刹那の皇帝

たろ

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第1章

優しさ

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そう。第7代皇帝 醒月は女である。

醒月の言葉に有鄰は微笑んだ。
「よかれと思ったからです。」

「それは答えになってない!!!それに人に見られたらどうするんだ!」

「あら、大丈夫ですわ。ここは私が使っていた別棟ですし頴達殿以外にはおりません!人払いもしております。それに…
勿体のうございます。18の娘といえば着飾り、浮かれる頃ですし、貴方は国一番の美姫と呼ばれた、今は亡き母君によく似ていらっしゃるそうではないですか。」

「…兄上の方が母に似ていた。」

「いいえ、貴方と兄君は瓜二つであったと聞いております。…だから兄君、醒月様に成り替わることができたのでしょう?」

醒月は生まれた時から男として育てられた訳ではなく2歳上の兄である本当の醒月の死後、醒月となった。

亡くなったのは己が妹姫として。

「…そう憐れむな。私は別に満足しているし、後悔している訳でもない。」

有鄰は苦い物を飲み込むような顔をしておし黙る。

「それに私は貴方のような美しい姫を妻にできたし、ほーらこんなに可愛い娘もできた。」

醒月は傍らですやすやと寝ている有鄰の娘に目を向ける。

「しかも私は…」

「私は?」

「こうしていた方が性に合ってるんだ。走り回れることがうれしい。何しろ元おてんば公主だからな。でも衣の重さは変わらないな。」

やけに真面目な声で言ってやるとぷっと有鄰は吹き出す。

「貴方はこれだから…出すぎたことを申しましたわ。」

「じゃあこれ脱いでいい?」

「だめです」
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