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天獄
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暇になってしまった。
…ぼんやりする。
帰りに波瀬の店に行く予定だったが、スタジオが終わってケータイを開くと「集中したいから無し」とメールが来ていた。
…あれから不思議と、妙な四角形の中にいる。
だが、いつも事件の詳細を知ってきたことがない、誠一も江崎も職業柄話さないのだ。
…何もないことに甘んじて関係もなさそうな面で今ここにいるのが不思議だ。でも、そんなことを考えるのが何より非常に不思議だ。
ジャガイモを切りながら考える。
とても悲しそうな表情だったな。まるで、自分を責めるような、遠くの物事を見るような。
たまに自分でも気付く。誰も近くにいない、彼らは孤独の中でどうやって生きているのだろうと。
依存や執着は良い結果にならない、ましてやそれが神頼みのようになってしまうと、泥沼だ。中毒のような物に変わってしまう。
そう、わかっているのに、改めてまた知ったような心境。
何かで見たことがある、いや、誠一が言ったのかもしれない。実在しない点に向かうベクトル、これは数学だ。
理数系の彼は言った「どうにも気持ちの悪い話だよな」と。
「酔いそうになる……もう少しなんかあれば良いんだけどな、せめてメチル基のふにゃふにゃくらいに…」
と。ぶっちゃけ何を言っているのかわからなかった。大抵頭の良い人の話には着いていけない。
そうだ、先に入れないと。
牛肉を炒め終えた鍋に、ジャガイモと水を入れて火を掛ける。
例えば、フロイトもそうだ。あんなもの、無理矢理答えをつけたがっているようにしか思えない。
世界は丸いと思っている。だからこそ自由な気がするんだけど、ゴールが欲しいのが人間だ。
…料理をすると無になるというのはどうやら本当らしい。ニンジンの皮を剥き忘れたことに気が付いた。どうしよう、気付かなかったことにしちゃおうかな。
そうしよう、一本分のたくさんの細切れたちはもう無理だ。自分にはやはり、料理は向いていないらしい。多分誠一もあまり気にしないと思う。
というか、わからないよな、実は気にしていなかっただけでニンジンってもしかすると皮、向いてないのかもしれないよな。自分だったら気付かないと思うし。
メイン、多分ジャガイモだし。てゆうか本当にニンジン入ってたっけ。入ってないかもしれない。
見なかったことにした。
白滝って何?いつとかあるのか?わからないけど入れてしまえと、水はちゃんと切った。
ふう、結構難しいなと一息吐くと、玄関から音がして「ただいま」と、誠一の声がした。
…バレないバレない。大丈夫だ。
しかし入ってきた誠一はなんだか…魂が抜けたような…脱力感が漂っていた。
「…おかえり?」
変に疑問系になったがふっと、こちらを見た誠一が「慧…?」と、やっぱりどうやら魂が抜けているようだ。
「…どう」
したの、まで言わせぬまま、ささっと早足で歩いてきた誠一は突然抱きついてきて「慧…!」と、盲目的なキスまでしてきた。
あ、危ない!とシンクに手をついたが左手だ、今日はおっかなびっくり料理までしたし!と焦る心境を知らない誠一はその左手に手をふんわりと重ね、「なぁに?料理したの?」と、めちゃくちゃ甘えたように言ってきた。
「え、うん、」
鍋をよく見ないで!と思ったけれど、まるで溺れるようにキスをするのだから、関係ないらしい。
けど、「ちょっと待って!」と、一回制して火は止めた。
「…どうしたん…ですかセイさん…」
「んー……」
すっぽり、腕に収めるように優しく抱き締め直した彼は「セックスしたい」と囁く。
