66 / 74
道行Music Beat
3
しおりを挟む
依田、恐らく驚愕顔であろうあたしを見ては困ったように笑い、「すみませーん」と通路から少し顔を出し、販売員さんに声を掛ける。
「ついでにビールも3本で」
「えっ、」
ゴッド師匠、驚きから怒りへおもしろいくらいの表情変えをし、「お前、」と言うも依田はへらへらしていた。
「いやー、まぁまぁ」
「まぁまぁや」
「シュウマイとビール合うじゃないですか」
「なんかごめん依田」
「いーのいーの」
何がだよ。
しかしゴッド師匠、「ふんっ、」と言い。
「お前実家でそれ、大丈夫かいな」
「一本ならまぁ」
「儂は飲まへんからな!」
「え?シュウマイだけ?」
「いや、一個はうらに持ち帰るわ!」
マジか。
しかし。
「…お師匠、手順を聞きたいんですが。
えっと…雀生師匠のお家に伺ってから依田の家へ?」
「いんや、直でこいつの」
「シュウマイ臭くなりませんか」
自分で頼んじゃってなんだけど。
ゴッド師匠、「ぐぬぬ…」と考え一言。
「…紅葉、雀三に一報を」
「あ、はーいわかりました。師匠、昼飯はいかに?」
「…テキトーに頼むわバカ弟子!」
依田、すぐさま「すんません」とか言いながら、まるでアナログ人間とは思えない早さでガラケーにメールを打ち込んだ。
即、「あっ」と。
「師匠、どうやら勇咲くんが師匠の家にお邪魔するらしいです」
「花やないんか」
「花太夫師匠ではないらしいですね」
「なんやその日本語は」
確かにごもっとも。
「そんなら勇咲に頼め紅葉」
「シュウマイをですか」
話しているうちにシュウマイ3箱計45個のシュウマイと三本のビールが運ばれてきた。星マーク。確かに依田は日本ビール派だ。
「そうや」
「えー、可哀想じゃないですか」
「家に来るならなぁ、」
「てか、なんで勇咲くん、来るんだろ…」
首を傾げながら依田はケータイ画面を眺めたままだ。
「明日挨拶に行く予定だったのにな」
「なんで?」
「そりゃぁ亀ちゃん、夫婦だからだよ」
「ん?勇咲くんなの?」
「んー、多分」
「なにそのアバズレみたいな感覚」
素直に言ったが「アバズレって…」と顔をまじまじと見られてしまった。確かに若干言葉は悪かったが。
師匠は来たシュウマイを取り敢えず依田に箱ごと押し付けるように預け、残り2箱を開けて手を合わせて「いただきます」と言った。
あたしたちも習うように、まずはビールを開けて乾杯する。
「ほんま飲みすぎるなよ」と言われる依田、然り気無くゴッド師匠のビールを手元に持ってきて「へいへい」と、ビールをぐびぐび飲んでいた。確かに、こいつ若干、酒癖悪いぞと先日の依田が脳裏を過った。
「ゴッ…じゃくしょー師匠、飲めばいいのに」
「いや流石に弟子の親に会うのにな、」
「ちゃうちゃう、ししょーはお酒飲んじゃうと虐められ体質に」
「あ、そうなの?亀甲縛り勇咲くんみたいな、常にMなわけじゃないの?」
「…ツキコやない亀田さん、やめてくれんか!おいバカ弟子何親の性癖を暴露しとんねん、てか勇咲、あいつマジかぁ!」
「はぁ…、です」
「あ、ホントだ。いやじゃくしょー師匠、もう知ってますよあたし。あともう、ちょくちょくツキコ呼びになってますのでいいですけど」
「いやスイッチが」
「あー、なるほどですねぇ。
あ、なんなら依田家でショータイムするのどうです?二度と関わってこなくなると」
「いや、」
「いや…」
弟子、師匠、共に苦い顔。我ながら名案だと思ったんだけどな。
「一応儂のな、兄弟子の嫁はんやから」
「一応俺の父親だから師匠は」
「んー、でも依田の母親は違うんじゃないの?」
「んー、そうなんだけど、うーん、腹違いの弟の母親で父はほら、人間国宝だから」
「ゴッド師匠は違うの?」
「誰やそれ」
「うん、師匠も人間国宝だからってあれぇ?話してるうちになんかいいような気がしてき」
「いや堪忍せぇ紅葉。それ儂どうなるねん」
「んー…」
何。
あたしバカだからよりわかんなくなってきたよ。ん?
「…取り敢えずショータイムはやめないか」
「んー、はぁい。
え、じゃぁなんで勇咲くん、」
「それが俺にもよくわかんないんだよね」
「え?」
拗れてね?
