34 / 153
黒の帳 『一つ目の帳』
+ 天野視点 最悪すぎる天災
しおりを挟む
とぼとぼと帰路に就く。
今日は最高の出来事と最悪の出来事が同時に起きた。
美人…いや、好きな人の名前を知れた。
そして、その人を怖がらせた。
俺があそこであんなに詰め寄らなければ…でも、そうしなかったら名前は聞けなかったし…うーん。
何が正解だったんだろうか。リンさんに謝りたいな。俺は無害だと知ってもらいたい。
リンさん、リン…そうだ!
俺はクラス割りの表を写メっておいたから、確認しようと思っていたんだ。嬉嬉としてスマホの写真アプリを開く。リン、リン…。
暫く探して、リン、と読めそうな名前は二つ見つかった。
A組の横山凛と、C組の紫川鈴。
このどちらかが、俺の探し求めた、あの人なんだ。明日、絶対探し出すぞ。そして謝るんだ。
でも…
怖がられたら、どうしようなァ…
どんよりため息をついて歩いていると、携帯が鳴った。見てみれば、渡来先輩からの着信だ。
うわ…出たくねぇ…。
今の俺は落ち込んでるんだけどなあ…、でも、これに出なかったら、ブロック解除しなかったな?って言われるなあ。
落胆に落胆を重ねて暫し逡巡した俺は、鉛のように重い指を、応答に乗せた。
「…もしもし、天野です」
『おう。お前、昼に言った俺の弟覚えてんな?』
確か、渡来慎吾だったか。先輩が可愛がっている弟。というか、先輩の声がめちゃめちゃ怖い。何か弟に良くないことが起こったんだろうか。
「はい、先輩の弟ですよね。どうかしたんですか?」
『…病院送りにされた。完治には一ヶ月以上かかるらしい。骨が何本も折れてる』
「えっ!?」
先輩の弟だ、弱いわけが無い。というか、先輩の許可を得てタイマンを張ったことがあるが、俺は負けた。先輩のような圧倒的な強さでは無いが、あまりダメージを与えられずに俺はやられた。そんな彼が、負けるどころか病院送り?何があったんだろう。
『やったのは、裏番だ』
「…わぁ…」
ちょっとだけ息が止まった。
マジすか、裏番すか。激怖じゃないすか。
というか、それで俺に電話かけてきたってことは…!!!
『なァ、可愛い弟がやられて、黙ってる俺じゃあない』
「…」
『天野、俺の言いたいことが分かるな?作戦を立てる。明日の放課後、あの廃工場に来い。場所は分かるな?』
やっぱりだ。裏番に、復讐する気だ。そしてそれに俺を巻き込む気だ。
一人でやれよと言いたいが、先輩は裏番に敵わない。何せ一撃で沈められたんだ、マトモにやり合っても勝負は見えている。だとすれば、先輩が何をするか。
卑怯な手だろうな。頭が悪い癖に、そういうことをしようとする。そうなると、被害を受けるのは先輩だけじゃない、その作戦に使われる俺たち後輩だって、無事じゃ済まない。
でも、俺に拒否権は無い。
だって渡来先輩には逆らえない。
俺は、弱い。
「はい、放課後すぐに向かいます」
ああ、俺情けねえ。
あの人に、会いたいな。
明日、会いに行こう。
そしたら、こんな理不尽な先輩の元でも、挫けず頑張れるだろうから。
今日は最高の出来事と最悪の出来事が同時に起きた。
美人…いや、好きな人の名前を知れた。
そして、その人を怖がらせた。
俺があそこであんなに詰め寄らなければ…でも、そうしなかったら名前は聞けなかったし…うーん。
何が正解だったんだろうか。リンさんに謝りたいな。俺は無害だと知ってもらいたい。
リンさん、リン…そうだ!
