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For Someone
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開店とほぼ同時に、なんだか素行の悪い、ヤンキーというかなんというか、チャラチャラした、ウチの店には珍しいタイプのお客さん3人くらいが入ってきた。それだけだったらまだ、裏で柏原さんとみっちゃんが、「面倒臭ぇ」と言って終わるのだが…。
その3人組はしばらく騒ぎながら飲んでいた。何組かお客さんが入ってきて、常連さんなんかも見え始め、ディナーピークと呼ばれる時間に突入してきた頃だった。
うるさいのは最早ほっといたが、いい加減他のお客さんに迷惑かな、という頃、突然その人たちは静かになった。
まぁいいかと、ただ回転率もあるし、そろそろ退店を促そうかなと思っていた頃だった。
「おねぇさんさ、」
そのうち一人が、私に声を掛けてきて、手招きをする。オーダーかな、と思って聞きに行くと、「この後暇?」と言われた。
出たよナンパ。職業柄ごくたまに勘違いした人がやるやつ。なんとなくここに来るお客さんは私が高校生なのを察しってやって来ないけど、たまにこーゆーの、いるんだよなー。
持ってったお酒を渡され、飲めと合図される。断っているとその薦めてきた男は、「お前、いいのか?」と言ってきた。
「言うこと聞かないと、秘密をバラすよ」
「秘密ってなんですか?」
「お前の母親、ジャンキーで男ったらしらしいな」
一瞬何を言われているのかわからなかった。が、思い当たる人物は過去に決別したあの人しかいなかった。
「あ、そうなんですか」
「バラしたら学校は大騒ぎだろうね。下手すりゃ退学?」
確かにあの母親の事だから、まだ親権はあるかもしれない。
少し動揺した。それを悟られないように去ろうとするが、
「いいの?」
と言われ、立ち止まってしまう。
「小夜、」
みっちゃんの声で我に返った。
大丈夫、大丈夫…。
「君らさ、身分証ある?」
するとみっちゃんは、その人たちに尋ねた。
言われてみれば若く見えるような…。
「は?」
「まぁ今更なんだけどさ、退店時間前に申し訳ないんだけど、ある?」
「なんで?」
「失礼だけど、未成年だよね?そうじゃなかったらごめんね。そしたらサービスするからさ」
「いや、個人情報なんですけど…」
急に3人は、吃り始めた。
「いやごめんね。じゃぁ退店してもらえるかな?こっちも法律犯したくないからね。ちなみにいままで出してたカクテル全部ノンアルコールだから。気持ちよくなって頂いてよかったわ。嘘だと思うならアルコールチェックあるけど、してみる?」
「なっ…。ふざけんな、金払ってんだぞ!」
「まだ会計済んでないでしょ?大丈夫だよソフドリで貰うから。
お酒の味が分かるようになったら来てね、お坊ちゃん方」
「てめぇっ…店主呼べ!」
「じゃぁ身分証だして。やることやってからにしろクソガキ。
おっさーん。えーぎょーぼーがーい。このクソガキ共警察突きだしていい?」
みっちゃんは柏原さんにダルそうに言った。端で見ていた柏原さんも、「おー、ぜーんぜんいーよ。なんなら俺のが電話近いから俺が呼ぶわ。オーナー俺だから話も早いっしょ」とか楽しそうに言っていた。
「じゃよろしくー。
小夜、こっちおいで」
みっちゃんにそう言われて私はみっちゃんの方へやっと歩けた。意外と自分が動揺していたことに気付く。
3人は舌打ちをして立ち上がった。そのまま去ろうとするので、「あー待って、食い逃げ!」とみっちゃんが言うと、リーダー各の様な、さっき絡んできた男が一万円をばんっとカウンターに置いた。
「小夜、レジから1540円のおつり持ってきてやって」
「いらねぇよそんな!」
「いやいいです。ガキのなけなしの小遣いをせびろうなんて気は大人にはありませんので」
嘲笑うかのようにみっちゃんはそう言ってタバコに火をつけた。私は言われた通り、1540円をみっちゃんに渡すと、みっちゃんは丁寧にわかりやすくお金をカウンターに置いて、「まいどあり」と言ってさっさとその場で食器などを下げた。
少年たちはお釣りを乱暴に握り、荒々しく扉を閉めて去ってしまった。
客席からは、「兄ちゃんかっこいいね!」とか、「すかっとしたよ!」とか喚声と拍手が浴びせられた。
「いやいやみなさん、大変私情でお騒がせいたしました。申し訳ありません。俺からちょっとドリンク一杯サービスします」
そう言って深々と頭を下げた。私もそれにならって頭を下げた。
「みっちゃん…」
「いいよ気にしなくて。これも接客だ。
小夜は大丈夫?」
「うん…ありがとう…」
そう言うと笑って頭を撫でてくれた。
「気にすんな」
そのみっちゃんの笑顔にちょっと泣きそうになった。
それから閉店までは、お客さんに励まされながら、緩やかに過ぎていった。
閉店して仕事が終わってから、改めてみっちゃんにお礼を言って、お店に迷惑をかけたことを、3人に謝罪した。
「俺よく知らないんだけど、どうしたの?」
「いや、何か…。
お酒を飲めって言われて。飲まないと、お母さんのこと…学校にばらすぞって。お母さんがジャンキーで男たらしなの…」
「あ、そうだったんだ」
だけど当のみっちゃんはそんな感じだった。
その3人組はしばらく騒ぎながら飲んでいた。何組かお客さんが入ってきて、常連さんなんかも見え始め、ディナーピークと呼ばれる時間に突入してきた頃だった。
うるさいのは最早ほっといたが、いい加減他のお客さんに迷惑かな、という頃、突然その人たちは静かになった。
まぁいいかと、ただ回転率もあるし、そろそろ退店を促そうかなと思っていた頃だった。
「おねぇさんさ、」
そのうち一人が、私に声を掛けてきて、手招きをする。オーダーかな、と思って聞きに行くと、「この後暇?」と言われた。
出たよナンパ。職業柄ごくたまに勘違いした人がやるやつ。なんとなくここに来るお客さんは私が高校生なのを察しってやって来ないけど、たまにこーゆーの、いるんだよなー。
持ってったお酒を渡され、飲めと合図される。断っているとその薦めてきた男は、「お前、いいのか?」と言ってきた。
「言うこと聞かないと、秘密をバラすよ」
「秘密ってなんですか?」
「お前の母親、ジャンキーで男ったらしらしいな」
一瞬何を言われているのかわからなかった。が、思い当たる人物は過去に決別したあの人しかいなかった。
「あ、そうなんですか」
「バラしたら学校は大騒ぎだろうね。下手すりゃ退学?」
確かにあの母親の事だから、まだ親権はあるかもしれない。
少し動揺した。それを悟られないように去ろうとするが、
「いいの?」
と言われ、立ち止まってしまう。
「小夜、」
みっちゃんの声で我に返った。
大丈夫、大丈夫…。
「君らさ、身分証ある?」
するとみっちゃんは、その人たちに尋ねた。
言われてみれば若く見えるような…。
「は?」
「まぁ今更なんだけどさ、退店時間前に申し訳ないんだけど、ある?」
「なんで?」
「失礼だけど、未成年だよね?そうじゃなかったらごめんね。そしたらサービスするからさ」
「いや、個人情報なんですけど…」
急に3人は、吃り始めた。
「いやごめんね。じゃぁ退店してもらえるかな?こっちも法律犯したくないからね。ちなみにいままで出してたカクテル全部ノンアルコールだから。気持ちよくなって頂いてよかったわ。嘘だと思うならアルコールチェックあるけど、してみる?」
「なっ…。ふざけんな、金払ってんだぞ!」
「まだ会計済んでないでしょ?大丈夫だよソフドリで貰うから。
お酒の味が分かるようになったら来てね、お坊ちゃん方」
「てめぇっ…店主呼べ!」
「じゃぁ身分証だして。やることやってからにしろクソガキ。
おっさーん。えーぎょーぼーがーい。このクソガキ共警察突きだしていい?」
みっちゃんは柏原さんにダルそうに言った。端で見ていた柏原さんも、「おー、ぜーんぜんいーよ。なんなら俺のが電話近いから俺が呼ぶわ。オーナー俺だから話も早いっしょ」とか楽しそうに言っていた。
「じゃよろしくー。
小夜、こっちおいで」
みっちゃんにそう言われて私はみっちゃんの方へやっと歩けた。意外と自分が動揺していたことに気付く。
3人は舌打ちをして立ち上がった。そのまま去ろうとするので、「あー待って、食い逃げ!」とみっちゃんが言うと、リーダー各の様な、さっき絡んできた男が一万円をばんっとカウンターに置いた。
「小夜、レジから1540円のおつり持ってきてやって」
「いらねぇよそんな!」
「いやいいです。ガキのなけなしの小遣いをせびろうなんて気は大人にはありませんので」
嘲笑うかのようにみっちゃんはそう言ってタバコに火をつけた。私は言われた通り、1540円をみっちゃんに渡すと、みっちゃんは丁寧にわかりやすくお金をカウンターに置いて、「まいどあり」と言ってさっさとその場で食器などを下げた。
少年たちはお釣りを乱暴に握り、荒々しく扉を閉めて去ってしまった。
客席からは、「兄ちゃんかっこいいね!」とか、「すかっとしたよ!」とか喚声と拍手が浴びせられた。
「いやいやみなさん、大変私情でお騒がせいたしました。申し訳ありません。俺からちょっとドリンク一杯サービスします」
そう言って深々と頭を下げた。私もそれにならって頭を下げた。
「みっちゃん…」
「いいよ気にしなくて。これも接客だ。
小夜は大丈夫?」
「うん…ありがとう…」
そう言うと笑って頭を撫でてくれた。
「気にすんな」
そのみっちゃんの笑顔にちょっと泣きそうになった。
それから閉店までは、お客さんに励まされながら、緩やかに過ぎていった。
閉店して仕事が終わってから、改めてみっちゃんにお礼を言って、お店に迷惑をかけたことを、3人に謝罪した。
「俺よく知らないんだけど、どうしたの?」
「いや、何か…。
お酒を飲めって言われて。飲まないと、お母さんのこと…学校にばらすぞって。お母さんがジャンキーで男たらしなの…」
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だけど当のみっちゃんはそんな感じだった。
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