37 / 43
対部族令嬢 文化省・異世界統制省合同案件
令嬢第五事例 報告4
しおりを挟む
アニーサの館近くに私とローリンが再び向かう。潜入してさらなる情報収集をする予定だ。
「ローリンさん、なにか別の生き物か何かに変身できますか?」
「ええ、大丈夫よ。」
「人の姿では行動がバレてしまうので、動物に姿を変えようかと思います」
「良い案だわね。警戒されにくいと思う」
「では、いきます!」
私は魔法のステッキを振り、呪文を唱える。
「マジカル チェンジ!」
ボフンと音が鳴り、私達2人は動物に変化した。
ちなみに、私は……猫の姿に変化した。金髪碧眼だったので、ベージュに青い目で元の雰囲気は残しつつも、可愛らしい猫の姿へ。
先輩のローリンは小鳥だ。水色の美しい姿で、捕まえて食べられるなんてことがなさそうな鳥にしてある。
この組み合わせは、私が陸を、ローリンが空から監視ができるよう考慮しているのだ。
早速私は野良猫を装い占いの館に潜入する。案の定、猫の姿だと人に近寄ればシッシッと払われる程度で気に留める物はいない。小鳥のローリンも無事潜入できたらしい。屋根の下で止まっているが、目にしているものはいなさそうだった。
私は人々の間をかき分けて前に出て、アニーサが占いをする様子を間近で観察することにする。
すると、私のように猫の客は珍しかったのか、私に気づいたアニーサが自ら私に手招きをしてきた。
本人としては可愛らしい猫がいたので、撫でてみようくらいの感覚だろう。
ーーここで、私は躊躇する。
何故なら、アニーサに私達の正体がばれてしまう恐れがあるからだ。占いが出来るということは即ち、予知能力があるとも表現できる。その能力を持つアニーサならば私の正体が分かるかもしれない。この猫は人の姿に戻り、貴方に害を及ぼすよ……なんて知られたら一大事だ。
しかし、なかなか近寄らない私に対し、もどかしくなったのかアニーサ自ら近づいてきた。
これはヤバイ。
猫らしく「シャー!」と牙を剥き出して威嚇してみたが、効果は無し。アニーサは気にする事なくどんどん近寄って来る。
仕方ない……腹を括り、私は猫らしく接触することにしてみた。恐る恐る頭を差し出す。
頭を撫でられた。が……アニーサは何も感じ取っていないようだ。今度はニコニコと笑いかけると私をひょいと持ち上げ、占いの席の横に私を座らせた。
どうやら私が元人間であることに気付いていないらしい。
私は正直安心した。
そしてふと思う。
ーーこれはチャンスかもしれない。一番近い特等席で監視対象を見ることが出来るのだ。
私はアニーサに逆らわず、懐いた素振りをすることに切り替えた。さらにわざとらしく猫っぽく丸まり、寝ぼけたような感じでじっとすることに。
アニーサは私を側に置いて警戒することなく、次の占いの準備に入る。
そして私が横で見守る中占いが始まった。
今度は優しそうな中年女性が客だ。
「貴方は何を占ってほしいんだい?」
「私は息子の怪我が治るかどうか見てもらいたくて……」
「私は人の健康に関することは余りできないが……ちなみにどんな怪我だい」
「思いっきり擦りむいたようで、傷薬が手に入るかどうかを知りたくて」
「なんだいその程度かい、ならば占ってあげよう」
そう言うと、アニーサは占いをし始めた。
ウラウラと、また占いを片言で言っているようにしか聞こえない呪文をする。
「この館を出た後、近くに井戸があるだろ。その辺りに誰かが薬を置いてくれる」
「本当ですか? ありがとうございます」
女性は安心したようにお礼を言うと、出て行った。
今見ていた一連の流れは、私が前回見ていたものと変わりない。何か秘密が隠れているにしても、今はただの水晶を使った占いにしか受け取れない。
猫の姿になって特等席に座っても、この程度か。
少し期待外れでガックリと肩を落とした。
ーーしかし、この直後私はアニーサの不思議な言動を目撃してしまうのだった。
