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対部族令嬢 文化省・異世界統制省合同案件
令嬢第五事例 報告9
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第二回戦が始まる。
タロウはしばらく悩んだ末に、占いの題材を口にした。
「俺からの依頼ですが……ジャミール様に贈り物がしたいと思います。偶然なにか良い物が手に入ったりしますか?」
今の質問は、この場の占いの題材として無理が大有りな感じではあるが……今回はこれで良い。
というのも、アニーサと勝負という点においてはこれ以上ない題材なのだ。
暫く張り込んで調査した結果、アニーサの得意分野は物が現れる類いの占いだと分かった。正確には物を出現させる魔法しか使えないということなのだが。
その為、今回のように何かを準備する必要のある題材は、アニーサの本領発揮を確認出来るので好都合である。
勝負としては面白い内容だ。
ーーまぁ、こちらとしては、簡単にやられる気はさらさらないが。
アニーサは得意分野と知るや否や調子を取り戻した。心持ちウラウラの呪文がリズムに乗っていたけど、触れないでおいてあげよう。
そして一通りウラウラ言った後、アニーサは自信ありげにこう答えた。
「商人の荷台に偶然花束が置かれているかと」
ーーそうきたか。
男性から男性に花束って……どんな感じなんだろうとか気になりそうになったので、慌てて頭を切り替えつつ……
ならば……と、一方の私はこう答えた。
「いえ、私の占いによれば、花ではなくそれは石となっているでしょう」
またも意見が分かれる結果となる。ジャミールは再び興味深そうに私達を見比べた。
ーーすると、突然アニーサがそれはそれは申し訳無さそうにお願いをしてきた。
「少し、お手洗いを貸していただきたく存じます」
そう言うとそそくさと会場から離脱。
颯爽と消えたアニーサに、皆呆然として口をポカンと開けている。
しかし、私だけはこの状況を冷静に判断した。
ーーこれは、お手洗いという名の抜け出しだ!
この間に魔法を使うに違いない。休憩と称して魔法を使っていた占いの館を思い出したので、一瞬で察した私。
即座に私は、物陰に隠れて待機していたローリンに目配せをする。
ローリンは目線に気付くと理解したといった様子で姿を消した。
そして、しばらく経ちアニーサが何事もなく帰ってくると、ローリンも隠れつつ戻ってきた。
待ち構えていたジャミールが、早速続きを急かす。
「さて、続きだが、本当に花束はあるのだろうか? まさか石とはいうまい」
程なくして確認に行った使用人が、血相を変えて帰ってきた。その手には大事そうに何かを抱えている。
「どうだった」
使用人はジャミールの言葉を受けて、息を切らしつつ抱えていた物を見せた。
「あったのは、石にございます! 花束はございません!」
「……ほお!」
ジャミールが驚きの声を上げたが、ここでさらに驚いたのは、アニーサだ。
さっき、自分が魔法で花束を出したにも関わらず、それが消されて、さらには石に変わっているのが発覚したからだ。
魔法を間違えたのか? それとも別の要因が? などとグルグルと考えているらしい。目が泳ぎ出した。
魔法を使う物がこの世界にいないと知っているため、アニーサとしては摩訶不思議な事態が発生してしまったことになる。あまりの事態に冷や汗が止まらない。
そんなアニーサの様子に気付いたタロウは申し訳無さそうに、アニーサに謝った。
「アニーサさんの得意分野だと思ったんだけど、ダメだったんだね」
悲しそうにするタロウ。いや、悲しそうに演じれたタロウ。
ーー迫真の演技力である。
アニーサの護衛としてついているタロウだがそれは上辺だけである。毎度お馴染みの演技だ。
実は、タロウはアニーサに取り入るために、わざと味方のフリをしている。
私達が植物を調達している最中に、アニーサの情報を得るためにスパイとして潜伏し、信頼を構築していたのだ。
今回、タロウはアニーサに有利な占いをすると見せかけて、私達に有利に働くよう動いた。
タロウがあえてアニーサの魔法を使える環境を作り出し、その上で、アニーサの魔法に被せてローリンが魔法をかけることにしたのだ。
アニーサが得意な魔法、イコール私達も使える魔法。
魔力量では明らかに私達魔法省の方が勝っているので、アニーサの魔法で出た物を取り替えるなどお手の物だ。
さりげなく差し替えさせてもらった。
当のアニーサは困惑の色が隠せないでいる。魔法が効いていないのであろうか? とアニーサの目は語っていた。
こちらとしてはアニーサの魔法がうまく起動していないと思わせることが出来れば万々歳だ。このまま自信を失えばいい。
「ほう、また少女の方が当たりか」
面白そうに私達を見るジャミール。
八つ当たりをするようにアニーサは私を睨んできた。睨んでくるアニーサを見ないように、私は凛とした姿勢で臨む。
「では、最後に私からだ。これを占えれば褒め称えよう」
ジャミールは暫し考えると、少し深刻な顔でこう述べた。最後のお題だ。
「この時期は、雨が降らず土地が干からびておる。雨が降ると非常に助かるのだが……雨が降るとこはあるのだろうか?今日この後の天気を教えよ」
天気予報……最新の科学技術をもっても予測が難しい上に、魔法でも予測は困難だ。なんてことを聞くのかと思った。
ここで即答できるのはアニーサだ。私達よりもこの世界のことは知っている。ウラウラと呪文を唱えると、即答をした。
「この地は乾季にございます。雨が降って欲しいとは存じますが、実際に雨が降ることはないでしょう」
事実、乾季に雨を降らせるのは難しい。魔法でも難しい部類に入るのでその答えには頷ける。
しかし、ここで困るのは私。アニーサと差をつけるため、逆の返事をする必要があるが、天気の魔法は試したことが無いので成功するか少し不安なのだ。私は思わずローリンとタロウにコッソリと目配せをした。
ーーすると、2人とも頷くいてくれた。
先輩達によると問題ないそうだ。
安心した私は自信を持ってこう告げた。
「今日、これから短時間ではありますが、雨が降ると存じます。」
「な、なんだって?!」
驚いたのはアニーサだ。まさか、そんなことはあってはならないと言った顔だ。
アニーサの魔力量では天気を操るのは無理だろう。しかしこちらは魔法省だ。天気を操作することも必要であれば行えるのである。
ローリンが魔法のステッキを用意し、準備を行う。私が合図をすると……ローリンが何か呟いた。
ーー直後、宮殿の上にだけ雨雲が現れた。
そして、雨を降らせ始めたのである。
これには、宮殿中が驚いた。乾季で雨の対策がされていない上に、意図しない雨が降り、もはや混乱が生じているようだ。思わず釜を用意したりしている者もいる。
ジャミールは呆気にとられてもはや、天を仰いでいた。そして雨が降り止むと……何故か私の前に自らが出向き、座り込んだ。
その目は、最初に挨拶したときの見下した様子ではなく、もはや教祖を見ているかのような尊敬が混じったようなものへと変わっていた。
「見事な占い結果であった……」
私の手を取り、握手を求めてきた。
ジャミールはただただ私の占いに感銘を受けているような様子だ。
--そりゃそうだ。あえてジャミールの信用を得られるようにこちらが導いたのだから。
タロウはしばらく悩んだ末に、占いの題材を口にした。
「俺からの依頼ですが……ジャミール様に贈り物がしたいと思います。偶然なにか良い物が手に入ったりしますか?」
今の質問は、この場の占いの題材として無理が大有りな感じではあるが……今回はこれで良い。
というのも、アニーサと勝負という点においてはこれ以上ない題材なのだ。
暫く張り込んで調査した結果、アニーサの得意分野は物が現れる類いの占いだと分かった。正確には物を出現させる魔法しか使えないということなのだが。
その為、今回のように何かを準備する必要のある題材は、アニーサの本領発揮を確認出来るので好都合である。
勝負としては面白い内容だ。
ーーまぁ、こちらとしては、簡単にやられる気はさらさらないが。
アニーサは得意分野と知るや否や調子を取り戻した。心持ちウラウラの呪文がリズムに乗っていたけど、触れないでおいてあげよう。
そして一通りウラウラ言った後、アニーサは自信ありげにこう答えた。
「商人の荷台に偶然花束が置かれているかと」
ーーそうきたか。
男性から男性に花束って……どんな感じなんだろうとか気になりそうになったので、慌てて頭を切り替えつつ……
ならば……と、一方の私はこう答えた。
「いえ、私の占いによれば、花ではなくそれは石となっているでしょう」
またも意見が分かれる結果となる。ジャミールは再び興味深そうに私達を見比べた。
ーーすると、突然アニーサがそれはそれは申し訳無さそうにお願いをしてきた。
「少し、お手洗いを貸していただきたく存じます」
そう言うとそそくさと会場から離脱。
颯爽と消えたアニーサに、皆呆然として口をポカンと開けている。
しかし、私だけはこの状況を冷静に判断した。
ーーこれは、お手洗いという名の抜け出しだ!
この間に魔法を使うに違いない。休憩と称して魔法を使っていた占いの館を思い出したので、一瞬で察した私。
即座に私は、物陰に隠れて待機していたローリンに目配せをする。
ローリンは目線に気付くと理解したといった様子で姿を消した。
そして、しばらく経ちアニーサが何事もなく帰ってくると、ローリンも隠れつつ戻ってきた。
待ち構えていたジャミールが、早速続きを急かす。
「さて、続きだが、本当に花束はあるのだろうか? まさか石とはいうまい」
程なくして確認に行った使用人が、血相を変えて帰ってきた。その手には大事そうに何かを抱えている。
「どうだった」
使用人はジャミールの言葉を受けて、息を切らしつつ抱えていた物を見せた。
「あったのは、石にございます! 花束はございません!」
「……ほお!」
ジャミールが驚きの声を上げたが、ここでさらに驚いたのは、アニーサだ。
さっき、自分が魔法で花束を出したにも関わらず、それが消されて、さらには石に変わっているのが発覚したからだ。
魔法を間違えたのか? それとも別の要因が? などとグルグルと考えているらしい。目が泳ぎ出した。
魔法を使う物がこの世界にいないと知っているため、アニーサとしては摩訶不思議な事態が発生してしまったことになる。あまりの事態に冷や汗が止まらない。
そんなアニーサの様子に気付いたタロウは申し訳無さそうに、アニーサに謝った。
「アニーサさんの得意分野だと思ったんだけど、ダメだったんだね」
悲しそうにするタロウ。いや、悲しそうに演じれたタロウ。
ーー迫真の演技力である。
アニーサの護衛としてついているタロウだがそれは上辺だけである。毎度お馴染みの演技だ。
実は、タロウはアニーサに取り入るために、わざと味方のフリをしている。
私達が植物を調達している最中に、アニーサの情報を得るためにスパイとして潜伏し、信頼を構築していたのだ。
今回、タロウはアニーサに有利な占いをすると見せかけて、私達に有利に働くよう動いた。
タロウがあえてアニーサの魔法を使える環境を作り出し、その上で、アニーサの魔法に被せてローリンが魔法をかけることにしたのだ。
アニーサが得意な魔法、イコール私達も使える魔法。
魔力量では明らかに私達魔法省の方が勝っているので、アニーサの魔法で出た物を取り替えるなどお手の物だ。
さりげなく差し替えさせてもらった。
当のアニーサは困惑の色が隠せないでいる。魔法が効いていないのであろうか? とアニーサの目は語っていた。
こちらとしてはアニーサの魔法がうまく起動していないと思わせることが出来れば万々歳だ。このまま自信を失えばいい。
「ほう、また少女の方が当たりか」
面白そうに私達を見るジャミール。
八つ当たりをするようにアニーサは私を睨んできた。睨んでくるアニーサを見ないように、私は凛とした姿勢で臨む。
「では、最後に私からだ。これを占えれば褒め称えよう」
ジャミールは暫し考えると、少し深刻な顔でこう述べた。最後のお題だ。
「この時期は、雨が降らず土地が干からびておる。雨が降ると非常に助かるのだが……雨が降るとこはあるのだろうか?今日この後の天気を教えよ」
天気予報……最新の科学技術をもっても予測が難しい上に、魔法でも予測は困難だ。なんてことを聞くのかと思った。
ここで即答できるのはアニーサだ。私達よりもこの世界のことは知っている。ウラウラと呪文を唱えると、即答をした。
「この地は乾季にございます。雨が降って欲しいとは存じますが、実際に雨が降ることはないでしょう」
事実、乾季に雨を降らせるのは難しい。魔法でも難しい部類に入るのでその答えには頷ける。
しかし、ここで困るのは私。アニーサと差をつけるため、逆の返事をする必要があるが、天気の魔法は試したことが無いので成功するか少し不安なのだ。私は思わずローリンとタロウにコッソリと目配せをした。
ーーすると、2人とも頷くいてくれた。
先輩達によると問題ないそうだ。
安心した私は自信を持ってこう告げた。
「今日、これから短時間ではありますが、雨が降ると存じます。」
「な、なんだって?!」
驚いたのはアニーサだ。まさか、そんなことはあってはならないと言った顔だ。
アニーサの魔力量では天気を操るのは無理だろう。しかしこちらは魔法省だ。天気を操作することも必要であれば行えるのである。
ローリンが魔法のステッキを用意し、準備を行う。私が合図をすると……ローリンが何か呟いた。
ーー直後、宮殿の上にだけ雨雲が現れた。
そして、雨を降らせ始めたのである。
これには、宮殿中が驚いた。乾季で雨の対策がされていない上に、意図しない雨が降り、もはや混乱が生じているようだ。思わず釜を用意したりしている者もいる。
ジャミールは呆気にとられてもはや、天を仰いでいた。そして雨が降り止むと……何故か私の前に自らが出向き、座り込んだ。
その目は、最初に挨拶したときの見下した様子ではなく、もはや教祖を見ているかのような尊敬が混じったようなものへと変わっていた。
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