「…え、」
「もう出来ちゃうの?その…」
漸く鍋を確認したらしい。
一瞬固まったようだが「まだ出来ないよね?」とベタベタに甘いまま。
「に、煮込むよ?だって」
「ここでも良いし、弱火とか…」
え、なんか珍しい。
すっごく頭悪そうなんだけど。
「い…いやぁ、ちょっと待ちません?」
まぁ…たまたま暇になったから別に問題なく出来るけど…。
「んー…」と頭の匂いを嗅いだりなんだりしながら少しずつ深く、絡むように唇や舌を這わせてくるのにどーしたんだ、と事態が把握出来ない。
「セイさんっ…、」
流石に両手で体を支えた。
首元を舌でなぜながら「例えばこうして…キスをしてさ、」と耳元まで舐めてくる。
「驚いたままの慧の服に手を入れて…っ、胸を触ったり、腹を撫でたり…っ、肋骨に舌を這わせたり、腰骨を噛んだり、そして下をじっくり触りながら後ろ解してさ…っ」
かっと熱くなってきた。
物凄い言葉攻め、何これ初めてなんだけど…と前後不覚後になりそうになれば、まるで抱き止めて胸を触ってくる。
「深く深く、…奥まで突っ込んで、ぐちゃぐちゃに掻き混ぜてやりたい、」
それなりに手が熱く、「ちょっと、」と言うけれど、既に臨戦態勢なそこをグリグリと押し付けてくるのが…ヤバイ。
「立ちバックってしたことないでしょ…?」
「…あるけどないけど大体、ない、」
「あるの?誰と?どうだった?」
「うぅぅ…待って欲しい、心の準備はなかった、」
いつもどちらかと言えば自分本意な人ではあるけれども!どうしたんだ一体。
シャツを捲って入り込んできた誠一にビクッ!と硬直した。
肋骨を撫でる誠一に、手の力が抜けて行く。
「…セイさん肉じゃが作りたいよ…っ!」
「んー」
「わぁ響くっ!ホントにちょっとだけ待ってくれない!?せめてあっち行こ、わかったから、危ない、」
しかし暫く撫で尽くされるのに、鳥肌で力が抜けていく、どうしよう、うんでも別に良いんだけどでも…と難しくなる。
…ぼんやりする。
帰りに波瀬の店に行く予定だったが、スタジオが終わってケータイを開くと「集中したいから無し」とメールが来ていた。
…あれから不思議と、妙な四角形の中にいる。
だが、いつも事件の詳細を知ってきたことがない、誠一も江崎も職業柄話さないのだ。
…何もないことに甘んじて関係もなさそうな面で今ここにいるのが不思議だ。でも、そんなことを考えるのが何より非常に不思議だ。
ジャガイモを切りながら考える。
とても悲しそうな表情だったな。まるで、自分を責めるような、遠くの物事を見るような。
たまに自分でも気付く。誰も近くにいない、彼らは孤独の中でどうやって生きているのだろうと。
依存や執着は良い結果にならない、ましてやそれが神頼みのようになってしまうと、泥沼だ。中毒のような物に変わってしまう。
そう、わかっているのに、改めてまた知ったような心境。
何かで見たことがある、いや、誠一が言ったのかもしれない。実在しない点に向かうベクトル、これは数学だ。
理数系の彼は言った「どうにも気持ちの悪い話だよな」と。
「酔いそうになる……もう少しなんかあれば良いんだけどな、せめてメチル基のふにゃふにゃくらいに…」
と。ぶっちゃけ何を言っているのかわからなかった。大抵頭の良い人の話には着いていけない。
そうだ、先に入れないと。
牛肉を炒め終えた鍋に、ジャガイモと水を入れて火を掛ける。
例えば、フロイトもそうだ。あんなもの、無理矢理答えをつけたがっているようにしか思えない。
世界は丸いと思っている。だからこそ自由な気がするんだけど、ゴールが欲しいのが人間だ。
…料理をすると無になるというのはどうやら本当らしい。ニンジンの皮を剥き忘れたことに気が付いた。どうしよう、気付かなかったことにしちゃおうかな。
