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The 6th episode
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タバコの煙が登っていく。
思い出すのは何も、お前だけじゃないのに。どうしてお前はいつも、一人になりたがるんだろう。
考えてやる義理もない。俺は昔からあいつが好きではない。だが皮肉にも、こう長いと、考えなんて手に取るようにわかる、大体は。
怖いのは、たまに全くわからないときがあること。昔から、予想外の事を仕出かす。
溜め息しか出なかった。
昔のことは、忘れた。多分これは俺の中の防衛本能と言うやつで。
ただ、あの面を見るのは腹が立ってぶん殴りそう。それだけはあまりしてやりたくはないし体力の無駄だから取り敢えず射撃場に行こう。
だが射撃場に行ったら、思わず笑ってしまった。
「あれ?」
「潤さん!?」
さっき部署を出て行った若手集団が勢揃いしていた。
「なーにしてんの、補導しちゃうよ?」
「潤さんこそ…え?」
こりゃぁ場所がねぇじゃねぇか。
「潤さんも家出しちゃったんですかぁ?」
「家出って。お前らじゃないんだから。ちょっと気分転換。
ほらさ、デスク隣だからあの鉄面皮の横顔見なきゃならないわけ。マジうぜぇから抜けてきたわ」
仕方ないので特に何もせず壁に凭れて胡座をかくと、
「相変わらず口が悪いですね…」
と、瞬に言われた。そういえばこいつも鉄面皮タイプだ。
「よく言われるけどそんな悪いかねぇ?」
「はい、超絶」
「だー!思い出したらムカついてきたぞ!」
そう叫んで銃をぶっ放す諒斗。「やれやれ」とか言って瞬も隣で撃ち込み始めた。
あぁ、なんかこれ。
「なんか私も腹立ってきた…」
とか言って霞ちゃんまで5発くらい連射して愛蘭ちゃんに「止めなさいよ、肩壊すよ」と忠告を受けていて。
てか5発連射ってすげぇな。お前めちゃくちゃ重そうなやつ使ってんじゃん。怪物並の腕力だ。それ弾詰りそうだけど。こんな女絶対抱きたくないな。
「霞ちゃんすごいね、怪物じゃん」
「え、やっだぁ~!やめてくださいよぅ」
うわぁ、すっげぇ胡散臭ぇ。
特に意識もせずタバコに火をつけると一斉に、「あっ」「ちょっと!」「ダメですよ!」「潤さん!」と非難の嵐。
うるさいなぁ、でも…。
やっぱり笑ってしまった。
「…何がおかしいんですか?」
疑問顔で聞いてくる愛蘭ちゃんに、「いいや、」と返す。
「俺もやろっかなぁ」
なんか、柄にもなく思い出しちゃったよ。
よく、あいつと抜け出して射撃場で銃ぶっ放して。
喧嘩になって…。
あの人がいつの間にか来てくれてて、
「やっぱ、やめた」
「えぇ!?」
「どうせなら腕前見てみたい!」
「やだ。俺そんなに上手くねぇし」
思い出したくはないけど。
思い出したら悪いものでもなくて。
『人は別に殺さなくていい。殺すのは…』
そう言って銃を構えて撃つ姿さえなんだか神々しいが、どこかもの悲しくもあって。
『自分を殺そうとする敵だけで充分だ』
だから、俺は。
こんなもん、上手くなんなくてもいいって思ったんだ。
『潤は、自分を守ればいい。自分の手の届く範囲を』
そう優しく微笑んでくれたから、信じられたんだ。
「お前らも、いたのか…」
ふと後ろから、政宗の声がして、振り返る。
憔悴したような顔をしていた。何かがあったのは明白だった。
大方、あの単細胞と喧嘩でもしたのだろう。5課の連中からの内線を取った時点でイライラしていたからな。
ぼーっと見上げていたら、政宗は完全に疲れきった顔で溜め息混じりに一言、「流星ぶっ倒れた」と述べる。まさかの一言にタバコを吹き出してしまった。
