私、悪役令嬢おたすけ課 ~魔法少女は公務員です?!~

ビオラン

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対部族令嬢 文化省・異世界統制省合同案件

令嬢第五事例 報告3

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 タロウは座ると早速聴き取りをする。
「とはいっても、どこまでのことを占ってくれるんだ?」

「そうだねぇ、相談したい内容によるね。言ってごらん?……あぁ、あんたの運命の相手とかはダメだよ?」

「そりゃ残念。でも安心して。俺の運命の相手はアニーサさんって目算なんだから」
「上手いこと言うね。嫌いじゃないよ」

 ーーブッ
 あ、また吹き出してしまった。
 タロウが一瞬にしてこちらを睨む。

 ごめんなさい。柄にもないことを頑張って言ってる姿が面白くって……

 タロウは何事もなかったかのように、アニーサに条件を聞き始める。
「例えば、収穫量が増えるとか羊の子が生まれるとかそういうことはどうなんだ?」
「だめだね。私は生物の生死や成長に関わることはあまり得意ではないんだ」

「なるほど、色恋沙汰とかはいけるのか?」
「場合によるね」
「仕事に関しては?」
「場合によるね」

 その他も様々な条件を聞いたが、全て場合によるしか返ってこない。これは、依頼について毎度要検討ということだろうか。……胡散臭さが増す。

 タロウは何かを考えると、ふと思いついたように言った。

「では、俺の占いだがそうだな……腹が減ったからどこかで食べ物にありつけられないか……とかは行けるか?」

 え、何故そんなことを聞いたのだろうか? タロウの魂胆が分からない。

 しかし、アニーサには好都合だったようだ。

「それならお安い御用さ」

 そう言うとアニーサはニヤリと笑い、水晶に向かって呪文を唱え始める。

「ウーラウーラウラウーラ……ウ、ラナーイ!!!!」

 あぁ、やっぱりウラナイを片言で言っているようにしか聞こえない。
 そんな呪文を唱え終えると、アニーサは自信満々で結果を述べた。

「この通りを出たところに、誰かが忘れてったフルーツがあるはずさ」
「そうか……ありがとう」

 誰かが忘れてったフルーツって……そんな偶然があるのだろうか? 私達が違和感を感じていると、タロウも同じように疑問を感じていたのだろう。
 早急に金を払い礼を言うと、直ぐにテントを出て通りに向かい始めた。私達も後に続く。

 そして指定の場所に着くと……本当に誰かが忘れたかのようにフルーツの入った籠が放置されていたのだった。

「本当にフルーツ落ちてましたね……」
「まさか当たるとは思わなかったわね」
 横のローリンもやはりビックリしている。

 ていうかそもそも腹が減ったから食べ物もらえるか、なんて占いで聞くことだろうか? タロウは何故そんな判断をしたのだろうか。

「なんでまた…食料なんかを占いで聞いたのですか? いつでも調達できるじゃないですか」

 しかし、返事は返ってこない。見ると、タロウは黙ったまま何かを考えている様子。

「タロウさん? 慣れないキャラ作りで疲れて思考が停止しましたか?疲れましたよね、ありがとうございます」

 私が手をフリフリしていると、気付いたのかやっと口を開いた。

「……全くだ。俺が一番恥ずかしかったんだぞ。」

 そして、何かを思い出したかのように頷くと、真面目な顔をしてこう言い放った。

「少し引っ掛かる部分がある。調査するために俺は一度元の世界に戻るので、あとは任せた」

 口を開いたと思えば何を言い出すのか。

「ええーー! 投げ出すのですか?」
「投げ出すんじゃない。調べたらまたすぐ戻ってくる。そんなに時間はかからないはずだ」

 そう言うと、タロウは私達が止める余裕もなく、扉を出して颯爽と元の世界に戻って行った。

「風のように去っていきましたね……」
「きっと彼なりに何か思いついたのよ。私達も今のうちに何かしておきましょう」
「……そうしましょうか」

 腑に落ちないが、先輩のやることに今は従っておこう。


◇◇◇◇◇◇


 私達は再びサーラの元へ向かった。
「サーラ様、只今戻りました。ご報告したいことがございます」

 サーラは私とローリンを迎えると、自室に案内した。
 姫の部屋らしい豪華な部屋だ。今まで対応してきた令嬢の部屋とは違い、ハッキリとした色使いの物が多い。テーマパークなどでしか見たことが無いような雰囲気で、少しテンションが上がる。

「では、報告をよろしくお願いします」

 浮かれた気持ちを静め、気持ちを切り替え今回の報告を始めた。

「はい、ご報告ですが、まずわたくし達はアニーサの様子を見て参りました。第一の印象としては妖艶さ故のミステリアスな雰囲気を醸し出す人物といったところでしょう。あの風貌でしたら人々も占いを信じる、または信じさせることが可能かと存じます」

「見てこられたのですね。彼女はあのような見た目ですから、特に男性からは人気があるようですね」

「次に、潜入調査をしました。具体的には、メンバーであるタロウが客のふりをしてアニーサと接触しました」
「まぁ、そのような危険なことを!」
「ご心配には及びません。彼なりの作戦で上手く切り抜けました。」

 サーラはホッと胸を撫で下ろした。

「その際に、占いの条件を聞き出すことに成功しました。」
「条件ですか? どのような占いも全て答えられるのではないのですか?」
「宮殿では王の手前、条件を述べていなかったのだと推察されます。今回、アニーサへの質問で、生物の生死や成長に関わるものが不得手であることが判明しました。」

「まぁ、そうなのですね? でも、私の占いの際、私は国の収穫量を減らしてしまうと言い渡されたわ。これは生物の成長に関わるので、不得手に入るのではなくて?」
「その通りでございます。何故そこまで確信を持って発言できたのか甚だ疑問ではあるのです」

 ローリンが私に代わり続ける。
「そのことからも、アニーサの占い結果は信憑性に欠ける部分があると判断できるでしょう。さらに、儀式、催事課の私の目をもってもアニーサは様々疑う点が多くございます」

 言いたいことはきっとこれだろう。私が口を開く。

「はっきり申し上げますと、胡散臭いと存じました」
「まぁ!」
 あまりにハッキリと言うものだから、サーラはクスクスと笑い始めた。ローリンは同意するように頷いている。

「わたくしは信じません。あのような人物がどのように占いをし、当てているのかをローリンと共に調べ突き止めてやります」

 私の鼻息の荒い物言いがサーラの気持ちを明るくしたのだろう。サーラは嬉しそうにお礼を述べた。

「ありがとう、これだけ味方がいてくれると考えると、わたくしも安心します。どうか引き続きご協力よろしくお願いいたします」

「はい!」

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