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Stratocaster EC
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ケータイを再びポチポチすると、コンコン、とドアが鳴り「すみません、遅くなりました…!」と…おばあちゃんとメガネくんと。
「て、天使のハイエナさん!」
マスクをしてニコッと笑ったその人がピクっとまゆげを動かして、でも笑顔で「おひさしぶり~」と手をふってくれたのに、なぜかメガネくんとこいちゃんがふき出した。
おばあちゃんが「えっと…」となっていたので「すみませんおばあ様」と、まじめにメガネくんが言った。
「あの…」
おばあちゃんがオロオロする中、天使のハイエナさんが「すみません、平良さんのドウリョウでして…」と言う。
「え、え、はい」
「おばちゃんごめん、ありがとう、来てくれて…」
「いえいえ…お正月イライね…茜ちゃんも平良さんも元気そうでよかったけど…」
おばあちゃんはボクを見て「学ちゃんっ、」と泣きそうになっていた。
「……ホントにごめんなさい。あたしのカントクフユキトドキです…」
「いえあの…。
送られてきた動画、見たわ…お友達がとってくれたって」
「………は?」
こいちゃんは声を下げメガネくんをにらむ。
メガネくんは困った、いけないことをしたという感じで目頭を押さえ「いや状況は聞いたけどその…」とオロオロしている。
そんなメガネくんの後ろから「…ちょっと疲れてたみたいで…」と、天使のハイエナさんが言ったけれど。
「…おばちゃんごめん、マジでショッキングなやつを……このっ、クソメガネ!お前どこまでノンデリなんだよっ!」
「いや説明まとまんなくてみせた方が早いと思ったけどその……すみませんおばあ様…その」
「あ、いえ、はい……ちょっと…かなり、ビックリして…」
少しおびえる感じのおばあちゃんに「おばあちゃん!ボクダイジョブ!」と言えばまたピキっとする。
「学ちゃん……!」
「変な人に幸村くんのギター取られそうになったからなぐろうとしたらなぐられただけ!」
「あっ、それ」
「学ちゃんなんてことなの……っ!」
おばあちゃんが泣きながらこっちに来て手を伸ばしたけれど、それをやめ「茜ちゃん、私もごめんね…」と言った。
「私が出来ないばかりに、ありがとう学ちゃんをみてくれて…」
「いやその…逆にそれあれです、ザイアクカンがハンパないですもうホントに…」
「…それでどう…いう…?」
落ちつくように座ってカンゴフさんを見たおばあちゃんは「あ、はい。先ほど血液型を見たのですが…」と、カルテを見る。
「血液型とケツエンは確認できました。大丈夫ですね。ドナー登録させていただきました」
「はい、よかったです~…」
「今回は…頭と右手に傷がついてしまいまして血が流れて…えっと、動画というのは…こちらでもお見せいただいたものでしょうかね…?」
「あ、はい…ダンナに送ったので…おばちゃん、それだよね?」
「うん……。
首は…」
「打ち身ですが治るのに…少しかかりそうですね…」
こいちゃんがふと、ケースからギターを出した。
スゴく…血がついている。
みんなが声をつまらせてシーンとした。
こいちゃんはピックアップガードをさし「ここ」と言った。
「ぃやっ、」
ふっと後ろにギターを置くと「あっ、」とこいちゃんが言うのと同時にがたん、と音がし「………ガード取れた…」と言う…。
「こいちゃん!」
「…ごめん学…」
「そうじゃなくてこいちゃんのギター…」
「あー、いやこれはもう学のだし…だから、ごめん…と言っても多分もう使えないんだけど…」
「ごめんねこいちゃんボクが、ボクがそれ、」
「いーや、それについてはいいけど…そうだね、ぶんなぐろうとしたってのは今聞いたよ?」
「………うん、あの人、」
「そこはいけないところだよ学。
でも…多分、幸村くんがやられた?からやったろうとしたんかな?」
「………ぅん、」
「それじゃ仕方ないけど、ダメだね、手でいかないと」
「いやそれはどうなんだ茜…」
「なんで?大切なことでしょ。
ただまぁ…幸村くん、頭打ったりショック受けたりはあったけど、今のところ大丈夫だから帰れたって。そこはよかったよね。
学、手でなぐれば手が痛くなる、だからわかるんだよ、かげんが。
あんたはこれでなぐろうとしたからこうなっちゃったということで、反省ね。一番ケガしたのは自分が武器を使ったからだ」
みんな何も言えないみたいだけど。
だからボクは真っ直ぐ「わかってた、ごめんなさい」とあやまれた。
「…暴力は、戻れなくなったらダメだかんね?よくわかってるでしょ。でも、自分とか…誰かが死にそうな時はやられっぱなしでもよくないから、ムズいよね。だから、考えるんだよ?」
「はい……」
「ところで…」
天使のハイエナさんがひょいっと顔を出した。
「学くん、前より言葉がちゃんと出てるよね」
あれ?
みんなが一緒に「あ」「あマジだ」「私も思ったの」と言った。
「あれ」
「…何か一つ良いことした事になったから、返ってきたのかもね?でも、お母さんが」
「こいちゃん」
「…こいちゃんが言ったことは正しいことだったよね?
