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降りそそぐ灰色に
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「俺も出なくなったことある。俺若干かすれてっけど」
その前に舌足らずだと思うんだけど…ただこいつ、ギタボなんだよな…。
「頭打った?」
「え、いや…」
こいつもこいつでなんか、初めて目が合った。
歳…きっと大差ないとして。歳の割に幼い顔だからだろうか。なんだかビー玉みたいな…学みたいな、綺麗な目をしていると思った。
「じゃ、せーしんてきなやつなら、多分いつか出る。事故とか事件って、少しずす忘られ、られるから」
噛んだ。
なんだろ。なんか病気でもあんのかな。この業界珍しくないけれども。
でんにじギタボは学のすぐ側に寄り「すごいっしょ」と声を掛けた。
「音楽好きなん?マナブくん」
学はぼんやりとそいつの目を見ていた。
「楽しいこと、少しはあっから、ダイジョブだよ」
…面倒見は良いヤツなのかもしれない。
それから流れるように、自然とそれぞれ音楽をやり始める。
ギター軍は、トレードして遊んでいたり、かと思いきやそれぞれ持ちバンドで合わせ始めたり。
自分はそれとは、遠い存在だと思った。
正直ずっと、飲まれてしまっているような気がしている。
それぞれが楽しそうだけど、あたしの頭の中は解放弦のように、昼のこととか、トシロウとみよ子のこととか…何より先日の、骨のこととか。
その現象が垂れ流され廻り、こんなんじゃ良い音なんて出ないだろうと、一人何も出来ないままだった。
「あのさ」
窓際に凭れてタバコを吸っていたあたしに、SMベースが寄ってくる。
「あたしもいい?」と言うので、ただ頷いた。
「…大切な人って言ってたけどさ」
「…うん」
殺し屋みたいなでんにじベースは一人になってしまったので、ギター軍に取っ替え引っ替え無茶振りされているし、ドラム軍は、本当にカホン講座が始まったようだし。
学はあっちこっち、特にでんにじギタボに連れ回されていた。
……楽しそう。
「あの子、父親はどしたの」
……あれ。
あたしの疑問にSMベースは、「ああ、あたしそっちの人なの」と言った。
…なるほど。
多種多様だな、ホントに。
「……ヤり逃げっつーか、まぁ」
「なるほどね。
まぁ、ネグもあたし経験あんだけどさ。余計なこと言うと、あんま、微妙な親戚なら止めといた方が良いと、あたしも思うけど」
「…あんたも大変っすね」
「まーねぇ。
でも、どうなの?未練であの子見てるなら」
「…わかんない。なんか、連れて来ちまってて。
言いたいことはわかりますよ。エゴでしょって。実際この先とか、多分無理だし」
案外、世界は広いらしい。
けど、だからこそ狭く感じてしまう。きっと、この手のせいだ。
「…ふーん」
「…どうしたらいいんすかねってのを、多分シンジが察したんでしょーね。実際ここ、来れて良かったっすよ」
「…そうそう、あたし男と暮らしてんだけど」
「えっ」
急な話題転換だが…え、そっちの人って、え、なんなの?
「相手と何もないよ。何年か暮らしてっけど。相手も最初はセクシャリティみたいなのを勘違いしててさ。まぁ、今はノーマルだとして。
でも、なんともない。要するに崇拝と恋愛とは、て感じだったんだけどさ」
「……ホントに大丈夫なの?それ」
「うん。多分相手によるんかもよ。だって、夫婦だってセックスレスとかあんだし。つまり、今は家族的なやつなわけよ」
「……羨ましい話っすね。ビアンっつーか同性愛者って諦めるもん、そういうの、一回は」
「そうだね。…あの男は」
SMベースがシンジを眺めたので「ええ。どのみち無理っすよ」と答える。
「そんな最低にはなれない、て方?」
「…わかんないけど、」
「まぁ、だから子供連れて来ちゃったのか。あたしと付き合わない?子供捨てる親より良いと思うけど?」
ふふっと笑ってしまった。
「大体、なんとか性だからなんつーは、劣等系の歪んだ自己肯定派だと思うし、あたしは。
失恋と諦めの違いとは、ってことでどう?」
「確かにね。
でも、そんなつもりないでしょ。あんたみたいなリア充」
「別に?恋人ならオッケーだもんね。だから男と住めんの」
「…なるほどね」
SMベースと、連絡先くらいは交換した。
多分、高校の頃の同級生達よりかは意味のある行為になった。
学も少しずつ、表情が解れてきたような気がする。
最後、結局皆と連絡先を交換した。
すぐその場でメールが来たのはでんにじギタボ:天崎真樹で、一言「最初はおかゆとかがいいと思う」だった。
やっぱり、面倒見が良いヤツらしい。
時間差がありその他でんにじメンバー、それぞれベース:栗村文杜(読み方不明)からも「お粥からだよ」、ドラムス:国木田ナトリからも「粥がいいかも」、ギター:奥田弦次からも「多分おじや的なもんがいいらしいっすよ」と来る。
また笑いそうになってしまった。
グラシアはグラシアで「何あったら来い!」だとか「相談でもいいよ」だとか、「頑張れよ」だとか「構えんなよ」だとか。
19時くらい。いい時間になって「飯でも行くか」とシンジに誘われたが、断った。
「お粥とかおじやがいいらしいから」
「…ん?」
「学。
ありがと。来れて良かった」
