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アダージョ
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「光也くん、優しいのね」
「いや、そうでもないです」
「愛情に満ちてるのがちゃんと伝わってくる。光也くん…」
もうこれはいいか。
「うん。今更ですけど…。なんか、こんな時に言うのもなぁ…」
「光也くん。私…。貴方が思うよりもズルい女なの」
「へ?」
「だからね。
こんなときでも…ちょっと聞きたいの。その続きを」
なんたることだ。
覚悟を決めなきゃなぁ。
まずは言う覚悟だけ。
うん、よし。
「好きです、雪子さん」
あぁだめだ、言わなきゃよかった。言ったら止まらなくなった。
「うん」
でもダメだ俺は。
こんなに、笑顔を見ても真剣な眼差しを見ても、思いが溢れてくるのに、でも口下手だ。なにも言葉が出てこない。
「もう、好き。
どうしよう…もっと…なんかこう…言いたいんだ」
「そう…」
「でもでも!
わかってます。貴女にはちゃんと、一番の人がいるって。だから…俺が貴女のこと好きでも構いませんか?やっぱり…」
「当たり前じゃないですか」
「え?」
「いま…私、ちょっと、嬉しいんだもん」
「ウソ…」
「本当です。嬉しい、どうしていいかわからない」
これは、これは…?
「え、つまり?」
「うん、私も…」
言いかけて雪子さんは仏壇をちらっと見た。
そうだね。うん。
「俺…さ。
貴女にとって、二番目で全然良いんだ。あんたが一番好きな人には永遠に届かないからさ。だから俺、せめて、俺にとって今のところ、あんたは一生で一人なんじゃないかってくらいマジで好きなんです。
だから…だから永遠より短い時間で全然良い、大好きでいい?」
「うん、うん…」
雪子さんが泣き出してしまった。困った。
「え、え、ウソ、マジか」
「いや、なんかもうわからない、嬉しい!久しぶりにときめいてるかも…」
そんなこと言われても、泣かれるのはやっぱり困るから、向かい側の雪子さんの目元に手を伸ばして涙を拭った。
「泣かないでください、わりと困るから」
「ごめんね、ごめん」
そして間が生まれ、
「それ、告白…よりプロポーズっぽい…」
「あっ」
言われてみればそうかも。どうしよ。
だけど雪子さんは笑ってくれて。照れ臭くなったので訂正することにした。
「じゃぁちょっとの間恋人でもいいですか?」
また更に泣き出した。これはどっちだよ。ダメなのか、いいのか?
「はい、どうぞ」
「へ?」
自分で言っておといて信じるまでに時間が掛かって。
「あ、え?」
「え?嫌?」
「いや、そうじゃなくてえ、マジ?」
「え?もしかしてマジで言ってなかったの?」
「いや、マジですよ大マジですよだけど、え、ちょっと頬っぺたつねってくださいなんならぶん殴ってください」
雪子さんは遠慮がちに俺の頬に手を伸ばし、つねった。
「どう?」
「いはい。ゆめひゃなひ」
「ふふっ」
マジかマジか。
思わずその手を取って握り、見つめる。少し恥ずかしそうに俯く姿がホント。
「可愛い…」
「え?」
俺今凄くにやけてるだろうな。
ふと思い付いてお茶を入れてあげようと思い、立ち上がった。あんかけ焼きそばが半分より少しくらいしか減ってないから。
急須を借りてお茶を入れ、雪子さんにお茶を出し、思い付いたので仏壇にもお茶を備えた。
少し手を合わせて振り向くと、いつの間にやら食べ終えていて。
手を合わせて「ごちそうさまです」と言ったので、「どうも」と言って皿を受け取り、洗い物をしようと台所に立ったが、
「大丈夫、これくらい出来るよ。ちょっと休んでね」
と言われたので甘えることにした。
「いや、そうでもないです」
「愛情に満ちてるのがちゃんと伝わってくる。光也くん…」
もうこれはいいか。
「うん。今更ですけど…。なんか、こんな時に言うのもなぁ…」
「光也くん。私…。貴方が思うよりもズルい女なの」
「へ?」
「だからね。
こんなときでも…ちょっと聞きたいの。その続きを」
なんたることだ。
覚悟を決めなきゃなぁ。
まずは言う覚悟だけ。
うん、よし。
「好きです、雪子さん」
あぁだめだ、言わなきゃよかった。言ったら止まらなくなった。
「うん」
でもダメだ俺は。
こんなに、笑顔を見ても真剣な眼差しを見ても、思いが溢れてくるのに、でも口下手だ。なにも言葉が出てこない。
「もう、好き。
どうしよう…もっと…なんかこう…言いたいんだ」
「そう…」
「でもでも!
わかってます。貴女にはちゃんと、一番の人がいるって。だから…俺が貴女のこと好きでも構いませんか?やっぱり…」
「当たり前じゃないですか」
「え?」
「いま…私、ちょっと、嬉しいんだもん」
「ウソ…」
「本当です。嬉しい、どうしていいかわからない」
これは、これは…?
「え、つまり?」
「うん、私も…」
言いかけて雪子さんは仏壇をちらっと見た。
そうだね。うん。
「俺…さ。
貴女にとって、二番目で全然良いんだ。あんたが一番好きな人には永遠に届かないからさ。だから俺、せめて、俺にとって今のところ、あんたは一生で一人なんじゃないかってくらいマジで好きなんです。
だから…だから永遠より短い時間で全然良い、大好きでいい?」
「うん、うん…」
雪子さんが泣き出してしまった。困った。
「え、え、ウソ、マジか」
「いや、なんかもうわからない、嬉しい!久しぶりにときめいてるかも…」
そんなこと言われても、泣かれるのはやっぱり困るから、向かい側の雪子さんの目元に手を伸ばして涙を拭った。
「泣かないでください、わりと困るから」
「ごめんね、ごめん」
そして間が生まれ、
「それ、告白…よりプロポーズっぽい…」
「あっ」
言われてみればそうかも。どうしよ。
だけど雪子さんは笑ってくれて。照れ臭くなったので訂正することにした。
「じゃぁちょっとの間恋人でもいいですか?」
また更に泣き出した。これはどっちだよ。ダメなのか、いいのか?
「はい、どうぞ」
「へ?」
自分で言っておといて信じるまでに時間が掛かって。
「あ、え?」
「え?嫌?」
「いや、そうじゃなくてえ、マジ?」
「え?もしかしてマジで言ってなかったの?」
「いや、マジですよ大マジですよだけど、え、ちょっと頬っぺたつねってくださいなんならぶん殴ってください」
雪子さんは遠慮がちに俺の頬に手を伸ばし、つねった。
「どう?」
「いはい。ゆめひゃなひ」
「ふふっ」
マジかマジか。
思わずその手を取って握り、見つめる。少し恥ずかしそうに俯く姿がホント。
「可愛い…」
「え?」
俺今凄くにやけてるだろうな。
ふと思い付いてお茶を入れてあげようと思い、立ち上がった。あんかけ焼きそばが半分より少しくらいしか減ってないから。
急須を借りてお茶を入れ、雪子さんにお茶を出し、思い付いたので仏壇にもお茶を備えた。
少し手を合わせて振り向くと、いつの間にやら食べ終えていて。
手を合わせて「ごちそうさまです」と言ったので、「どうも」と言って皿を受け取り、洗い物をしようと台所に立ったが、
「大丈夫、これくらい出来るよ。ちょっと休んでね」
と言われたので甘えることにした。
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