俺はクラス割りの表を写メっておいたから、確認しようと思っていたんだ。嬉嬉としてスマホの写真アプリを開く。リン、リン…。
暫く探して、リン、と読めそうな名前は二つ見つかった。
A組の横山凛と、C組の紫川鈴。
このどちらかが、俺の探し求めた、あの人なんだ。明日、絶対探し出すぞ。そして謝るんだ。
でも…
怖がられたら、どうしようなァ…
どんよりため息をついて歩いていると、携帯が鳴った。見てみれば、渡来先輩からの着信だ。
うわ…出たくねぇ…。
今の俺は落ち込んでるんだけどなあ…、でも、これに出なかったら、ブロック解除しなかったな?って言われるなあ。
落胆に落胆を重ねて暫し逡巡した俺は、鉛のように重い指を、応答に乗せた。
「…もしもし、天野です」
『おう。お前、昼に言った俺の弟覚えてんな?』
確か、渡来慎吾だったか。先輩が可愛がっている弟。というか、先輩の声がめちゃめちゃ怖い。何か弟に良くないことが起こったんだろうか。
「はい、先輩の弟ですよね。どうかしたんですか?」
『…病院送りにされた。完治には一ヶ月以上かかるらしい。骨が何本も折れてる』
「えっ!?」
先輩の弟だ、弱いわけが無い。というか、先輩の許可を得てタイマンを張ったことがあるが、俺は負けた。先輩のような圧倒的な強さでは無いが、あまりダメージを与えられずに俺はやられた。そんな彼が、負けるどころか病院送り?何があったんだろう。
『やったのは、裏番だ』
「…わぁ…」
ちょっとだけ息が止まった。
マジすか、裏番すか。激怖じゃないすか。
というか、それで俺に電話かけてきたってことは…!!!
『なァ、可愛い弟がやられて、黙ってる俺じゃあない』
「…」
『天野、俺の言いたいことが分かるな?作戦を立てる。明日の放課後、あの廃工場に来い。場所は分かるな?』
やっぱりだ。裏番に、復讐する気だ。そしてそれに俺を巻き込む気だ。
一人でやれよと言いたいが、先輩は裏番に敵わない。何せ一撃で沈められたんだ、マトモにやり合っても勝負は見えている。だとすれば、先輩が何をするか。
卑怯な手だろうな。頭が悪い癖に、そういうことをしようとする。そうなると、被害を受けるのは先輩だけじゃない、その作戦に使われる俺たち後輩だって、無事じゃ済まない。
でも、俺に拒否権は無い。
だって渡来先輩には逆らえない。
俺は、弱い。
「はい、放課後すぐに向かいます」
ああ、俺情けねえ。
あの人に、会いたいな。
明日、会いに行こう。
そしたら、こんな理不尽な先輩の元でも、挫けず頑張れるだろうから。
0
あなたにおすすめの小説
全寮制男子校でモテモテ。親衛隊がいる俺の話
みき
BL
全寮制男子校でモテモテな男の子の話。 BL 総受け 高校生 親衛隊 王道 学園 ヤンデレ 溺愛 完全自己満小説です。
数年前に書いた作品で、めちゃくちゃ中途半端なところ(第4話)で終わります。実験的公開作品
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か
雪兎
BL
第二性が存在する世界。
Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。
しかし入学初日、彼の前に現れたのは――
幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。
成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。
だが湊だけが知っている。
彼が異常なほど執着深いことを。
「大丈夫、全部管理してあげる」
「君が困らないようにしてるだけだよ」
座席、時間割、交友関係、体調管理。
いつの間にか整えられていく環境。
逃げ場のない距離。
番を拒みたいΩと、手放す気のないα。
これは保護か、それとも束縛か。
閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。
俺の親友がモテ過ぎて困る
くるむ
BL
☆完結済みです☆
番外編として短い話を追加しました。
男子校なのに、当たり前のように毎日誰かに「好きだ」とか「付き合ってくれ」とか言われている俺の親友、結城陽翔(ゆうきはるひ)
中学の時も全く同じ状況で、女子からも男子からも追い掛け回されていたらしい。
一時は断るのも面倒くさくて、誰とも付き合っていなければそのままOKしていたらしいのだけど、それはそれでまた面倒くさくて仕方がなかったのだそうだ(ソリャソウダロ)
……と言う訳で、何を考えたのか陽翔の奴、俺に恋人のフリをしてくれと言う。
て、お前何考えてんの?
何しようとしてんの?
……てなわけで、俺は今日もこいつに振り回されています……。
美形策士×純情平凡♪
モブらしいので目立たないよう逃げ続けます
餅粉
BL
ある日目覚めると見慣れた天井に違和感を覚えた。そしてどうやら僕ばモブという存存在らしい。多分僕には前世の記憶らしきものがあると思う。
まぁ、モブはモブらしく目立たないようにしよう。
モブというものはあまりわからないがでも目立っていい存在ではないということだけはわかる。そう、目立たぬよう……目立たぬよう………。
「アルウィン、君が好きだ」
「え、お断りします」
「……王子命令だ、私と付き合えアルウィン」
目立たぬように過ごすつもりが何故か第二王子に執着されています。
ざまぁ要素あるかも………しれませんね
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語
紅林
BL
『桜田門学院高等学校』
日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。
そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる