゲロらしいが、少しやってみる。
ちゃんとしたシナリオがあって、大半はテキスト形式のものだが、ファンタジー世界の話の様だ。

「あ、ここで画面をスワイプすると必殺技が……」
「ん?スワップ?」
「違います。えーと、こう触ったまま上にスッて」
「こ、こうか?」

画面が突如切り替わって、キャラがアップになって嘔吐している。
必殺技がまさかゲロだとは思わなかった。
しかも男女の区別なく、イラストでは割と可愛らしい女の子なんかもキラキラのついたゲロを吐く演出がされていた。

テレビで見た覚えがある様な演出だな。

「ちゃんと戦闘中は声も出るのか」
「ですねぇ。プロの声優なんかも使ってますよ」
「最近の携帯はすごいな……」

年寄りみたい……とまたも睦月が肩を震わせる。
そんな睦月の後頭部に軽くだがチョップを食らわせて、大輝が違うゲームにしましょうか、とアプリ?を終了させた。
思えばボディ・リバース・ゲロって……ボディ殴ったらゲロをリバースしました、とかそんな意味だったりするのか?

必殺技の瞬間なんかは音声も相まって割とカオスな感じだった。
精神的に弱い人だともらいゲロなんてこともありそうなゲームだ。

「次はこれですね。建築三代目」
「大工か何かのゲームか?」
「えーとですね……定期的に怒る災厄と言われている、建設という災害が起こる世界が舞台で……」
「一体どんな世界だ……」
「空地という空地、ミリ単位でも空いてるスペースがあれば、勝手に建物やオブジェと言ったものがどんどん建設されていくというもので……」
「想像するとこれまたカオスだな……」
「その災厄を未然に防いだり、建ってしまった建物を破壊する戦乙女というのを操って戦うゲームですね。基本的にはアクションです」
「アクション……」

なるほど、アクションか……これならもしかしたら……。
ということでやってみることにした。
昔スーパー何とかコンというのを少し触った経験があるし、何とかなるだろう。

スマホを横に持って、少し待つとゲーム画面が表示される。
今度はタップとかそういうのは大丈夫なはずだ。
何だこれは……アクションじゃないのか?

「ああ、ここから出撃して……」
「なるほど」
「初めてだし簡単なステージから行きましょうか」

少しバカにされている様な気がしないでもないが、とりあえず飲み込んで一番最初のステージで肩慣らし。

「くっ……ぐぬ……むっ!?」
「あ、必殺技ゲージ溜まってますよ」
「こ、これか?よし、行け!ファイ……ああああああ!?」

何故か私の操作していたキャラが倒れ、ゲームオーバーの表示が。
え?どういうことだ?

「ああ、和歌さん回避とか一切してなかったから……」
「か、回避?」
「画面をこう、さっとやるフリックって言う動作で、その方向に回避できるんですが……教えなかった俺が悪かったですね、申し訳ないです」
「そ、そんな謝らないでくれ……」
「ところで大輝、このキャラなんだけど」
「ん?」
「大輝こういうの好きなの?」
「え?あ!……いやそういうわけじゃ……」

明らかに目を泳がせて大輝がうろたえる。
睦月が指さしたキャラは、一見すごく強そうだがよく見ると……睦月の元の姿の戦女神スルーズにそっくりだった。
なるほど、そういう……。

「へぇ?ふぅん?」
「な、何だよ……」
「そっかそっかぁ……へへ……なるほどねぇ……」
「な、その目やめろ……」
「照れなくてもいいんだよ、大輝?」
「う、うるさいな……」
「…………」

そう言って二人だけで盛り上がって、二人は寝室に戻って行ってしまった。
一体何の為に起きてきたんだ、あいつら……。

徹夜でアニメを見たせいで少しだけ眠いが、さっきのゲームはまぁまぁ面白かった。
あれならもう少し練習することで私でもできたりするかもしれない。
と、なれば……。

私は大輝のスマホをテーブルに置いて、出かける支度をする。
何、一晩くらい寝なくても死なないし、どうしても眠くなったら帰ってから寝ればいい。

「あら、望月何処かへ出かけるの?」
「おはようございます、お嬢。その……そろそろ携帯の機種変更でも、と」
「やっとその気になったのね。なら私も付き合ってあげるわ」
「そんな、いいんですか?私ごときの買い物に……」
「いいに決まってるじゃない。大輝くんは今睦月と盛り上がってるみたいだし、私も暇なのよね。それに望月に任せたらまたとんでもないことになりそうだし」
「と、とんでもないことって……」