アニーサは休憩だといって館の奥にある控室に入っていった。念のため、私も後をついていく。猫だからか警戒されることなくアニーサと共に中に入れた。後ろからは同じく鳥の姿のローリンがコッソリ中に入ったのが見える。
アニーサは私を再び撫でた後、何故か椅子に座って休憩するかと思いきや、天窓のような天井に穴の開いた場所の下に立った。
すると、アニーサはそこで何かをボソッと唱えつつ手を動かし始めたのだ。何を言っているかまでは聞こえなかったが、手は人差し指をクルクルと回している。
そして、終わったらしく何食わぬ顔で再び占いの会場へ戻ったのだった。
あれ? 休憩という割には休憩をしていない。
私達はその後も引き続き監視を行った。何回か見ていると、どうやらアニーサは占いをして控室に向かうを繰り返してることが発覚した。
実に怪しい。もしかするとこの休憩に何か意味があるのかもしれない。
その夜、ローリンと作戦会議をしていると、ローリンも同じことを感じたらしい。
「絶対あの休憩時間に何か秘密が隠されているのよ。あの女、本当に休憩してたのなんて数えるほどよ」
「やはり、ローリンさんもそう思いますか……」
「休憩時間については引き続き調査が必要ね」
「では、猫と鳥の姿が意外にも問題なかったので、明日も張り込みましょう。私にいい案があるのです」
私達は作戦を立てて再び、猫と鳥の姿でアニーサの所に向かった。
◇◇◇◇◇◇
その日もアニーサは占いをして、休憩ではない謎の休憩時間を挟むということを繰り返していた。
私達はついに行動に移す。
まず、私が昨日同様にアニーサに近付く。
アニーサは「あら、昨日の猫ちゃん。」と言うと、警戒することなく昨日と同じように私を傍に置いてくれた。
よし、上手くいった。
天井の辺りで待機している鳥のローリンに目配せをして、作戦決行の合図を送ると、ローリンも頷いた。
一人の中年男性が占いを受けていた。その内容は泥棒に入られ、宝石を盗まれた。取り返すことができるか? というものだった。
「貴方の占い結果ですが……残念ながら同じものを取り返すことは不可能でしょう。しかし、この館を出たすぐの路地裏、そこに犯人が落としていった別の宝石が残っているでしょう。新たな宝石を手にすることが出来るでしょう」
「なんと、犯人が落としたものが! 早急に確認してきます。誰かに取られてしまってはかなわん」
そう言うと、急いで男性は館を飛び出していった。
ーーその後ろを鳥であるローリンがついていく。いや、中年男性を追い越すように飛んでいった。
私はそのまま、アニーサの傍らで待機する。
いつも通りアニーサは休憩と言って奥の部屋に入っていった。
私はアニーサに懐いたようにぴったりとくっつきながら入室する。そして、アニーサはまた天窓付近で何かを呟きだした。私は何をしているのかを正確に確認するため、猫っぽくアニーサに甘えてみせる。
私の様子に気づいたアニーサは、私を片手で抱き上げると、私を抱えたまま呟きだした。そして残った片手を動かしていく。
そこで私は知ってしまったのだ。アニーサの謎を。
「ローリンさん、なにか別の生き物か何かに変身できますか?」
「ええ、大丈夫よ。」
「人の姿では行動がバレてしまうので、動物に姿を変えようかと思います」
「良い案だわね。警戒されにくいと思う」
「では、いきます!」
私は魔法のステッキを振り、呪文を唱える。
「マジカル チェンジ!」
ボフンと音が鳴り、私達2人は動物に変化した。
ちなみに、私は……猫の姿に変化した。金髪碧眼だったので、ベージュに青い目で元の雰囲気は残しつつも、可愛らしい猫の姿へ。
先輩のローリンは小鳥だ。水色の美しい姿で、捕まえて食べられるなんてことがなさそうな鳥にしてある。
この組み合わせは、私が陸を、ローリンが空から監視ができるよう考慮しているのだ。
早速私は野良猫を装い占いの館に潜入する。案の定、猫の姿だと人に近寄ればシッシッと払われる程度で気に留める物はいない。小鳥のローリンも無事潜入できたらしい。屋根の下で止まっているが、目にしているものはいなさそうだった。
私は人々の間をかき分けて前に出て、アニーサが占いをする様子を間近で観察することにする。
すると、私のように猫の客は珍しかったのか、私に気づいたアニーサが自ら私に手招きをしてきた。
本人としては可愛らしい猫がいたので、撫でてみようくらいの感覚だろう。
ーーここで、私は躊躇する。
何故なら、アニーサに私達の正体がばれてしまう恐れがあるからだ。占いが出来るということは即ち、予知能力があるとも表現できる。その能力を持つアニーサならば私の正体が分かるかもしれない。この猫は人の姿に戻り、貴方に害を及ぼすよ……なんて知られたら一大事だ。
しかし、なかなか近寄らない私に対し、もどかしくなったのかアニーサ自ら近づいてきた。
これはヤバイ。
猫らしく「シャー!」と牙を剥き出して威嚇してみたが、効果は無し。アニーサは気にする事なくどんどん近寄って来る。
仕方ない……腹を括り、私は猫らしく接触することにしてみた。恐る恐る頭を差し出す。
頭を撫でられた。が……アニーサは何も感じ取っていないようだ。今度はニコニコと笑いかけると私をひょいと持ち上げ、占いの席の横に私を座らせた。
どうやら私が元人間であることに気付いていないらしい。
私は正直安心した。
そしてふと思う。
ーーこれはチャンスかもしれない。一番近い特等席で監視対象を見ることが出来るのだ。
私はアニーサに逆らわず、懐いた素振りをすることに切り替えた。さらにわざとらしく猫っぽく丸まり、寝ぼけたような感じでじっとすることに。
アニーサは私を側に置いて警戒することなく、次の占いの準備に入る。
そして私が横で見守る中占いが始まった。
今度は優しそうな中年女性が客だ。
「貴方は何を占ってほしいんだい?」
「私は息子の怪我が治るかどうか見てもらいたくて……」
「私は人の健康に関することは余りできないが……ちなみにどんな怪我だい」
「思いっきり擦りむいたようで、傷薬が手に入るかどうかを知りたくて」
「なんだいその程度かい、ならば占ってあげよう」
そう言うと、アニーサは占いをし始めた。
ウラウラと、また占いを片言で言っているようにしか聞こえない呪文をする。
「この館を出た後、近くに井戸があるだろ。その辺りに誰かが薬を置いてくれる」
「本当ですか? ありがとうございます」
女性は安心したようにお礼を言うと、出て行った。
今見ていた一連の流れは、私が前回見ていたものと変わりない。何か秘密が隠れているにしても、今はただの水晶を使った占いにしか受け取れない。
猫の姿になって特等席に座っても、この程度か。
少し期待外れでガックリと肩を落とした。
ーーしかし、この直後私はアニーサの不思議な言動を目撃してしまうのだった。
アニーサは休憩だといって館の奥にある控室に入っていった。念のため、私も後をついていく。猫だからか警戒されることなくアニーサと共に中に入れた。後ろからは同じく鳥の姿のローリンがコッソリ中に入ったのが見える。
アニーサは私を再び撫でた後、何故か椅子に座って休憩するかと思いきや、天窓のような天井に穴の開いた場所の下に立った。
すると、アニーサはそこで何かをボソッと唱えつつ手を動かし始めたのだ。何を言っているかまでは聞こえなかったが、手は人差し指をクルクルと回している。
そして、終わったらしく何食わぬ顔で再び占いの会場へ戻ったのだった。
あれ? 休憩という割には休憩をしていない。
私達はその後も引き続き監視を行った。何回か見ていると、どうやらアニーサは占いをして控室に向かうを繰り返してることが発覚した。
実に怪しい。もしかするとこの休憩に何か意味があるのかもしれない。
その夜、ローリンと作戦会議をしていると、ローリンも同じことを感じたらしい。
