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3話 俺は女冒険者になる!!
しおりを挟む「はあ!? なんでだよ?」
思っていた事と違う答えが返ってきて思わず出た声が裏返った。
「私達の婚約はすでに国王陛下がお決めになった事です。そう簡単に覆せません」
「そんなの、オウジサマは国王様の息子なんだろ? お前が俺との結婚は嫌だって言ったら聞いてくれるんじゃないのか?」
「はあ~……、そう簡単にはいきません。私達の婚約には貴族間のパワーバランスやいろいろな思惑によって成り立っています。いわゆる政略結婚というものです」
「政略結婚って…、そんじゃあさ、好きじゃないやつでも結婚しないといけないのか?」
「そうですね。あなたが前住んでいた世界がどういう所かは知りませんが、この国ではこれが普通です」
「う~~ううう あんまりだああああ」
今なら某キャラみたいに滝の涙が流せそうだ。なんてひどい世界に転生させやがったんだあのクソ女神!
「まあ、諦めるしかないですね」
「お前はいいよな! どうせ俺と結婚しても他にも女囲ってハーレム作るんだろ!? 」
「まったく、あなたは女の事しか頭にないのですか」
「あったりまえだろ! 前はモテなかったし、転生するとなったら夢みたいだろ!」
「はあ…、呆れて物も言えません」
心底呆れたというような目で俺を見る。
「あ! じゃあさ!! お前に言ったみたい俺が国王様に以前のレイラじゃないって言ってやる。そうしたらオウサマだって自分の息子に俺みたいな変な奴を結婚させようとしないだろ?」
「ああ、結婚はさせないかもしれませんがそうなったら研究所でモルモットの扱いをされるか修道院に一生閉じ込められるでしょうね悪魔付きと言われて。それでもいいならどうぞ」
王子様はしれっと恐ろしい事を言う。
「うそだろ、これじゃあ八方塞がりじゃねーか」
「そうですねえ、例え婚約破棄がうまく出来たとしても国の王子との婚約がうまくいかなかった娘として後ろ指はさされるだろうし、最悪、この家から追い出されて平民として暮らすことになるかもしれませんね」
王子様は優雅にお茶をすすりながら話す。
「平民って一般人の事だろ? それは全然かまわねーんだ。俺には秘策があるしな!」
「へえ、その『秘策』というのは?」
「聞いて驚け! 俺には女神サマからチート級の力がすでに備わっているんだ。だから平民になっても女冒険者になれば問題ない!」
この世界ならギルドとかありそうだし、クエストをこなしていけばくいっぱぐれることもなさそうだしな!
「……あなた、馬鹿だと言われたことないですか?」
「ない!!」
本当は前に琉生から『お前頭はいいはずなのに馬鹿だよなあ』って言われたことがあるけどあれは聞かなかったことにする!
「…この国のギルドの登録は15歳からです。今のあなたは12歳なので登録さえしてもらえません。そして、15歳でもA級クラスの冒険者がパーティにいないと駄目なんです。正式に登録したいのなら18歳になるまで待つしかないですね」
「……マジかよ」
「はい、本当の事です。よければ今度。ギルドの規定書を持ってきましょうか?」
「くそっ、じゃああと6年は待たないといけないのかよ!? どうすりゃいいんだ」
これまでなんとか希望を持ててたのに現実を突きつけられて俺は頭を抱えた。
「そうですねえ…。では、私から一つ提案があるのですが」
「…なんだよ」
ニコニコと相変わらず胡散臭い笑みを浮かべる王子様に何か嫌な予感がしたがとりあえず聞いてみることにした。
「私との婚約をこのまま続けるというのはどうでしょう?」
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