転生したらチートすぎて逆に怖い

3章

楽しくなりそう！

「ネオス。一緒のクラスだったんだ！よろしくね！」


ネオスもほっとしたような表情でこちらこそよろしくと返してくれた。従兄弟だからこんなにフランクにしても許されるけどルナはそうはいかない。
ルナはまだハッキリとした身分を持っていないから殿下には公の場で自分から近づくことはできない。いくらそこら辺の伯爵家より多くの資産を持っていようとあくまで商人なので貴族ならまだしも王族に軽々しく話しかけることは許されない。から、ネオスから近づく必要があるんだけどこのシャイボーイはチラチラとルナを見るだけで声をかけようともしない。そんなんじゃルナと両想いになるなんて夢のまた夢ですよ。じっとネオス殿下に視線を送れば逆に助けてと視線を向けられた。おい王子、それでいいのか。
全く……仕方ない。



「ネオス、今日はクラス分けの後は少し学園の説明があるんだって。その後はそれぞれ帰宅っていう形になるから私とルナは勉強会をお母様にお願いしてるんだけどネオスもどう？この1ヶ月3人揃っての授業が出来てなかったしお母様も寂しそうにしてたよ。」

「そうなの？……うん。参加させて貰おうかな。フィルやルナ嬢に遅れを取らないように僕ももっと精進しなきゃね。」

「そんな！私こそ第2王子殿下とフィル様について行くのに必死なのに。」

「ルナ嬢？僕らは同じ師に教えを乞ういわば家族のようなものだろう？そんなよそよそしい呼び方はやめて欲しいな。」

「っ、殿下の御名を呼ぶ光栄を頂きましてありがとうございます。」

「うん。」



よし、これでクラス中に私たち3人が一緒にいても違和感がないように思わせることが出来たはず。
私たち3人は同じ先生から個人的に授業を受けている。そしてその先生はこの国1番の魔法の実力を持つ私のお母様。お母様は身分関係なく治療することで有名だから商人のルナに師事することも変じゃないし、その過程で私と仲がいいのも『普通』だしね。
学園が始まれば私が愛護者ってことも明るみになるだろうし王位継承権を持つことになるから私とネオスの立場は同じになる。その私がルナを気に入ってるなら殿下が仲良くしても問題は無いよね。

教室中に牽制をしていればこのクラスの担任らしき人が入ってきた。女性の先生で貴族年間にそれらしい人も載ってなかったから平民と思われる。このクラスは貴族が多いけどしっかり億さずに自己紹介を始めるあたりきっと優秀なんだろうな。


「はじめまして。今日からこのクラスを担任しますハルナです。皆さん入学したてで分からないことが多いと思いますがなんでも聞いてくださいね。一応私の担当は魔法の歴史になります。魔歴の授業を受ける際は私が講師することになるのでよろしくお願いします。」


へえ。魔歴の先生なんだ。確か魔法のはじまりからどうしてこの形態になったのか、魔法があることで起こった戦争や病気なんかを教わるってお兄様達が言ってたな。魔歴は選択授業みたいだし受けてみようかな。



♢


あれから学園の案内図を渡され軽く説明を受けたり、明日以降の大まかな予定を聞いたりして今日は帰ることになった。


「ルナは私の馬車で一緒にうちに行くでしょう？ネオスはどうする？」

「僕もフィルの馬車に乗せて欲しい。公爵家の馬車なら安心だし。」


みんな疲れてたみたいですぐ帰り教室には誰もいなくなったのでいつも通り話す。
確かにうちの馬車なら安心だよね。身分もしっかりしてるし護衛も選りすぐり。なんならお兄様達も別の馬車で一緒に帰ると言っていたから身の安全に関してはなんも心配することは無い。


「じゃあ一緒に行こっか。帰ろう。」

「うん。」

「そうだね。」


ルナとネオスと教室をでる。学園内はまだ生徒も残ってるだろうからしっかり外面は保ちながら行かなきゃね。めんどくさいけど3人同じクラスだし楽しくなりそう！