心中 Rock'n Beat!!

二色燕𠀋

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道行Music Beat

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 依田、恐らく驚愕顔であろうあたしを見ては困ったように笑い、「すみませーん」と通路から少し顔を出し、販売員さんに声を掛ける。

「ついでにビールも3本で」
「えっ、」

 ゴッド師匠、驚きから怒りへおもしろいくらいの表情変えをし、「お前、」と言うも依田はへらへらしていた。

「いやー、まぁまぁ」
「まぁまぁや」
「シュウマイとビール合うじゃないですか」
「なんかごめん依田」
「いーのいーの」

 何がだよ。
 しかしゴッド師匠、「ふんっ、」と言い。

「お前実家でそれ、大丈夫かいな」
「一本ならまぁ」
「儂は飲まへんからな!」
「え?シュウマイだけ?」
「いや、一個はうらに持ち帰るわ!」

マジか。
しかし。

「…お師匠、手順を聞きたいんですが。
えっと…雀生師匠のお家に伺ってから依田の家へ?」
「いんや、直でこいつの」
「シュウマイ臭くなりませんか」

 自分で頼んじゃってなんだけど。

 ゴッド師匠、「ぐぬぬ…」と考え一言。

「…紅葉、雀三に一報を」
「あ、はーいわかりました。師匠、昼飯はいかに?」
「…テキトーに頼むわバカ弟子!」

 依田、すぐさま「すんません」とか言いながら、まるでアナログ人間とは思えない早さでガラケーにメールを打ち込んだ。

 即、「あっ」と。

「師匠、どうやら勇咲くんが師匠の家にお邪魔するらしいです」
「花やないんか」
「花太夫師匠ではないらしいですね」
「なんやその日本語は」

 確かにごもっとも。

「そんなら勇咲に頼め紅葉」
「シュウマイをですか」

 話しているうちにシュウマイ3箱計45個のシュウマイと三本のビールが運ばれてきた。星マーク。確かに依田は日本ビール派だ。

「そうや」
「えー、可哀想じゃないですか」
「家に来るならなぁ、」
「てか、なんで勇咲くん、来るんだろ…」

 首を傾げながら依田はケータイ画面を眺めたままだ。

「明日挨拶に行く予定だったのにな」
「なんで?」
「そりゃぁ亀ちゃん、夫婦だからだよ」
「ん?勇咲くんなの?」
「んー、多分」
「なにそのアバズレみたいな感覚」

 素直に言ったが「アバズレって…」と顔をまじまじと見られてしまった。確かに若干言葉は悪かったが。

 師匠は来たシュウマイを取り敢えず依田に箱ごと押し付けるように預け、残り2箱を開けて手を合わせて「いただきます」と言った。

 あたしたちも習うように、まずはビールを開けて乾杯する。
 「ほんま飲みすぎるなよ」と言われる依田、然り気無くゴッド師匠のビールを手元に持ってきて「へいへい」と、ビールをぐびぐび飲んでいた。確かに、こいつ若干、酒癖悪いぞと先日の依田が脳裏を過った。

「ゴッ…じゃくしょー師匠、飲めばいいのに」
「いや流石に弟子の親に会うのにな、」
「ちゃうちゃう、ししょーはお酒飲んじゃうと虐められ体質に」
「あ、そうなの?亀甲縛り勇咲くんみたいな、常にMなわけじゃないの?」
「…ツキコやない亀田さん、やめてくれんか!おいバカ弟子何親の性癖を暴露しとんねん、てか勇咲、あいつマジかぁ!」
「はぁ…、です」
「あ、ホントだ。いやじゃくしょー師匠、もう知ってますよあたし。あともう、ちょくちょくツキコ呼びになってますのでいいですけど」
「いやスイッチが」
「あー、なるほどですねぇ。
あ、なんなら依田家でショータイムするのどうです?二度と関わってこなくなると」
「いや、」
「いや…」

 弟子、師匠、共に苦い顔。我ながら名案だと思ったんだけどな。

「一応儂のな、兄弟子の嫁はんやから」
「一応俺の父親だから師匠は」
「んー、でも依田の母親は違うんじゃないの?」
「んー、そうなんだけど、うーん、腹違いの弟の母親で父はほら、人間国宝だから」
「ゴッド師匠は違うの?」
「誰やそれ」
「うん、師匠も人間国宝だからってあれぇ?話してるうちになんかいいような気がしてき」
「いや堪忍せぇ紅葉。それ儂どうなるねん」
「んー…」

 何。
 あたしバカだからよりわかんなくなってきたよ。ん?

「…取り敢えずショータイムはやめないか」
「んー、はぁい。
え、じゃぁなんで勇咲くん、」
「それが俺にもよくわかんないんだよね」
「え?」

 拗れてね?

「いや、勇咲は別にお前の家に連れていかなくても」
「あれぇ、でも俺ら夫婦じゃ」
「いやそうなんやけど、ちゃうやん、」

んー、
大丈夫かこれ。

「というか何故勇咲は」
「いや、せやからね師匠、ようわからんのですよ」
「んー、めんどくさくなってきたやっぱりショータイム」
「いや、」
「やめて亀ちゃん」

 ややこしいなぁ。
 シュウマイをつまむ。ビールを煽る。

「と、取り敢えずまずは直戦争なら師匠宅でなく、新大阪駅に勇咲くんを呼び、シュウマイ運びをお願いしますね、そうだ、そうだ」

 依田はビールを片手に高速ガラケー打ちを始めた。
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