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黒の帳 『一つ目の帳』
朝が弱いんだね 〔水曜日Ⅱ〕
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家に帰った私は、濡れた物の片付けを済ませてくつろいでいた。大好きなシナノンちゃんのぬいぐるみを抱っこしようか、いやでもシナノンちゃんが汚れてしまうんじゃないか、と逡巡していたら、携帯に連絡が入った。
クリミツからだ。
何の用だろうか。喧嘩のことを思い出した私は、ドキドキしながら携帯を開き、メッセージを確認した。
『龍牙が話したいことあるって言ってるから、明日の昼、体育館前来てくんね?』
翌日の私はハイテンションだった。
元々朝に弱くはないが、寝起きとは思えない気分の上がりようだった。そのおかげでいつもより20分くらい早く支度が終わってしまった。
龍牙から話だなんて、
絶対仲直りについてに決まってる!
龍牙から謝ってくれるのは珍しい。それ程今回の言い争いを申し訳なく思ってくれているということだ。
そんなこんなでウキウキで扉を開けたが、少し気分が沈んだ。
雨が降っていたからだ。しかも土砂降り。あーあ。朝から靴も靴下もびっしょり濡らして行けと。
神様は意地悪だ。
傘を手にエレベーターへ向かう。持ち手に可愛いシナノンちゃんのシールが貼ってある、お気に入りの傘だ。シールくらいなら言い訳出来るから、これは安心して持っていける。
むすっとしながらマンションを出たところでまたしても驚いてしまった。
「…」
「な、え?」
「…はよ」
「お、おはよう。……何で居るの?」
「俺傘持ってっし。…困るだろ」
天野君だ。昨日貸した私の傘を持って立っている。だけど、私の手にある傘を見て、天野君は自分の行動が無駄だったことを理解したらしい。
天野君は照れくさそうに頭の後ろをかいた。
律儀だな。
私が傘を一本も持っていないと思って、届けに来てくれたんだ。でも、そうだとしたら、どうして天野君は一本しか傘を持っていないんだろう。普通、男と二人相合傘なんて、友人同士ならまだしも、天野君ならとても嫌がりそうなものだけど。
そんな私の視線を理解したのか、またもや照れくさそうに天野君が言い放った。
「…俺の傘、ぶっ壊れたから」
「それはまたどうして…」
「転んだ。んで、ぐしゃってなっちゃった」
何とも不運だ。
雨で滑りやすくなっていたのだろう。
…気の所為だろうか。少し天野君の口調が幼い気がする。それと、心做しか天野君はウトウトしているようにも見える。不良さんといえど、こうも隙だらけだと可愛く見えてくる。
「だから、お前の傘かりる」
「あ、うん、それはいいんだけど…天野君」
「ん」
「もしかして朝弱い?」
「…………ねむい」
そう言うと天野君はくあ、と大口を開けて欠伸をした。眠そうに目を擦るその姿には、髪さえ染めていなければ年相応の可愛らしさを覚える。
何もせずに見ていたら、頭を揺らしこくこくと船を漕ぎ始めたので、慌てて起こした。
「ほら、学校行こ?」
「…………ん」
もはや頷いているのか眠くて揺れているのかも分からない。それほどに天野君は眠そうだ。先に歩を進めて呼びかけても、こちらに来る気配が無い。仕方なく天野君の手を取り、引っ張った。
「ね、行こう?」
「…………ねむい。あるきたくない」
「連れて行ってあげるから、ほら」
「…わかった」
一緒に歩こうという意味で背をとんとん叩いたが、何故か天野君は私の手を離さない。
待て待て。
男子高校生二人が手を繋いで登校は不味くないか。
天野君の精神状態がかなーり幼くなっている。だが、歩きたくないと思うほど眠いのに、傘を届けに来てくれた。その律儀なところと、今の子供っぽい言い草に、引くどころか思わずきゅんときてしまった。
天野君は私のことを根暗根暗と呼ぶし、
龍牙を痛めつけようとした不良だ。
でも今の天野君はなんというか、高校生らしいというべきか、天野君らしさのようなものが垣間見えて、親しみを覚えた。素を出すのとはかなり違うけれど、これはこれでいいと思った。
…それにしても、天野君いつになったら覚醒するのかな。学校まで半分を過ぎたけれど、未だに起きる様子は無い。早めに家を出たのが幸いしたのか、すれ違う人の人数は一桁で済んでいる。
学校に着いてもこのままだったらどうしようかな、と考えたところで、後ろの天野君の足が止まった。
