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Hydrangea
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寮に帰るため、一度みっちゃんの家に戻った。
ぼんやりとみっちゃんがTシャツの上からシャツを試着していた。
「あ」
「サイズ?」
買うときにSかMかで悩んでいたのでそれかと思ったので聞いてみると、「これ…」と言ったのでマリちゃんと覗いてみる。
「うわ、レディースじゃん」
「え、違いあるの?」
「ボタンの向き」
「へー!」
うわぁ、すごい吟味してたのに。
「…小夜あげる」
「え、着れなくはないんじゃない?」
「いや、男が見たらわかるな。てか俺が言うと説得力あるかな?なんかね、そういうところでのビミョーなレディース感ってぶっちゃけホモっぽい」
「それ俺思った!うわぁ、言われた、確信に変わった!」
「俺だったらそんなのが行った先のバーでバーテンやってたらこいつ…ってなって誘っちゃいますな。いや、あんただからじゃなくね?普通にね」
うわぁ、急激にそーゆーデリケートなネタを突っ込んできた…反応にすごく困る。
「やっぱりそうだよな。うん、小夜あげる」
「あ、あぁ、はぁ」
いきなりそれでぽいっとシャツを渡されたけどただただ硬直するしかなかった。
「後でまた買いに行くかー」
「給料出たらがいいなー」
なのに。
こっちがなんか微妙に気を使っても案外本人たちは気にしていなくて。あまりに自然すぎて逆に色々考えていると、「どうした?」とかみっちゃんに言われてしまって。
「あんま気に入らんかったら捨てちゃっていいんだけど」
「てか思った、小夜にサイズ合うのか」
「あ」
「あ、でもレディースのMだよな」
「でも待って、俺で丁度いいんだよ?小夜さ、服のサイズいくつ?」
「みっちゃん…」
「ん?」
ここは思いきって聞いてみよう。
「みっちゃんとマリちゃん、付き合ってるの?」
そう質問をすると二人揃って「はぇ?」「ほ?」とハモっていた。
だけど二人顔を見合わせて私の顔を見た瞬間、二人揃って爆笑し始めた。
「え?」
こっち結構真剣に考えてるのに。
「ごめんごめん絶対真剣に考えて…ふっ、お、おもしろっ!」
だんだんムカついてきた。
「小夜、あまりにも顔が…百面相ってこーゆーこと言うんだなぁ」
のんびり言うみっちゃんに、でもちょっと納得。
「え?そんなに?」
「うん、すっげーなんか壮絶な顔してた。挙げ句のスゴイぶちかました質問されてちょっと面白い」
「だって…」
「小夜さ、好きな男の子いる?」
突然どうしたんだろ。
「今はいないよ?なんで?」
「なんて言うのかなーうーん」
「小夜はまだまだ経験が浅いな!さては処」
みっちゃんが喋ってる途中のマリちゃんの後頭部を叩いた。「いだっ!」と言って頭を抑える。確かに結構音が鈍い。
「舌噛んだ…」
「こいつとは良い友達だよ」
「そーゆー意味じゃなくね」
再びみっちゃんはマリちゃんを叩いた。
「親友というやつかな?よくわかんねぇな俺ら」
「親友めっちゃぶっ叩いてんな」
「これはツッコミっていうんだよ関西では」
「こっちにもツッコミ制度ありますがこんな思いっきりぶっ叩かれませんぜ先輩」
すごく話が反れそうな予感がする。だけどそれじゃだめだ、なんかモヤモヤする。
「うーん…」
「あんね、好きだから付き合うが全部じゃねぇよ?一緒にいる方法なんていっぱいあるってことだよ」
こんなにすごくあっさり二人ともお互いを受け入れてる。色々私が考えても全然意味がわからなくて。
「それってなんか切なくないの?」
「は?」
ふざけっこしてる二人がどうしても逃げ腰にしか見えなくなってきて思わず言ってしまえば少し不機嫌そうにマリちゃんに返されてしまい。だけどこのままじゃなんか引っ込みがつかない。
「まったく…思春期特有だな。あのね、お前みたいなガキんちょに心配されなくてもうまくやってきてんの、わかる?」
「わかんない、全然わかんない。だから教えて」
「めんどくせぇけどいいでしょう。なんですかガキんちょ」
「なんで二人ともそんなに仲良く平気でいれるの?私は出来なかった。お互いの気持ちをわかってて。なんで?
苦しくならないの?
だってみっちゃんもなんかズルいしマリちゃんだって」
「はいそこまで。
うるせぇよクソガキ」
マリちゃんに睨まれた。多分私は言ってはならないことを言い過ぎたんだ。
「…うん」
「後悔するくらいなら言ってんじゃねぇよ度胸ねぇな」
「真里」
それまで黙ってたみっちゃんがマリちゃんを止める。
「結構言われたこと的を射てるよな。俺は相当ズルいし真里は相当苦しいよ。お前も俺も触れなかったところだ。ガキから見たらやっぱりそう見えるんだよ。
小夜、大人になるとこうやってズルくなってくんだよ。楽な方へばかりいく。そんなもんなんだよ」
そういうみっちゃんが何よりも辛そうで、なのにやっぱりちょっと優しい表情なのを見て、あぁ、ホントに言わなければよかったと気持ちがそわそわした。
「ごめん…帰るね」
「真里、送ってやって」
「えぇ?」
嫌だよな、と思って表情を伺うとマリちゃんは私なんか見てなくて。そんなマリちゃんに優しく、「俺よりお前の方が運転上手いから」と言っていた。それに無言でマリちゃんはじっとみっちゃんのことを見つめていた。
「大丈夫だよ、ここにいるから」
「…うん、送ったら取り敢えず帰ってくるから」
その空気に息が詰まる。マリちゃんが「行くぞ」と冷たく言うまで動けずにいた。
ぼんやりとみっちゃんがTシャツの上からシャツを試着していた。
「あ」
「サイズ?」
買うときにSかMかで悩んでいたのでそれかと思ったので聞いてみると、「これ…」と言ったのでマリちゃんと覗いてみる。
「うわ、レディースじゃん」
「え、違いあるの?」
「ボタンの向き」
「へー!」
うわぁ、すごい吟味してたのに。
「…小夜あげる」
「え、着れなくはないんじゃない?」
「いや、男が見たらわかるな。てか俺が言うと説得力あるかな?なんかね、そういうところでのビミョーなレディース感ってぶっちゃけホモっぽい」
「それ俺思った!うわぁ、言われた、確信に変わった!」
「俺だったらそんなのが行った先のバーでバーテンやってたらこいつ…ってなって誘っちゃいますな。いや、あんただからじゃなくね?普通にね」
うわぁ、急激にそーゆーデリケートなネタを突っ込んできた…反応にすごく困る。
「やっぱりそうだよな。うん、小夜あげる」
「あ、あぁ、はぁ」
いきなりそれでぽいっとシャツを渡されたけどただただ硬直するしかなかった。
「後でまた買いに行くかー」
「給料出たらがいいなー」
なのに。
こっちがなんか微妙に気を使っても案外本人たちは気にしていなくて。あまりに自然すぎて逆に色々考えていると、「どうした?」とかみっちゃんに言われてしまって。
「あんま気に入らんかったら捨てちゃっていいんだけど」
「てか思った、小夜にサイズ合うのか」
「あ」
「あ、でもレディースのMだよな」
「でも待って、俺で丁度いいんだよ?小夜さ、服のサイズいくつ?」
「みっちゃん…」
「ん?」
ここは思いきって聞いてみよう。
「みっちゃんとマリちゃん、付き合ってるの?」
そう質問をすると二人揃って「はぇ?」「ほ?」とハモっていた。
だけど二人顔を見合わせて私の顔を見た瞬間、二人揃って爆笑し始めた。
「え?」
こっち結構真剣に考えてるのに。
「ごめんごめん絶対真剣に考えて…ふっ、お、おもしろっ!」
だんだんムカついてきた。
