7 / 15
Hot Pink Fade
6
「ただいま一花。この通り大丈夫デス…」
「心配したんだよっ!パパお疲れ様おかえり!」
「はは…ただいまありがとう一花。お兄ちゃんは強かったよー」
一花をなでると「もーーー!」と抱きついてくる。
ほぼ1歳差でこの甘えよう…凄い。
「あ、一花。お兄ちゃん頭は打ったから刺激は与えないだげて…」
「由亜お姉ちゃんに聞いた何マジでヒドくない!?相手!しかも学くんが」
「そう、今入院しちゃって…」
「入院ん!?」
興奮する一花に父さんが「あー、1回家に入れてー…」と促してくれた。
「きょーはおかゆにしたの!よくわかんなかったから!」
「えっ」
「いや…えっとまぁ…」
「え?間違えた?もしかして」
「あーまぁ、じゃーなんか肉焼くかー…ありがとな一花。合ってる合ってる…病院だからなぁ」
父さんが目で「すまんユキ」と言っているのがわかる…。
リビングに行けば、母さんがソファから起き上がり「あっ…」と、気まずそうにパッとケータイから目を離す。
「ただいま」
「あの…朔夫さん、」
「ユキ、一応今日は安静にだってさ。まぁ、多分大丈夫だろうけど、と」
「あ、そうなの、大丈夫なのね」
「概ね、ね。
ユキも座ってテレビ…あ、ポリゴンショックとか起きそうなら消してなー」
「…えっと…」
「あ、今のテレビって大丈夫なんだっけ。
一応な一応。昔文杜が言ってたの思い出した。思っクソ殴られたあとテレビ見たらキラキラチカチカとポリゴンショックみたいになってぶっ倒れたって」
文杜さん…例の由亜ちゃんパパのバンド“でんにじ”のベース…ちょっと怖い顔の…たまに父さんの配信にコメントしてる人だ…。
と思い出す中「なにそれー!?」と一花が騒ぐ。
間の後「あ、それアニメのヤツだっけ…」と母さんが呟く。
「母さんもしかして…子供だった世代?アニメ見て色彩だかなんだかの関係で倒れてけいれん発作起こした子供が続出したやつ」
「何それお兄ちゃんそれになっちゃうの!?」
「っていうか殴られたって本当だったの!?」
「そんな笑えない嘘は吐かないよ。
お兄ちゃん、頭は打ったけど、とりあえず今日は特に様子見て…て感じ。大体大丈夫だから帰って来れたけど…一応、てやつね。
ケータイとかもキツかったら見るのをやめること。ユキが倒れたら俺死んじゃう」
「いや父さん…」
「当たり前だろ俺の可愛いユキがてんかんになったら俺も倒れ…てる場合じゃないな。あのクソガキぶっ飛ばしてや……大人だからな俺は。アカネちゃんの話に乗って親を訴えることにする」
「……わかった安静にしてる。何かあったらちゃんと言うよ」
「おう。
一花、そんな訳で栄養つけよう肉肉。ちゃちゃっと焼いてやるよー」
「パパ水仕事していーの!?」
「大丈夫大丈夫、そんくらいでへにゃるほど柔な指じゃねーから。てか、いつもやってんじゃん?」
「あそっか」
「心配してくれてありがと、可愛いな一花も全く」
デレッとしているいつもの父さんに「まぁなんかわかったわ」と、母さんはすん、とまたケータイをいじり「あんたは相手になんもしてないでしょうね?」と耳打ちしてきた。
「せ…正当防衛的な感じだったと思うけど多分何も出来てないです…」
「怪我させたのか聞いてんの」
「…一応、相手も病院に…」
「麻衣」
母さんを名前で呼んだ父さんにピリッとしたのは、一花もオレもだった。
「そんなに言うなら病院来て欲しかったけど」
ふぅ、と息を吐き「…ユキはただ友達を守っただけだから」と…聞いてわかる、低くなりそうな声をなんとか穏やかに保とうとしている。
「…お兄ちゃんならやりそう」
「だろ?お兄ちゃんのは名誉の負傷ってやつだ一花。超かっこいくね?」
「うん、でも」
「だな。無茶はした。けど悪いことじゃないから父さんは怒れませーん!ウチの子最強でサイコーだもん」
それからふんふん、と鼻歌を唄いながら一花に「肉先!に入れて!」と指示を出し仲良く料理をする二人を背にチラッと母さんのスマホが見える。
“今日はごめんね”、“ウチの子怪我したらしいから様子見らしくて”という文字。ヨシくん。
…なんとなく、父さんしか来なかった理由はわかっていたけど。母さんはきっと家に居なかったんだ。
……オレは学くんもギターも守れなくて。
これを見逃すことが、何かを壊さないこと……。
なんだ、全てがもどかしい。
父さん、オレ、何が正しいのかな…とふと父さんを見れば「んーどした?ユキ」と心配してくれる。
「あ、いや、お腹空いたのかも」とごまかす。だって、何も言えないし…。
ニコッと笑ってくれて「すぐ行くすぐ行く」と言ってくれる優しい人…。
自分のまわりにはたくさん良い人がいるのに。
だから誰も傷ついて欲しくないけど、いつか傷付いてしまうのが…当たり前だなんて。
「…母さん」
つい、耳打ちしてしまう。
「何?具合悪いの?」
「オレが怪我したの、ダメだった?」
母さんは黙り「……何?」と不機嫌。
ねぇ母さん、それ、わかってるよ。
「心配したんだよっ!パパお疲れ様おかえり!」
「はは…ただいまありがとう一花。お兄ちゃんは強かったよー」
一花をなでると「もーーー!」と抱きついてくる。
ほぼ1歳差でこの甘えよう…凄い。
「あ、一花。お兄ちゃん頭は打ったから刺激は与えないだげて…」
「由亜お姉ちゃんに聞いた何マジでヒドくない!?相手!しかも学くんが」
「そう、今入院しちゃって…」
「入院ん!?」
興奮する一花に父さんが「あー、1回家に入れてー…」と促してくれた。
「きょーはおかゆにしたの!よくわかんなかったから!」
「えっ」
「いや…えっとまぁ…」
「え?間違えた?もしかして」
「あーまぁ、じゃーなんか肉焼くかー…ありがとな一花。合ってる合ってる…病院だからなぁ」
父さんが目で「すまんユキ」と言っているのがわかる…。
リビングに行けば、母さんがソファから起き上がり「あっ…」と、気まずそうにパッとケータイから目を離す。
「ただいま」
「あの…朔夫さん、」
「ユキ、一応今日は安静にだってさ。まぁ、多分大丈夫だろうけど、と」
「あ、そうなの、大丈夫なのね」
「概ね、ね。
ユキも座ってテレビ…あ、ポリゴンショックとか起きそうなら消してなー」
「…えっと…」
「あ、今のテレビって大丈夫なんだっけ。
一応な一応。昔文杜が言ってたの思い出した。思っクソ殴られたあとテレビ見たらキラキラチカチカとポリゴンショックみたいになってぶっ倒れたって」
文杜さん…例の由亜ちゃんパパのバンド“でんにじ”のベース…ちょっと怖い顔の…たまに父さんの配信にコメントしてる人だ…。
と思い出す中「なにそれー!?」と一花が騒ぐ。
間の後「あ、それアニメのヤツだっけ…」と母さんが呟く。
「母さんもしかして…子供だった世代?アニメ見て色彩だかなんだかの関係で倒れてけいれん発作起こした子供が続出したやつ」
「何それお兄ちゃんそれになっちゃうの!?」
「っていうか殴られたって本当だったの!?」
「そんな笑えない嘘は吐かないよ。
お兄ちゃん、頭は打ったけど、とりあえず今日は特に様子見て…て感じ。大体大丈夫だから帰って来れたけど…一応、てやつね。
ケータイとかもキツかったら見るのをやめること。ユキが倒れたら俺死んじゃう」
「いや父さん…」
「当たり前だろ俺の可愛いユキがてんかんになったら俺も倒れ…てる場合じゃないな。あのクソガキぶっ飛ばしてや……大人だからな俺は。アカネちゃんの話に乗って親を訴えることにする」
「……わかった安静にしてる。何かあったらちゃんと言うよ」
「おう。
一花、そんな訳で栄養つけよう肉肉。ちゃちゃっと焼いてやるよー」
「パパ水仕事していーの!?」
「大丈夫大丈夫、そんくらいでへにゃるほど柔な指じゃねーから。てか、いつもやってんじゃん?」
「あそっか」
「心配してくれてありがと、可愛いな一花も全く」
デレッとしているいつもの父さんに「まぁなんかわかったわ」と、母さんはすん、とまたケータイをいじり「あんたは相手になんもしてないでしょうね?」と耳打ちしてきた。
「せ…正当防衛的な感じだったと思うけど多分何も出来てないです…」
「怪我させたのか聞いてんの」
「…一応、相手も病院に…」
「麻衣」
母さんを名前で呼んだ父さんにピリッとしたのは、一花もオレもだった。
「そんなに言うなら病院来て欲しかったけど」
ふぅ、と息を吐き「…ユキはただ友達を守っただけだから」と…聞いてわかる、低くなりそうな声をなんとか穏やかに保とうとしている。
「…お兄ちゃんならやりそう」
「だろ?お兄ちゃんのは名誉の負傷ってやつだ一花。超かっこいくね?」
「うん、でも」
「だな。無茶はした。けど悪いことじゃないから父さんは怒れませーん!ウチの子最強でサイコーだもん」
それからふんふん、と鼻歌を唄いながら一花に「肉先!に入れて!」と指示を出し仲良く料理をする二人を背にチラッと母さんのスマホが見える。
“今日はごめんね”、“ウチの子怪我したらしいから様子見らしくて”という文字。ヨシくん。
…なんとなく、父さんしか来なかった理由はわかっていたけど。母さんはきっと家に居なかったんだ。
……オレは学くんもギターも守れなくて。
これを見逃すことが、何かを壊さないこと……。
なんだ、全てがもどかしい。
父さん、オレ、何が正しいのかな…とふと父さんを見れば「んーどした?ユキ」と心配してくれる。
「あ、いや、お腹空いたのかも」とごまかす。だって、何も言えないし…。
ニコッと笑ってくれて「すぐ行くすぐ行く」と言ってくれる優しい人…。
自分のまわりにはたくさん良い人がいるのに。
だから誰も傷ついて欲しくないけど、いつか傷付いてしまうのが…当たり前だなんて。
「…母さん」
つい、耳打ちしてしまう。
「何?具合悪いの?」
「オレが怪我したの、ダメだった?」
母さんは黙り「……何?」と不機嫌。
ねぇ母さん、それ、わかってるよ。
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
そのほかに外伝も綴りました。
与兵衛長屋つれあい帖 お江戸ふたり暮らし
かずえ
歴史・時代
旧題:ふたり暮らし
長屋シリーズ一作目。
第八回歴史・時代小説大賞で優秀短編賞を頂きました。応援してくださった皆様、ありがとうございます。
十歳のみつは、十日前に一人親の母を亡くしたばかり。幸い、母の蓄えがあり、自分の裁縫の腕の良さもあって、何とか今まで通り長屋で暮らしていけそうだ。
頼まれた繕い物を届けた帰り、くすんだ着物で座り込んでいる男の子を拾う。
一人で寂しかったみつは、拾った男の子と二人で暮らし始めた。
課長と私のほのぼの婚
藤谷 郁
恋愛
冬美が結婚したのは十も離れた年上男性。
舘林陽一35歳。
仕事はできるが、ちょっと変わった人と噂される彼は他部署の課長さん。
ひょんなことから交際が始まり、5か月後の秋、気がつけば夫婦になっていた。
※他サイトにも投稿。
※一部写真は写真ACさまよりお借りしています。