「どうしたの?天野く」
「なっ、だこれっ、キモッ、きっっっしょ!!!死ねマジで死ね根暗ァ!!!!」
一瞬手が取れたかと思った。
それくらい勢いよく手を振り払われた。
天野君は完全に覚醒したというか、正気を取り戻したらしく、しきりに死ねとかキモイとか叫んでいる。叫んで暴れて気が済んだのか、天野君は私に向き直り話を切り出した。
「……何で手ェ繋いでたんだ」
「天野君が眠いから歩きたくないって言って動かなかったんだ。だから手を引っ張ったんだけど、そのまま天野君離してくれなくて…」
「………何で俺、お前んとこ行ったんだ?」
「傘を届けに来てくれたのかなって思ったんだけど、覚えてないの?」
天野君は何かを思い出したかのように驚いた顔をした。私に背を向け、うんうんと考えている。
傘で隠れているので気になってしまい、少し覗くと、天野君の耳は真っ赤だった。
よし、と小さな声が聞こえ、天野君が振り向いた。
勿論目が合う。
あっ、覗きを止めるタイミング、遅かったな。
「ばかっ、見てんじゃねぇぶっ殺すぞ!!!」
「わあああごめんっ、ごめ、ぅあっ!?」
かなり強い平手打ちをくらった。
痛い。
しかし私が悪いので大した文句は言えない。混乱した天野君が暴力に頼るのは仕方ないだろう、一番手に馴染んだ解決方法だろうから。
「いたい」
「そりゃな」
「……くちのなかきれてる」
「そりゃそうだろ。その勢いで殴った。パーなだけ感謝しやがれ根暗」
口の中にじんわりと鉄の味が広がって気持ち悪い。力強いな。龍牙に勝てるわけだ。でもこの天野君を負かしたのだから、やはりクリミツは恐ろしい。
「殴らないって言ってなかった?」
「今のは別だ。お前が悪ィだろ」
「確かに…?」
「早くしろ。学校行くんだろうが」
私を全く顧みない速度で天野君が歩き出す。置いていかれないように急いで着いて行った。着いて行く必要は無いけれど、一人で登校は寂しいし、何より天野君に怒られそうだ。
ひりひりする頬に手を当てると、電流のような痛みがはしった。かなり腫れている。この様子では赤くもなっているだろう。口から顎に何か垂れた気がして、そこに手をやると、血がついていた。唇も切れていたみたいだ。天野君のビンタの傷は結構深かった。
まあでも、中学の時のクリミツよりはマシかなぁ。
唾液で幾分か薄くなった口の中の鉄の味と、雨でずぶ濡れになった靴の中の不快感にうんざりしながら、天野君に着いて登校した。
クリミツからだ。
何の用だろうか。喧嘩のことを思い出した私は、ドキドキしながら携帯を開き、メッセージを確認した。
『龍牙が話したいことあるって言ってるから、明日の昼、体育館前来てくんね?』
翌日の私はハイテンションだった。
元々朝に弱くはないが、寝起きとは思えない気分の上がりようだった。そのおかげでいつもより20分くらい早く支度が終わってしまった。
龍牙から話だなんて、
絶対仲直りについてに決まってる!
龍牙から謝ってくれるのは珍しい。それ程今回の言い争いを申し訳なく思ってくれているということだ。
そんなこんなでウキウキで扉を開けたが、少し気分が沈んだ。
雨が降っていたからだ。しかも土砂降り。あーあ。朝から靴も靴下もびっしょり濡らして行けと。
神様は意地悪だ。
傘を手にエレベーターへ向かう。持ち手に可愛いシナノンちゃんのシールが貼ってある、お気に入りの傘だ。シールくらいなら言い訳出来るから、これは安心して持っていける。
むすっとしながらマンションを出たところでまたしても驚いてしまった。
「…」
「な、え?」
「…はよ」
「お、おはよう。……何で居るの?」
「俺傘持ってっし。…困るだろ」
天野君だ。昨日貸した私の傘を持って立っている。だけど、私の手にある傘を見て、天野君は自分の行動が無駄だったことを理解したらしい。
天野君は照れくさそうに頭の後ろをかいた。
律儀だな。
私が傘を一本も持っていないと思って、届けに来てくれたんだ。でも、そうだとしたら、どうして天野君は一本しか傘を持っていないんだろう。普通、男と二人相合傘なんて、友人同士ならまだしも、天野君ならとても嫌がりそうなものだけど。
そんな私の視線を理解したのか、またもや照れくさそうに天野君が言い放った。
「…俺の傘、ぶっ壊れたから」
「それはまたどうして…」
「転んだ。んで、ぐしゃってなっちゃった」
何とも不運だ。
雨で滑りやすくなっていたのだろう。
…気の所為だろうか。少し天野君の口調が幼い気がする。それと、心做しか天野君はウトウトしているようにも見える。不良さんといえど、こうも隙だらけだと可愛く見えてくる。
「だから、お前の傘かりる」
「あ、うん、それはいいんだけど…天野君」
「ん」
「もしかして朝弱い?」
「…………ねむい」
そう言うと天野君はくあ、と大口を開けて欠伸をした。眠そうに目を擦るその姿には、髪さえ染めていなければ年相応の可愛らしさを覚える。
何もせずに見ていたら、頭を揺らしこくこくと船を漕ぎ始めたので、慌てて起こした。
「ほら、学校行こ?」
「…………ん」
もはや頷いているのか眠くて揺れているのかも分からない。それほどに天野君は眠そうだ。先に歩を進めて呼びかけても、こちらに来る気配が無い。仕方なく天野君の手を取り、引っ張った。
「ね、行こう?」
「…………ねむい。あるきたくない」
「連れて行ってあげるから、ほら」
「…わかった」
一緒に歩こうという意味で背をとんとん叩いたが、何故か天野君は私の手を離さない。
待て待て。
男子高校生二人が手を繋いで登校は不味くないか。
天野君の精神状態がかなーり幼くなっている。だが、歩きたくないと思うほど眠いのに、傘を届けに来てくれた。その律儀なところと、今の子供っぽい言い草に、引くどころか思わずきゅんときてしまった。
天野君は私のことを根暗根暗と呼ぶし、
龍牙を痛めつけようとした不良だ。
でも今の天野君はなんというか、高校生らしいというべきか、天野君らしさのようなものが垣間見えて、親しみを覚えた。素を出すのとはかなり違うけれど、これはこれでいいと思った。
…それにしても、天野君いつになったら覚醒するのかな。学校まで半分を過ぎたけれど、未だに起きる様子は無い。早めに家を出たのが幸いしたのか、すれ違う人の人数は一桁で済んでいる。
学校に着いてもこのままだったらどうしようかな、と考えたところで、後ろの天野君の足が止まった。
「どうしたの?天野く」
「なっ、だこれっ、キモッ、きっっっしょ!!!死ねマジで死ね根暗ァ!!!!」
一瞬手が取れたかと思った。
それくらい勢いよく手を振り払われた。
天野君は完全に覚醒したというか、正気を取り戻したらしく、しきりに死ねとかキモイとか叫んでいる。叫んで暴れて気が済んだのか、天野君は私に向き直り話を切り出した。
「……何で手ェ繋いでたんだ」
「天野君が眠いから歩きたくないって言って動かなかったんだ。だから手を引っ張ったんだけど、そのまま天野君離してくれなくて…」
「………何で俺、お前んとこ行ったんだ?」
「傘を届けに来てくれたのかなって思ったんだけど、覚えてないの?」
天野君は何かを思い出したかのように驚いた顔をした。私に背を向け、うんうんと考えている。
傘で隠れているので気になってしまい、少し覗くと、天野君の耳は真っ赤だった。
よし、と小さな声が聞こえ、天野君が振り向いた。
勿論目が合う。
あっ、覗きを止めるタイミング、遅かったな。
「ばかっ、見てんじゃねぇぶっ殺すぞ!!!」
「わあああごめんっ、ごめ、ぅあっ!?」
かなり強い平手打ちをくらった。
痛い。
しかし私が悪いので大した文句は言えない。混乱した天野君が暴力に頼るのは仕方ないだろう、一番手に馴染んだ解決方法だろうから。
「いたい」
「そりゃな」
「……くちのなかきれてる」
「そりゃそうだろ。その勢いで殴った。パーなだけ感謝しやがれ根暗」
口の中にじんわりと鉄の味が広がって気持ち悪い。力強いな。龍牙に勝てるわけだ。でもこの天野君を負かしたのだから、やはりクリミツは恐ろしい。
「殴らないって言ってなかった?」
「今のは別だ。お前が悪ィだろ」
「確かに…?」
「早くしろ。学校行くんだろうが」
私を全く顧みない速度で天野君が歩き出す。置いていかれないように急いで着いて行った。着いて行く必要は無いけれど、一人で登校は寂しいし、何より天野君に怒られそうだ。
ひりひりする頬に手を当てると、電流のような痛みがはしった。かなり腫れている。この様子では赤くもなっているだろう。口から顎に何か垂れた気がして、そこに手をやると、血がついていた。唇も切れていたみたいだ。天野君のビンタの傷は結構深かった。
まあでも、中学の時のクリミツよりはマシかなぁ。
唾液で幾分か薄くなった口の中の鉄の味と、雨でずぶ濡れになった靴の中の不快感にうんざりしながら、天野君に着いて登校した。
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