あ、学くんあらためまして。えっと…パパ」
「メガネくん」
「…メガネくん、今とても忙しいから、たまに俺がメガネくんのかわりに“お父さん”として手続きしに来たりするんだけど、大人のジジョーでメガネくんのことも俺のことも、病院内では「お父さん」でも「パパ」でも」
「お父さん」
「そうそう、そういうことにして欲しい。トーカも来たがったんだけど、ちょっとこれも大人のジジョーで出来なくてね」
「…天使のハイエナさんは、天使の、お父さんじゃ、なかったの?」
「て、天使のハイエナさん!」
マスクをしてニコッと笑ったその人がピクっとまゆげを動かして、でも笑顔で「おひさしぶり~」と手をふってくれたのに、なぜかメガネくんとこいちゃんがふき出した。
おばあちゃんが「えっと…」となっていたので「すみませんおばあ様」と、まじめにメガネくんが言った。
「あの…」
おばあちゃんがオロオロする中、天使のハイエナさんが「すみません、平良さんのドウリョウでして…」と言う。
「え、え、はい」
「おばちゃんごめん、ありがとう、来てくれて…」
「いえいえ…お正月イライね…茜ちゃんも平良さんも元気そうでよかったけど…」
おばあちゃんはボクを見て「学ちゃんっ、」と泣きそうになっていた。
「……ホントにごめんなさい。あたしのカントクフユキトドキです…」
「いえあの…。
送られてきた動画、見たわ…お友達がとってくれたって」
「………は?」
こいちゃんは声を下げメガネくんをにらむ。
メガネくんは困った、いけないことをしたという感じで目頭を押さえ「いや状況は聞いたけどその…」とオロオロしている。
そんなメガネくんの後ろから「…ちょっと疲れてたみたいで…」と、天使のハイエナさんが言ったけれど。
「…おばちゃんごめん、マジでショッキングなやつを……このっ、クソメガネ!お前どこまでノンデリなんだよっ!」
「いや説明まとまんなくてみせた方が早いと思ったけどその……すみませんおばあ様…その」
「あ、いえ、はい……ちょっと…かなり、ビックリして…」
少しおびえる感じのおばあちゃんに「おばあちゃん!ボクダイジョブ!」と言えばまたピキっとする。
「学ちゃん……!」
「変な人に幸村くんのギター取られそうになったからなぐろうとしたらなぐられただけ!」
「あっ、それ」
「学ちゃんなんてことなの……っ!」
おばあちゃんが泣きながらこっちに来て手を伸ばしたけれど、それをやめ「茜ちゃん、私もごめんね…」と言った。
「私が出来ないばかりに、ありがとう学ちゃんをみてくれて…」
「いやその…逆にそれあれです、ザイアクカンがハンパないですもうホントに…」
「…それでどう…いう…?」
落ちつくように座ってカンゴフさんを見たおばあちゃんは「あ、はい。先ほど血液型を見たのですが…」と、カルテを見る。
「血液型とケツエンは確認できました。大丈夫ですね。ドナー登録させていただきました」
「はい、よかったです~…」
「今回は…頭と右手に傷がついてしまいまして血が流れて…えっと、動画というのは…こちらでもお見せいただいたものでしょうかね…?」
「あ、はい…ダンナに送ったので…おばちゃん、それだよね?」
「うん……。
首は…」
「打ち身ですが治るのに…少しかかりそうですね…」
こいちゃんがふと、ケースからギターを出した。
スゴく…血がついている。
みんなが声をつまらせてシーンとした。
こいちゃんはピックアップガードをさし「ここ」と言った。
「ぃやっ、」
ふっと後ろにギターを置くと「あっ、」とこいちゃんが言うのと同時にがたん、と音がし「………ガード取れた…」と言う…。
「こいちゃん!」
「…ごめん学…」
「そうじゃなくてこいちゃんのギター…」
「あー、いやこれはもう学のだし…だから、ごめん…と言っても多分もう使えないんだけど…」
「ごめんねこいちゃんボクが、ボクがそれ、」
「いーや、それについてはいいけど…そうだね、ぶんなぐろうとしたってのは今聞いたよ?」
「………うん、あの人、」
「そこはいけないところだよ学。
でも…多分、幸村くんがやられた?からやったろうとしたんかな?」
「………ぅん、」
「それじゃ仕方ないけど、ダメだね、手でいかないと」
「いやそれはどうなんだ茜…」
「なんで?大切なことでしょ。
ただまぁ…幸村くん、頭打ったりショック受けたりはあったけど、今のところ大丈夫だから帰れたって。そこはよかったよね。
学、手でなぐれば手が痛くなる、だからわかるんだよ、かげんが。
あんたはこれでなぐろうとしたからこうなっちゃったということで、反省ね。一番ケガしたのは自分が武器を使ったからだ」
みんな何も言えないみたいだけど。
だからボクは真っ直ぐ「わかってた、ごめんなさい」とあやまれた。
「…暴力は、戻れなくなったらダメだかんね?よくわかってるでしょ。でも、自分とか…誰かが死にそうな時はやられっぱなしでもよくないから、ムズいよね。だから、考えるんだよ?」
「はい……」
「ところで…」
天使のハイエナさんがひょいっと顔を出した。
「学くん、前より言葉がちゃんと出てるよね」
あれ?
みんなが一緒に「あ」「あマジだ」「私も思ったの」と言った。
「あれ」
「…何か一つ良いことした事になったから、返ってきたのかもね?でも、お母さんが」
「こいちゃん」
「…こいちゃんが言ったことは正しいことだったよね?
あ、学くんあらためまして。えっと…パパ」
「メガネくん」
「…メガネくん、今とても忙しいから、たまに俺がメガネくんのかわりに“お父さん”として手続きしに来たりするんだけど、大人のジジョーでメガネくんのことも俺のことも、病院内では「お父さん」でも「パパ」でも」
「お父さん」
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「…天使のハイエナさんは、天使の、お父さんじゃ、なかったの?」
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