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ホワイトチョコレート
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「…真里、」
柏原はキッチンで一人黙々と作業する真里に声を掛けた。
「…はい?」
「…今日どう?飲み行く?」
「…あんたは優しいな…」
そう言って真里は観念したようにキッチンから出てきた。柏原は客席を指し、促す。それに従って真里はカウンター席に座った。
仕方ないなと、柏原は「大吟醸」と言って久保田萬寿の四合瓶を持って隣のカウンター席に座った。
カウンターに手を伸ばし、手が届いたワイングラスを2つ並べ、そこに久保田萬寿を注いだ。
「いいんすか?」
「飲まなきゃやってらんねぇ日もあるだろ?」
「…あんた怖いね」
この人には隠し事は意味がないな。そう思ってワイングラスを傾ける。
水のような酒だな、と思い、ぐいっと飲んだ。
「あーあー、もったいない飲み方だな。お前これ高いんだよ?」
「水みてぇだ」
「大丈夫、二口目からだから」
そう言われたので二口目を飲んでみたら味が変わった。だが口当たりが良すぎる。多分これはハイペースでいったらかなり酔っぱらう。
「お上品なお酒だねぇ」
「まぁね。刺激が強い方が今のお前には良いんだろうね。
だがこれもなかなかだよ?気付いたら酔ってんだから」
「…働けなかったらオーナーのせいだね」
「まぁお前はあいつと違って酒癖大丈夫だから」
「まぁね」
そう返す真里が少し愛しそうに言うもんだから。これは切り出さなくても勝手に話すだろうと様子を見た。
「自分でもさ、器小っちぇなって。毎回のことながら」
「でもいつもより余裕ないな」
「…多分、あの人気付いてないんだなって。自分の気持ちに。だけど…どっかで…気付かないで欲しいとか思っちゃってさ」
「お前、ホント好きなんだな」
「でもさ、幸せにはなって欲しい。あの人の辛い姿、やっぱ見たくないんだよなぁ…」
「まぁ俺は何も言ってやれねぇけどな、情けないことに。
たださ、本気で死にたくなるような恋なんてお前もアイツも、多分一回しかないんだよ。それが実ろうが実らなかろうが。
現実ってわりと残酷だからな」
柏原は遠い目をしている。多分一度きりの恋を思い出してそんな悲しい顔をするんだろう。
「あのさ。
俺は恋はあの人なんだけどさ、あんたもまた別な感じで大好きなんだよ。だからあんたも幸せにはなって欲しいよ?あの人と同じ、いや、あの人以上にね。それは伝えておくよ。それはあの人も、同じ思いだからここにいるんだよ」
「はいはい。その言葉はそっくりそのままてめぇにコピペしてやらぁ。
いいじゃねぇか。真里も、光也も俺も、今ちゃんと生きてんだ。生きてれば、いつか報酬はあるよ」
「嫌だなぁ、なんかあんたには敵わないや」
「そんなことねぇよ。俺はお前にも光也にも敵わないとこだらけだ。人ってそんなもんだよ」
「うん…」
恩師に言われてしまっては、何も返せない。
「みんな幸せになれば話しは早いんだよな」
「そうっすね」
「お前の本当の幸せってなに?」
「え?」
「俺とか光也とか小夜ちゃん抜きにして。自分だけの、自分の欲望だけの幸せって何?」
「…なんだろうな」
「それがわかればもうちょっと楽なんじゃねぇ?
あいつもだけどお前ら、自分を持てよ。
俺はね、いまお前が思ってるよりは幸せ…ってか楽しいよ。
そもそもさ、この店出したのも、俺が落ち着きたかったからなんだよね。好きな仕事して、好きな時間を過ごして。そこにお前らを呼んだの。自分勝手だよな。
疲れてた。自由が利かない、でも一応料理っていうさ、好きな分野で働いて。家帰った方が気疲れしまくって。まぁ変わった女を好きになった、死ぬほどの恋をした自分が悪いんだけどさ。
もがいてもがいて漸く今ここに立ってんだよ。俺今なら死んでもいいや。それくらい…」
言葉に詰まってグラスを傾ける。
「水みてぇだな」
そう柏原が言って、漸く笑えた。
「二口目でしょ?」
「うん。お上品すぎる。
まぁごめん!言葉に出来ないからしねぇや!伝わったかな?それにしちゃ喋りすぎたな」
「大丈夫、ちゃんと多分伝わってる。ちょっとシャキッとしたし元気出たわ」
「よかったよかった」
自分はなんだかんだで愛されてる。そう思った。そしてなんとなく、ここにいる理由もわかった気がする。
「じゃぁ言うけど!
くっそー!マジ野郎の恋ぶち壊してやりてぇなー!もう俺にしろよいい加減!」
「ふっ、ははは!痩せ我慢終了!そうだその意気だ!」
「でもさぁ~、多分あの人失敗して凹んだら、俺すっげー胃が痛くなるんだよ!」
「でしょうね!」
「あーもー!どうすりゃいいんだ何も出来ない!」
「今回はあいつ…なんかガチだよな」
「そーだよだから俺こんなんなってんじゃんか!」
「でも…。
上手くいくかな。まぁ、俺がやることは、どう転んでも構えてるくらいだな」
「うわ、かっこいい。ちょっと惚れそう」
「だめです。俺はだめです」
ちょっと真里が酔っぱらってきたようで、カウンターに突っ伏してしまった。
そして柏原は思い付いた。
「俺いいこと考えたんですけどマリちゃん」
「んぇ?」
「名付けて、バレンタイン大作戦(小夜方式)!」
また、とんでもなくくだらないことを思い付いたに違いない。真里は柏原を見つめるが、本人は至ってキラキラしている。
大きく溜め息を吐いた。
柏原はキッチンで一人黙々と作業する真里に声を掛けた。
「…はい?」
「…今日どう?飲み行く?」
「…あんたは優しいな…」
そう言って真里は観念したようにキッチンから出てきた。柏原は客席を指し、促す。それに従って真里はカウンター席に座った。
仕方ないなと、柏原は「大吟醸」と言って久保田萬寿の四合瓶を持って隣のカウンター席に座った。
カウンターに手を伸ばし、手が届いたワイングラスを2つ並べ、そこに久保田萬寿を注いだ。
「いいんすか?」
「飲まなきゃやってらんねぇ日もあるだろ?」
「…あんた怖いね」
この人には隠し事は意味がないな。そう思ってワイングラスを傾ける。
水のような酒だな、と思い、ぐいっと飲んだ。
「あーあー、もったいない飲み方だな。お前これ高いんだよ?」
「水みてぇだ」
「大丈夫、二口目からだから」
そう言われたので二口目を飲んでみたら味が変わった。だが口当たりが良すぎる。多分これはハイペースでいったらかなり酔っぱらう。
「お上品なお酒だねぇ」
「まぁね。刺激が強い方が今のお前には良いんだろうね。
だがこれもなかなかだよ?気付いたら酔ってんだから」
「…働けなかったらオーナーのせいだね」
「まぁお前はあいつと違って酒癖大丈夫だから」
「まぁね」
そう返す真里が少し愛しそうに言うもんだから。これは切り出さなくても勝手に話すだろうと様子を見た。
「自分でもさ、器小っちぇなって。毎回のことながら」
「でもいつもより余裕ないな」
「…多分、あの人気付いてないんだなって。自分の気持ちに。だけど…どっかで…気付かないで欲しいとか思っちゃってさ」
「お前、ホント好きなんだな」
「でもさ、幸せにはなって欲しい。あの人の辛い姿、やっぱ見たくないんだよなぁ…」
「まぁ俺は何も言ってやれねぇけどな、情けないことに。
たださ、本気で死にたくなるような恋なんてお前もアイツも、多分一回しかないんだよ。それが実ろうが実らなかろうが。
現実ってわりと残酷だからな」
柏原は遠い目をしている。多分一度きりの恋を思い出してそんな悲しい顔をするんだろう。
「あのさ。
俺は恋はあの人なんだけどさ、あんたもまた別な感じで大好きなんだよ。だからあんたも幸せにはなって欲しいよ?あの人と同じ、いや、あの人以上にね。それは伝えておくよ。それはあの人も、同じ思いだからここにいるんだよ」
「はいはい。その言葉はそっくりそのままてめぇにコピペしてやらぁ。
いいじゃねぇか。真里も、光也も俺も、今ちゃんと生きてんだ。生きてれば、いつか報酬はあるよ」
「嫌だなぁ、なんかあんたには敵わないや」
「そんなことねぇよ。俺はお前にも光也にも敵わないとこだらけだ。人ってそんなもんだよ」
「うん…」
恩師に言われてしまっては、何も返せない。
「みんな幸せになれば話しは早いんだよな」
「そうっすね」
「お前の本当の幸せってなに?」
「え?」
「俺とか光也とか小夜ちゃん抜きにして。自分だけの、自分の欲望だけの幸せって何?」
「…なんだろうな」
「それがわかればもうちょっと楽なんじゃねぇ?
あいつもだけどお前ら、自分を持てよ。
俺はね、いまお前が思ってるよりは幸せ…ってか楽しいよ。
そもそもさ、この店出したのも、俺が落ち着きたかったからなんだよね。好きな仕事して、好きな時間を過ごして。そこにお前らを呼んだの。自分勝手だよな。
疲れてた。自由が利かない、でも一応料理っていうさ、好きな分野で働いて。家帰った方が気疲れしまくって。まぁ変わった女を好きになった、死ぬほどの恋をした自分が悪いんだけどさ。
もがいてもがいて漸く今ここに立ってんだよ。俺今なら死んでもいいや。それくらい…」
言葉に詰まってグラスを傾ける。
「水みてぇだな」
そう柏原が言って、漸く笑えた。
「二口目でしょ?」
「うん。お上品すぎる。
まぁごめん!言葉に出来ないからしねぇや!伝わったかな?それにしちゃ喋りすぎたな」
「大丈夫、ちゃんと多分伝わってる。ちょっとシャキッとしたし元気出たわ」
「よかったよかった」
自分はなんだかんだで愛されてる。そう思った。そしてなんとなく、ここにいる理由もわかった気がする。
「じゃぁ言うけど!
くっそー!マジ野郎の恋ぶち壊してやりてぇなー!もう俺にしろよいい加減!」
「ふっ、ははは!痩せ我慢終了!そうだその意気だ!」
「でもさぁ~、多分あの人失敗して凹んだら、俺すっげー胃が痛くなるんだよ!」
「でしょうね!」
「あーもー!どうすりゃいいんだ何も出来ない!」
「今回はあいつ…なんかガチだよな」
「そーだよだから俺こんなんなってんじゃんか!」
「でも…。
上手くいくかな。まぁ、俺がやることは、どう転んでも構えてるくらいだな」
「うわ、かっこいい。ちょっと惚れそう」
「だめです。俺はだめです」
ちょっと真里が酔っぱらってきたようで、カウンターに突っ伏してしまった。
そして柏原は思い付いた。
「俺いいこと考えたんですけどマリちゃん」
「んぇ?」
「名付けて、バレンタイン大作戦(小夜方式)!」
また、とんでもなくくだらないことを思い付いたに違いない。真里は柏原を見つめるが、本人は至ってキラキラしている。
大きく溜め息を吐いた。
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