「絶対あの休憩時間に何か秘密が隠されているのよ。あの女、本当に休憩してたのなんて数えるほどよ」
「やはり、ローリンさんもそう思いますか……」
「休憩時間については引き続き調査が必要ね」
「では、猫と鳥の姿が意外にも問題なかったので、明日も張り込みましょう。私にいい案があるのです」
私達は作戦を立てて再び、猫と鳥の姿でアニーサの所に向かった。
◇◇◇◇◇◇
その日もアニーサは占いをして、休憩ではない謎の休憩時間を挟むということを繰り返していた。
私達はついに行動に移す。
まず、私が昨日同様にアニーサに近付く。
アニーサは「あら、昨日の猫ちゃん。」と言うと、警戒することなく昨日と同じように私を傍に置いてくれた。
よし、上手くいった。
天井の辺りで待機している鳥のローリンに目配せをして、作戦決行の合図を送ると、ローリンも頷いた。
一人の中年男性が占いを受けていた。その内容は泥棒に入られ、宝石を盗まれた。取り返すことができるか? というものだった。
「貴方の占い結果ですが……残念ながら同じものを取り返すことは不可能でしょう。しかし、この館を出たすぐの路地裏、そこに犯人が落としていった別の宝石が残っているでしょう。新たな宝石を手にすることが出来るでしょう」
「なんと、犯人が落としたものが! 早急に確認してきます。誰かに取られてしまってはかなわん」
そう言うと、急いで男性は館を飛び出していった。
ーーその後ろを鳥であるローリンがついていく。いや、中年男性を追い越すように飛んでいった。
私はそのまま、アニーサの傍らで待機する。
いつも通りアニーサは休憩と言って奥の部屋に入っていった。
私はアニーサに懐いたようにぴったりとくっつきながら入室する。そして、アニーサはまた天窓付近で何かを呟きだした。私は何をしているのかを正確に確認するため、猫っぽくアニーサに甘えてみせる。
私の様子に気づいたアニーサは、私を片手で抱き上げると、私を抱えたまま呟きだした。そして残った片手を動かしていく。
そこで私は知ってしまったのだ。アニーサの謎を。
0
あなたにおすすめの小説
悪役令嬢の慟哭
浜柔
ファンタジー
前世の記憶を取り戻した侯爵令嬢エカテリーナ・ハイデルフトは自分の住む世界が乙女ゲームそっくりの世界であり、自らはそのゲームで悪役の位置づけになっている事に気付くが、時既に遅く、死の運命には逆らえなかった。
だが、死して尚彷徨うエカテリーナの復讐はこれから始まる。
※ここまでのあらすじは序章の内容に当たります。
※乙女ゲームのバッドエンド後の話になりますので、ゲーム内容については殆ど作中に出てきません。
「悪役令嬢の追憶」及び「悪役令嬢の徘徊」を若干の手直しをして統合しています。
「追憶」「徘徊」「慟哭」はそれぞれ雰囲気が異なります。
一級魔法使いになれなかったので特級厨師になりました
しおしお
恋愛
魔法学院次席卒業のシャーリー・ドットは、
「一級魔法使いになれなかった」という理由だけで婚約破棄された。
――だが本当の理由は、ただの“うっかり”。
試験会場を間違え、隣の建物で行われていた
特級厨師試験に合格してしまったのだ。
気づけばシャーリーは、王宮からスカウトされるほどの
“超一流料理人”となり、国王の胃袋をがっちり掴む存在に。
一方、学院首席で一級魔法使いとなった
ナターシャ・キンスキーは、大活躍しているはずなのに――
「なんで料理で一番になってるのよ!?
あの女、魔法より料理の方が強くない!?」
すれ違い、逃げ回り、勘違いし続けるナターシャと、
天然すぎて誤解が絶えないシャーリー。
そんな二人が、魔王軍の襲撃、国家危機、王宮騒動を通じて、
少しずつ距離を縮めていく。
魔法で国を守る最強魔術師。
料理で国を救う特級厨師。
――これは、“敵でもライバルでもない二人”が、
ようやく互いを認め、本当の友情を築いていく物語。
すれ違いコメディ×料理魔法×ダブルヒロイン友情譚!