「は、はぁ!?」
「うん、書類手にしてそのままスターンって」
うわぁ、なんかビジョンが頭に浮かんでしまった。
「えぇぇ!」
「ちょ、なんで!?」
「無理、してたんですね…」
「部長…」
あぁ、なんてバカなんだあいつ。
「なんだそりゃ」
最早それは。
「ギャグセン低すぎて笑えねーよあのバカたれ」
「ホントにな。なんか昔もこんなことあったような気がするんだが」
「知らねーいちいち覚えてねぇよあんなバカの話はよ。で?どうしてんのあいつ今」
「救急室でごゆっくり寝ていただいております。極度の緊張と過労だそうですよ」
「はぁー…」
面倒なやつだ。
「仕方ねぇな…場所近いし死に顔見てきてやるか、面白そうだし」
「まぁネタにはなるな」
まぁ昼間はヤクザ、夜はホストで昨日はハッスルしちゃってるわけだし、てかあいつのことだから果たしてあれから家に帰ったんだろうか。
立ち上がってみると、若手全員が葬式面してやがって。
ガキはガキで疲れるなぁ、まったく。
「取り敢えず残るヤツは夕方の潜入に備えて現地集合。辞めるヤツは辞表でも書いて政宗おじさんのデスクに置いといて」
「誰がおじさんだ、姫」
「じゃぁおじいさん」
「あのなぁ」
「いいから早く行くよ。早く行かないとあいつ密葬されちゃうから」
「は?」
あ、このネタ政宗には通用しないか。
「なぁ潤さん」
力なく、といった感じで諒斗が俯いて言う。
「何?」
「俺も拝みに行っちゃダメかね?俺さ…」
あぁ、面倒臭い。
「ガキは良い子に大人の言うことを聞きなさい。あんたは俺のプレイを聞き届けんだろ?」
そう諒斗に言うと、政宗に軽く脇腹を小突かれた。地味に痛いしくすぐったくて「ちょっ、」と、咄嗟に政宗の手をぶっ叩いてしまった。
「お前を風営法違反で検挙してやろうか」
「あんたの管轄外でしょーが」
取り敢えず片手を振って射撃場を後にした。
思い出すのは何も、お前だけじゃないのに。どうしてお前はいつも、一人になりたがるんだろう。
考えてやる義理もない。俺は昔からあいつが好きではない。だが皮肉にも、こう長いと、考えなんて手に取るようにわかる、大体は。
怖いのは、たまに全くわからないときがあること。昔から、予想外の事を仕出かす。
溜め息しか出なかった。
昔のことは、忘れた。多分これは俺の中の防衛本能と言うやつで。
ただ、あの面を見るのは腹が立ってぶん殴りそう。それだけはあまりしてやりたくはないし体力の無駄だから取り敢えず射撃場に行こう。
だが射撃場に行ったら、思わず笑ってしまった。
「あれ?」
「潤さん!?」
さっき部署を出て行った若手集団が勢揃いしていた。
「なーにしてんの、補導しちゃうよ?」
「潤さんこそ…え?」
こりゃぁ場所がねぇじゃねぇか。
「潤さんも家出しちゃったんですかぁ?」
「家出って。お前らじゃないんだから。ちょっと気分転換。
ほらさ、デスク隣だからあの鉄面皮の横顔見なきゃならないわけ。マジうぜぇから抜けてきたわ」
仕方ないので特に何もせず壁に凭れて胡座をかくと、
「相変わらず口が悪いですね…」
と、瞬に言われた。そういえばこいつも鉄面皮タイプだ。
「よく言われるけどそんな悪いかねぇ?」
「はい、超絶」
「だー!思い出したらムカついてきたぞ!」
そう叫んで銃をぶっ放す諒斗。「やれやれ」とか言って瞬も隣で撃ち込み始めた。
あぁ、なんかこれ。
「なんか私も腹立ってきた…」
とか言って霞ちゃんまで5発くらい連射して愛蘭ちゃんに「止めなさいよ、肩壊すよ」と忠告を受けていて。
てか5発連射ってすげぇな。お前めちゃくちゃ重そうなやつ使ってんじゃん。怪物並の腕力だ。それ弾詰りそうだけど。こんな女絶対抱きたくないな。
「霞ちゃんすごいね、怪物じゃん」
「え、やっだぁ~!やめてくださいよぅ」
うわぁ、すっげぇ胡散臭ぇ。
特に意識もせずタバコに火をつけると一斉に、「あっ」「ちょっと!」「ダメですよ!」「潤さん!」と非難の嵐。
うるさいなぁ、でも…。
やっぱり笑ってしまった。
「…何がおかしいんですか?」
疑問顔で聞いてくる愛蘭ちゃんに、「いいや、」と返す。
「俺もやろっかなぁ」
なんか、柄にもなく思い出しちゃったよ。
よく、あいつと抜け出して射撃場で銃ぶっ放して。
喧嘩になって…。
あの人がいつの間にか来てくれてて、
「やっぱ、やめた」
「えぇ!?」
「どうせなら腕前見てみたい!」
「やだ。俺そんなに上手くねぇし」
思い出したくはないけど。
思い出したら悪いものでもなくて。
『人は別に殺さなくていい。殺すのは…』
そう言って銃を構えて撃つ姿さえなんだか神々しいが、どこかもの悲しくもあって。
『自分を殺そうとする敵だけで充分だ』
だから、俺は。
こんなもん、上手くなんなくてもいいって思ったんだ。
『潤は、自分を守ればいい。自分の手の届く範囲を』
そう優しく微笑んでくれたから、信じられたんだ。
「お前らも、いたのか…」
ふと後ろから、政宗の声がして、振り返る。
憔悴したような顔をしていた。何かがあったのは明白だった。
大方、あの単細胞と喧嘩でもしたのだろう。5課の連中からの内線を取った時点でイライラしていたからな。
ぼーっと見上げていたら、政宗は完全に疲れきった顔で溜め息混じりに一言、「流星ぶっ倒れた」と述べる。まさかの一言にタバコを吹き出してしまった。
「は、はぁ!?」
「うん、書類手にしてそのままスターンって」
うわぁ、なんかビジョンが頭に浮かんでしまった。
「えぇぇ!」
「ちょ、なんで!?」
「無理、してたんですね…」
「部長…」
あぁ、なんてバカなんだあいつ。
「なんだそりゃ」
最早それは。
「ギャグセン低すぎて笑えねーよあのバカたれ」
「ホントにな。なんか昔もこんなことあったような気がするんだが」
「知らねーいちいち覚えてねぇよあんなバカの話はよ。で?どうしてんのあいつ今」
「救急室でごゆっくり寝ていただいております。極度の緊張と過労だそうですよ」
「はぁー…」
面倒なやつだ。
「仕方ねぇな…場所近いし死に顔見てきてやるか、面白そうだし」
「まぁネタにはなるな」
まぁ昼間はヤクザ、夜はホストで昨日はハッスルしちゃってるわけだし、てかあいつのことだから果たしてあれから家に帰ったんだろうか。
立ち上がってみると、若手全員が葬式面してやがって。
ガキはガキで疲れるなぁ、まったく。
「取り敢えず残るヤツは夕方の潜入に備えて現地集合。辞めるヤツは辞表でも書いて政宗おじさんのデスクに置いといて」
「誰がおじさんだ、姫」
「じゃぁおじいさん」
「あのなぁ」
「いいから早く行くよ。早く行かないとあいつ密葬されちゃうから」
「は?」
あ、このネタ政宗には通用しないか。
「なぁ潤さん」
力なく、といった感じで諒斗が俯いて言う。
「何?」
「俺も拝みに行っちゃダメかね?俺さ…」
あぁ、面倒臭い。
「ガキは良い子に大人の言うことを聞きなさい。あんたは俺のプレイを聞き届けんだろ?」
そう諒斗に言うと、政宗に軽く脇腹を小突かれた。地味に痛いしくすぐったくて「ちょっ、」と、咄嗟に政宗の手をぶっ叩いてしまった。
「お前を風営法違反で検挙してやろうか」
「あんたの管轄外でしょーが」
取り敢えず片手を振って射撃場を後にした。
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