お嬢が言ってるのはきっと、今の携帯に機種変更したときのことだろう。
もう何年前になるのか……。

携帯ショップに機種変更に行って、機種を選んでいる時のこと。
私はこれ、というデザインがなくて半ばがっかりしながら妥協案を模索していた。
そんな時、おやっさんが使っている携帯がカッコよかった、というのを思い出して店員に同じものがあるかを聞いてみた。

感じのいい女性店員が、私の質問に戸惑った顔で対応していたが、まずデザインがわからないというので、うちの若いのにおやっさんの携帯の画像をメールで送らせた。
こういうのだ、と到着した写真を見せるとその店員は明らかに顔を顰めた。

「も、元の機種はこれですが……」
「色と柄が違う。同じものがいい」
「いえ、これはですね、所謂デコレーションというものでして……」
「何だそれは?よくわからないがここでは用意できないということか?」
「ここでは、というよりどこのショップでもできないかと……」
「何だと!?うちのおやっさんが使ってるものだぞ!?何でできないんだ!!」

等々今考えたら完全にただの気が狂ってる系の、迷惑クレーマーだった。
危うく警察を呼ばれる騒ぎになって、お嬢が駆けつけて私はしこたま怒られた。
当時まだ中学生くらいだったお嬢に叱られる二十代の大人の女という構図は、さぞかしシュールなものだったに違いない。

さすがにその日は携帯の機種変更を諦め、後日騒がせたお詫びの菓子折りを持って行って、お嬢が選んだ今の機種に機種変更した。
向こうからも散々謝られたが、何だか聞いていてみじめになったので早々にデータ移行だけしてもらって退散したのはいい思い出だ。

「じゃ、行きましょうか。望月、忘れ物はない?」
「大丈夫だと思います。免許もあるし……お金はあとでおろせばいいので」

いざ出発、ということで玄関のドアに手をかけると、後ろから声がかかった。

「あれ?和歌さんと明日香ちゃんお出かけ?何処行くの?」
「ええ、望月がやっと機種変更する気になったみたいだから、私も付き合うことにしたの」
「そうなんだ!これで一緒にアレできるね!」
「アレ?」

何だろう、アレとは。
そしてお嬢はそのアレというのがあまり好きでないのか、少し険しい顔をした。

「あ、じゃあ私も行きたい!四十秒で支度するから、待ってて!先に行っちゃ嫌だよ!!」

私の質問には答えず、桜子がびゅん、と寝室に消える。
仕方ないわね、とお嬢が玄関で靴だけ履いて座ったので、私もそれに倣う。
四十秒と言っていたが実際には十分程度で桜子は支度を完了させて現れた。

「じゃあ、レッツゴー!」

桜子も加わって、三人で駅前の携帯ショップに……と思ったがあの店員がいたらと思うと少し気まずいので、やや遠いが少し離れたところにある同系列のショップへ行くことにした。
さすがに歩きだと二人にいらない負担をかけてしまうので、今日は車で行くことにする。

「和歌さんの運転って安定感あるよね」
「そうか?まぁほとんど毎日乗っているからな。手足の様に動かせるのは当たり前というか……」
「でも、気をつけなさい桜子。望月はちょっとしたことでスピード狂に変貌するから」
「えっ?」
「ははは、まさかお嬢を乗せてそんなこと……」
「いやいや、してたから。この間だって、ちょっと煽られただけで……」

などと他愛のない会話をしながら、ショップまでの道を走る。
ちなみに今回はお嬢の言う様な、煽られたりということもなかったし、安全運転で到着できたと思う。


「和歌さんって、機械苦手なんだっけ?」
「む……まぁ、得意ではない……かな」
「桜子、苦手というのはある程度はできる、というレベルのものを指すのよ。望月のはもはや老人レベルだから」
「な、お嬢……!」
「え、そ、そうなの?じゃあ極楽スマホにしとく?」
「極楽スマホ?」

何だか物騒な名前だ。
使ったら死ぬ、とかそういうものなのか?
いや、常識的に考えてそんなものが販売されているわけがない。

ということは、だ。

「老人向け、ということか。大した度胸だな、桜子……」
「ご、ごめんなさい……ただの冗談だから、そんな目で見ないで……」
「まぁ、それはともかくとして……どの程度のスペックのものがいいの?用途は?それによっても変わると思うけど」

あれ、私がスマホを買おうとしたそもそもの理由って何だっけ。
ああ、そうか大輝がやっていたゲームを私も、ということだった。

「ゲームねぇ……あの望月が……」
「いや、何て言うかその……まぁまぁ面白かったので……」
「ゲームやるんだと、そこそこのスペックないとじゃない?」

ということでお嬢が店内をあれこれ見て回る。

「デザインにこだわりはあるの?あと、大体のゲームはプレイ中に電話がかかってくると落ちちゃったりするって聞いたけど」
「え?そうなんですか?」
「ああ、それ私も聞いたことある。大輝くんが、ゲームの大事なミッションに挑んでる最中睦月ちゃんから電話かかってきて、半ギレになってた」
「ふむ……」

だとすると、少し厄介だな。
私の性格上、ハマるととことんやりこむタイプだから、着信なんかで中断させられた挙句データがパーです、なんてことになったら……。

「あら、お客様……」

そんなことを考えていた時、私の背後から声がかかった。
お嬢が先に気づいて、げっ、という顔をする。
まさか、と思い私も振り返ると、あの時の店員がいるではないか。

何故敢えて避けたのに、ここにあの店員がいるのか……。
というか、何で私のことなんか覚えているのか……。

「じ、実は先月異動になりまして……」
「そ、そうでしたか……えーと、その節は大変なご迷惑を……」
「うちの望月が、申し訳ありませんでした」
「い、いえいえ。私の方こそ、言葉が足りなかったというか……あ、でもですね、あの後実は店内でデコレーションキットが販売される様になったりってきっかけになったんですよ、あの件が」
「あら。とは言っても、ああいうのはもうしないでよ?」
「わ、わかってますって……」

桜子が状況を飲み込めず、不思議そうな顔をしていたがお嬢があの事を話してしまって、呼吸困難で死ぬんじゃないかって勢いでゲラゲラ笑っていた。

「わ、和歌さんらしいね……」
「くっ……」

まだ涙目でプルプルしている桜子を放置して、私は再び機種選別に移る。

「そういえば、電話の機種変更ということでしたが……」

あの店員さんが、私に光明を授けてくれた。
何と、スマホは普段使いの電話やメールの連絡用にして、別でタブレットを購入するというものだった。
通信費用等も割安にできるプランがあるということで、早速それに設定してもらい、いよいよ機種変更だ。

「もしスマホへの変更が不安ということでしたら、折り畳みも一応は新しいのが出ていますよ?」
「本当ですか!なら……」
「望月、それはまだ若い人間の発言とは思えないわ。スマホもタブレットも両方使って慣れなさい。これは命令よ」
「そ、そんな……」
「あ、明日香ちゃん厳しいね……」
「いいのよ。あ、店員さん、この人甘やかさないでください。ここいらで変化を受け入れるべきなんです」
「は、はぁ……?」

ということで私が買うことになったのは、スマホもタブレットもかなりの高スペックなものになった。
分割購入もできる、という話だったが、私はローンを好まない。
それに一括で買ってしまえば月々の料金もも安くなるというではないか。

男は現金一括、とおやっさんが常々言っていたこともあるし、店員さんに少しだけ待ってもらって私は近くのATMを利用して必要金額をおろしてきた。

「和歌さん、ATMなんて使えるんだね。いつも窓口でおろしてるのかと……」
「何だ桜子、バカにしているのか?本当にいい度胸だな……」
「そう言われる様な、戦後の老人みたいな生活している望月にも非はあるわ。これから見返せる様に努力しなさい」
「はい……」

こうして、無事に機種変更が完了した。
電池がやや心許ない気がするので、車載充電器も購入する。
店員さんも言っていたが、折り畳みに比べると電池の減りはかなり早い様に感じる。

しかし、予備の電池というのは折り畳みと違って存在しないらしいので、私は持ち歩ける充電器も一緒に購入した。

「和歌さんすごいね……大人だぁ……あんな金額ぽんって一括なんて」
「望月はお金の使い方が特殊だから……趣味とかほとんどなかったし、用途は大半が食費なの」
「大半って……和歌さん若頭だし、それなりにもらってるんじゃ……」
「まぁ、世間一般のサラリーマンやOLよりはもらっていると聞いたことがあるな」
「それの大半が食費って、想像できないんだけど」
「近くで見てると、気分が悪くなるからあまり推奨はしないわ」
「さ、最近はそこまででも……ないこともないです……」

やはり大食いキャラは卒業するべきなんだろうか。
気分が悪くなるというと、相当だと思うし……。

何はともあれ、これで私も大輝のスマホを借りなくてもゲームができる。
少しずつでもできる様になって、みんなを一躍見返してやる。
帰りはやや気合いが入りすぎて、スピードが出てしまってお嬢に怒られた。
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