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An heroin near
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それから記憶の片隅くらいだけど、なんだか色々な話しはした気がする。結構楽しい話だったりしたかも。
けど、いつの間にかスミノフは全て瓶になり、ふと見た視界の端で西東さんが着てきたジャンバーを羽織ったから、取り敢えず立ち上がったら「危ない、危ないよ!」と手を伸ばされたけど。
そんなに危なくねぇよと思ってぴしっと立ってみたらやっと起きた。あぁ、ちょっと寝てたな俺。心配そうに腕を掴むスバルくんと、「へっへっ、おかんおかん」と笑う西東さん。
「玄関まででいいですよ。いきなりありがとう。あまちゃんをよろしくお願いしました」
「まぁ、はい」
「あまちゃん」
「あい、」
「これからも頑張って。また来ます」
取り敢えず鞄とか持って西東さんに渡してあげたり、なんか、俺的には習慣的なことをしていたら、「なんか俺漸く社長っぽいね」とか言っていた。
言いながら取り敢えず玄関まで見送った。
「いや社長さんですから。こちらこそ、楽しかったです。お構いとか出来ず、て言うかご馳走さまです?」
「あぁ。今度まともなもんでも奢らせてください。あまちゃんの会社設立記念に」
「西東さん、ありがと、」
帰ろうと靴を履いてる西東さんにハグ。というか少し良い話中申し訳ないけど眠いかも。凭れ掛かる。
「はっはっは!酒臭い。風呂でも入って寝なさいよ。じゃぁね」
帰っていく背中を眺めて漸く安心。息を吐くと確かに酒臭かった。
「風呂入る」
「…風呂入ったら倒れない?あまちゃん」
「大丈夫っしょ。目ぇ覚ましてくる」
それだけ告げて風呂場に直行。ふと襲った暗闇に、そうかこれも人と生きる事かと思う。
パーカーを脱いでみて、鏡に映った腹の傷。
あぁそうね。これは誰が見ても一瞬引くんよ。へその少し左上。まさか、カッターナイフでジャンキー父親に襲いかかられましたなんて言えないでしょう、誰にも。
それから気付いたら母親があんなことになっていただなんて、口が裂けてもいまは言えないよ。
『真樹、手を繋いでいよう。怖くないよ。大丈夫、母さんが、守ってあげるから』
押し入れの中で聞いた最期がうるさい。父親の怒号も物音も自分の動悸すらうるさかった。いまでも目の前のことのようだ。
『真樹…、』
そして司のあの熱がある潤んだ視線と指先と声。そして言うんだ、「その声が欲しい」と。喉詰まらせてる俺にあの人は。
うぜぇな自分。しつこい。シャワーがいい。冷たいくらいの。
お湯寄りの水の温度、多分15°くらいなのかな。自動を手動で設定して捻る。
冷たっ。何これぶっ壊れてね?殺す気かよスバルくん家の風呂、のシャワー。
でもめんどくせぇからいいやめんどくせぇ。滝行滝行。
スバルくんのあれと。
俺のこれって、果たしてどっちがいいんだろう。そしてどうしてこんなに違うんだろう。
みかんとカッター、この違い?まぁだいぶ違う。けど同じ。どうして君、俺よりずっとさっぱりしてるんだろう。
俺も君もきっと誰にも言えなかった。けど君は物理的にも言えない部分があって。俺は違う。でもどう違うの?
彼は記憶を知らない、知ってるけど。
俺は言葉が出ない、知ってるけど。声が出て行かないような事情なんだよ。それってどう違う。わからない。俺のセンスじゃわからない。
頭が冴えたら気持ちも冴え渡った。なんだか素直にも前向きにもなれない。けど少し位は楽だ、悲しいほど空虚に。多分これは俺だけの感性、いや、聞こえが良すぎるな、渇感。
知りたい、知っている、知りたくない。全て本当でよくわからない。俺は結局何も出来ない。昔から、今だって。
ねぇ母さん俺はさ。
俺に生きてくれと言ったあんたをいまなら恨みたい、でもどうだろう。生きてて良いのかもうわからない。生きていたいかも少し麻痺した気がするんだよ。これって幸せなの?
