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【第三章】With a Prayer Upon the Cross
第2話:ウォータークラッシュ
カイルはこのいじめを、ジェームズやアーサーには相談しなかった。
二人はただでさえ忙しいし、アーサーについては大食堂での出来事もある。
優しく、また権力を持つ彼らはカイルがこんなことをされていると知れば烈火の如く怒るかも知れない。
そしてきっと持ちうる力を使って犯人を暴いてくれるだろうが、それではカイルが嫌だった。
オメガになってからと言うもの———いや、それ以前からカイルは彼らに頼り切りで、何一つ自分の力では成してない。
カイルが爆発して部屋を飛び出した時。
エリオットを暴漢から守った時。
大食堂で卑劣な上級生に絡まれた時。
その後特別食堂から追い出されそうになった時。
あらゆる場面で二人はカイルを守ってくれたが、いつも一方的に貰ってばかりだった。
それがなくとも、今はアーサーとの噂が絶えない。
これ以上火種を撒くのも嫌だったし、アーサーに対しても申し訳なさがあった。
このくらい自分の力で解決できなくては。
二人の知らないうちに、なるべく穏便に事態を収めたいと思っていたのだ。
当然いつも一緒に行動するエリオットはこの状況を知っていた。
カイルはエリオットのことを信用しきっていたので、グレアムとヘンリーが犯人かも知れないと言うことも愚痴程度に漏らしていた。
彼は二人の態度を知っているので一度は同調してくれた。
カイルはそれが嬉しくて、事件が起きるたびエリオットに二人はなんでこんなことをするんだろうと嘆くのであった。
だがやがてエリオットは「証拠もないのに決めつけるのは良くないと思う」と言い出したので、カイルはエリオットに相談するのをやめた。
しかしそうなると相談相手がおらず、鬱憤は溜まるばかりだった。
あまりにも凄惨ないじめにヘインズがカイルのカウンセラーとして話を聞きにきたが、なんだか大人に話すのは憚られた。
苦しみを分かってくれないと思っていたし、こういう事態に教師が介入すると碌なことがないのは世の常である。
なのでカイルは、ある人物に相談を持ちかけた。
「まぁ、そうなんですか。マクミラン先輩、お可哀想に……」
ほっそりとした指を頬に当ててカイルを気遣うのは、ユリシーズだ。
途方に暮れて年下に相談を持ちかけるなんて…とカイルは思ったが、ユリシーズは案外快く応じてくれた。
彼はアーサーと自分の状況をそこそこ把握していて、かつカイルに嫌がらせをする動機はなさそうだと判断したのだ。
そんなことをしても彼に利はないし、もし仮に彼がオメガ差別主義者だったらエリオットにも同じことをするだろうと思ったので。
彼はあくまでアーサーの寮弟なのでアーサーに筒抜ける可能性も危惧したが、気配り上手な彼はきっと秘密もギリギリまで守ってくれるだろうと考えた。
「僕は詳しい状況を存じ上げないのですが……オメガになってから無視するそのお友達、確かに気分はよくないですよね」
「よくないどころじゃないよ……。入学した時から友達だってのに、薄情な奴らだよ。
僕だってなりたくてオメガになったわけじゃないのに」
「うぅん……なんと言うか、ままなりませんね。
何か二人の犯行の証拠があれば先生に突き出せるんでしょうけど」
「なんだか探偵みたい。ユリシーズ、シャーロック役が似合うね」
「ふふ、恐縮です。なかなか有用なアドバイスができなくて申し訳ありません…」
困った汗を飛ばしながら、ユリシーズは太めの眉を垂らして微笑む。
エリオットとはまた一味違う、守りたくなるような愛らしさだ。
「そういえば先輩、明後日のウォータークラッシュは当然見に行きますよね?」
ユリシーズが花の笑みでそう切り出す。
この時期にこの話をしない生徒はいないので、カイルも慣れたように「もちろん!」と答えた。
ウォータークラッシュ。
クレイストンで毎年11月の末に開催される寮対抗試合の一つ。
学校の敷地から南西に森を抜けると、エルデン湖という大きな湖がある。
ウォータークラッシュとは、この湖で行われる水上試合だ。
三人乗りのカヤックの前後にはパドラー、真ん中には"将軍"である各寮の監督生が座る。
それぞれ同等の距離を置いて湖の縁からスタートし、他寮の将軍全員を湖に突き落としたら勝利となる総当たり戦だ。
水上で行われる騎馬戦のようなもので、もちろん落ちたり船が転覆すると将軍は即脱落。
武器は持ち込み禁止だが、カヤックのパドルは使用OK。
クレイストンの創立時から続く伝統行事で、なかなかに荒っぽい試合だがこれは学年末の寮対抗クリケット大会と同じくらい盛り上がる。
ちなみに11月末の湖は洒落にならないくらい冷たいので、突き落とされた選手はだいたい翌日に風邪をひく。
11月半ばに差し掛かると、来たるウォータークラッシュに学校中が浮き足立つ。
監督生たちは日夜カヤックの練習をしているし、人によってはフェンシング・クラブに出入りして特訓をしたりもしている。
この学校でウォータークラッシュが嫌いな生徒なんていないし、それはもちろんカイルだって楽しみだった。
「ベンジャミン寮からはアーサー先輩、アルバート寮からはジェームズ先輩が出るそうですよ!
二人の直接対決が見れるわけですから、去年以上に賭けのレートが高いみたいです」
ユリシーズが紅茶のカップに指を引っ掛けながら言った。
ウォータークラッシュへの期待が高まるこの時期、ビジネス部(ソサエティ・クラブの一つ。ビジネスアイディアの立案・起業シミュレーションをするクラブ。学生起業家も多い)の小狡い連中がちょっとした賭けを始めるのだ。
彼らは出場監督生の誰が優勝するか生徒たちに予想させ、小遣いを巻き上げては甘い汁を啜っている。
学校新聞すらこの時期は下馬評を書き立て、誰が一番人気馬かを毎週発表していた。
もう完璧にスポーツ賭博である。
ちなむと去年の優勝寮は当然アーサー率いるベンジャミン寮だ。
五学年の監督生にして出場し、他の六学年監督生を全員薙ぎ倒して優勝カップを掴み取っていた。
誰もまさか彼が初年出場にして優勝すると思っていなかったので、冗談半分でアーサーに賭けた生徒以外は賭け券を紙切れ同然にしていた。
だが今年は彼が最有力株だ。
しかしジェームズも負けてはいない。
ここ数週間はアルバート寮とベンジャミン寮の生徒が睨み合ってぴりぴりしている。どちらも自寮の将軍が勝つと信じて譲らないのである。
「最近は気分が落ち込みがちだから、その分ウォータークラッシュが楽しみだよ」
「僕もです。よかったらご一緒にどうですか?ダニーも一緒なんです。
三年生に混じって観戦なんて、お恥ずかしいかも知れませんが……」
「そんなことないよ!エリオットと一緒に観る予定だったから、それでも構わないなら」
「もちろんです!一緒にアーサー先輩を応援する人が来てくれるだけで嬉しいですから」
ユリシーズはまたほろほろ嫋やかな笑みをこぼした。
嫌がらせは容赦無くカイルの心を蝕んでいたが、それでも行事は楽しい。
試合までに話す機会があるだろう。アーサーにも激励の言葉を贈っておこうとカイルは決心した。
二人はただでさえ忙しいし、アーサーについては大食堂での出来事もある。
優しく、また権力を持つ彼らはカイルがこんなことをされていると知れば烈火の如く怒るかも知れない。
そしてきっと持ちうる力を使って犯人を暴いてくれるだろうが、それではカイルが嫌だった。
オメガになってからと言うもの———いや、それ以前からカイルは彼らに頼り切りで、何一つ自分の力では成してない。
カイルが爆発して部屋を飛び出した時。
エリオットを暴漢から守った時。
大食堂で卑劣な上級生に絡まれた時。
その後特別食堂から追い出されそうになった時。
あらゆる場面で二人はカイルを守ってくれたが、いつも一方的に貰ってばかりだった。
それがなくとも、今はアーサーとの噂が絶えない。
これ以上火種を撒くのも嫌だったし、アーサーに対しても申し訳なさがあった。
このくらい自分の力で解決できなくては。
二人の知らないうちに、なるべく穏便に事態を収めたいと思っていたのだ。
当然いつも一緒に行動するエリオットはこの状況を知っていた。
カイルはエリオットのことを信用しきっていたので、グレアムとヘンリーが犯人かも知れないと言うことも愚痴程度に漏らしていた。
彼は二人の態度を知っているので一度は同調してくれた。
カイルはそれが嬉しくて、事件が起きるたびエリオットに二人はなんでこんなことをするんだろうと嘆くのであった。
だがやがてエリオットは「証拠もないのに決めつけるのは良くないと思う」と言い出したので、カイルはエリオットに相談するのをやめた。
しかしそうなると相談相手がおらず、鬱憤は溜まるばかりだった。
あまりにも凄惨ないじめにヘインズがカイルのカウンセラーとして話を聞きにきたが、なんだか大人に話すのは憚られた。
苦しみを分かってくれないと思っていたし、こういう事態に教師が介入すると碌なことがないのは世の常である。
なのでカイルは、ある人物に相談を持ちかけた。
「まぁ、そうなんですか。マクミラン先輩、お可哀想に……」
ほっそりとした指を頬に当ててカイルを気遣うのは、ユリシーズだ。
途方に暮れて年下に相談を持ちかけるなんて…とカイルは思ったが、ユリシーズは案外快く応じてくれた。
彼はアーサーと自分の状況をそこそこ把握していて、かつカイルに嫌がらせをする動機はなさそうだと判断したのだ。
そんなことをしても彼に利はないし、もし仮に彼がオメガ差別主義者だったらエリオットにも同じことをするだろうと思ったので。