そうしよう、一本分のたくさんの細切れたちはもう無理だ。自分にはやはり、料理は向いていないらしい。多分誠一もあまり気にしないと思う。
というか、わからないよな、実は気にしていなかっただけでニンジンってもしかすると皮、向いてないのかもしれないよな。自分だったら気付かないと思うし。
メイン、多分ジャガイモだし。てゆうか本当にニンジン入ってたっけ。入ってないかもしれない。
見なかったことにした。
白滝って何?いつとかあるのか?わからないけど入れてしまえと、水はちゃんと切った。
ふう、結構難しいなと一息吐くと、玄関から音がして「ただいま」と、誠一の声がした。
…バレないバレない。大丈夫だ。
しかし入ってきた誠一はなんだか…魂が抜けたような…脱力感が漂っていた。
「…おかえり?」
変に疑問系になったがふっと、こちらを見た誠一が「慧…?」と、やっぱりどうやら魂が抜けているようだ。
「…どう」
したの、まで言わせぬまま、ささっと早足で歩いてきた誠一は突然抱きついてきて「慧…!」と、盲目的なキスまでしてきた。
あ、危ない!とシンクに手をついたが左手だ、今日はおっかなびっくり料理までしたし!と焦る心境を知らない誠一はその左手に手をふんわりと重ね、「なぁに?料理したの?」と、めちゃくちゃ甘えたように言ってきた。
「え、うん、」
鍋をよく見ないで!と思ったけれど、まるで溺れるようにキスをするのだから、関係ないらしい。
けど、「ちょっと待って!」と、一回制して火は止めた。
「…どうしたん…ですかセイさん…」
「んー……」
すっぽり、腕に収めるように優しく抱き締め直した彼は「セックスしたい」と囁く。
「…え、」
「もう出来ちゃうの?その…」
漸く鍋を確認したらしい。
一瞬固まったようだが「まだ出来ないよね?」とベタベタに甘いまま。
「に、煮込むよ?だって」
「ここでも良いし、弱火とか…」
え、なんか珍しい。
すっごく頭悪そうなんだけど。
「い…いやぁ、ちょっと待ちません?」
まぁ…たまたま暇になったから別に問題なく出来るけど…。
「んー…」と頭の匂いを嗅いだりなんだりしながら少しずつ深く、絡むように唇や舌を這わせてくるのにどーしたんだ、と事態が把握出来ない。
「セイさんっ…、」
流石に両手で体を支えた。
首元を舌でなぜながら「例えばこうして…キスをしてさ、」と耳元まで舐めてくる。
「驚いたままの慧の服に手を入れて…っ、胸を触ったり、腹を撫でたり…っ、肋骨に舌を這わせたり、腰骨を噛んだり、そして下をじっくり触りながら後ろ解してさ…っ」
かっと熱くなってきた。
物凄い言葉攻め、何これ初めてなんだけど…と前後不覚後になりそうになれば、まるで抱き止めて胸を触ってくる。
「深く深く、…奥まで突っ込んで、ぐちゃぐちゃに掻き混ぜてやりたい、」
それなりに手が熱く、「ちょっと、」と言うけれど、既に臨戦態勢なそこをグリグリと押し付けてくるのが…ヤバイ。
「立ちバックってしたことないでしょ…?」
「…あるけどないけど大体、ない、」
「あるの?誰と?どうだった?」
「うぅぅ…待って欲しい、心の準備はなかった、」
いつもどちらかと言えば自分本意な人ではあるけれども!どうしたんだ一体。
シャツを捲って入り込んできた誠一にビクッ!と硬直した。
肋骨を撫でる誠一に、手の力が抜けて行く。
「…セイさん肉じゃが作りたいよ…っ!」
「んー」
「わぁ響くっ!ホントにちょっとだけ待ってくれない!?せめてあっち行こ、わかったから、危ない、」
しかし暫く撫で尽くされるのに、鳥肌で力が抜けていく、どうしよう、うんでも別に良いんだけどでも…と難しくなる。
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