てか寒いな。いい加減にしよう。
身体洗って髪も洗って温度設定も直した。風呂場から出たら外気が一気に肌を舐めて鳥肌。
パーカーとパンツとスエットズボンを早着替えしてタオルを肩に掛ければ、そのタオルすら、髪の毛の冷たさを感じる。
毛穴開いてなんか全体的に禿げそう。オルタナロッカーハゲ散らかす。なんちゃって。
リビングのドアを開けると、スバルくんがキッチンに立ってお弁当を作っていた。青いお弁当箱。
あれ?そういう感じだっけスバルくんの会社。
「お弁当?」
「あぁうん。きんぴら余ったから」
「ふぅん」
「まあ飽きたとか言うなよ。卵炒めも入れたから」
「ん?」
「ん?」
「なぁにそれ」
「卵と肉とキャベツと」
「いやそうじゃなくて。
え?俺?」
「そうだよ。他に誰がいるの」
えなにそれ。
おかんかよ。
「マジすか」
「明日スタ練だろ?朝から?」
「多分」
「まぁいい持ってって食え」
なにそれぇえ。
「スバルくん」
お弁当を冷蔵庫にしまって「ん?」と振り返る。
取り敢えずわからなくて頭を下げて「あ、ありがとう…ございます」とか言ってると、頭を触られる。
「冷てっ」
「あ、はい」
頭を上げると、やれやれと言った顔で見てきた。まさしくおかんや。多分。
「髪の毛乾かしてきなよ。風邪引くよ」
「うん」
「てか俺も風呂入るわ…」
とか言ってスバルくんはお弁当を閉めて部屋を出て行った。
寒いし、ヒーターの温度を2°あげて灰皿を床に置き、暖まりながらタバコを吸う。最後の一本だ、ソフトパックを捻ってその場に置いた。
おしゃれななんか薄っぺらい白のヒーター。本当にこれは暖かいだろうかと疑問だったが解決した。案外暖かい。灰皿の灰もちゃんとそわそわしてる。
けど、いつの間にかスミノフは全て瓶になり、ふと見た視界の端で西東さんが着てきたジャンバーを羽織ったから、取り敢えず立ち上がったら「危ない、危ないよ!」と手を伸ばされたけど。
そんなに危なくねぇよと思ってぴしっと立ってみたらやっと起きた。あぁ、ちょっと寝てたな俺。心配そうに腕を掴むスバルくんと、「へっへっ、おかんおかん」と笑う西東さん。
「玄関まででいいですよ。いきなりありがとう。あまちゃんをよろしくお願いしました」
「まぁ、はい」
「あまちゃん」
「あい、」
「これからも頑張って。また来ます」
取り敢えず鞄とか持って西東さんに渡してあげたり、なんか、俺的には習慣的なことをしていたら、「なんか俺漸く社長っぽいね」とか言っていた。
言いながら取り敢えず玄関まで見送った。
「いや社長さんですから。こちらこそ、楽しかったです。お構いとか出来ず、て言うかご馳走さまです?」
「あぁ。今度まともなもんでも奢らせてください。あまちゃんの会社設立記念に」
「西東さん、ありがと、」
帰ろうと靴を履いてる西東さんにハグ。というか少し良い話中申し訳ないけど眠いかも。凭れ掛かる。
「はっはっは!酒臭い。風呂でも入って寝なさいよ。じゃぁね」
帰っていく背中を眺めて漸く安心。息を吐くと確かに酒臭かった。
「風呂入る」
「…風呂入ったら倒れない?あまちゃん」
「大丈夫っしょ。目ぇ覚ましてくる」
それだけ告げて風呂場に直行。ふと襲った暗闇に、そうかこれも人と生きる事かと思う。
パーカーを脱いでみて、鏡に映った腹の傷。
あぁそうね。これは誰が見ても一瞬引くんよ。へその少し左上。まさか、カッターナイフでジャンキー父親に襲いかかられましたなんて言えないでしょう、誰にも。
それから気付いたら母親があんなことになっていただなんて、口が裂けてもいまは言えないよ。
