雨はやむ、またしばし

二色燕𠀋

文字の大きさ
10 / 32

2

しおりを挟む
「……あの、さ、」

 舌が縺れる。

「なんだ」
「車から」

 沈黙になってしまった。

「車から、出たら…タイマー入れて」

 言い直す。

「…ん」
「あの人、中断嫌みたい」
「…一応言っとくけどまた一時間で取ってるぞあのブタ」
「ブタって言わないで。お客さんだから。わかるでしょ」
「タイマーなんてお前で入れろよ」
「そんな暇ない。この前ホントは2時間だったから。部屋に入った瞬間なの、マジで。だからもう俺が車降りるのと大差ないから」
「…はぁ、あっそ。何言ってるかわかんねぇよバカなんじゃないの、お前」
「うん。電話も次入るまで掛けてこないで。マナーモードは解除しとくから」
「…何日だよそれ、永遠かよ」

 今度は桜木が不機嫌になる。
 それだけでかなり気分がよくなった。

 ついでに今度は、ダッシュボードから頭痛薬を取り出して飲んだ。
 横目で見られる。

 こっちは顆粒だ、「ずつぅ薬だぉ、」と舌足らずになってしまった。この薬、舌が痛くなるんだよなとか、そんなことを考えて。

「ご新規前に飲んでたんじゃねぇの?」
「知らないの?性交時頭痛。飲んどかないとプレイ中に痛くなって萎えるの。まぁ別に良いけど、俺は勃起してなくても」
「…ふーん」
「痛くなったらすぐセデス~」
「頭悪っ。なったらかよ」

 それから無言で新宿のビジネスホテルに向かった。

 正直、桜木がタイマーを入れたかなんて知らない、まぁないだろう、他に送迎もあるわけだし。

 五反田は有名な電子機器メーカーの社長だ。収入もえげつない。だからこそ週一か二で遊べるのだろう。

 本来なら初回でもなく、120分20,000円を延長しているし、あの人は一時間12,000円と、いつの間にかオーナーが高くしたのだ。
 計上出来ていないとしても…二時間月4だとして単純計算で一月最低96,000円。
 自分なら無理だ。

 一応入り時間くらいは確認した。21:48。

 まぁ、22時か…てことは何時に帰れるか、ホントに終電なくなっちゃったりしてな…とぼんやり思いながら、灯はトントンと戸を叩いた。
 ラブホじゃないし、フロントを通った時点で自分が来ているのなんて、相手も承知なのだけど。

「こんばんは、オリオンのアカリです」

 返事はないけど部屋に入った。念のためにこっそりストップウォッチくらいは入れる。

「アカリちゃん!いらっしゃい!」

 五反田はテーブルでピザを食っていた。

「ご指名ありがとうございます、五反田さん」

 靴を脱ぐ、までは出来た。

 五反田は食いかけのピザを置いて「待ってたよぉ」とドタバタ、粘っこい甘え声で玄関までお出まし、すぐに抱きついてきた。

「ん、どうも、どう…」

 あやすように五反田の背を撫でると、早速壁に押さえつけられ脂ぎった口で首筋を舐められる。
 早急に、自身のベルトをカチャカチャと外し始め、「お風呂は…」と言っているうちに股間をすりすりと、股間に擦り付けられた。

 あぁ…始まった。

「五反田さん…、」

 はぁはぁと犬…鼻息も混じり正直ブタのように「ねぇ、ねぇ、」と見境がない。
 スキニーの上から股間をねっとりと撫でられる。

 確かに、さっきの不完全燃焼がある、触って貰った方がこの、生理的に無理なタイプはやり凌げるのだけども。

「アカリちゃん……今日も可愛いねぇ」
「五反田さん…お風呂、入りたいな、」
「その前にちょっと、ねぇ、俺待ってたんだよ、俺は入ったから気にしないでよ、」

 汗の匂いとかめっちゃするけど…。

「んん…あの、」
「アカリちゃん他の男のとこ行ってたよね、ねぇすぐ入る?ねぇ、」
「うん、そうだけど、じゃぁあの…ねぇ、これ、まだでしょ、ちょっと待って、」

 超圧。押し潰されそう。

 こんな時、背が少し小さいのは役に立つ。
 すっと下にしゃがみ「これ好き」と言いながら息を止め、まずパンツの上から咥えてやった。

  「あ、もう~エロいなぁ」と、圧死は回避出来たのだが頭をがしっと掴まれ、イマラ状態になってしまった。

 でも、まだマシ。歯とか立てて食い千切りたい衝動はギリギリ抑えられる、これなら。

 ただ少し噎せそうだった。

 暫くは我慢が出来たが、やはり一度「かはっ、」と顔を背けて咳き込んでしまう。

「ねぇ、もうヤバイから立って?」

 少し睨んでも相手は見ていないのだ、ニコニコと鼻の下が伸びている。

 立って?ではなく、腕を掴み上げられ、力ないままスキニーごと下げられた。
 そして後ろ手に取られ即、挿入される。

 それもまだマシだ、そんなに質量がない。
 が、抜き刺しじゃない、思いっきりガツガツ突かれるし、そもそも押さえつけられてもいるから床オナならぬ壁に擦られる、それはわりと痛い、勢いがあって。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

人族は一人で生きられないらしい――獣人公爵に拾われ、溺愛されて家族になりました

よっちゃん
BL
人族がほとんど存在しない世界に、 前世の記憶を持ったまま転生した少年・レオン。 獣人が支配する貴族社会。 魔力こそが価値とされ、 「弱い人族」は守られるべき存在として扱われる世界で、 レオンは常識の違いに戸惑いながらも必死に生きようとする。 そんな彼を拾ったのは、 辺境を治める獣人公爵アルト。 寡黙で冷静、しかし一度守ると決めたものは決して手放さない男だった。 溺愛され、守られ、育てられる日々。 だが、レオンはただ守られるだけの存在で終わることを選ばない。 学院での出会い。 貴族社会に潜む差別と陰謀。 そして「番」という、深く重い絆。 レオンは学び、考え、 自分にしかできない魔法理論を武器に、 少しずつ“並び立つ覚悟”を身につけていく。 獣人と人族。 価値観も、立場も、すべてが違う二人が、 それでも選び合い、家族になるまでの物語。 溺愛×成長×異世界BL。 読後に残るのは、 「ここに居場所があっていい」と思える、あたたかな幸福。

僕の、しあわせ辺境暮らし

  *  ゆるゆ
BL
雪のなか僕を、ひろってくれたのは、やさしい男の子でした。 ふたりの、しあわせな辺境暮らし、はじまります! ふたりの動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵もあがります YouTube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます プロフのwebサイトから飛べるので、もしよかったら!

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

僕たち、結婚することになりました

リリーブルー
BL
俺は、なぜか知らないが、会社の後輩(♂)と結婚することになった! 後輩はモテモテな25歳。 俺は37歳。 笑えるBL。ラブコメディ💛 fujossyの結婚テーマコンテスト応募作です。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

BL 男達の性事情

蔵屋
BL
 漁師の仕事は、海や川で魚介類を獲ることである。 漁獲だけでなく、養殖業に携わる漁師もいる。  漁師の仕事は多岐にわたる。 例えば漁船の操縦や漁具の準備や漁獲物の処理等。  陸上での魚の選別や船や漁具の手入れなど、 多彩だ。  漁師の日常は毎日漁に出て魚介類を獲るのが主な業務だ。  漁獲とは海や川で魚介類を獲ること。  養殖の場合は魚介類を育ててから出荷する養殖業もある。  陸上作業の場合は獲った魚の選別、船や漁具の手入れを行うことだ。  漁業の種類と言われる仕事がある。 漁師の仕事だ。  仕事の内容は漁を行う場所や方法によって多様である。  沿岸漁業と言われる比較的に浜から近い漁場で行われ、日帰りが基本。  日本の漁師の多くがこの形態なのだ。  沖合(近海)漁業という仕事もある。 沿岸漁業よりも遠い漁場で行われる。  遠洋漁業は数ヶ月以上漁船で生活することになる。  内水面漁業というのは川や湖で行われる漁業のことだ。  漁師の働き方は、さまざま。 漁業の種類や狙う魚によって異なるのだ。  出漁時間は早朝や深夜に出漁し、市場が開くまでに港に戻り魚の選別を終えるという仕事が日常である。  休日でも釣りをしたり、漁具の手入れをしたりと、海を愛する男達が多い。  個人事業主になれば漁船や漁具を自分で用意し、漁業権などの資格も必要になってくる。  漁師には、豊富な知識と経験が必要だ。  専門知識は魚類の生態や漁場に関する知識、漁法の技術と言えるだろう。  資格は小型船舶操縦士免許、海上特殊無線技士免許、潜水士免許などの資格があれば役に立つ。  漁師の仕事は、自然を相手にする厳しさもあるが大きなやりがいがある。  食の提供は人々の毎日の食卓に新鮮な海の幸を届ける重要な役割を担っているのだ。  地域との連携も必要である。 沿岸漁業では地域社会との結びつきが強く、地元のイベントにも関わってくる。  この物語の主人公は極楽翔太。18歳。 翔太は来年4月から地元で漁師となり働くことが決まっている。  もう一人の主人公は木下英二。28歳。 地元で料理旅館を経営するオーナー。  翔太がアルバイトしている地元のガソリンスタンドで英二と偶然あったのだ。 この物語の始まりである。  この物語はフィクションです。 この物語に出てくる団体名や個人名など同じであってもまったく関係ありません。

龍の無垢、狼の執心~跡取り美少年は侠客の愛を知らない〜

中岡 始
BL
「辰巳会の次期跡取りは、俺の息子――辰巳悠真や」 大阪を拠点とする巨大極道組織・辰巳会。その跡取りとして名を告げられたのは、一見するとただの天然ボンボンにしか見えない、超絶美貌の若き御曹司だった。 しかも、現役大学生である。 「え、あの子で大丈夫なんか……?」 幹部たちの不安をよそに、悠真は「ふわふわ天然」な言動を繰り返しながらも、確実に辰巳会を掌握していく。 ――誰もが気づかないうちに。 専属護衛として選ばれたのは、寡黙な武闘派No.1・久我陣。 「命に代えても、お守りします」 そう誓った陣だったが、悠真の"ただの跡取り"とは思えない鋭さに次第に気づき始める。 そして辰巳会の跡目争いが激化する中、敵対組織・六波羅会が悠真の命を狙い、抗争の火種が燻り始める―― 「僕、舐められるの得意やねん」 敵の思惑をすべて見透かし、逆に追い詰める悠真の冷徹な手腕。 その圧倒的な"跡取り"としての覚醒を、誰よりも近くで見届けた陣は、次第に自分の心が揺れ動くのを感じていた。 それは忠誠か、それとも―― そして、悠真自身もまた「陣の存在が自分にとって何なのか」を考え始める。 「僕、陣さんおらんと困る。それって、好きってことちゃう?」 最強の天然跡取り × 一途な忠誠心を貫く武闘派護衛。 極道の世界で交差する、戦いと策謀、そして"特別"な感情。 これは、跡取りが"覚醒"し、そして"恋を知る"物語。

処理中です...