「いや、勇咲は別にお前の家に連れていかなくても」
「あれぇ、でも俺ら夫婦じゃ」
「いやそうなんやけど、ちゃうやん、」
んー、
大丈夫かこれ。
「というか何故勇咲は」
「いや、せやからね師匠、ようわからんのですよ」
「んー、めんどくさくなってきたやっぱりショータイム」
「いや、」
「やめて亀ちゃん」
ややこしいなぁ。
シュウマイをつまむ。ビールを煽る。
「と、取り敢えずまずは直戦争なら師匠宅でなく、新大阪駅に勇咲くんを呼び、シュウマイ運びをお願いしますね、そうだ、そうだ」
依田はビールを片手に高速ガラケー打ちを始めた。
「ついでにビールも3本で」
「えっ、」
ゴッド師匠、驚きから怒りへおもしろいくらいの表情変えをし、「お前、」と言うも依田はへらへらしていた。
「いやー、まぁまぁ」
「まぁまぁや」
「シュウマイとビール合うじゃないですか」
「なんかごめん依田」
「いーのいーの」
何がだよ。
しかしゴッド師匠、「ふんっ、」と言い。
「お前実家でそれ、大丈夫かいな」
「一本ならまぁ」
「儂は飲まへんからな!」
「え?シュウマイだけ?」
「いや、一個はうらに持ち帰るわ!」
マジか。
しかし。
「…お師匠、手順を聞きたいんですが。
えっと…雀生師匠のお家に伺ってから依田の家へ?」
「いんや、直でこいつの」
「シュウマイ臭くなりませんか」
自分で頼んじゃってなんだけど。
ゴッド師匠、「ぐぬぬ…」と考え一言。
「…紅葉、雀三に一報を」
「あ、はーいわかりました。師匠、昼飯はいかに?」
「…テキトーに頼むわバカ弟子!」
依田、すぐさま「すんません」とか言いながら、まるでアナログ人間とは思えない早さでガラケーにメールを打ち込んだ。
即、「あっ」と。
「師匠、どうやら勇咲くんが師匠の家にお邪魔するらしいです」
「花やないんか」
「花太夫師匠ではないらしいですね」
「なんやその日本語は」
確かにごもっとも。
「そんなら勇咲に頼め紅葉」
「シュウマイをですか」
話しているうちにシュウマイ3箱計45個のシュウマイと三本のビールが運ばれてきた。星マーク。確かに依田は日本ビール派だ。
「そうや」
「えー、可哀想じゃないですか」
「家に来るならなぁ、」
「てか、なんで勇咲くん、来るんだろ…」
首を傾げながら依田はケータイ画面を眺めたままだ。
「明日挨拶に行く予定だったのにな」
「なんで?」
「そりゃぁ亀ちゃん、夫婦だからだよ」
「ん?勇咲くんなの?」
「んー、多分」
「なにそのアバズレみたいな感覚」
素直に言ったが「アバズレって…」と顔をまじまじと見られてしまった。確かに若干言葉は悪かったが。
師匠は来たシュウマイを取り敢えず依田に箱ごと押し付けるように預け、残り2箱を開けて手を合わせて「いただきます」と言った。
あたしたちも習うように、まずはビールを開けて乾杯する。
「ほんま飲みすぎるなよ」と言われる依田、然り気無くゴッド師匠のビールを手元に持ってきて「へいへい」と、ビールをぐびぐび飲んでいた。確かに、こいつ若干、酒癖悪いぞと先日の依田が脳裏を過った。
「ゴッ…じゃくしょー師匠、飲めばいいのに」
「いや流石に弟子の親に会うのにな、」
「ちゃうちゃう、ししょーはお酒飲んじゃうと虐められ体質に」
「あ、そうなの?亀甲縛り勇咲くんみたいな、常にMなわけじゃないの?」
「…ツキコやない亀田さん、やめてくれんか!おいバカ弟子何親の性癖を暴露しとんねん、てか勇咲、あいつマジかぁ!」
「はぁ…、です」
「あ、ホントだ。いやじゃくしょー師匠、もう知ってますよあたし。あともう、ちょくちょくツキコ呼びになってますのでいいですけど」
「いやスイッチが」
「あー、なるほどですねぇ。
あ、なんなら依田家でショータイムするのどうです?二度と関わってこなくなると」
「いや、」
「いや…」
弟子、師匠、共に苦い顔。我ながら名案だと思ったんだけどな。
「一応儂のな、兄弟子の嫁はんやから」
「一応俺の父親だから師匠は」
「んー、でも依田の母親は違うんじゃないの?」
「んー、そうなんだけど、うーん、腹違いの弟の母親で父はほら、人間国宝だから」
「ゴッド師匠は違うの?」
「誰やそれ」
「うん、師匠も人間国宝だからってあれぇ?話してるうちになんかいいような気がしてき」
「いや堪忍せぇ紅葉。それ儂どうなるねん」
「んー…」
何。
あたしバカだからよりわかんなくなってきたよ。ん?
「…取り敢えずショータイムはやめないか」
「んー、はぁい。
え、じゃぁなんで勇咲くん、」
「それが俺にもよくわかんないんだよね」
「え?」
拗れてね?
「いや、勇咲は別にお前の家に連れていかなくても」
「あれぇ、でも俺ら夫婦じゃ」
「いやそうなんやけど、ちゃうやん、」
んー、
大丈夫かこれ。
「というか何故勇咲は」
「いや、せやからね師匠、ようわからんのですよ」
「んー、めんどくさくなってきたやっぱりショータイム」
「いや、」
「やめて亀ちゃん」
ややこしいなぁ。
シュウマイをつまむ。ビールを煽る。
「と、取り敢えずまずは直戦争なら師匠宅でなく、新大阪駅に勇咲くんを呼び、シュウマイ運びをお願いしますね、そうだ、そうだ」
依田はビールを片手に高速ガラケー打ちを始めた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
10年引きこもりの私が外に出たら、御曹司の妻になりました
専業プウタ
恋愛
25歳の桜田未来は中学生から10年以上引きこもりだったが、2人暮らしの母親の死により外に出なくてはならなくなる。城ヶ崎冬馬は女遊びの激しい大手アパレルブランドの副社長。彼をストーカーから身を張って助けた事で未来は一時的に記憶喪失に陥る。冬馬はちょっとした興味から、未来は自分の恋人だったと偽る。冬馬は未来の純粋さと直向きさに惹かれていき、嘘が明らかになる日を恐れながらも未来の為に自分を変えていく。そして、未来は恐れもなくし、愛する人の胸に飛び込み夢を叶える扉を自ら開くのだった。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
押しつけられた身代わり婚のはずが、最上級の溺愛生活が待っていました
cheeery
恋愛
名家・御堂家の次女・澪は、一卵性双生の双子の姉・零と常に比較され、冷遇されて育った。社交界で華やかに振る舞う姉とは対照的に、澪は人前に出されることもなく、ひっそりと生きてきた。
そんなある日、姉の零のもとに日本有数の財閥・凰条一真との縁談が舞い込む。しかし凰条一真の悪いウワサを聞きつけた零は、「ブサイクとの結婚なんて嫌」と当日に逃亡。
双子の妹、澪に縁談を押し付ける。
両親はこんな機会を逃すわけにはいかないと、顔が同じ澪に姉の代わりになるよう言って送り出す。
「はじめまして」
そうして出会った凰条一真は、冷徹で金に汚いという噂とは異なり、端正な顔立ちで品位のある落ち着いた物腰の男性だった。
なんてカッコイイ人なの……。
戸惑いながらも、澪は姉の零として振る舞うが……澪は一真を好きになってしまって──。
「澪、キミを探していたんだ」
「キミ以外はいらない」
それなりに怖い話。
只野誠
ホラー
これは創作です。
実際に起きた出来事はございません。創作です。事実ではございません。創作です創作です創作です。
本当に、実際に起きた話ではございません。
なので、安心して読むことができます。
オムニバス形式なので、どの章から読んでも問題ありません。
不定期に章を追加していきます。
2025/12/13:『ものおと』の章を追加。2025/12/20の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/12:『つえ』の章を追加。2025/12/19の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/11:『にく』の章を追加。2025/12/18の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/10:『うでどけい』の章を追加。2025/12/17の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/9:『ひかるかお』の章を追加。2025/12/16の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/8:『そうちょう』の章を追加。2025/12/15の朝4時頃より公開開始予定。
2025/12/7:『どろのあしあと』の章を追加。2025/12/14の朝8時頃より公開開始予定。
※こちらの作品は、小説家になろう、カクヨム、アルファポリスで同時に掲載しています。
お隣さんはヤのつくご職業
古亜
恋愛
佐伯梓は、日々平穏に過ごしてきたOL。
残業から帰り夜食のカップ麺を食べていたら、突然壁に穴が空いた。
元々薄い壁だと思ってたけど、まさか人が飛んでくるなんて……ん?そもそも人が飛んでくるっておかしくない?それにお隣さんの顔、初めて見ましたがだいぶ強面でいらっしゃいますね。
……え、ちゃんとしたもん食え?
ちょ、冷蔵庫漁らないでくださいっ!!
ちょっとアホな社畜OLがヤクザさんとご飯を食べるラブコメ
建築基準法と物理法則なんて知りません
登場人物や団体の名称や設定は作者が適当に生み出したものであり、現実に類似のものがあったとしても一切関係ありません。
2020/5/26 完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる