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月齢0、新月の…黄昏時。
その環境はとても恵まれている。そう感じるのに何故か自分は酷く……傷付いていた。
そう気付いたのは無口なマスターの「なんかあった?」という気遣い、という訳ではなく。
行けばそうしてあっさり声は掛けて貰える。
「研修終わったんで、溜まってて」
乗ったのはどこぞの派手な女で、その人は夕方にも関わらずすでに酔っていた。
恐らく、昼からいるのだろう。
他にも男はいたのだが、漸く来たと言わんばかりに俺はその派手な女にすぐ奥へ連れて行かれ、まず、奥の死角なソファーで胸を触らせられた。
「旦那、帰んなくて良いんですか」と聞きたくなったがそれなりの若作りも見えたので引っ込めておくことにする。
名前もわからない。
一人っぽいし、若造の俺よりもあまりルールをよく知らない人なのかもしれない。
まだ客も疎らだし、まぁ別にいいかなと太股くらいは触ったしスカートで隠れるような触り方で直に尻も触った。
なんというか…最早ラリったようなテンションの人。物凄くイケイケというか…。
オーナーもそれを感じていたのかもしれない、ふと側を横切ることがあった。
…けど、今の俺はこの人を拒否することが出来ない気分…母親と同じかもしれないと思ったからなのか、なんなのか。
「…見られるの好きな人?」
「えぇ?なぁに?」
「人、あんまいないけど。これから盛り上がるからベッド行かない?」
俺は彼女の、火照って髪がへばりついた耳元で言う、「覗けるようになってるの」と。
「…でも、」
「大丈夫。満足しなければ誰か呼んで。今日はずっとここにいるの?」
「…うん」
然り気無くそうやって連れ出しても、マスターはチラ見するだけで知らぬ存ぜぬ。
誰も否定をしない。
けど、誰かは見てくれている。よく見ているかは問題じゃなく。
彼女は少し躊躇いがちだったが、カーテンを開けた瞬間には俺を押し倒し、上で服を脱ぐような有り様だった。
多分、少しで良いのだ。何か自分に傾けてくれれば、それで。
彼女は綺麗とか特別というタイプではなかった。
けれど表情が熱くその熱さの裏に少しの「擦れ」を感じるのだから仕方がない。
母親もそう。
ただ何かにすがりたいというのは人間の本質からくる防衛本能だ。
セックス中毒という人だってここには沢山やってくる。
彼、彼女たちはただ、狭い空気に息のしやすさを感じるだけなんだ。
母親が顔を歪めるであろうことはわかっていた。
どんな見解が返って来るのか、気が削がれれば良いと…それが、子供のそれじゃないと自分ではハッキリと思っても、ここですら「子供みたいね」と言われた。
……勃たないな。
彼女は大人の普通の手管で俺のプライベートを口に含み、手で弄び、ベタベタにする。
本質を隠せた気になった、そこだけは確かにまだ、子供なんだと気付きそうになる。
他人にとって自分はどうでもいいのだというその柔らかい部分を見るのが怖かった。
それでも…と彼女の行為を眺めていれば彼女は一度俺を見上げ楽しそうに微笑んでくる。
そうか、楽しいのかと考えれば漸く臨戦態勢で、されるがままを貫いてみた。
しまいには勝手にされ、上からの熱い圧迫に包まれた瞬間、そうだね、貴方は女性だから、この絡み付く苦しい快楽を味わうことが出来ないのかと芯を突きたくなった。
透明な液体が出るのは一緒。この、謎の塩分の正体を誰も、本人ですら解明出来ていないなんて。
謎の切迫感に息を切らしそうになったとき、不意に隙間から“りっちゃん”が通りすぎたのが見えた気がした。
「………!」
彼は一瞬、通りすがりに俺を見て、目を反らしたような気がした。思い込みかもしれないけど。
「…ねぇっ、あの、」
はっと戻って見上げた。
彼女は涙目でふるふる身体を震わせ「今、今の、」と両肩に手を置いてよがってくる。
「……うん、」
背中を支えてやれば彼女は前にのめり、俺の髪をぐしゃっとした。
思い出したのはまた、シャワーブースの光景。しょうもない。だがその瞬間に俺の糸はブツッと切れたようだ。身体が震えた。
顔を側に寄せた彼女の息は上がっているし、汗ばんで見つめてもくる。
……あぁ、服すら脱がせてなかったか。
「……ありがとう。楽しかった」
力の抜けた彼女の格好を整え、俺はへなへなとベッドから出て行く。
外野がいない様を装うくらいに、実はカーテンも少し開き気味だったのかと、そこらを見回した。
彼はいない。
方向からして……どっちだ?もうちょい奥か、帰ったか?
マスターに聞けばわかるかとカウンターに座るとすぐ、「絞られた?」と水を出してくれた。
「…いや、」
ただ。
自分は消耗品だなとネガティブになるくらいには疲れていたことに、大分長いことヤっていたようだなと「やっと、というか…」と、やはり息切れてしまった。
というかマスター、そんな踏み込んだことを聞いてくるなんて。そんなに俺は酷そうなのか、今。
まぁ、どうだっていいやと来たのだし、ジョッキの水を全部飲み干し息を整えた。
「あのさ。
…前の子、もしかして来た?」
「前の子?」
「ハナさんの」
「あーうん。さっきまで飲んでたけど、すぐ帰ったねやっぱり」
……何それ、幻影臭くない?
まずは落ち着いてタバコに火を点ける。
人、さっきより来てるなぁ。
あの人は未だ多分、ベッドから出てきた雰囲気じゃない。
「…つい。泣きそうな気がしてさ」
「何が?」
「あの人。直接言ったけどわかんないから、もしここ寄ったらお礼しといて」
「なんかあった?」
珍しく踏み込んでくる。
別に。賢者タイムだよ。と言おうとしたタイミングで「特別だけど」と、マスターは声を潜めて言ってきた。
「来週ゲイイベントやるから、来るんじゃないかな。晃彦そういうの出ないからわからんだろうけど」
「……へ?」
「イベントって安くなんの。まぁ、晃彦も気分転換に来てみれば?水曜日。世界観変わるかもよ」
「わかった。来る」
単純だと我ながら思う。
ホント、どーでもよくなった。
マスターは笑って「じゃあまたね」と言ってくれた。
その環境はとても恵まれている。そう感じるのに何故か自分は酷く……傷付いていた。
そう気付いたのは無口なマスターの「なんかあった?」という気遣い、という訳ではなく。
行けばそうしてあっさり声は掛けて貰える。
「研修終わったんで、溜まってて」
乗ったのはどこぞの派手な女で、その人は夕方にも関わらずすでに酔っていた。
恐らく、昼からいるのだろう。
他にも男はいたのだが、漸く来たと言わんばかりに俺はその派手な女にすぐ奥へ連れて行かれ、まず、奥の死角なソファーで胸を触らせられた。
「旦那、帰んなくて良いんですか」と聞きたくなったがそれなりの若作りも見えたので引っ込めておくことにする。
名前もわからない。
一人っぽいし、若造の俺よりもあまりルールをよく知らない人なのかもしれない。
まだ客も疎らだし、まぁ別にいいかなと太股くらいは触ったしスカートで隠れるような触り方で直に尻も触った。
なんというか…最早ラリったようなテンションの人。物凄くイケイケというか…。
オーナーもそれを感じていたのかもしれない、ふと側を横切ることがあった。
…けど、今の俺はこの人を拒否することが出来ない気分…母親と同じかもしれないと思ったからなのか、なんなのか。
「…見られるの好きな人?」
「えぇ?なぁに?」
「人、あんまいないけど。これから盛り上がるからベッド行かない?」
俺は彼女の、火照って髪がへばりついた耳元で言う、「覗けるようになってるの」と。
「…でも、」
「大丈夫。満足しなければ誰か呼んで。今日はずっとここにいるの?」
「…うん」
然り気無くそうやって連れ出しても、マスターはチラ見するだけで知らぬ存ぜぬ。
誰も否定をしない。
けど、誰かは見てくれている。よく見ているかは問題じゃなく。
彼女は少し躊躇いがちだったが、カーテンを開けた瞬間には俺を押し倒し、上で服を脱ぐような有り様だった。
多分、少しで良いのだ。何か自分に傾けてくれれば、それで。
彼女は綺麗とか特別というタイプではなかった。
けれど表情が熱くその熱さの裏に少しの「擦れ」を感じるのだから仕方がない。
母親もそう。
ただ何かにすがりたいというのは人間の本質からくる防衛本能だ。
セックス中毒という人だってここには沢山やってくる。
彼、彼女たちはただ、狭い空気に息のしやすさを感じるだけなんだ。
母親が顔を歪めるであろうことはわかっていた。
どんな見解が返って来るのか、気が削がれれば良いと…それが、子供のそれじゃないと自分ではハッキリと思っても、ここですら「子供みたいね」と言われた。
……勃たないな。
彼女は大人の普通の手管で俺のプライベートを口に含み、手で弄び、ベタベタにする。
本質を隠せた気になった、そこだけは確かにまだ、子供なんだと気付きそうになる。
他人にとって自分はどうでもいいのだというその柔らかい部分を見るのが怖かった。
それでも…と彼女の行為を眺めていれば彼女は一度俺を見上げ楽しそうに微笑んでくる。
そうか、楽しいのかと考えれば漸く臨戦態勢で、されるがままを貫いてみた。
しまいには勝手にされ、上からの熱い圧迫に包まれた瞬間、そうだね、貴方は女性だから、この絡み付く苦しい快楽を味わうことが出来ないのかと芯を突きたくなった。
透明な液体が出るのは一緒。この、謎の塩分の正体を誰も、本人ですら解明出来ていないなんて。
謎の切迫感に息を切らしそうになったとき、不意に隙間から“りっちゃん”が通りすぎたのが見えた気がした。
「………!」
彼は一瞬、通りすがりに俺を見て、目を反らしたような気がした。思い込みかもしれないけど。
「…ねぇっ、あの、」
はっと戻って見上げた。
彼女は涙目でふるふる身体を震わせ「今、今の、」と両肩に手を置いてよがってくる。
「……うん、」
背中を支えてやれば彼女は前にのめり、俺の髪をぐしゃっとした。
思い出したのはまた、シャワーブースの光景。しょうもない。だがその瞬間に俺の糸はブツッと切れたようだ。身体が震えた。
顔を側に寄せた彼女の息は上がっているし、汗ばんで見つめてもくる。
……あぁ、服すら脱がせてなかったか。
「……ありがとう。楽しかった」
力の抜けた彼女の格好を整え、俺はへなへなとベッドから出て行く。
外野がいない様を装うくらいに、実はカーテンも少し開き気味だったのかと、そこらを見回した。
彼はいない。
方向からして……どっちだ?もうちょい奥か、帰ったか?
マスターに聞けばわかるかとカウンターに座るとすぐ、「絞られた?」と水を出してくれた。
「…いや、」
ただ。
自分は消耗品だなとネガティブになるくらいには疲れていたことに、大分長いことヤっていたようだなと「やっと、というか…」と、やはり息切れてしまった。
というかマスター、そんな踏み込んだことを聞いてくるなんて。そんなに俺は酷そうなのか、今。
まぁ、どうだっていいやと来たのだし、ジョッキの水を全部飲み干し息を整えた。
「あのさ。
…前の子、もしかして来た?」
「前の子?」
「ハナさんの」
「あーうん。さっきまで飲んでたけど、すぐ帰ったねやっぱり」
……何それ、幻影臭くない?
まずは落ち着いてタバコに火を点ける。
人、さっきより来てるなぁ。
あの人は未だ多分、ベッドから出てきた雰囲気じゃない。
「…つい。泣きそうな気がしてさ」
「何が?」
「あの人。直接言ったけどわかんないから、もしここ寄ったらお礼しといて」
「なんかあった?」
珍しく踏み込んでくる。
別に。賢者タイムだよ。と言おうとしたタイミングで「特別だけど」と、マスターは声を潜めて言ってきた。
「来週ゲイイベントやるから、来るんじゃないかな。晃彦そういうの出ないからわからんだろうけど」
「……へ?」
「イベントって安くなんの。まぁ、晃彦も気分転換に来てみれば?水曜日。世界観変わるかもよ」
「わかった。来る」
単純だと我ながら思う。
ホント、どーでもよくなった。
マスターは笑って「じゃあまたね」と言ってくれた。
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