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橙色海岸にて名付ける
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正直それからどうやって帰ったか覚えてないが、依田が居なかったせいで久々に自宅の廊下(床?)で伸びたように寝ていた。
起きて「うえっくし!」寒い。非常に寒い。あたしが寒いと思ったからにはもう日本は南極に近付いたのかもしれない。
いやちげえよ。
コーヒーを入れようと起き上がって気付いた。
ダルい、暑い?寒い?鼻水?
これ。
100%熱がある。気付いて即ルーシーさんに電話した。
「あ゛の゛う゛」
ダメだ死んじゃう。ものっそい鼻声だった。
ルーシーさん、溜め息を吐いて「バカくんな」切られた。
虚しさが込み上げ、ケータイをぶん投げた。
てか一人やん。
やべぇ、冷蔵庫とかなんもねぇ。
麻婆茄子の素しかねぇ。
だりぃ寝ようと、コーヒーを入れて飲んだ。
ふと、ボケた頭で部屋にいけば、黒いベースが飾ってあった。
あぁあ。なんやろ、けど。
部屋の電気を消して、布団に丸まって真っ暗な状態で寝ようとした。
耳の奥から聞こえるような、
遠い日の父の熱い息。母さんのあんあんあん。
ねぇ母さん、父さん。あたし、いま熱で苦しいのに。
あんたらなんで燃え上がってんの、隣のリビングで。
ねぇ母さん、父さん。あたし頑張ったのに、運動会。
どうして目すら、合わせてくんないの?
ねぇ母さん父さん。
一体いつ帰ってくるの?あたし、一人で。
起きた。
息苦しくて目が覚めた。
死ぬほど汗が出ていた。
やべぇなんか飲もう。
リビングまで行こうとしたとき、クラっと来て床に頭ぶつけた。
倒れたのか。
ひんやりした床に、体制を変えて仰向けになって呼吸をしてみた。
昔からどこに行ってもこれは落ち着いた。学校でも、家でも。
大家さんは、あのときの。
死んじゃったけど可愛がってくれた、あたしが8歳の頃。
あの時覗きに来てくれなかったらあたし、死んでたらしい。
父も母も私を置いてマンションを出て行ってしまった。今更ながら、何故か思い出す。熱のときの、浮かれた頭で。
生きていてよかったんだけどさ。
なんかわかんないやとか、生きてると思うんだ。
邪魔だったのかなんなのかは知らない。でもそれでいいの。
多分一生わかんないし。
ただなんで、
夕方の日差しが眩しい。
ただなんで、
たまにこんな風に虚しくなるんだろ。
視界がはっきりしてからコーヒー飲んで、いっぱい飲んでまた入れて。
部屋に戻ってケータイを手にした。気付いたら依田に掛けていた。
3コールで出なくて諦めたとき、ぶつっとなって、「もしもし」と。いつもの安定した声がして。
「依゛田」
声が鼻声と潰れてるので、出せなかった。
「亀ちゃん?」
「う゛ふ、」
「どしたの亀ちゃん」
言おうとしたけど。
心配そうな依田の声に。
「うっ、うぅう゛」
不覚にも涙がぼろぼろ出てきた。
「亀ちゃん、何かあった?」
「ない゛」
「あそう…声が…」
「風邪、ひ、た」
「ちゃんと食べてるの亀ちゃん。
辛かったらデリバリーとかしなきゃダメだよ亀ちゃん」
「う゛っ、ん」
それからすぐに「はいはい」と、優しい声で言われて。
泣いて喋れなかったけど、しばらく黙って電話越しにいてくれて。
「落ち着いたら寝るといいよ。それまで電話切らないからさ。
あ、雀三、ごめんご飯作っといて。俺しばらく」
「依田ぁ゛」
「なに?」
「ごめんん」
「…全く困ったやつだね亀ちゃん。
病院にも行くんだよ?大家さんに電話しとくから、明日行ってきなよ?」
「うっ、うんん」
「全く、もう」
ひとしきり泣いて。
しばらくしてチャイムで起きた。どうやら寝てしまったらしい。そして本当に依田は大家さんに電話してくれたらしい。
頑張ってリビングのインターフォンまでいけば「亀田さん!?」と、大家のトミ子さんが心配そうで。
「あぃぃ…」
「ちょっと、病院行くわよ!」
鍵を開けて小太りおばあちゃん大家、勝手に入ってきて、
「まぁ熱い!」
あっさりそのまま病院に連れていかれた。風邪だった。
急遽煮物とかゴマ和えとかを大家さんが作ってくれて、
「何かあったら電話しなさい!」
と言われた。
大家さんが帰って一人になり、今度は副作用で寝た。
次の日には元気になり、店に謝罪の電話をいれた。説教され、明後日に復帰となった。
そこまでやって漸く「疲れたぁ…」が口から出た。
人と関わるのも、疲れちゃうけど。
「さっぱりしたぁ…」
声は部屋に吸い込まれる。
そうか、
なんだかんだ人は一人で生きられないんだと確認した。
そうか、
じゃぁあたしは。
誰かと居なければならないんだ。
面倒だけど「ふふっ、」笑えてきた。
寂しかったのかもしれないな。
「くだらなーい!」
いっそベース弾こうと、あれ以来、久しぶりにベースに触った。しばらく弾いてたら隣から壁を叩かれた。
あぁそうか。
生きてくって大変だ。
明日からスタジオ探そ。なんとなく、そう決めた。
起きて「うえっくし!」寒い。非常に寒い。あたしが寒いと思ったからにはもう日本は南極に近付いたのかもしれない。
いやちげえよ。
コーヒーを入れようと起き上がって気付いた。
ダルい、暑い?寒い?鼻水?
これ。
100%熱がある。気付いて即ルーシーさんに電話した。
「あ゛の゛う゛」
ダメだ死んじゃう。ものっそい鼻声だった。
ルーシーさん、溜め息を吐いて「バカくんな」切られた。
虚しさが込み上げ、ケータイをぶん投げた。
てか一人やん。
やべぇ、冷蔵庫とかなんもねぇ。
麻婆茄子の素しかねぇ。
だりぃ寝ようと、コーヒーを入れて飲んだ。
ふと、ボケた頭で部屋にいけば、黒いベースが飾ってあった。
あぁあ。なんやろ、けど。
部屋の電気を消して、布団に丸まって真っ暗な状態で寝ようとした。
耳の奥から聞こえるような、
遠い日の父の熱い息。母さんのあんあんあん。
ねぇ母さん、父さん。あたし、いま熱で苦しいのに。
あんたらなんで燃え上がってんの、隣のリビングで。
ねぇ母さん、父さん。あたし頑張ったのに、運動会。
どうして目すら、合わせてくんないの?
ねぇ母さん父さん。
一体いつ帰ってくるの?あたし、一人で。
起きた。
息苦しくて目が覚めた。
死ぬほど汗が出ていた。
やべぇなんか飲もう。
リビングまで行こうとしたとき、クラっと来て床に頭ぶつけた。
倒れたのか。
ひんやりした床に、体制を変えて仰向けになって呼吸をしてみた。
昔からどこに行ってもこれは落ち着いた。学校でも、家でも。
大家さんは、あのときの。
死んじゃったけど可愛がってくれた、あたしが8歳の頃。
あの時覗きに来てくれなかったらあたし、死んでたらしい。
父も母も私を置いてマンションを出て行ってしまった。今更ながら、何故か思い出す。熱のときの、浮かれた頭で。
生きていてよかったんだけどさ。
なんかわかんないやとか、生きてると思うんだ。
邪魔だったのかなんなのかは知らない。でもそれでいいの。
多分一生わかんないし。
ただなんで、
夕方の日差しが眩しい。
ただなんで、
たまにこんな風に虚しくなるんだろ。
視界がはっきりしてからコーヒー飲んで、いっぱい飲んでまた入れて。
部屋に戻ってケータイを手にした。気付いたら依田に掛けていた。
3コールで出なくて諦めたとき、ぶつっとなって、「もしもし」と。いつもの安定した声がして。
「依゛田」
声が鼻声と潰れてるので、出せなかった。
「亀ちゃん?」
「う゛ふ、」
「どしたの亀ちゃん」
言おうとしたけど。
心配そうな依田の声に。
「うっ、うぅう゛」
不覚にも涙がぼろぼろ出てきた。
「亀ちゃん、何かあった?」
「ない゛」
「あそう…声が…」
「風邪、ひ、た」
「ちゃんと食べてるの亀ちゃん。
辛かったらデリバリーとかしなきゃダメだよ亀ちゃん」
「う゛っ、ん」
それからすぐに「はいはい」と、優しい声で言われて。
泣いて喋れなかったけど、しばらく黙って電話越しにいてくれて。
「落ち着いたら寝るといいよ。それまで電話切らないからさ。
あ、雀三、ごめんご飯作っといて。俺しばらく」
「依田ぁ゛」
「なに?」
「ごめんん」
「…全く困ったやつだね亀ちゃん。
病院にも行くんだよ?大家さんに電話しとくから、明日行ってきなよ?」
「うっ、うんん」
「全く、もう」
ひとしきり泣いて。
しばらくしてチャイムで起きた。どうやら寝てしまったらしい。そして本当に依田は大家さんに電話してくれたらしい。
頑張ってリビングのインターフォンまでいけば「亀田さん!?」と、大家のトミ子さんが心配そうで。
「あぃぃ…」
「ちょっと、病院行くわよ!」
鍵を開けて小太りおばあちゃん大家、勝手に入ってきて、
「まぁ熱い!」
あっさりそのまま病院に連れていかれた。風邪だった。
急遽煮物とかゴマ和えとかを大家さんが作ってくれて、
「何かあったら電話しなさい!」
と言われた。
大家さんが帰って一人になり、今度は副作用で寝た。
次の日には元気になり、店に謝罪の電話をいれた。説教され、明後日に復帰となった。
そこまでやって漸く「疲れたぁ…」が口から出た。
人と関わるのも、疲れちゃうけど。
「さっぱりしたぁ…」
声は部屋に吸い込まれる。
そうか、
なんだかんだ人は一人で生きられないんだと確認した。
そうか、
じゃぁあたしは。
誰かと居なければならないんだ。
面倒だけど「ふふっ、」笑えてきた。
寂しかったのかもしれないな。
「くだらなーい!」
いっそベース弾こうと、あれ以来、久しぶりにベースに触った。しばらく弾いてたら隣から壁を叩かれた。
あぁそうか。
生きてくって大変だ。
明日からスタジオ探そ。なんとなく、そう決めた。
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