「小夜、あまりにも顔が…百面相ってこーゆーこと言うんだなぁ」
のんびり言うみっちゃんに、でもちょっと納得。
「え?そんなに?」
「うん、すっげーなんか壮絶な顔してた。挙げ句のスゴイぶちかました質問されてちょっと面白い」
「だって…」
「小夜さ、好きな男の子いる?」
突然どうしたんだろ。
「今はいないよ?なんで?」
「なんて言うのかなーうーん」
「小夜はまだまだ経験が浅いな!さては処」
みっちゃんが喋ってる途中のマリちゃんの後頭部を叩いた。「いだっ!」と言って頭を抑える。確かに結構音が鈍い。
「舌噛んだ…」
「こいつとは良い友達だよ」
「そーゆー意味じゃなくね」
再びみっちゃんはマリちゃんを叩いた。
「親友というやつかな?よくわかんねぇな俺ら」
「親友めっちゃぶっ叩いてんな」
「これはツッコミっていうんだよ関西では」
「こっちにもツッコミ制度ありますがこんな思いっきりぶっ叩かれませんぜ先輩」
すごく話が反れそうな予感がする。だけどそれじゃだめだ、なんかモヤモヤする。
「うーん…」
「あんね、好きだから付き合うが全部じゃねぇよ?一緒にいる方法なんていっぱいあるってことだよ」
こんなにすごくあっさり二人ともお互いを受け入れてる。色々私が考えても全然意味がわからなくて。
「それってなんか切なくないの?」
「は?」
ふざけっこしてる二人がどうしても逃げ腰にしか見えなくなってきて思わず言ってしまえば少し不機嫌そうにマリちゃんに返されてしまい。だけどこのままじゃなんか引っ込みがつかない。
「まったく…思春期特有だな。あのね、お前みたいなガキんちょに心配されなくてもうまくやってきてんの、わかる?」
「わかんない、全然わかんない。だから教えて」
「めんどくせぇけどいいでしょう。なんですかガキんちょ」
「なんで二人ともそんなに仲良く平気でいれるの?私は出来なかった。お互いの気持ちをわかってて。なんで?
苦しくならないの?
だってみっちゃんもなんかズルいしマリちゃんだって」
「はいそこまで。
うるせぇよクソガキ」
マリちゃんに睨まれた。多分私は言ってはならないことを言い過ぎたんだ。
「…うん」
「後悔するくらいなら言ってんじゃねぇよ度胸ねぇな」
「真里」
それまで黙ってたみっちゃんがマリちゃんを止める。
「結構言われたこと的を射てるよな。俺は相当ズルいし真里は相当苦しいよ。お前も俺も触れなかったところだ。ガキから見たらやっぱりそう見えるんだよ。
小夜、大人になるとこうやってズルくなってくんだよ。楽な方へばかりいく。そんなもんなんだよ」
そういうみっちゃんが何よりも辛そうで、なのにやっぱりちょっと優しい表情なのを見て、あぁ、ホントに言わなければよかったと気持ちがそわそわした。
「ごめん…帰るね」
「真里、送ってやって」
「えぇ?」
嫌だよな、と思って表情を伺うとマリちゃんは私なんか見てなくて。そんなマリちゃんに優しく、「俺よりお前の方が運転上手いから」と言っていた。それに無言でマリちゃんはじっとみっちゃんのことを見つめていた。
「大丈夫だよ、ここにいるから」
「…うん、送ったら取り敢えず帰ってくるから」
その空気に息が詰まる。マリちゃんが「行くぞ」と冷たく言うまで動けずにいた。
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