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Hydrangea
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「まったくさ。そんな飲み方しなくてもいいじゃんな?充分美味いのに」
「みっちゃん?」
「そう」
「ねぇねぇマリちゃん」
「ん?」
「マリちゃんはさ、みっちゃんのこと好きなの?」
「え?どうしたいきなり」
「お風呂入って考えてたんだー」
「まぁ好きじゃなかったらこんな長年一緒にいないでしょ。あの人だよ?普通だって扱いムズいじゃん?
あ、いや、普通の方が逆に扱いやすいのかな。表面だけ見たらただの優男だもんな」
あぁ、やっぱりそうだ。
「やっぱり。
なんて言うかさ…。マリちゃんにとったら私がみっちゃんやマリちゃんのこと好き!とか友達好き!とかそーゆーんじゃないんだろうなって。
ライクじゃなくてラブ?」
そう言うとマリちゃんは私の顔を横目で見て、ふと笑った。
「怖ぇな小夜。
当たりだよ。ご名答。小夜、なんで俺が結婚しないかって言ってたよな?」
「うん」
「つまりそーゆーこと。
彼女がいたって言ったじゃん?その子もね、すっげぇいい子だった。もしかしたらあのまま付き合っててもよかったかもしれないくらい、いい女だったんだ。
だけどやっぱり…俺が頑固すぎたな。俺さ、昔からそうと決めると絶対だからさ。だめだったんだ。忘れられなくて。
そのうちその子に申し訳なくなっちまってさ。辛くなって話したんだ。そしたらそれでもいいって言ってくれたんだけど…それが余計に苦しくなっちゃって。
だってどう頑張っても俺にはその子は一番にならないんだもん。その子は俺に絶対一番になって欲しいってどっかで思うはずなのに。
こう俺が思ってることを知ってもその子は絶対悲しいだろうし。だから…誰も得しないからやめたんだ。俺は無理しない。あの人みたいに無理はしない。
ここにきてようやくあの人の気持ちが少しわかった。なんで無理すんのかとか、ちょっとだけね。
でも俺はやめる方にした。その方がお互い幸せだから。自分を犠牲にするのもやめた。それを見て苦しむ人がいるから」
「マリちゃん…」
「ホントは言ってやりてぇよ?俺があんた見てどれだけ傷付いたと思ってんだよって。
ちなみにあの人には、俺の思いは伝えた。それをわかった上で俺たちは友人以上の存在ってのかな、親友?みたいなもんか?仲間?なんだろね。そんな関係でやって来てるんだよ」
「いつから…?」
「ずっとだよ。小夜と住み始めたのも俺のそんな思いから始まった。自己満足だよ」
「マリちゃんはそれ以上を望まないの?」
「そうだなぁ。
幸せになってくれよって思うな。
あの人さ、バカみたいに自分のこと嫌いなんだよな。なんでかな。自分が幸せになる道を選んでくれないんだよ。いつも分岐点に立つとさ、自虐的になるんだよな。見てて痛々しいほどに。なんて言うかさ、自分が不幸になれば人が幸せになるって本気で思っちゃってんの。
例えばさ、小夜が死ぬか自分が死ぬか選びなさいって言われたらさ、迷わず自分が死にます、ズタズタにしてくださいって言っちゃうような人なんだよ。自分嫌いだとさ、あんなに捨て身になってまで人のとこ行っちゃうんだなって、あんなやつ今まで会ったことなかったよ。
危なっかしいんだ。捨てなくてもいいとこでも捨てちゃうんだよ自分を。だから側にいるの。ホントは結婚でもしてさ、安定してくれたらこっちも安心できるんだけどね」
「ごめんね、マリちゃん」
思わずマリちゃんを横から抱きしめてしまった。
「なんだよぅ」
「マリちゃん、強いなぁ…」
友達とそれ以上の垣根を越えられない。むしろ越えない。でも、ホントは絶対マリちゃんだってマリちゃんの彼女さんみたいに、みっちゃんの一番でありたいくせに。
「勘違いしてるけど、俺は小夜が思うほど純粋じゃないぜ?
ただただしがみついてるだけだ。一見聞くと綺麗事。だけど実際はもっと汚いよ」
「いいんじゃない?それもわかってて一緒にいるのを選んだマリちゃんは強いよ。私はそれ、出来ないよ。私だったらいい子ぶって去っちゃう。
それにこんな思いしてるならちょっとくらい汚くたっていいでしょ。てか汚くないし」
「なんか小夜大人だな。
お前おもしろい女だな。お前ともうちょっと早く会ってたら嫁さんにしてたわ」
そう笑うマリちゃんの陰が本当に濃くて泣きそうになったけど。それは多分誰もが望んでないから我慢した。
どうして人はこんなにも行き違うんだろう。
お互いがお互いを思っててわかってるのに核心に触れられないのは、関係が邪魔をしてしまうんだろうか。
いずれにしても二人とも複雑だ。自分にも他人にも正直な癖に噛み合わない。あと一歩で手が届くはずなのに。
だけどそれはきっと、あと一歩で全てが壊れるという危ういラインでもあるんだ。だから結局は、今のままが一番ベストなのかもしれないな。
人の感情って本当に難しい。でも。
「マリちゃんありがとう。勇気はもらえた」
これから先私はもっともっとこんなのを目にするだろうから。
「おぅ、ならよかった」
マリちゃんから手を離した。マリちゃんはタバコに火をつけてお酒を飲んだ。
見えなかったものが見えたのは、良くもあり悪くもあった。
「みっちゃん?」
「そう」
「ねぇねぇマリちゃん」
「ん?」
「マリちゃんはさ、みっちゃんのこと好きなの?」
「え?どうしたいきなり」
「お風呂入って考えてたんだー」
「まぁ好きじゃなかったらこんな長年一緒にいないでしょ。あの人だよ?普通だって扱いムズいじゃん?
あ、いや、普通の方が逆に扱いやすいのかな。表面だけ見たらただの優男だもんな」
あぁ、やっぱりそうだ。
「やっぱり。
なんて言うかさ…。マリちゃんにとったら私がみっちゃんやマリちゃんのこと好き!とか友達好き!とかそーゆーんじゃないんだろうなって。
ライクじゃなくてラブ?」
そう言うとマリちゃんは私の顔を横目で見て、ふと笑った。
「怖ぇな小夜。
当たりだよ。ご名答。小夜、なんで俺が結婚しないかって言ってたよな?」
「うん」
「つまりそーゆーこと。
彼女がいたって言ったじゃん?その子もね、すっげぇいい子だった。もしかしたらあのまま付き合っててもよかったかもしれないくらい、いい女だったんだ。
だけどやっぱり…俺が頑固すぎたな。俺さ、昔からそうと決めると絶対だからさ。だめだったんだ。忘れられなくて。
そのうちその子に申し訳なくなっちまってさ。辛くなって話したんだ。そしたらそれでもいいって言ってくれたんだけど…それが余計に苦しくなっちゃって。
だってどう頑張っても俺にはその子は一番にならないんだもん。その子は俺に絶対一番になって欲しいってどっかで思うはずなのに。
こう俺が思ってることを知ってもその子は絶対悲しいだろうし。だから…誰も得しないからやめたんだ。俺は無理しない。あの人みたいに無理はしない。
ここにきてようやくあの人の気持ちが少しわかった。なんで無理すんのかとか、ちょっとだけね。
でも俺はやめる方にした。その方がお互い幸せだから。自分を犠牲にするのもやめた。それを見て苦しむ人がいるから」
「マリちゃん…」
「ホントは言ってやりてぇよ?俺があんた見てどれだけ傷付いたと思ってんだよって。
ちなみにあの人には、俺の思いは伝えた。それをわかった上で俺たちは友人以上の存在ってのかな、親友?みたいなもんか?仲間?なんだろね。そんな関係でやって来てるんだよ」
「いつから…?」
「ずっとだよ。小夜と住み始めたのも俺のそんな思いから始まった。自己満足だよ」
「マリちゃんはそれ以上を望まないの?」
「そうだなぁ。
幸せになってくれよって思うな。
あの人さ、バカみたいに自分のこと嫌いなんだよな。なんでかな。自分が幸せになる道を選んでくれないんだよ。いつも分岐点に立つとさ、自虐的になるんだよな。見てて痛々しいほどに。なんて言うかさ、自分が不幸になれば人が幸せになるって本気で思っちゃってんの。
例えばさ、小夜が死ぬか自分が死ぬか選びなさいって言われたらさ、迷わず自分が死にます、ズタズタにしてくださいって言っちゃうような人なんだよ。自分嫌いだとさ、あんなに捨て身になってまで人のとこ行っちゃうんだなって、あんなやつ今まで会ったことなかったよ。
危なっかしいんだ。捨てなくてもいいとこでも捨てちゃうんだよ自分を。だから側にいるの。ホントは結婚でもしてさ、安定してくれたらこっちも安心できるんだけどね」
「ごめんね、マリちゃん」
思わずマリちゃんを横から抱きしめてしまった。
「なんだよぅ」
「マリちゃん、強いなぁ…」
友達とそれ以上の垣根を越えられない。むしろ越えない。でも、ホントは絶対マリちゃんだってマリちゃんの彼女さんみたいに、みっちゃんの一番でありたいくせに。
「勘違いしてるけど、俺は小夜が思うほど純粋じゃないぜ?
ただただしがみついてるだけだ。一見聞くと綺麗事。だけど実際はもっと汚いよ」
「いいんじゃない?それもわかってて一緒にいるのを選んだマリちゃんは強いよ。私はそれ、出来ないよ。私だったらいい子ぶって去っちゃう。
それにこんな思いしてるならちょっとくらい汚くたっていいでしょ。てか汚くないし」
「なんか小夜大人だな。
お前おもしろい女だな。お前ともうちょっと早く会ってたら嫁さんにしてたわ」
そう笑うマリちゃんの陰が本当に濃くて泣きそうになったけど。それは多分誰もが望んでないから我慢した。
どうして人はこんなにも行き違うんだろう。
お互いがお互いを思っててわかってるのに核心に触れられないのは、関係が邪魔をしてしまうんだろうか。
いずれにしても二人とも複雑だ。自分にも他人にも正直な癖に噛み合わない。あと一歩で手が届くはずなのに。
だけどそれはきっと、あと一歩で全てが壊れるという危ういラインでもあるんだ。だから結局は、今のままが一番ベストなのかもしれないな。
人の感情って本当に難しい。でも。
「マリちゃんありがとう。勇気はもらえた」
これから先私はもっともっとこんなのを目にするだろうから。
「おぅ、ならよかった」
マリちゃんから手を離した。マリちゃんはタバコに火をつけてお酒を飲んだ。
見えなかったものが見えたのは、良くもあり悪くもあった。
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