笑って、癒されて、最後は心が温かくなる王宮ラノベ、開幕です。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
異世界猫カフェでまったりスローライフ 〜根暗令嬢に憑依した動物看護師、癒しの猫パラダイスを築く〜
きよぴの
ファンタジー
「もし、動物の言葉がわかれば、もっと彼らを救えるのに――」
動物病院で働く動物看護師、天野梓は、野良猫を庇って命を落とす。次に目覚めると、そこは生前読んでいた恋愛小説の世界。しかも、憑依したのは、主人公の引き立て役である「根暗で人嫌いの令嬢」アイリスだった。
他人の心の声が聞こえる能力を持ち、そのせいで人間不信に陥っていたアイリス。しかし、梓はその能力が、実は動物の心の声も聞ける力だと気づく。「これこそ、私が求めていた力だ!」
虐げる家族と婚約者に見切りをつけ、持ち前の能力と動物たちの力を借りて資金を貯めた梓は、ついに自由を手に入れる。新たな土地で、たくさんの猫たちに囲まれた癒しの空間、「猫カフェ『まどろみの木陰』」をオープンさせるのだった。
【完結】悪役令嬢の断罪から始まるモブ令嬢の復讐劇
夜桜 舞
恋愛
「私がどんなに頑張っても……やっぱり駄目だった」
その日、乙女ゲームの悪役令嬢、「レイナ・ファリアム」は絶望した。転生者である彼女は、前世の記憶を駆使して、なんとか自身の断罪を回避しようとしたが、全て無駄だった。しょせんは悪役令嬢。ゲームの絶対的勝者であるはずのヒロインに勝てるはずがない。自身が断罪する運命は変えられず、婚約者……いや、”元”婚約者である「デイファン・テリアム」に婚約破棄と国外追放を命じられる。みんな、誰一人としてレイナを庇ってはくれず、レイナに冷たい視線を向けていた。そして、国外追放のための馬車に乗り込むと、馬車の中に隠れていた何者かによって……レイナは殺害されてしまった。
「なぜ、レイナが……あの子は何も悪くないのに!!」
彼女の死に唯一嘆いたものは、家族以上にレイナを知る存在……レイナの親友であり、幼馴染でもある、侯爵令嬢、「ヴィル・テイラン」であった。ヴィルは親友のレイナにすら教えていなかったが、自身も前世の記憶を所持しており、自身がゲームのモブであるということも知っていた。
「これまでは物語のモブで、でしゃばるのはよくないと思い、見て見ぬふりをしていましたが……こればかりは見過ごせません!!」
そして、彼女は決意した。レイナの死は、見て見ぬふりをしてきた自身もにも非がある。だからこそ、彼女の代わりに、彼女への罪滅ぼしのために、彼女を虐げてきた者たちに復讐するのだ、と。これは、悪役令嬢の断罪から始まる、モブ令嬢の復讐劇である。
笑顔が苦手な元公爵令嬢ですが、路地裏のパン屋さんで人生やり直し中です。~「悪役」なんて、もう言わせない!~
虹湖🌈
ファンタジー
不器用だっていいじゃない。焼きたてのパンがあればきっと明日は笑えるから
「悪役令嬢」と蔑まれ、婚約者にも捨てられた公爵令嬢フィオナ。彼女の唯一の慰めは、前世でパン職人だった頃の淡い記憶。居場所を失くした彼女が選んだのは、華やかな貴族社会とは無縁の、小さなパン屋を開くことだった。
人付き合いは苦手、笑顔もぎこちない。おまけにパン作りは素人も同然。
「私に、できるのだろうか……」
それでも、彼女が心を込めて焼き上げるパンは、なぜか人の心を惹きつける。幼馴染のツッコミ、忠実な執事のサポート、そしてパンの師匠との出会い。少しずつ開いていくフィオナの心と、広がっていく温かい人の輪。
これは、どん底から立ち上がり、自分の「好き」を信じて一歩ずつ前に進む少女の物語。彼女の焼くパンのように、優しくて、ちょっぴり切なくて、心がじんわり温かくなるお話です。読後、きっとあなたも誰かのために何かを作りたくなるはず。
悪役令嬢が美形すぎるせいで話が進まない
陽炎氷柱
恋愛
「傾国の美女になってしまったんだが」
デブス系悪役令嬢に生まれた私は、とにかく美しい悪の華になろうとがんばった。賢くて美しい令嬢なら、だとえ断罪されてもまだ未来がある。
そう思って、前世の知識を活用してダイエットに励んだのだが。
いつの間にかパトロンが大量発生していた。
ところでヒロインさん、そんなにハンカチを強く嚙んだら歯並びが悪くなりますよ?
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる