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いや、それ俺は何も言ってませんから…。
弁明せずとも「実はこの前、お姉ちゃんとか、女兄弟いそうだねって話してたの~」と木村が説明している。
「…なんでわかったんですか?」
「あ、やっぱり~。いやぁ女心わかるよな~と思って」
またチラ見してくる。
…どうだ?凄いだろ木村の観察眼…。
そんなこんなで、始業開始のベルが鳴った。
ベルが鳴ると早々に加東は「一瞬失礼しますね」と席を立ち、営業に出ようとする浦野に向かって行った。
笑顔で飴を何個か渡し、頭も下げている。
「ありがと~」と言いつつ、加東がこちらに戻ってくる際、浦野は昇を見てにやぁっと笑い去っていった。
さて…これで通常業務だ。大詰め。
とはいっても電気スタンドはほぼ終了している。
昨日木村は話が進んだが、加東には話していないなと、昇は“羽毛布団”についての補足を説明する。
全員漸く足並みが揃ったところで
「ん~じゃあ渋谷は客層…いや、たまには機能性で行こう。客層は木村、バリエーションを加東に任せる」
たまには違う風を起こそうと考えた。
しかしそもそもが難題。
「どうしようかな」と、それぞれ、事前にちょっとだけ齧っていた情報を共有し始めたので、今日も今日で「プチ会議」になった。
「全体会議っていつでしたっけ」
「一応第一回目が来週水曜。丁度一週間後だな」
「あーじゃあぼちぼちこの資料まとめっつーか詰めっすね。丁度良いかも知れませんね、火曜日あたりにガツンとまとめれば」
「そうだな。実際納期は来月15日までだし。それまでに3回くらいは全体会議をしたいよな…」
「ウチ、ちょっとキツめっすよね~」
「その分業績いいけどね~」
まぁ、こなしてくれてるし。
ただ、今回のこともあったので、「少し考えるよ」と昇は言ってみたが。
「え?」
「先輩?」
「どうしちゃったんです?」
等と返ってきた。
「いや俺も少しキツいとは思ってたから…」
「ぶっちゃけ宇田さんのせいですよね?」
ズバッと木村に言われてしまったのにグサッときた。
「スマセン、その通りデス…」
「まぁ、元々外回りトップクラスだった人がリーダーになった時点で覚悟しましたけど、こなせてはいるんで」
「…変なこと気にしてるなら、宇田さん、少し違いますよ。どれかといえば部長のせいで、その部長に嫌われていることが」
「…スマセ~ン、ついつい突っ掛かっ」
「いや、今日のは俺も宇田さんいなかったら加東ちゃんを救い出せなかったんで」
…励ましてるのかなんなのかわからん部下たちだが、まぁ、「…メンタルやられる前にちゃんと言ってくださいね」と追記しておいた。
「いつか解散になっても、なんか同じ感じで出来る気ぃしないっすよね~」
「確かに想像出来ないかも…」
「考えたこともなかったな~」
「…そんなときのために、日々スキルアップを目指しましょうな…」
確かに、いつか解散はするものだ。まさか一生、と言わずとも、会社に努めている間ずっとこう、というわけではないし。
でも、それでもきっとここはよかったという記憶、経験が残ればいいなとは思っている。
…加東だって、いつか昇の元から旅立つ。仕事だって変わるかもしれない。
少し、寂しくなった。
が、それは来たときに考えるしかない。いまは、難題の羽毛布団を退治しなければ。
午前中はそうして仕事を進めた。
難題だったので、やっぱり加東に「お昼にしますか?」と言われて皆、現実に戻ってこれた。
スマホを見れば12:02…と…。
3件、通知が入っていた。
「あ、悪、そうしよ」
また加東が「何食べたいですか」と聞きまわり、「はい!ほうれん草!」と渋谷がタッパーを出していた。
通知は、どうやら覚えのない相手…いや、“Hironori.Akutsu”とある。
「先輩は?」
と聞かれた際に「あぁ待って」と、仕事モードのような感じで返してしまった。
「…ま、たまには私が奢ってあげる!」
「ありがとうございます、じゃあ、ほうれん草あるので、購買にしましょうか」
こんにちはー 11:56
阿久津博紀と申しますー 11:56
澄音は出勤していますかー 11:57
…なんでこいつ俺のID知ってんだよ。
まぁ加東の携帯からとしか思い付かないけど…とことんサイコパスだな…。
特に何も返さないつもりだったが、「受付したんで、外いますから」と即メールが来てはっとした。
加東と木村が購買に行こうとしてるのについ立ち上がってしまったが、加東が「どうしました?」と聞いてくる。
…言わない方がいいな。多分、あっちも加東には伝えておらず、わざわざ自分にこれを送ってきたのだろう。
「先輩もどうですか?」
と笑顔で言う加東に「いや、」と返した。
「俺ちょっと外で…済ますわ」
購買なら社内だしな…。エントランスも通らないだろうと思えばふと、社内内線が入ったが、部長が席を外したところだったようだ。
内線がもし、受付から自分への呼び出しだったなら。
