【完結】悪役令嬢の逆襲 〜異世界で紡ぐ復讐の物語〜

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第四章:真実暴露の夜

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王宮の一室、夜。
豪奢な絨毯の上に立つエリザベスの姿は、まるで嵐の前の静けさを思わせた。

この夜こそが、すべての虚構を打ち砕く時。
それが誰かを傷つけ、王家さえ揺るがすことになろうとも、真実を明かすと決めた。

「殿下、今宵少しだけ、お時間をいただけませんか?」

エリザベスの声は澄んでいた。
アレクサンダーは、彼女の表情を見て何かを察したのだろう。黙って扉を開け、執務室へと招き入れた。

――机の上には書類の山。窓から差し込む月明かりが、彼の横顔を白く照らす。

「……エリザベス。君がこんな表情をするのは、何か“大事な決断”をした時だけだ。話してくれ」

アレクサンダーの声には、信頼と期待が滲んでいた。
エリザベスは静かに頷き、胸元から一通の封書を取り出す。

「これは、リリアナ・ブラウンが使用していた禁術の証拠です」

彼女の言葉が落ちた瞬間、部屋の空気がピンと張り詰めた。
アレクサンダーの目が細められ、手が自然と剣の柄を探るように動く。

「君が……それを掴んだと?」

「ええ。彼女は、他者の魔力を奪い、己の力として使っています。
しかも、それを“聖女の力”と偽り、民衆の信頼を集めている」

エリザベスは封を切り、魔力波形の解析図や、転写魔法に使われた触媒の記録、
そして複数の被害者が“原因不明の魔力減退”を訴えている医療記録を机に広げた。

「これらは全て、あなたの命令で公式に調査してもらうべきものです」

アレクサンダーはしばらく無言で資料を見つめた。
やがて、彼の瞳に怒りが灯る。

「これは……国家を揺るがす背信だ。だが同時に、これは……君が受けてきた“冤罪”の証明でもあるのか?」

「……そうかもしれません。でも私は、リリアナに復讐したいわけじゃない。
王国の未来に、偽りの光を掲げたまま進んでほしくないだけです」

アレクサンダーは、深く椅子にもたれかかった。
しばらく思案した後、視線をまっすぐエリザベスへ向ける。

「ありがとう、エリザベス。君がこれほどまでに真摯に王国を思っていると、俺は……」

彼は言葉を詰まらせたが、その瞳には確かな信頼が浮かんでいた。

「明朝、王政会議を開く。これらの証拠をもとに、リリアナの行動を公式に問う」

エリザベスは深く頭を下げた。

「感謝します、殿下。でも……これは、始まりにすぎません。
これから私が立ち向かうのは、“国の構造そのもの”です」

アレクサンダーは小さく笑った。

「ならば、君の隣には常に俺がいよう。王子としてではなく、一人の男として、君の力になりたい」

彼の言葉は、エリザベスの心を震わせた。
かつて彼女が「悪役令嬢」として扱われ、蔑まれていた頃には決して望めなかった絆。

エリザベスは、微笑みながらその手を取った。

「ありがとう、アレク。では、明日の夜明けが……真実の夜明けになりますように」

二人の間に、言葉以上の約束が交わされた。
それは王国を変える第一歩であり、彼女自身の“過去”と“未来”を統合する瞬間でもあった。
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