リコの栄光

紫蘇ジュースの達人

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「いきなり何だろうな。」

「またリコが何かやったんじゃないの?」

「何もしてないよ。」

屋内訓練場は普段講義を受けたり、宿泊する棟とは別棟の体育館のような場所で、雨の日に訓練を行ったり、式典を行ったり、トレーニング施設も完備された施設だ。

昼休み中に学生全員に対して呼び出しがあるというのは、たいてい何か良くないことがある時で、全体にペナルティーが科せられることも今までは多かったため、集まってくる学生達の顔からは不安の色が見て取れた。

「全員集まっているか?」

ロキ教官が話し始めると、学生たちは静まり返った。

「休憩時間中にすまない。緊急の連絡があって、皆に集まってもらった。」

「アルカディアの夜明けという組織については、俺の講義でも行ったので、皆理解していると思うんだが、その組織の動きが最近活発化してきている。特に行き帰り、外出時は皆には十分注意して欲しい。訓練生ではあるが、皆も立派な兵士としてとらえられていることを忘れてはならない。連絡は以上だ。解散。」

そう言うと、ロキ教官は立ち去った。

「なんだ。たいしたことない話だったな。」

学生たちは、拍子抜けと言わんばかりの表情で、各々の部屋へ帰っていった。

「ロキ教官、どうかなさったんですか?」

ジラルディ―教官は、ロキ教官のいつもと違った対応を疑問に思っていた。

「あまり学生を驚かせたくないのですが、こんなものが今朝学校のポストに投函されていたと警備の職員から報告がありまして、、」
そう言うとロキは封筒から一通の手紙を取り出した。

「アルカディアの夜明けは近い。若い兵士達には死を。アルカディアには栄光を。ロキ教官様」
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