昇はイヤホンの電源を入れ、阿久津に「どの辺にいますか」と返信しながら部署を出る。
弁明せずとも「実はこの前、お姉ちゃんとか、女兄弟いそうだねって話してたの~」と木村が説明している。
「…なんでわかったんですか?」
「あ、やっぱり~。いやぁ女心わかるよな~と思って」
またチラ見してくる。
…どうだ?凄いだろ木村の観察眼…。
そんなこんなで、始業開始のベルが鳴った。
ベルが鳴ると早々に加東は「一瞬失礼しますね」と席を立ち、営業に出ようとする浦野に向かって行った。
笑顔で飴を何個か渡し、頭も下げている。
「ありがと~」と言いつつ、加東がこちらに戻ってくる際、浦野は昇を見てにやぁっと笑い去っていった。
さて…これで通常業務だ。大詰め。
とはいっても電気スタンドはほぼ終了している。
昨日木村は話が進んだが、加東には話していないなと、昇は“羽毛布団”についての補足を説明する。
全員漸く足並みが揃ったところで
「ん~じゃあ渋谷は客層…いや、たまには機能性で行こう。客層は木村、バリエーションを加東に任せる」
たまには違う風を起こそうと考えた。
しかしそもそもが難題。
「どうしようかな」と、それぞれ、事前にちょっとだけ齧っていた情報を共有し始めたので、今日も今日で「プチ会議」になった。
「全体会議っていつでしたっけ」
「一応第一回目が来週水曜。丁度一週間後だな」
「あーじゃあぼちぼちこの資料まとめっつーか詰めっすね。丁度良いかも知れませんね、火曜日あたりにガツンとまとめれば」
「そうだな。実際納期は来月15日までだし。それまでに3回くらいは全体会議をしたいよな…」
「ウチ、ちょっとキツめっすよね~」
「その分業績いいけどね~」
まぁ、こなしてくれてるし。
ただ、今回のこともあったので、「少し考えるよ」と昇は言ってみたが。
「え?」
「先輩?」
「どうしちゃったんです?」
等と返ってきた。
「いや俺も少しキツいとは思ってたから…」
「ぶっちゃけ宇田さんのせいですよね?」
ズバッと木村に言われてしまったのにグサッときた。
「スマセン、その通りデス…」
「まぁ、元々外回りトップクラスだった人がリーダーになった時点で覚悟しましたけど、こなせてはいるんで」
「…変なこと気にしてるなら、宇田さん、少し違いますよ。どれかといえば部長のせいで、その部長に嫌われていることが」
「…スマセ~ン、ついつい突っ掛かっ」
「いや、今日のは俺も宇田さんいなかったら加東ちゃんを救い出せなかったんで」
…励ましてるのかなんなのかわからん部下たちだが、まぁ、「…メンタルやられる前にちゃんと言ってくださいね」と追記しておいた。
「いつか解散になっても、なんか同じ感じで出来る気ぃしないっすよね~」
「確かに想像出来ないかも…」
「考えたこともなかったな~」
「…そんなときのために、日々スキルアップを目指しましょうな…」
確かに、いつか解散はするものだ。まさか一生、と言わずとも、会社に努めている間ずっとこう、というわけではないし。
でも、それでもきっとここはよかったという記憶、経験が残ればいいなとは思っている。
…加東だって、いつか昇の元から旅立つ。仕事だって変わるかもしれない。
少し、寂しくなった。
が、それは来たときに考えるしかない。いまは、難題の羽毛布団を退治しなければ。
午前中はそうして仕事を進めた。
難題だったので、やっぱり加東に「お昼にしますか?」と言われて皆、現実に戻ってこれた。
スマホを見れば12:02…と…。
3件、通知が入っていた。
「あ、悪、そうしよ」
また加東が「何食べたいですか」と聞きまわり、「はい!ほうれん草!」と渋谷がタッパーを出していた。
通知は、どうやら覚えのない相手…いや、“Hironori.Akutsu”とある。
「先輩は?」
と聞かれた際に「あぁ待って」と、仕事モードのような感じで返してしまった。
「…ま、たまには私が奢ってあげる!」
「ありがとうございます、じゃあ、ほうれん草あるので、購買にしましょうか」
こんにちはー 11:56
阿久津博紀と申しますー 11:56
澄音は出勤していますかー 11:57
…なんでこいつ俺のID知ってんだよ。
まぁ加東の携帯からとしか思い付かないけど…とことんサイコパスだな…。
特に何も返さないつもりだったが、「受付したんで、外いますから」と即メールが来てはっとした。
加東と木村が購買に行こうとしてるのについ立ち上がってしまったが、加東が「どうしました?」と聞いてくる。
…言わない方がいいな。多分、あっちも加東には伝えておらず、わざわざ自分にこれを送ってきたのだろう。
「先輩もどうですか?」
と笑顔で言う加東に「いや、」と返した。
「俺ちょっと外で…済ますわ」
購買なら社内だしな…。エントランスも通らないだろうと思えばふと、社内内線が入ったが、部長が席を外したところだったようだ。
内線がもし、受付から自分への呼び出しだったなら。
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