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第二話
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「俺は今日、全部聞くよ。聞きたいよ」
「何もないよ」
感情の波が押し寄せる。真里がテレビを消した。部屋は静かだ。どこにも切り口がない。
「……この部屋に俺の荷物入るかな」
「え?」
急にそんなことを言い出したので、真里の顔を見た。先程までと打って変わり真里は穏やかな顔で微笑みかけた。
「まず前の女の荷物捨てるか」
「え、は?」
「決めた。ここに住むから」
「は、はいぃ!?」
「家賃水道光熱費は二人で割るか」
「待って、待って、なんでそうなった?」
「なんでって、話の流れで」
「え、え!?流れてない流れてないから!」
意味わかんねぇ何で?全然発想がわかんねぇ。
「うるさいな決めたの!」
「いや、俺納得してないし!」
「だってあんた支離滅裂じゃん。一人でどうやって小夜と暮らしていく気だったんだよ」
「…それは」
「ほら。
小夜だって寂しいだろ。大体な、やることなすこと中途半端なんだよ。それじゃぁ付き合わされる方はたまったもんじゃねぇや。今頃小夜も、「マジ困るんですけど」って思ってるかもよ?」
「うっ…」
確かに将来への見通しも何もなくやってきたけどさ。
「あんたが大切な小夜とやらのあの顔、見ただろ?」
泣きそうだった。泣いた顔じゃなく、泣きそうだったんだ。
「俺だってなんかできる訳じゃねぇけどさ、手伝いくらいは出来んじゃね?
いいよ、小夜の親見つかったらちょっと考えるし、例えばあんたに彼女出来たりしたら出てくよ。邪魔だってわかったら去る。これでどう?」
「え…?」
「あくまであんたは小夜と、そしてあんた自身を優先してくれ。俺はそれを手助けする。ただそれには、近くにいるのが一番いいと考えたんだ」
「確かにそれはまぁ金銭的にも助かるけどさ…」
「でしょ?じゃ、決まりね」
あれ、なんか口を挟む隙もなく決まろうとしてるけど…。
「待った!」
「なんだよ」
ここは男だ、言わねば。
「それじゃぁ…真里はどうすんだよ。いきなり環境変わっちまうし、…ほら、大学だってあるじゃねぇか。親御さんだっていきなり過ぎて絶対反対するだろ?大体なんでお前がそこまでするんだよ。
お前にはまだまだ未来があるじゃねぇか。いいか、いくら人と暮らしてるとはいえ一人暮らしなんて金かかるんだぞ?大学の資金どうすんだよ」
「未来がある?なら社会勉強させてくださいよ。これでどうだ!」
「いや…いやいやいや。世の中甘くないんだよ!」
「だめ、それじゃぁ俺は説得出来ないね」
「うっ…。お前俺には自分のこと考えろって言うけどお前は自分のこと考えてんのかよ、支離滅裂だ!」
「その台詞、そっくりそのままお返ししまーす」
「うっ…くそぅ!」
そうだ、こいつ、口喧嘩ハンパなく強いんだ。
「光也さん、」
「なんだよ…俺が巻き込んだのか?俺が悪いのか?」
「…違うよ」
そう言う真里の声は妙に優しくて、肩に置かれた手が重く感じた。
「…勘違いしてるようだけど、俺はあんたと違って優しさでやってるんじゃないから。欲望でやってる。あんたを慰めようとしてるんじゃなくてマジで。
信じてくれないだろうから言うよ。あんたが小夜を一番に思う。だけど俺はね、そんな赤の他人どうでもいい。あんたに何かあるようなら一度言ったけど小夜をどっかに棄てるから。
俺はあんたを優先する。あんたは小夜を優先する。それでいいじゃねぇか。俺はそれを望んでる。利害の一致。小夜を棄てられたくなかったらまずてめぇはてめぇ大事にすりゃぁいい。そっからだっていくらでも糸口はあるはずだ」
「真里、」
「何?」
「何で?何でそんなに俺に優しくするんだ。そんなの困る、困るし…」
怖い。
どうしてそんなに近寄ろうとする。俺はそんなに強く出来てないし、真里に優しくしてきてない。
俺が言葉に詰まると真里は、何かを読み取ろうとしているのか、じっと俺の顔を見てくる。それに耐えられなくなって目を反らす。すると、真里が隣で笑ったのが分かった。
「泣き黒子のあたりがピクピクしてる。これ嘘じゃなくて隠し事の時なんだね」
「…うるさい」
うるさい。
顔を膝に埋めた。嫌だ。こいつと一緒にいるのがホントに嫌だ。帰ってくれないかな。だけど終電がないのは俺のせいだからそんなことは言えない。
「光也さんさ、そんなに考え込まなくてもいいよ。俺言ってんじゃん。やりたいことやってんの。別にあんたが申し訳なく思わなくていいよ。
じゃぁ申し訳なく思うなら、欲を言うとちょっとくらいこっち向いて心開いてよって感じだけど、そこはまぁ信頼関係だからよしとしよう」
だから、なんでそんなにいいヤツなのかって答えに繋がらない。
「バッカじゃねぇの。たかだかバイト先の先輩相手に、しかもこんな、こんなクズ相手にお前」
だからもう、こうやって酷いこと言ってやるしかないんだ。
「はいはい。わかったわかった 」
「なんだよ流してんじゃねぇよ!」
いっぺん顔を見て言ってやろうかと思って顔をあげると真里はやっぱり優しい笑顔で、だけど真剣な眼差しでこう言った。
「やっと顔あげた」
なんかそう言われたら返す言葉はなくて、
「好きだからだよ」
そのあと続いた言葉が一瞬理解できなくて、固まってしまった。
「…ん?」
「もう言わない」
ん?は?
「は、え、えぇ!?」
今の雰囲気といい言い方といいもしかしてそれってもしかすると…。
「え、なっ、そ、」
「はい、そーゆー系です」
「え、えぇぇえ!ちょっ、待てや待てや!はいぃ!?」
「先に心を開いたのは俺でしたね。
俺、女嫌いなんだよね」
いやあっさりさっぱり言われても。
「困惑しかねぇよ!」
「あははっ、なにそのツッコミ面白い」
「いや、じゃなくてさぁ、」
「何もないよ」
感情の波が押し寄せる。真里がテレビを消した。部屋は静かだ。どこにも切り口がない。
「……この部屋に俺の荷物入るかな」
「え?」
急にそんなことを言い出したので、真里の顔を見た。先程までと打って変わり真里は穏やかな顔で微笑みかけた。
「まず前の女の荷物捨てるか」
「え、は?」
「決めた。ここに住むから」
「は、はいぃ!?」
「家賃水道光熱費は二人で割るか」
「待って、待って、なんでそうなった?」
「なんでって、話の流れで」
「え、え!?流れてない流れてないから!」
意味わかんねぇ何で?全然発想がわかんねぇ。
「うるさいな決めたの!」
「いや、俺納得してないし!」
「だってあんた支離滅裂じゃん。一人でどうやって小夜と暮らしていく気だったんだよ」
「…それは」
「ほら。
小夜だって寂しいだろ。大体な、やることなすこと中途半端なんだよ。それじゃぁ付き合わされる方はたまったもんじゃねぇや。今頃小夜も、「マジ困るんですけど」って思ってるかもよ?」
「うっ…」
確かに将来への見通しも何もなくやってきたけどさ。
「あんたが大切な小夜とやらのあの顔、見ただろ?」
泣きそうだった。泣いた顔じゃなく、泣きそうだったんだ。
「俺だってなんかできる訳じゃねぇけどさ、手伝いくらいは出来んじゃね?
いいよ、小夜の親見つかったらちょっと考えるし、例えばあんたに彼女出来たりしたら出てくよ。邪魔だってわかったら去る。これでどう?」
「え…?」
「あくまであんたは小夜と、そしてあんた自身を優先してくれ。俺はそれを手助けする。ただそれには、近くにいるのが一番いいと考えたんだ」
「確かにそれはまぁ金銭的にも助かるけどさ…」
「でしょ?じゃ、決まりね」
あれ、なんか口を挟む隙もなく決まろうとしてるけど…。
「待った!」
「なんだよ」
ここは男だ、言わねば。
「それじゃぁ…真里はどうすんだよ。いきなり環境変わっちまうし、…ほら、大学だってあるじゃねぇか。親御さんだっていきなり過ぎて絶対反対するだろ?大体なんでお前がそこまでするんだよ。
お前にはまだまだ未来があるじゃねぇか。いいか、いくら人と暮らしてるとはいえ一人暮らしなんて金かかるんだぞ?大学の資金どうすんだよ」
「未来がある?なら社会勉強させてくださいよ。これでどうだ!」
「いや…いやいやいや。世の中甘くないんだよ!」
「だめ、それじゃぁ俺は説得出来ないね」
「うっ…。お前俺には自分のこと考えろって言うけどお前は自分のこと考えてんのかよ、支離滅裂だ!」
「その台詞、そっくりそのままお返ししまーす」
「うっ…くそぅ!」
そうだ、こいつ、口喧嘩ハンパなく強いんだ。
「光也さん、」
「なんだよ…俺が巻き込んだのか?俺が悪いのか?」
「…違うよ」
そう言う真里の声は妙に優しくて、肩に置かれた手が重く感じた。
「…勘違いしてるようだけど、俺はあんたと違って優しさでやってるんじゃないから。欲望でやってる。あんたを慰めようとしてるんじゃなくてマジで。
信じてくれないだろうから言うよ。あんたが小夜を一番に思う。だけど俺はね、そんな赤の他人どうでもいい。あんたに何かあるようなら一度言ったけど小夜をどっかに棄てるから。
俺はあんたを優先する。あんたは小夜を優先する。それでいいじゃねぇか。俺はそれを望んでる。利害の一致。小夜を棄てられたくなかったらまずてめぇはてめぇ大事にすりゃぁいい。そっからだっていくらでも糸口はあるはずだ」
「真里、」
「何?」
「何で?何でそんなに俺に優しくするんだ。そんなの困る、困るし…」
怖い。
どうしてそんなに近寄ろうとする。俺はそんなに強く出来てないし、真里に優しくしてきてない。
俺が言葉に詰まると真里は、何かを読み取ろうとしているのか、じっと俺の顔を見てくる。それに耐えられなくなって目を反らす。すると、真里が隣で笑ったのが分かった。
「泣き黒子のあたりがピクピクしてる。これ嘘じゃなくて隠し事の時なんだね」
「…うるさい」
うるさい。
顔を膝に埋めた。嫌だ。こいつと一緒にいるのがホントに嫌だ。帰ってくれないかな。だけど終電がないのは俺のせいだからそんなことは言えない。
「光也さんさ、そんなに考え込まなくてもいいよ。俺言ってんじゃん。やりたいことやってんの。別にあんたが申し訳なく思わなくていいよ。
じゃぁ申し訳なく思うなら、欲を言うとちょっとくらいこっち向いて心開いてよって感じだけど、そこはまぁ信頼関係だからよしとしよう」
だから、なんでそんなにいいヤツなのかって答えに繋がらない。
「バッカじゃねぇの。たかだかバイト先の先輩相手に、しかもこんな、こんなクズ相手にお前」
だからもう、こうやって酷いこと言ってやるしかないんだ。
「はいはい。わかったわかった 」
「なんだよ流してんじゃねぇよ!」
いっぺん顔を見て言ってやろうかと思って顔をあげると真里はやっぱり優しい笑顔で、だけど真剣な眼差しでこう言った。
「やっと顔あげた」
なんかそう言われたら返す言葉はなくて、
「好きだからだよ」
そのあと続いた言葉が一瞬理解できなくて、固まってしまった。
「…ん?」
「もう言わない」
ん?は?
「は、え、えぇ!?」
今の雰囲気といい言い方といいもしかしてそれってもしかすると…。
「え、なっ、そ、」
「はい、そーゆー系です」
「え、えぇぇえ!ちょっ、待てや待てや!はいぃ!?」
「先に心を開いたのは俺でしたね。
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