33 / 48
Film 4
4
しおりを挟む
あぁ、ゼリーとか必要かもしれない、何ゼリーが必要か。
鍋焼うどん、これは夕飯にいいかもしれないがかき揚げかキツネか、どっちにしよう。
あぁ、スポーツドリンクも必要だ。
冷えピタって種類により差はないよな?
風邪薬、種類がありすぎて皆目見当が付かない。
氷枕まで種類があるの?
雨川は近くのドラッグストアーでこれらの迷いによりぐるぐるしてしまった。結果ゼリーは桃とミカンとミックス、鍋焼うどんはどちらも、スポーツドリンクは2リットルと冷えピタは子供用二つに風邪薬は鼻炎と総合をそれぞれ一番高いのを買い、氷枕は柔らかそうなのを買った。
当然5分は過ぎ、40分程で帰宅する。
「マフユちゃん」
とドアが開いてふらふらと起き上がったソラに、悪いことをしたと感じた。
「ソラごめん、遅くなっちゃった…」
無言でむぎゅっと抱きついてきたソラは熱かった。寂しかっただろうかと雨川は優しい気持ちになり、「ごめんね」とソラを抱き締め返す。
「ちゅめたくてきもちい、マフユにゃ」
「うん、そうだね」
埋まってしまった顔に正直なんと言ったか聞き取れないけれど、安心して欲しいとソラの髪を撫でる。細くて柔らかい金髪。余程熱かったのかパジャマのボタンは3個まで開いていた。
「あぁ、ダメだよソラ」
としゃがんでボタンを閉めてやる。スポーツブラがチラ見えすることに気まずさを覚えた。
「女の子なんだし、風邪も引いてるんだから」
自分の言葉に酷く違和感を感じた。
いや、どうして違和感を感じるんだろうと思うのも居たたまれない。本当に普通の女の子。
「あつかった」
と言う頬は上気して目は潤んでいる。
思い出した雨川は袋から冷えピタと氷枕を出して見せ、「冷たいの買ってきたよ」と自然と微笑んだ。
「ん?」と疑問なソラはどんな反応をしてくれるだろうかと思いながら、箱を開け封を切り一枚取り出してソラの額を手で露にする。
透明なフィルムを剥がして額に貼れば「ひゃっ!」とソラが驚いてしまい、少し斜めにズレてしまった。
「ナニナニナニ!?」
「冷たいでしょ」
「うん、ナニコレ!」
剥がそうとするソラに「剥がしちゃダメ」と忠告する。
「柔らかくて冷たい!ヤダ!」
「我慢我慢。少ししたら大丈夫だから」
いや、大丈夫なのか?自分は使ったことがなかったが、冷えすぎたり、そもそも頭でよかったのかと考えた。いや、38°で頭がヤバイとなればいいのだろうか、取り敢えず、潜在意識のような認識でそうしたけれど。
少しソラは「むむ~」と顔をしかめているが、さぁいまのうちだと思い、「お薬も飲んで」と、買ってきた風邪薬、鼻炎を取り出す。
「今度はナニ!?」
「美味しくないけどこれでおいしい」
正直よくわからないけど、とスポーツドリンクを見せる。
少し濁った飲み物を不思議そうに眺めるソラに、騙してごめんと思いつつ、雨川は薬と一緒に渡した。
ソラは少し渋りながらも薬を1錠放り込み、こくこくと喉を鳴らせてスポーツドリンクと飲んだ。カプセル剤だったお陰かスポーツドリンクのお陰かはわからないが、「おいしい?」と疑問そうだった。
「うん、じゃぁ寝てようね」
「マフユちゃん、お仕事は?」
今更のようにソラは思い出したようだった。
ソラの頭を撫で、「おやすみだよ」と答えると、「じゃぁ一緒に寝る?」と聞いてくる。どこか不安そうなのだから、頷いてやるしかない。
「ソラにずっと着いてるよ。まずは安心してお休み」
「はぁい」
「夜には多分、南沢さんが来るから」
「ナツエちゃん?」
「そう」
「わかったー」
南沢の名前だけでどうやらこういう反応らしい。
ソラは非常にあっさりと一人でベットに入っては、来てと手招きをする。
雨川も布団に入れば「ぎゅっとして」と言うのだから、ぎこちなく手を伸ばす。
「…熱くない?」
「これがイイの」
「そう…」
「マフユちゃんはなんだかイイ匂いがするの」
「…そう」
熱いな。自分も少し逆上せそうだ。
しかし少しだけ辛抱していればソラはすぐに寝息を立てて寝てしまった。
汗の臭いに混ざり、子供の匂いと、風邪の匂いがする。それがやけに癖になりそうで、また気付けば体を離しつつもソラの髪の臭いを嗅いでしまう。
良い匂いか。
ぼんやりソラを眺めても、ソラはとても綺麗な「女性」だし、自分にとって可愛らしい存在だと思う。
異性に対して羨ましいと感じるのだけど、ソラは正確には異性ではない。それがいま不思議でならない。
雨川は自然とソラの手を握っていた。そして自然と眠くなっていく。どうせ休みなのだしいいや、と、雨川も目を閉じることにする。
鍋焼うどん、これは夕飯にいいかもしれないがかき揚げかキツネか、どっちにしよう。
あぁ、スポーツドリンクも必要だ。
冷えピタって種類により差はないよな?
風邪薬、種類がありすぎて皆目見当が付かない。
氷枕まで種類があるの?
雨川は近くのドラッグストアーでこれらの迷いによりぐるぐるしてしまった。結果ゼリーは桃とミカンとミックス、鍋焼うどんはどちらも、スポーツドリンクは2リットルと冷えピタは子供用二つに風邪薬は鼻炎と総合をそれぞれ一番高いのを買い、氷枕は柔らかそうなのを買った。
当然5分は過ぎ、40分程で帰宅する。
「マフユちゃん」
とドアが開いてふらふらと起き上がったソラに、悪いことをしたと感じた。
「ソラごめん、遅くなっちゃった…」
無言でむぎゅっと抱きついてきたソラは熱かった。寂しかっただろうかと雨川は優しい気持ちになり、「ごめんね」とソラを抱き締め返す。
「ちゅめたくてきもちい、マフユにゃ」
「うん、そうだね」
埋まってしまった顔に正直なんと言ったか聞き取れないけれど、安心して欲しいとソラの髪を撫でる。細くて柔らかい金髪。余程熱かったのかパジャマのボタンは3個まで開いていた。
「あぁ、ダメだよソラ」
としゃがんでボタンを閉めてやる。スポーツブラがチラ見えすることに気まずさを覚えた。
「女の子なんだし、風邪も引いてるんだから」
自分の言葉に酷く違和感を感じた。
いや、どうして違和感を感じるんだろうと思うのも居たたまれない。本当に普通の女の子。
「あつかった」
と言う頬は上気して目は潤んでいる。
思い出した雨川は袋から冷えピタと氷枕を出して見せ、「冷たいの買ってきたよ」と自然と微笑んだ。
「ん?」と疑問なソラはどんな反応をしてくれるだろうかと思いながら、箱を開け封を切り一枚取り出してソラの額を手で露にする。
透明なフィルムを剥がして額に貼れば「ひゃっ!」とソラが驚いてしまい、少し斜めにズレてしまった。
「ナニナニナニ!?」
「冷たいでしょ」
「うん、ナニコレ!」
剥がそうとするソラに「剥がしちゃダメ」と忠告する。
「柔らかくて冷たい!ヤダ!」
「我慢我慢。少ししたら大丈夫だから」
いや、大丈夫なのか?自分は使ったことがなかったが、冷えすぎたり、そもそも頭でよかったのかと考えた。いや、38°で頭がヤバイとなればいいのだろうか、取り敢えず、潜在意識のような認識でそうしたけれど。
少しソラは「むむ~」と顔をしかめているが、さぁいまのうちだと思い、「お薬も飲んで」と、買ってきた風邪薬、鼻炎を取り出す。
「今度はナニ!?」
「美味しくないけどこれでおいしい」
正直よくわからないけど、とスポーツドリンクを見せる。
少し濁った飲み物を不思議そうに眺めるソラに、騙してごめんと思いつつ、雨川は薬と一緒に渡した。
ソラは少し渋りながらも薬を1錠放り込み、こくこくと喉を鳴らせてスポーツドリンクと飲んだ。カプセル剤だったお陰かスポーツドリンクのお陰かはわからないが、「おいしい?」と疑問そうだった。
「うん、じゃぁ寝てようね」
「マフユちゃん、お仕事は?」
今更のようにソラは思い出したようだった。
ソラの頭を撫で、「おやすみだよ」と答えると、「じゃぁ一緒に寝る?」と聞いてくる。どこか不安そうなのだから、頷いてやるしかない。
「ソラにずっと着いてるよ。まずは安心してお休み」
「はぁい」
「夜には多分、南沢さんが来るから」
「ナツエちゃん?」
「そう」
「わかったー」
南沢の名前だけでどうやらこういう反応らしい。
ソラは非常にあっさりと一人でベットに入っては、来てと手招きをする。
雨川も布団に入れば「ぎゅっとして」と言うのだから、ぎこちなく手を伸ばす。
「…熱くない?」
「これがイイの」
「そう…」
「マフユちゃんはなんだかイイ匂いがするの」
「…そう」
熱いな。自分も少し逆上せそうだ。
しかし少しだけ辛抱していればソラはすぐに寝息を立てて寝てしまった。
汗の臭いに混ざり、子供の匂いと、風邪の匂いがする。それがやけに癖になりそうで、また気付けば体を離しつつもソラの髪の臭いを嗅いでしまう。
良い匂いか。
ぼんやりソラを眺めても、ソラはとても綺麗な「女性」だし、自分にとって可愛らしい存在だと思う。
異性に対して羨ましいと感じるのだけど、ソラは正確には異性ではない。それがいま不思議でならない。
雨川は自然とソラの手を握っていた。そして自然と眠くなっていく。どうせ休みなのだしいいや、と、雨川も目を閉じることにする。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】20年後の真実
ゴールデンフィッシュメダル
恋愛
公爵令息のマリウスがが婚約者タチアナに婚約破棄を言い渡した。
マリウスは子爵令嬢のゾフィーとの恋に溺れ、婚約者を蔑ろにしていた。
それから20年。
マリウスはゾフィーと結婚し、タチアナは伯爵夫人となっていた。
そして、娘の恋愛を機にマリウスは婚約破棄騒動の真実を知る。
おじさんが昔を思い出しながらもだもだするだけのお話です。
全4話書き上げ済み。
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
夫と息子に邪険にされたので王太子妃の座を譲ります~死に戻ってから溺愛されても今更遅い
青の雀
恋愛
夫婦喧嘩の末に置き去りにされた妻は、旦那が若い愛人とイチャついている間に盗賊に襲われ、命を落とした。
神様の温情により、10日間だけこの世に戻った妻と護衛の騎士は、その10日間の間に心残りを処分する。それは、娘の行く末と……もし、来世があるならば、今度は政略といえども夫以外の人の妻になるということ。
もう二度と夫と出会いたくない彼女は、彼女を蔑ろにしてきた息子とも縁を切ることを決意する。
生まれかわった妻は、新しい人生を強く生きることを決意。
過去世と同じ轍を踏みたくない……
三十年後に届いた白い手紙
RyuChoukan
ファンタジー
三十年前、帝国は一人の少年を裏切り者として処刑した。
彼は最後まで、何も語らなかった。
その罪の真相を知る者は、ただ一人の女性だけだった。
戴冠舞踏会の夜。
公爵令嬢は、一通の白い手紙を手に、皇帝の前に立つ。
それは復讐でも、告発でもない。
三十年間、辺境の郵便局で待ち続けられていた、
「渡されなかった約束」のための手紙だった。
沈黙のまま命を捨てた男と、
三十年、ただ待ち続けた女。
そして、すべてを知った上で扉を開く、次の世代。
これは、
遅れて届いた手紙が、
人生と運命を静かに書き換えていく物語。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる