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日常
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『あ真樹ちゃん真樹ちゃんん?あんねー、ねぇねぇ、あれ?聞こえるぅ?』
めんどくせぇ。
「大体よぅ、考えたらねぇ、俺まずどんだけあんたらに待たされたと思ってんすか」
「うん、うんごめん」
「確かにな、ごめんなげんちゃん」
「んでぇ?今日のこの有り様。おいおいナメんなよそれもこれもぜーんぶウチのリーダーのせいじゃね?ってお前っ…こるぁ、誰と電話しとんねんこのショタチビぃ!」
ビール片手にげんちゃん、目の前でキレてる。
あれから俺たちは近く、徒歩5分くらいの行きつけの飲み屋、「カラスのお里」に移動した。
おさとのオヤジさん、俺たちを見た瞬間、「スタ練?いらっしゃい。座敷空いてるからいーよー」と、奥を指差してくれた。
そしてここにきて30分、まだ1杯目にしてこの様である。考えてみたら練習中「エネルギーチャージ」とか言って毎回酒を飲みながらやるがそーゆ問題じゃない。
げんちゃん、そもそも酔うのがめちゃくちゃ早いのだ。
「誰!?」
そして今。
『あれぇ、真樹ちゃんん?』
スバルくんからこのタイミングで電話が掛かってきた。
多分、『夕飯はいりませんよ』のメール返信なんだろう。
げんちゃんめんどくさいしラッキーと思って逃げるように電話に出たら当のめんどくさいやつにそれについて言及されてしまった。
しかもこれなんだろ、電話の相手方も酔っていらっしゃる気がするのですが気のせいでしょうか。
「スバルくん」
「はぁ!?」
『あ、真樹ちゃんだぁー』
「え、昴くんなの?」
「そうですスバルくんです」
『え?俺は確かに昴くんだお?』
「なんで昴くん?」
「わかんない」
『え?わかんないの?』
「いやわかりますわかりますけど」
「えじゃぁなんで?」
「いや違うんだよ、いやうーん。スバルくんどうしたの」
『はぁ?』
いやはぁ?じゃねぇよ。
「昴くんどうかしたの?」
「うんちょっとおかしい」
『確かに俺おかしいかもー♪』
「ねぇなんで君そんなテンションが躁病なの?お薬飲んじゃった系なの?」
「お前じゃねぇんだからんなことありえないだろ…」
電話越しにスバルくんの笑い声とハゲの「あの人変態臭いけど」という追加の一言が妙なコントラスト。お前らなんだよライブ中継かよ。
『お薬やないけどもえーもん手に入れたんよぅ、ねぇほんでさぁ、』
訛ってるよ完璧に酔っぱらってるよこいつ~。めんどくせぇよぅ。
え?てかなに?そのノリなんかヤバくない?なに?ガチ薬?ウラシャカイ?確かにこの人文杜臭っつーかヤンキーっぽいよね、え?
「え?スバルくんガチでだいじょーぶ?」
『あいじょーぶ!はっはっは!』
だいじょーぶじゃねぇよなにこれぇ!
「ねぇ勘弁してよ俺そっち系嫌だよ」
明らかに3人が「は?」だの「なにそっち系」だの、「どっち系なんだろうねぇ」だの動揺したのが見える。めんどくせぇ。けどいい。フラグ回収放棄。
『え?何ば言っとるんばい真樹。え、絶対君気に入ると思ったん。だから聞きたいんだけどぉ、どっちがいいかねぇ、ねぇー』
「え何が?ねぇどっちって何よ気に入らなかったら殴っていい?」
『殴るにも使えるからやっぱ買ってくー!
ネコとクマ!』
「ネコとクマぁ?」
えなに全然わかんない怖いよこれこいつ。
「どっちかって言うと俺なら真樹はネ」
なんか言いかけた文杜の口に思わずハゲがハイボールの入ったグラスを持っていき、「落ち着こう深呼吸だ文杜」と宥めている。なんだろう怖い。てかそれ深呼吸出来ないだろう優しくないなぁ。
『抱き枕でーす』
「抱き枕?」
文杜がハイボールを吹き出した。ハゲがそれを見て少し後ずさる。げんちゃんはめんどくさそうに傍観しつつ俺を睨んだ。
何故だ。
『あんねー、本家のもん暴れてぶち壊してきたからいまホームセンター来てんのよー、太一とー。したら見っけちゃったのかわええ枕。君寝れないって言ってたからぁ、ははっ、買って帰ろーって』
「待て待て待てはぁ?何?なにそれどうしてそんなにキチガイなの」
『んー?遺産放棄した!以上!ははっ!帰るねー』
「待って、待ってスバルくん」
それって。
『んー?』
「ばあさんは?」
『ばあさん死ぬ準備的な?』
「あーなる。理解理解。
ね、今から帰るの?今どこ?」
『ん?あー国分寺だねここは多分』
「そんな近いのなんで⁉
まぁ、じゃおいでよ。御茶ノ水だから。1本だよ。ね?いま一人で家に帰るとよくない。早くね。10分で来てナトリ気が短いしげんちゃんクソめんどくさいし文杜暴れるから。枕ありがとう、ネコ!じゃぁね!」
『え、は?』
切った。
3人を見つめればポカンとした後、何故か爆笑された。
「えぇ?なんだって昴くん」
「…遺産放棄して家のもんぶち壊してきたから抱き枕買ってくるって」
「なにそれぇ!絶対違うでしょあまちゃん!」
「多分違う」
「真樹可愛い!」
「それ嫌だなぁ、文杜」
「だってこんなに可愛いんだもん」とか言って抱きついてくる文杜、酒臭い。
お前らなんだかんだでこの腐れヤンキーに一気させたのかバカ共。こいつ何だかんだで一番めんどくさいんだからな、バカ共。
仕方ない俺が悪いよ今日は。
「今日は奢るよ」とか言えば「嘘吐き」だの「無銭飲食」だのヤジが二人から飛ぶ。
やめた奢らない。スバルくんに奢らせよう。
文杜は相変わらず俺に抱きつきながらふにゃふにゃして「ふぅ、真樹ぃ…」とか耳元に酒気帯び呼吸をしてくる。ちょっとやめなさいよ、お前の声で、しかもその場所ちょっと同性でも気が狂うでしょ。
しかし叩くのもどうかしてるので黒髪を撫でてから引き剥がした。それでもにかにかしてやがる。お前ってホント俺にたいして甘くないかな。
めんどくせぇ。
「大体よぅ、考えたらねぇ、俺まずどんだけあんたらに待たされたと思ってんすか」
「うん、うんごめん」
「確かにな、ごめんなげんちゃん」
「んでぇ?今日のこの有り様。おいおいナメんなよそれもこれもぜーんぶウチのリーダーのせいじゃね?ってお前っ…こるぁ、誰と電話しとんねんこのショタチビぃ!」
ビール片手にげんちゃん、目の前でキレてる。
あれから俺たちは近く、徒歩5分くらいの行きつけの飲み屋、「カラスのお里」に移動した。
おさとのオヤジさん、俺たちを見た瞬間、「スタ練?いらっしゃい。座敷空いてるからいーよー」と、奥を指差してくれた。
そしてここにきて30分、まだ1杯目にしてこの様である。考えてみたら練習中「エネルギーチャージ」とか言って毎回酒を飲みながらやるがそーゆ問題じゃない。
げんちゃん、そもそも酔うのがめちゃくちゃ早いのだ。
「誰!?」
そして今。
『あれぇ、真樹ちゃんん?』
スバルくんからこのタイミングで電話が掛かってきた。
多分、『夕飯はいりませんよ』のメール返信なんだろう。
げんちゃんめんどくさいしラッキーと思って逃げるように電話に出たら当のめんどくさいやつにそれについて言及されてしまった。
しかもこれなんだろ、電話の相手方も酔っていらっしゃる気がするのですが気のせいでしょうか。
「スバルくん」
「はぁ!?」
『あ、真樹ちゃんだぁー』
「え、昴くんなの?」
「そうですスバルくんです」
『え?俺は確かに昴くんだお?』
「なんで昴くん?」
「わかんない」
『え?わかんないの?』
「いやわかりますわかりますけど」
「えじゃぁなんで?」
「いや違うんだよ、いやうーん。スバルくんどうしたの」
『はぁ?』
いやはぁ?じゃねぇよ。
「昴くんどうかしたの?」
「うんちょっとおかしい」
『確かに俺おかしいかもー♪』
「ねぇなんで君そんなテンションが躁病なの?お薬飲んじゃった系なの?」
「お前じゃねぇんだからんなことありえないだろ…」
電話越しにスバルくんの笑い声とハゲの「あの人変態臭いけど」という追加の一言が妙なコントラスト。お前らなんだよライブ中継かよ。
『お薬やないけどもえーもん手に入れたんよぅ、ねぇほんでさぁ、』
訛ってるよ完璧に酔っぱらってるよこいつ~。めんどくせぇよぅ。
え?てかなに?そのノリなんかヤバくない?なに?ガチ薬?ウラシャカイ?確かにこの人文杜臭っつーかヤンキーっぽいよね、え?
「え?スバルくんガチでだいじょーぶ?」
『あいじょーぶ!はっはっは!』
だいじょーぶじゃねぇよなにこれぇ!
「ねぇ勘弁してよ俺そっち系嫌だよ」
明らかに3人が「は?」だの「なにそっち系」だの、「どっち系なんだろうねぇ」だの動揺したのが見える。めんどくせぇ。けどいい。フラグ回収放棄。
『え?何ば言っとるんばい真樹。え、絶対君気に入ると思ったん。だから聞きたいんだけどぉ、どっちがいいかねぇ、ねぇー』
「え何が?ねぇどっちって何よ気に入らなかったら殴っていい?」
『殴るにも使えるからやっぱ買ってくー!
ネコとクマ!』
「ネコとクマぁ?」
えなに全然わかんない怖いよこれこいつ。
「どっちかって言うと俺なら真樹はネ」
なんか言いかけた文杜の口に思わずハゲがハイボールの入ったグラスを持っていき、「落ち着こう深呼吸だ文杜」と宥めている。なんだろう怖い。てかそれ深呼吸出来ないだろう優しくないなぁ。
『抱き枕でーす』
「抱き枕?」
文杜がハイボールを吹き出した。ハゲがそれを見て少し後ずさる。げんちゃんはめんどくさそうに傍観しつつ俺を睨んだ。
何故だ。
『あんねー、本家のもん暴れてぶち壊してきたからいまホームセンター来てんのよー、太一とー。したら見っけちゃったのかわええ枕。君寝れないって言ってたからぁ、ははっ、買って帰ろーって』
「待て待て待てはぁ?何?なにそれどうしてそんなにキチガイなの」
『んー?遺産放棄した!以上!ははっ!帰るねー』
「待って、待ってスバルくん」
それって。
『んー?』
「ばあさんは?」
『ばあさん死ぬ準備的な?』
「あーなる。理解理解。
ね、今から帰るの?今どこ?」
『ん?あー国分寺だねここは多分』
「そんな近いのなんで⁉
まぁ、じゃおいでよ。御茶ノ水だから。1本だよ。ね?いま一人で家に帰るとよくない。早くね。10分で来てナトリ気が短いしげんちゃんクソめんどくさいし文杜暴れるから。枕ありがとう、ネコ!じゃぁね!」
『え、は?』
切った。
3人を見つめればポカンとした後、何故か爆笑された。
「えぇ?なんだって昴くん」
「…遺産放棄して家のもんぶち壊してきたから抱き枕買ってくるって」
「なにそれぇ!絶対違うでしょあまちゃん!」
「多分違う」
「真樹可愛い!」
「それ嫌だなぁ、文杜」
「だってこんなに可愛いんだもん」とか言って抱きついてくる文杜、酒臭い。
お前らなんだかんだでこの腐れヤンキーに一気させたのかバカ共。こいつ何だかんだで一番めんどくさいんだからな、バカ共。
仕方ない俺が悪いよ今日は。
「今日は奢るよ」とか言えば「嘘吐き」だの「無銭飲食」だのヤジが二人から飛ぶ。
やめた奢らない。スバルくんに奢らせよう。
文杜は相変わらず俺に抱きつきながらふにゃふにゃして「ふぅ、真樹ぃ…」とか耳元に酒気帯び呼吸をしてくる。ちょっとやめなさいよ、お前の声で、しかもその場所ちょっと同性でも気が狂うでしょ。
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