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The 2nd episode
15
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部署に戻ると、みんなに一斉に声を掛けられた。どう対処して良いか分からなかったが、取り敢えず謝罪。どうやら相当心配を掛けたらしい。
あれからの報告を聞くと、御子貝は少しずつ、前よりは自白を始めているようだった。
終業まで残り時間は僅かとなったが、その日の結果報告などを済ませ、取り敢えずみんなは18時に返すことが出来た。
俺と潤は今日の始末書を、上がった後に手を付けた。
「えー、この度は、死刑囚江島剛之介の取り調べ最中に、不注意ながら押し倒され、霰もない姿にさかけ、警察官として大変情けない結果を招いてしまったことを、深く反省したいと思います」
「待て待て待て。お前のクズさが色々出てますけど。なんだそれ。んなの書き直しに決まってんだろうが」
「なんで?事実じゃん」
「いやいやいや。大体死刑囚じゃねぇし。てかお前よく書けんなどんな神経してんの?」
「自律神経失調症気味なんだよね」
「そーゆー問題じゃねぇってかえ?マジ?」
「マジマジ。立ち眩みするし金縛りに合うし」
「いや…」
何かに取り憑かれてんじゃねぇのかそれ。
「神社行ってこいよ」
「え?お前信じるの?」
「うん。お前のバカさをね」
「うざっ。そう言うお前はなんて書いてんだよ」
書き途中の始末書をひょいっと取られた。
「なになに…、“此度の受刑者暴行事件について。いくら正当防衛とはいえ少々行き過ぎた面があったことをここに深く反省いたします。また、部下の調教、しつけについても、今後とも強化していく所存にございます。”
…うわぁ、変態臭ぇ」
「うるせぇな、書いてて思ったわ。しかもお前の始末書と俺のを合わせてだしたら間違いなく書き直しだろ…」
「いやん。俺調教されちゃうの?」
「死ねよクソビッチ野郎」
「うわぁ…なんかエグいってかなにその悪口。空気読めよクソ上司」
なんでこいつはこんなにバカなんだ。男子高校生か貴様の頭の中は。一回マジでグロックで撃ち抜いて中身を見てやりたいわ。
「もー明日にしよ。早く行こー。俺こーゆーのマジ無理。ゲロ吐きそう」
「は?どこに?」
「あ?お前昼言ったの忘れちゃったの?お前のフィアンセのとこだよ」
そう言われて思い出し、何故かフィアンセと言う言葉に激しく動揺した。が、悟られないように、「あぁ、あれか」と、あっさり言うよう努める。
「てか別にそんなんじゃねぇし」
「あーっそ。早く。俺待ちくたびれた」
なんたるワガママ野郎なんだこいつは。
「わかったよ最短精神。早く行くぞ」
「あいよ、単細胞」
うるさいのでさっさと戸締まりをして鍵を閉めた。
駐車場まで来て、潤の車に乗る。潤の車とはいっても、組織から借りている車両だ。我々は基本的に仕事では自分の車を持たない。何故なら、追跡や特定を逃れるためだ。
「場所覚えてる?」
「なんとなくは」
「あっそう」
車を発車させる。少ししてから、「あのさぁ」と、タバコをくわえてもごもごしながら潤は喋り始めた。
「なんだよ」
「いきなり知らない男が押しかけたら環ちゃん、やっぱり怖いかな」
潤なりの配慮の言葉だろうが、なんだか笑ってしまった。
「なんだよぅ」
「いや、お前も人に気が使えるんだな」
「失礼だなお前」
「大丈夫だよ。だって俺と一緒なんだし。この前ちらっと環に潤の話したんだよ」
「え、」
「すげぇウケてたよ。お前とユミルと政宗の銃乱発事件」
「うわぁ、印象最悪」
「そうでもないよ、多分」
「環ちゃんさ、お前の職はわかってんの?」
それを言われてしまうとなぁ。
「…どうかな。あんまり仕事の話はしないからな。仕事で海外行きまくって、その期間は政宗が見舞いに来てるってのはわかってるだろうけど。なんとなくはわかってるんじゃない?」
「…それもそれだな。隠しとくわけ?」
「別に。なんとなく警官職ってのもポロっと言ってあるからな。てか、わりと俺のことは覚えてるんだよね。あっちから聞いてくることもある」
「…どうすんの?」
「どうって?」
この声色は機嫌が悪いのだろうと思ったが、ふと顔を見ると、潤はなんだか切なそうな顔で見つめてきてやがるから。
「…信号変わるぞ」
「わかってる」
また前を見てアクセルを踏み込む。
「ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
「それはいま?」
少し考えてから、「いや、後でにしようか」と、珍しく潤は引き下がった。
「環ちゃん何が好き?なんか買ってく。昼に聞いた感じだと食事制限ないんでしょ?」
「まぁそうだね。リンゴが好きだよ」
「時期じゃないなぁ…でもまぁいいか。病院の近くって大抵スーパーあるよね?」
「あとはフォンダンショコラと和菓子。スーパーなら目の前にあるよ」
それから潤とスーパーに寄り、リンゴ入りのクッキーを買って病院に向かった。その頃には19時半くらいになっていた。
「予想より遅くなっちゃったな。大丈夫かな」
「まぁ、わりと許してくれるよ。病院も俺が多忙なの知ってるから。個室だしね」
「就寝何時?」
「一応21時」
