Eccentric Late Show

二色燕𠀋

文字の大きさ
67 / 107
排他的経済本家

7

しおりを挟む
 無駄話ばかりしていて結局作戦を立てていないまま本家についてしまった。

 というか。

「なんじゃこりゃ」 

 最早敷居を跨いで良いのかわからない、というか敷居?神社の門かよみたいな重厚感、見た目は遠目から見ても、その辺では一番デカい大きな瓦屋根?てか最早ヤクザ家かよみたいな広過ぎる家に困惑。

 嫌だ俺ここ入りたくない。関係者だと思われたくない。ましてや相方、オールバック革ジャン野郎。俺が貧相すぎる本当に嫌だ。

 しかし太一は、その思考で立ち止まっている俺を置いて、開け放たれている桜田門(絶対に謝らない)に何事もなく足を踏み入れ入っていき、敷地内から俺を振り返り、「どげんした」と渇を入れる。

 なにこれ、てか新たな可能性が頭をよぎる。

 俺実はヤクザに売られるパターンだったらどうする?まぁボロクソ軽トラ余裕で敷地前に止まってるんだけどさ。そんでもって表札も『古里』なんだけどさ。
 てか本当に俺古里昴?実は新里とかじゃない?(根底から覆るどっきりを一人頭のなかで考えるくらいに入りたくない)

「昴、どげんした」
「太一、俺ここヤダ聞いてない」
「ははー、何言っとるかようわからんばい早うしてや。そいやぁ追い出されたガキのごたぁばい」

 確かに惨めすぎる。

「…売らないでよ、昔の恨みとかあったら今聞くから!」
「はぁ?大丈夫?」

 うん、俺大丈夫?

「あーもぅいいもぅいい!ヤケだヤケ!」
「はいはい」

 一歩前進しようかと思ったら引っ張り入れられてしまった、冷や汗。
 思わず「いやん」なんて言ってしまってより惨め。
 太一が思わず俺を掴んでない手で口元押さえて笑ってる。

 だって怖い。オールバックとヤクザ家(自分の本家)。俺どうなっちゃうの?これからちゃんと表社会で生きられるの?

「なんや、捕獲されたなんか『殺す気はなかったんたい』ん青少年のごたぁだな」
「よよよよくわかっ、わかんねぇ、例えですねそれ!」
「ええから早よせい」
「あいぃ…!」

 そのまま俺は本家の引戸、と言うには頑丈な引戸の前で連行される。

 大丈夫、ちゃんと防犯カメラとセキュリティ会社を確認した。クリーンかもしれない。

 しかし太一はそこで一息吐き、何故かピンポンを押さずにすぅ、と肩を上下させて息を吸ってから「ごめんくだしゃぁぁぁい!」と大声でシャウトした。

 正直チビるかと思った。いやチビったかもしれない。最早生理的に泣きそう。

 ちょっとの間から、静かにカラカラカラと引戸が開いた。

 一瞬見えなかったが、視点を下にずらせば、小さな老人がいた。
 多分、着物的に女性物っぽいが、なんか色合いが灰色?何色?ベージュ?みたいな色で正直あとは顔がくしゃくしゃだしよくわかんない。どっちだろうと思っていたら、太一を睨み付け、「どなたやか」と言った。

 声も正直わからなかった。どっちだこの老人。

 まぁ田舎のなんかでかい家って多分、女の人がこーゆーとき対応するよね。「誰じゃ!」とかじゃないしね。多分女の人だよね。

「…古里敏郎の第一子、太一にございます。こちらが敏郎の弟、連次郎さんのご子息、私めが従兄弟の昴さんであります。
 敏郎の母上、サチ子の代理としてお越し頂きました」

 太一標準語っ。
 そして初知りだぞレンジロウ。俺の父親そんな名前なの?

「はぁ、サチ子の。
 レンジロウ…あん相続ん紙切れに書いてあったんよ人やね。
 まぁよかろうもん。お入りない」  

 なにそれよくわかんないけど状況。
 紙切れに書いてあった人ってなんだし。なにそれメモ帳かなんかだったの?だったらマジメにキレちゃうよ俺。

 俺と太一はその老人に案内され、それはそれは大層ご立派なおーきな廊下を半迷路かよ、何処だよ状態で歩かされて辿り着いた和室には、老人から子供まで20人くらいが皆正座でお出でなすっていて、比率で言えば半分くらいが老人、半分くらいは中年、2人が子供だった。

 つまりこれは、太一と俺が恐らくは最年少(子供を除く)になる。

 皆様まぁ、お着物やらスーツやら、よそ行きの高そーなお洋服なんか着てしまいまして?俺たちみたいにオールバック革ジャンやらスキニーパンツのジャケットおしゃれ眼鏡なんかいない。ちなみに俺のは真樹が付けた俺の評価である。

 真樹の中で俺は『おしゃれクソ眼鏡』らしい。
 そんなに眼鏡おしゃれか?ぶっ壊したし、ただの安い針金みたいなフレームの目立たないヤツだがと思ったら、どうやら違ったらしい。

「なんか服売ってそうなんだよいちいち」

 最後のいちいちの使い方や意味が凄く困る一言。どうやらファッションセンスらしいと知る。

 子供ですらなんだか、なんたらお教室とか通ってそうな上品な出で立ち。
 どうしようこれ。この浮き具合。

 やはり皆様一瞬チラ見して俺たちを遠目で、爪先から頭頂部まで見つめて怪訝顔。
 え、なにその筋合い。

「はいはい皆様、お呼びの『サチ子』さんの孫、昴がいらっしゃいましたよ」

 だから何故ここにきて標準語なんだよ。太一はにやにやしながら俺を指し、ご紹介してくれた。

 これはどのようなテンションでいけばいいのでしょう。

「ヨシさん、そん人は誰やか?」

 俺たちの目の前にいた、いかにも気が強そうな茶髪の中年女性が静かに老人を見上げて言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

罪悪と愛情

暦海
恋愛
 地元の家電メーカー・天の香具山に勤務する20代後半の男性・古城真織は幼い頃に両親を亡くし、それ以降は父方の祖父母に預けられ日々を過ごしてきた。  だけど、祖父母は両親の残した遺産を目当てに真織を引き取ったに過ぎず、真織のことは最低限の衣食を与えるだけでそれ以外は基本的に放置。祖父母が自身を疎ましく思っていることを知っていた真織は、高校卒業と共に就職し祖父母の元を離れる。業務上などの必要なやり取り以外では基本的に人と関わらないので友人のような存在もいない真織だったが、どうしてかそんな彼に積極的に接する後輩が一人。その後輩とは、頗る優秀かつ息を呑むほどの美少女である降宮蒔乃で――

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

(完)百合短編集 

南條 綾
恋愛
ジャンルは沢山の百合小説の短編集を沢山入れました。

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

処理中です...