読書感想文

二色燕𠀋

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20 / 53
司馬遼太郎『燃えよ剣』

感想-3

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下巻はほぼ戊辰戦争です。
上下巻の分け方(文庫はね、うまいとこで分けてある)間違いなく上巻ではこう、

やったー!念願だった武士になれたー!活躍ー!
からこう、だからこそのトシさんストイック炸裂で隊員が死んでいく(新撰組の半分くらいは土方歳三の作った掟と、彼の厳しさによる内部処罰で死んでます)苦悩とか、そういう感じですが

下巻は一気に劣勢。まぁ、歴史を見れば戊辰戦争って、大政奉還から始まるわけで、
新撰組って、幕府(のちに新政府に成り代わるため、戊辰戦争でぶっ潰される)に着いていたので、劣勢は仕方ない。

ただまぁ、こう。
負けゆく武士(喧嘩師)の話になっていく訳なんですよね。敗戦しかしないし、まぁ沈んだり緊迫したりが下巻にはあります。

拙作「水流の義士」で書いたんですが(司馬さん、拙作を並べてしまいホントすみません)近藤と土方の別れが、あっさりしているからこそこう、この辺から「劣勢だわ…」を文庫300pくらい引きずりながら読むことになります。

p334

「行くよ」
 近藤は庭へおりた。おりるとその足で酒倉へゆき、兵に解散を命じ、さらに京都以来の隊士数にをあつめて、
「みな、自由にするがいい。私も、自由にする。みな、世話になった」
 近藤はふたたび門を出た。
 歳三は追わなかった。
(おれは、やる)
 ぴしゃっ、と顔をたたいた。脚の黒々とした藪蚊がつぶれている。

これな。
敗北だけではない、やらなくちゃ感やら、書いてるように「やる」感。このシーン好きなんですけどね。

ずっと一緒にやって来た同士がもう、ここで完璧に終わる、と。色々な意味で。

こっから章転換で「話はかわる。」で始まるんですけど。

このあっさりさな。作者と読者と登場人物の三者のやり取りがありますよね、なんか。

こっから小姓、市村鉄之助やら、大鳥圭介やら榎本武揚の話、
つまりは本当にこう、「戦」感が出るんですが、一回こうやってもうね、近藤が死んだ、があるので凄くこう、どこか脱力やらもう、言い知れない虚しさを孕みながら最後までいくわけですね。榎本と気が合わねぇなとか、総司はもう死にそうだな、とかね。

後半も後半は「歳三は自分が死ぬことだけを考えるようになっていた。」と書かれていて、
あぁ、そうかと脱力感の理由がわかる。まぁ、まんまと司馬さんに入り込んでることに気付く。

最後まぁ、ここは抜粋を敢えてしませんが、土方歳三が名乗って死ぬラストが、まぁ、かっこいいんですと。

漸く感想文を終えます、はい。
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