ノスタルジック・エゴイスト

二色燕𠀋

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The 2nd episode

14

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「誠に申し訳ございませんでした」

 江島は病院に搬送され、俺は入間に呼び出された。それについて取り敢えず事情を説明し、こうして謝罪をしているわけだが。

 呼び出した本人は凄く面倒臭そうに、「はいはい」と言ってテキトーにあしらったので、どうやら正当防衛という事で済みそうだ。

「失礼します」

 部屋を出ると、政宗と潤が待っていた。

「悪いな…」
「ったく…単細胞!お前らなぁ、今みんな心配して待ってんだからな!」
「すみません…」
「ごめんなさい…」

 政宗が不機嫌だ。まぁ確かにそれだけのことはやらかした。

「何があったかは部署に向かうまでにゆっくり聞いてやろうじゃねぇか。ったく単細胞と最短精神が合わさるとろくでもないな」
「本当に返す言葉がありません…」
「お前らなぁ、いくらお偉いからってなぁ、あんだけ、犯罪者だろうがぶん殴ったら下手したらクビだからなわかってんのか?慧さんと愛蘭がマジでビビってたぞお前らのこと!
 救護班のやつらにもなぁ、いくら正当防衛とはいえ結構残忍ですねって苦笑いされたわ」
「…でしょうね」
「でしょうねじゃあるかバカ!お前さぁ…。
 お前いまは下っ端でもなけりゃ一人でもないんだよ。もう少し自覚を持ちやがれよ単細胞バカ」
「はい…」
「まぁ今回はちょっと俺が原因でもあるから…さ」
「うん。聞くから。俺は訳もわからず突然研究室から呼び出されて取り敢えずてめぇらの変わりに頭下げまくったんだよ。納得いくまで話してもらおうか」

 あぁ、そっか。

「政宗、ごめん」
「わかったから。何があった?」

 俺は自分で見たもの全てを政宗に話した。この人に嘘を吐いたところで大抵は意味がないからだ。

「なるほどな。はいじゃぁ潤は?なんでそうなってたの」
「うーんとねぇ…まぁ…取り調べをしてまして…。まぁちょっとこいつをちらつかせたりしまして」

 潤はポケットからチャック付きの小さなポリ袋を出した。中には如何にもな白い粉が入っている。

「あー…」
「呆れないでよ。重要な証拠じゃない。まぁ、ちょっと相手をミスった、ってか思ったけどね、あいついまだにやってるでしょ」
「まぁジャンキーっぽかったけど多分…」
「うん。流星が言いたいことはわかる。お前の美貌が邪魔したな」
「はぁ?」
「だってお前さ…。餓えてるやつに餌見せびらかして、しかもその餌持ってんのがお前だろ?そりゃぁ…」
「ああ…極限だったんだろうな」
「え?何?全然わかんない」
「政宗、俺はもしや人選ミスりましたか?」
「いや、返ってこれは適切だよ。
 江島には常習性があったってことがわかったしな。だって、御子貝はそうでもないだろ?」
「まぁ薬はちらつかせてませんが、多分ね」
「つまり、エレボスには二種類いる。ジャンキーか、そうじゃないやつか」
「そうですね」

 つまり薬目的で入団したやつも中にはいると言うことだ。

「てかいまだにやってるって?」

 聞き流していた部分だったがこれはわりと重要だ。

「だってさ、目ぇラリってたし、なんかいかにもキメた後っぽかったよ」
「それを言ったらお前も流星も大差ないよ。アドレナリンジャンキーじゃねーか」
「いや冗談抜きで!」

 イライラしたように潤はタバコをくわえて火をつけた。

「でもさ、未だに薬やってるとしたらお前、どうやったっつーんだ?」
「隠し持ってたとか…まぁムリだな」
「てか取り調べをしててなんで襲われそうになるわけ?」
「わかんねぇよ。あいつ日本語通じねぇんだもんなんなの?こっちが薬について聞いてんのになんか教会?について答えやがって、教会はなんか関連があるのかって聞いたら、この前捕まえてきたガキは物凄く感度がよかっただの、もう話にならない。後半一人で喋ってたよなんか。一応相槌くらいの感じで質問は繰り返したけど。
 で、薬を見せて気付いたら視界は天井と坊主だよ。マジ怖い。なんか気付いたら俺の方が馬乗りになってて銃当てられたから見たらお前だったし」
「あぁ、なるほどね」
「銃?」
「あーうん。潤のスイッチの切り方だね。潤は背後が苦手だから」

 俺もタバコを吸おうと、ポケットからライターとタバコを取り出すと、視界に入った潤が凄まじい顔をしていた。

「お前キモいな。なんなの?」
「え、でもそうだろ?」
「まぁ…確かにひやっとする」
「流石名コンビだな。恋人かよ」

 そっか、政宗の中では名コンビのままなのか。俺達はあれ以来あんまり組んでないのに。

「俺も思い出したんだよ。潤がスイッチ入ったときの切り方」
「ちなみにお前は名前を呼んでダメなら抱きついたり手を握ったりする」
「うわっ…」
「なにお前…」

 そうだったのか。
 まぁ確かに、なんとなく戦場では安心すると銃をしまうような気がする。

「やっぱお前ら恋人かよ」
「やめてください」
「同じく」

 政宗は豪快に笑った。どうやら機嫌は治ったらしい。

「取り敢えず帰ったら皆に謝罪」
「はい…」

 少ししてから有楽町についた。もう少しで17時だ。
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