『真樹、手を繋いでいよう。怖くないよ。大丈夫、母さんが、守ってあげるから』
押し入れの中で聞いた最期がうるさい。父親の怒号も物音も自分の動悸すらうるさかった。いまでも目の前のことのようだ。
『真樹…、』
そして司のあの熱がある潤んだ視線と指先と声。そして言うんだ、「その声が欲しい」と。喉詰まらせてる俺にあの人は。
うぜぇな自分。しつこい。シャワーがいい。冷たいくらいの。
お湯寄りの水の温度、多分15°くらいなのかな。自動を手動で設定して捻る。
冷たっ。何これぶっ壊れてね?殺す気かよスバルくん家の風呂、のシャワー。
でもめんどくせぇからいいやめんどくせぇ。滝行滝行。
スバルくんのあれと。
俺のこれって、果たしてどっちがいいんだろう。そしてどうしてこんなに違うんだろう。
みかんとカッター、この違い?まぁだいぶ違う。けど同じ。どうして君、俺よりずっとさっぱりしてるんだろう。
俺も君もきっと誰にも言えなかった。けど君は物理的にも言えない部分があって。俺は違う。でもどう違うの?
彼は記憶を知らない、知ってるけど。
俺は言葉が出ない、知ってるけど。声が出て行かないような事情なんだよ。それってどう違う。わからない。俺のセンスじゃわからない。
頭が冴えたら気持ちも冴え渡った。なんだか素直にも前向きにもなれない。けど少し位は楽だ、悲しいほど空虚に。多分これは俺だけの感性、いや、聞こえが良すぎるな、渇感。
知りたい、知っている、知りたくない。全て本当でよくわからない。俺は結局何も出来ない。昔から、今だって。
ねぇ母さん俺はさ。
俺に生きてくれと言ったあんたをいまなら恨みたい、でもどうだろう。生きてて良いのかもうわからない。生きていたいかも少し麻痺した気がするんだよ。これって幸せなの?
てか寒いな。いい加減にしよう。
身体洗って髪も洗って温度設定も直した。風呂場から出たら外気が一気に肌を舐めて鳥肌。
パーカーとパンツとスエットズボンを早着替えしてタオルを肩に掛ければ、そのタオルすら、髪の毛の冷たさを感じる。
毛穴開いてなんか全体的に禿げそう。オルタナロッカーハゲ散らかす。なんちゃって。
リビングのドアを開けると、スバルくんがキッチンに立ってお弁当を作っていた。青いお弁当箱。
あれ?そういう感じだっけスバルくんの会社。
「お弁当?」
「あぁうん。きんぴら余ったから」
「ふぅん」
「まあ飽きたとか言うなよ。卵炒めも入れたから」
「ん?」
「ん?」
「なぁにそれ」
「卵と肉とキャベツと」
「いやそうじゃなくて。
え?俺?」
「そうだよ。他に誰がいるの」
えなにそれ。
おかんかよ。
「マジすか」
「明日スタ練だろ?朝から?」
「多分」
「まぁいい持ってって食え」
なにそれぇえ。
「スバルくん」
お弁当を冷蔵庫にしまって「ん?」と振り返る。
取り敢えずわからなくて頭を下げて「あ、ありがとう…ございます」とか言ってると、頭を触られる。
「冷てっ」
「あ、はい」
頭を上げると、やれやれと言った顔で見てきた。まさしくおかんや。多分。
「髪の毛乾かしてきなよ。風邪引くよ」
「うん」
「てか俺も風呂入るわ…」
とか言ってスバルくんはお弁当を閉めて部屋を出て行った。
寒いし、ヒーターの温度を2°あげて灰皿を床に置き、暖まりながらタバコを吸う。最後の一本だ、ソフトパックを捻ってその場に置いた。
おしゃれななんか薄っぺらい白のヒーター。本当にこれは暖かいだろうかと疑問だったが解決した。案外暖かい。灰皿の灰もちゃんとそわそわしてる。
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