心中 Rock'n Beat!!

二色燕𠀋

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酒場の閑居と情緒

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「すんごいね」

 ライブ後。
 目の前には、楽しそうに苦笑いするあの、1時間くらい前までステージで唄っていたのんちゃんが焼酎を片手にしていて。

 その隣には「マジな、それな、」とか笑ってのんちゃんと乾杯する怒り肩のベース高畑さんと、「ツキコちゃんそれホントどーしたの」と、高畑さんの隣に座って笑う山口さん。

 そう、打ち上げで。
 “グラスアライブソニック”通称“グラシア”のメンバー、早々にわりと酔っぱらってるのはライブ前から酒をかっ食らっていたせいなんでしょうが。

「いやぁ、あの…」
「よかったよぉぉ、のんさんん…」

 あたしと依田、お呼ばれしたのはいいが。

 メンバー皆様が爆笑してあたしがドン引くレベルで依田、びしゃびしゃに泣き散らかしているin近くのふらっと入った居酒屋。

「この前初だって言ってて、今のびしゃびしゃ具合ヤバいねマジ」
「まさか俺たちにそんなファン付くとか…ツキコのとこでもそんな?」

 高畑さん山口さんに質問を受ける。のんちゃんは横で頬杖ついて「けっけ」と笑っているばかり。

「いえもう私なんてなんなら『亀ちゃん怖いね』しか感想ありませんでしたよ」
「あ確かに」
「ツキコちゃんプレイ中めっさ、なんか猛禽類みたいな眼光だよね。高畑なんか始終ふざけとるのにね」
「それに比べてのんは怖いよな、ギター。ちょっとラリってるよね」
「それ纏める俺のドラムってかっけくない?ツキコちゃーん」
「かっけっす。みんなかっけっす。だからこいつこんな可哀想なことになって」

 「てゆうかぁ!」のんちゃんまたツボ。ちょっと気付いていたがのんちゃん、わりとツボが浅いらしい。

「ねぇねぇどぉしたん?何か悲しいことがあったん?ツキコに鞭打たれたん?」
「いや違うんですぅぅ、さ、最後の歌全部聞き取れたら良い唄過ぎて涙腺がアレしちゃったんですぅぅ」
「あ?あぁ、なんだっけ最後」

 そののんちゃんのポカンとした一言に思わず依田は「へ?」とのんちゃんを見つめる。

「んー」
「なんだっけ」
「あぁ、月食だよのん」
「あー、あれかぁ」

 メンバーののんびりさに依田、ぱちくりしてしまっていた。

確かにあの唄。
日本語だ、全部。
でも聞き取りにくい。

「え、そんな感じなんですかぁ?」
「ん、そだよ」

 間。

「ま、
 す、すげぇぇぇぇ!え、嘘ぅ、あれだあの亀ちゃん、ドリブル」
「アドリブな」
「それ!すげぇ、でもわかる、ちょっと共鳴感。俺もある」
「え、そうなの?それししょーにぶち殺されないの?」
「それ④。①が褒められる、これは無言。②が穂咲兄さんに睨まれる、③が穂咲兄さんがにやける。④が、師匠と後ですれ違ったときに後ろから俺が頭突きをされる。最近は②と④」
「ダメじゃん」
「てか」
「シビアだねぇ、古典芸能」
「しびあ」
「うーん、ヤバい」
「そうそう、シビアなんです古典芸能」

 途中で卯月翻訳を入れての会話。それにのんちゃん「?」な顔。他メンバー、若干笑っている。

「あれなんです依田、いま英語勉強中なんです」
「へ?」
「いやだ、ちょっと言わないでよ亀ちゃん!」
「だってめんどくさい」
「えー、マジで?俺も英語勉強したい」
「は?」
「あー、うん。のんも英語はロックンロールしか出来ないよマジ」

 山口さんが「なぁ?」と言えば「あははー」と照れ臭そうに頭を掻きつつ、その手で山口さんの頭をバシンと笑顔でぶっ叩くのんちゃん。

 素敵。なんて素敵なの。

「そういうのはね、空から降ってくるもんなんだよ、作詞って」
「かっけっす。俺も作詞したい」
「出来る出来る、だって三味線やってるんでしょ?」
「いやのん、古典芸能わかってないだろ」
「山ちゃん、のんに常識を言ってもダメだって知ってんじゃん」
「え、じゃぁお前らわかる?古典」

 のんちゃん二人に投下するも、二人とも、

「いやわかんないけど」
「けど多分のんが言うやつより断然ムズい」

そうあたしも思いますが。

「いやぁ?案外ムズくないですよー。
ホラだって高畑さんなんて弦5本くらい」
「いや4」
「ほら俺のより多い。のんちゃんなんか8本くらい」
「いや6」
「ほら俺の倍。しかも歌ってるし山口さんなんか楽器何個分ですか。俺から見たらそれ浄瑠璃の人形を1人で動かしてる感じですけど」
「はぁ」
「え、てか人形って片手じゃないの?」
「ははー、のんちゃん、それパペットマペットだよ。足遣い、左遣い、あと主遣いで3人です」
「へぇぇぇ」
「大変」
「俺らには無理だな」
「てかそれはどうなってんの?」
「んー。
 足遣いはまぁ、一番下っ端、左使いは中堅、ここが実は一番厄介、というか難しいところで、右手で人形の左手を扱うのですが、実のところ人形の左手は、まぁ、日本人、右手が多いので見せ場的には地味ではありますが、主使いが首やら胴体やら見せ場である右手を使うわけで、それに合わせてあげるので、まぁ難しいです」
「へぇぇ」
「例えば刀を抜くとき。
 鞘を持つ方はこう、左手。抜く方は右手ですね。とかね」

 ジェスチャーつけて解説をする依田。
 なるほど確かに。
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