彼はあくまでアーサーの寮弟なのでアーサーに筒抜ける可能性も危惧したが、気配り上手な彼はきっと秘密もギリギリまで守ってくれるだろうと考えた。
「僕は詳しい状況を存じ上げないのですが……オメガになってから無視するそのお友達、確かに気分はよくないですよね」
「よくないどころじゃないよ……。入学した時から友達だってのに、薄情な奴らだよ。
僕だってなりたくてオメガになったわけじゃないのに」
「うぅん……なんと言うか、ままなりませんね。
何か二人の犯行の証拠があれば先生に突き出せるんでしょうけど」
「なんだか探偵みたい。ユリシーズ、シャーロック役が似合うね」
「ふふ、恐縮です。なかなか有用なアドバイスができなくて申し訳ありません…」
困った汗を飛ばしながら、ユリシーズは太めの眉を垂らして微笑む。
エリオットとはまた一味違う、守りたくなるような愛らしさだ。
「そういえば先輩、明後日のウォータークラッシュは当然見に行きますよね?」
ユリシーズが花の笑みでそう切り出す。
この時期にこの話をしない生徒はいないので、カイルも慣れたように「もちろん!」と答えた。
ウォータークラッシュ。
クレイストンで毎年11月の末に開催される寮対抗試合の一つ。
学校の敷地から南西に森を抜けると、エルデン湖という大きな湖がある。
ウォータークラッシュとは、この湖で行われる水上試合だ。
三人乗りのカヤックの前後にはパドラー、真ん中には"将軍"である各寮の監督生が座る。
それぞれ同等の距離を置いて湖の縁からスタートし、他寮の将軍全員を湖に突き落としたら勝利となる総当たり戦だ。
水上で行われる騎馬戦のようなもので、もちろん落ちたり船が転覆すると将軍は即脱落。
武器は持ち込み禁止だが、カヤックのパドルは使用OK。
クレイストンの創立時から続く伝統行事で、なかなかに荒っぽい試合だがこれは学年末の寮対抗クリケット大会と同じくらい盛り上がる。
ちなみに11月末の湖は洒落にならないくらい冷たいので、突き落とされた選手はだいたい翌日に風邪をひく。
11月半ばに差し掛かると、来たるウォータークラッシュに学校中が浮き足立つ。
監督生たちは日夜カヤックの練習をしているし、人によってはフェンシング・クラブに出入りして特訓をしたりもしている。
この学校でウォータークラッシュが嫌いな生徒なんていないし、それはもちろんカイルだって楽しみだった。
「ベンジャミン寮からはアーサー先輩、アルバート寮からはジェームズ先輩が出るそうですよ!
二人の直接対決が見れるわけですから、去年以上に賭けのレートが高いみたいです」
ユリシーズが紅茶のカップに指を引っ掛けながら言った。
ウォータークラッシュへの期待が高まるこの時期、ビジネス部(ソサエティ・クラブの一つ。ビジネスアイディアの立案・起業シミュレーションをするクラブ。学生起業家も多い)の小狡い連中がちょっとした賭けを始めるのだ。
彼らは出場監督生の誰が優勝するか生徒たちに予想させ、小遣いを巻き上げては甘い汁を啜っている。
学校新聞すらこの時期は下馬評を書き立て、誰が一番人気馬かを毎週発表していた。
もう完璧にスポーツ賭博である。
ちなむと去年の優勝寮は当然アーサー率いるベンジャミン寮だ。
五学年の監督生にして出場し、他の六学年監督生を全員薙ぎ倒して優勝カップを掴み取っていた。
誰もまさか彼が初年出場にして優勝すると思っていなかったので、冗談半分でアーサーに賭けた生徒以外は賭け券を紙切れ同然にしていた。
だが今年は彼が最有力株だ。
しかしジェームズも負けてはいない。
ここ数週間はアルバート寮とベンジャミン寮の生徒が睨み合ってぴりぴりしている。どちらも自寮の将軍が勝つと信じて譲らないのである。
「最近は気分が落ち込みがちだから、その分ウォータークラッシュが楽しみだよ」
「僕もです。よかったらご一緒にどうですか?ダニーも一緒なんです。
三年生に混じって観戦なんて、お恥ずかしいかも知れませんが……」
「そんなことないよ!エリオットと一緒に観る予定だったから、それでも構わないなら」
「もちろんです!一緒にアーサー先輩を応援する人が来てくれるだけで嬉しいですから」
ユリシーズはまたほろほろ嫋やかな笑みをこぼした。
嫌がらせは容赦無くカイルの心を蝕んでいたが、それでも行事は楽しい。
試合までに話す機会があるだろう。アーサーにも激励の言葉を贈っておこうとカイルは決心した。
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