それからまっすぐ病棟の受付に挨拶と、遅くなってしまったことを謝罪して、俺から菓子折りを渡して病室に向かった。
「いつの間に用意したの」
「さっきだよ」
「抜かりないなぁ」
一度ノックしてから病室に入る。毎回のことながら環はスケッチブックに絵を描いていた。
あれからの報告を聞くと、御子貝は少しずつ、前よりは自白を始めているようだった。
終業まで残り時間は僅かとなったが、その日の結果報告などを済ませ、取り敢えずみんなは18時に返すことが出来た。
俺と潤は今日の始末書を、上がった後に手を付けた。
「えー、この度は、死刑囚江島剛之介の取り調べ最中に、不注意ながら押し倒され、霰もない姿にさかけ、警察官として大変情けない結果を招いてしまったことを、深く反省したいと思います」
「待て待て待て。お前のクズさが色々出てますけど。なんだそれ。んなの書き直しに決まってんだろうが」
「なんで?事実じゃん」
「いやいやいや。大体死刑囚じゃねぇし。てかお前よく書けんなどんな神経してんの?」
「自律神経失調症気味なんだよね」
「そーゆー問題じゃねぇってかえ?マジ?」
「マジマジ。立ち眩みするし金縛りに合うし」
「いや…」
何かに取り憑かれてんじゃねぇのかそれ。
「神社行ってこいよ」
「え?お前信じるの?」
「うん。お前のバカさをね」
「うざっ。そう言うお前はなんて書いてんだよ」
書き途中の始末書をひょいっと取られた。
「なになに…、“此度の受刑者暴行事件について。いくら正当防衛とはいえ少々行き過ぎた面があったことをここに深く反省いたします。また、部下の調教、しつけについても、今後とも強化していく所存にございます。”
…うわぁ、変態臭ぇ」
「うるせぇな、書いてて思ったわ。しかもお前の始末書と俺のを合わせてだしたら間違いなく書き直しだろ…」
「いやん。俺調教されちゃうの?」
「死ねよクソビッチ野郎」
「うわぁ…なんかエグいってかなにその悪口。空気読めよクソ上司」
なんでこいつはこんなにバカなんだ。男子高校生か貴様の頭の中は。一回マジでグロックで撃ち抜いて中身を見てやりたいわ。
「もー明日にしよ。早く行こー。俺こーゆーのマジ無理。ゲロ吐きそう」
「は?どこに?」
「あ?お前昼言ったの忘れちゃったの?お前のフィアンセのとこだよ」
そう言われて思い出し、何故かフィアンセと言う言葉に激しく動揺した。が、悟られないように、「あぁ、あれか」と、あっさり言うよう努める。
「てか別にそんなんじゃねぇし」
「あーっそ。早く。俺待ちくたびれた」
なんたるワガママ野郎なんだこいつは。
「わかったよ最短精神。早く行くぞ」
「あいよ、単細胞」
うるさいのでさっさと戸締まりをして鍵を閉めた。
駐車場まで来て、潤の車に乗る。潤の車とはいっても、組織から借りている車両だ。我々は基本的に仕事では自分の車を持たない。何故なら、追跡や特定を逃れるためだ。
「場所覚えてる?」
「なんとなくは」
「あっそう」
車を発車させる。少ししてから、「あのさぁ」と、タバコをくわえてもごもごしながら潤は喋り始めた。
「なんだよ」
「いきなり知らない男が押しかけたら環ちゃん、やっぱり怖いかな」
潤なりの配慮の言葉だろうが、なんだか笑ってしまった。
「なんだよぅ」
「いや、お前も人に気が使えるんだな」
「失礼だなお前」
「大丈夫だよ。だって俺と一緒なんだし。この前ちらっと環に潤の話したんだよ」
「え、」
「すげぇウケてたよ。お前とユミルと政宗の銃乱発事件」
「うわぁ、印象最悪」
「そうでもないよ、多分」
「環ちゃんさ、お前の職はわかってんの?」
それを言われてしまうとなぁ。
「…どうかな。あんまり仕事の話はしないからな。仕事で海外行きまくって、その期間は政宗が見舞いに来てるってのはわかってるだろうけど。なんとなくはわかってるんじゃない?」
「…それもそれだな。隠しとくわけ?」
「別に。なんとなく警官職ってのもポロっと言ってあるからな。てか、わりと俺のことは覚えてるんだよね。あっちから聞いてくることもある」
「…どうすんの?」
「どうって?」
この声色は機嫌が悪いのだろうと思ったが、ふと顔を見ると、潤はなんだか切なそうな顔で見つめてきてやがるから。
「…信号変わるぞ」
「わかってる」
また前を見てアクセルを踏み込む。
「ずっと聞きたかったことがあるんだけど」
「それはいま?」
少し考えてから、「いや、後でにしようか」と、珍しく潤は引き下がった。
「環ちゃん何が好き?なんか買ってく。昼に聞いた感じだと食事制限ないんでしょ?」
「まぁそうだね。リンゴが好きだよ」
「時期じゃないなぁ…でもまぁいいか。病院の近くって大抵スーパーあるよね?」
「あとはフォンダンショコラと和菓子。スーパーなら目の前にあるよ」
それから潤とスーパーに寄り、リンゴ入りのクッキーを買って病院に向かった。その頃には19時半くらいになっていた。
「予想より遅くなっちゃったな。大丈夫かな」
「まぁ、わりと許してくれるよ。病院も俺が多忙なの知ってるから。個室だしね」
「就寝何時?」
「一応21時」
それからまっすぐ病棟の受付に挨拶と、遅くなってしまったことを謝罪して、俺から菓子折りを渡して病室に向かった。
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