「…あ、あぁ」
「まだ今後とかわかんないけど、まぁまた次。あんたも考えな。じゃ」
その前に舌足らずだと思うんだけど…ただこいつ、ギタボなんだよな…。
「頭打った?」
「え、いや…」
こいつもこいつでなんか、初めて目が合った。
歳…きっと大差ないとして。歳の割に幼い顔だからだろうか。なんだかビー玉みたいな…学みたいな、綺麗な目をしていると思った。
「じゃ、せーしんてきなやつなら、多分いつか出る。事故とか事件って、少しずす忘られ、られるから」
噛んだ。
なんだろ。なんか病気でもあんのかな。この業界珍しくないけれども。
でんにじギタボは学のすぐ側に寄り「すごいっしょ」と声を掛けた。
「音楽好きなん?マナブくん」
学はぼんやりとそいつの目を見ていた。
「楽しいこと、少しはあっから、ダイジョブだよ」
…面倒見は良いヤツなのかもしれない。
それから流れるように、自然とそれぞれ音楽をやり始める。
ギター軍は、トレードして遊んでいたり、かと思いきやそれぞれ持ちバンドで合わせ始めたり。
自分はそれとは、遠い存在だと思った。
正直ずっと、飲まれてしまっているような気がしている。
それぞれが楽しそうだけど、あたしの頭の中は解放弦のように、昼のこととか、トシロウとみよ子のこととか…何より先日の、骨のこととか。
その現象が垂れ流され廻り、こんなんじゃ良い音なんて出ないだろうと、一人何も出来ないままだった。
「あのさ」
窓際に凭れてタバコを吸っていたあたしに、SMベースが寄ってくる。
「あたしもいい?」と言うので、ただ頷いた。
「…大切な人って言ってたけどさ」
「…うん」
殺し屋みたいなでんにじベースは一人になってしまったので、ギター軍に取っ替え引っ替え無茶振りされているし、ドラム軍は、本当にカホン講座が始まったようだし。
学はあっちこっち、特にでんにじギタボに連れ回されていた。
……楽しそう。
「あの子、父親はどしたの」
……あれ。
あたしの疑問にSMベースは、「ああ、あたしそっちの人なの」と言った。
…なるほど。
多種多様だな、ホントに。
「……ヤり逃げっつーか、まぁ」
「なるほどね。
まぁ、ネグもあたし経験あんだけどさ。余計なこと言うと、あんま、微妙な親戚なら止めといた方が良いと、あたしも思うけど」
「…あんたも大変っすね」
「まーねぇ。
でも、どうなの?未練であの子見てるなら」
「…わかんない。なんか、連れて来ちまってて。
言いたいことはわかりますよ。エゴでしょって。実際この先とか、多分無理だし」
案外、世界は広いらしい。
けど、だからこそ狭く感じてしまう。きっと、この手のせいだ。
「…ふーん」
「…どうしたらいいんすかねってのを、多分シンジが察したんでしょーね。実際ここ、来れて良かったっすよ」
「…そうそう、あたし男と暮らしてんだけど」
「えっ」
急な話題転換だが…え、そっちの人って、え、なんなの?
「相手と何もないよ。何年か暮らしてっけど。相手も最初はセクシャリティみたいなのを勘違いしててさ。まぁ、今はノーマルだとして。
でも、なんともない。要するに崇拝と恋愛とは、て感じだったんだけどさ」
「……ホントに大丈夫なの?それ」
「うん。多分相手によるんかもよ。だって、夫婦だってセックスレスとかあんだし。つまり、今は家族的なやつなわけよ」
「……羨ましい話っすね。ビアンっつーか同性愛者って諦めるもん、そういうの、一回は」
「そうだね。…あの男は」
SMベースがシンジを眺めたので「ええ。どのみち無理っすよ」と答える。
「そんな最低にはなれない、て方?」
「…わかんないけど、」
「まぁ、だから子供連れて来ちゃったのか。あたしと付き合わない?子供捨てる親より良いと思うけど?」
ふふっと笑ってしまった。
「大体、なんとか性だからなんつーは、劣等系の歪んだ自己肯定派だと思うし、あたしは。
失恋と諦めの違いとは、ってことでどう?」
「確かにね。
でも、そんなつもりないでしょ。あんたみたいなリア充」
「別に?恋人ならオッケーだもんね。だから男と住めんの」
「…なるほどね」
SMベースと、連絡先くらいは交換した。
多分、高校の頃の同級生達よりかは意味のある行為になった。
学も少しずつ、表情が解れてきたような気がする。
最後、結局皆と連絡先を交換した。
すぐその場でメールが来たのはでんにじギタボ:天崎真樹で、一言「最初はおかゆとかがいいと思う」だった。
やっぱり、面倒見が良いヤツらしい。
時間差がありその他でんにじメンバー、それぞれベース:栗村文杜(読み方不明)からも「お粥からだよ」、ドラムス:国木田ナトリからも「粥がいいかも」、ギター:奥田弦次からも「多分おじや的なもんがいいらしいっすよ」と来る。
また笑いそうになってしまった。
グラシアはグラシアで「何あったら来い!」だとか「相談でもいいよ」だとか、「頑張れよ」だとか「構えんなよ」だとか。
19時くらい。いい時間になって「飯でも行くか」とシンジに誘われたが、断った。
「お粥とかおじやがいいらしいから」
「…ん?」
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ありがと。来れて良かった」
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