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武器屋の親父、まけてくれ
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「ということで、鉄の剣、もう少し安くしてよ」
武器屋の親父はいかにも武器屋の親父らしく太い腕を組んで、ペッと吐き捨てた。
「ちっ! またか。どっかの勇者が余計な投稿をしてから、そんな奴らばっかりだぜ」
いいねえ、一筋縄じゃいかないところ。めろんぱんは、かえってワクワクする。
「僕、いっつも不思議なんだけど、クリクエだけじゃなくどの世界も、鉄の剣の方が銅の剣より高いんだよね。お金の単位は、ゴールドだったりギルだったりいろいろあるけど」
ここでめろんぱんが一人称に「僕」を使ったからといって、男性とは限らない。この物語では、めろんぱんの性別はどうでもいい。
「あぁん? あったりめーだろ! 鉄の方が銅より硬えからな。だから攻撃力が全然違うんだ。おい、お前さんの世界では、銅より鉄の方が柔らけえっていうのか?」
「ううん、鉄が銅より硬いのは納得だよ。ほら」
新しいクリクエでは、限定された形で、現世から情報を得ることができる。
めろんぱんも新しい力を使って、武器屋の親父に勇者の必須アイテム、クリスタルパッドの画面を見せた。
『鉄の硬さはモース硬度4.5、銅の硬さはモース硬度3.0です』
モース硬度とやらの説明は、ここでは省略する。金属の硬度の指標はほかにも、ビッカース硬度だのいろいろあるらしいが、ここでは触れない。この物語の本筋はそこではない。調べるのが面倒とか、これじゃいつまで経っても話が終わらないじゃんといった、ずるして怠けたい気持ちからではない!
……本題に戻ろう。
「あぁ。わかってんなら、さっさと引っ込め。鉄の剣が欲しいなら、お遣いクエストをチマチマこなして、銅貨をためるんだな」
めろんぱんは、してやったりとほくそえみ、再びクリスタルパッドを操作する。
今度は、鉄と銅の買取価格が表示された。
金属の状態によって値段はかなり変わるが、ざっくりいって、銅は1キログラムあたり千円を超える。一方鉄は、どんなに良い状態でも1キログラム五十円がいいとこだ。
「ほらおじさん、鍋だって同じだよ。銅鍋は安くても三万円、鉄鍋はせいぜい五千円。鉄の剣が銅の剣より高いって、リアリティないよね?」
「はぁ? お前さん、鉄の剣が銅の剣より弱くなっていいのか? そしたらお前さん、さっきのモース硬度とやらを持ち出して、リアリティがないって、モンスタークレーマーするんだろ?」
やった! そうそう、これを待ってたんだよ、と、めろんぱんはニヤニヤする。
前から勇者めろんぱんは、鉄の剣が銅の剣より高いことに納得できなかった。現実では銅より鉄の方がずっとずっと安い。
銅は、オリンピックのメダルになっている。金と銀の次、三番目に価値があるってことだ。ニュースになるのは金メダルかせいぜい銀メダルまでだが、いやいや世界で三番目だよ。銅メダルだって充分すごい!
でも鉄メダルなんて、聞いたことない。
「おじさん、だからさあ、鉄の剣、少しでいいから安くしてよ」
「ふふふ、甘いな、お前さん。銅より鉄が安いってのは、現代での話だ」
そう来るか。そりゃそうだ。鉄が銅より安いのは、しょせん地球の話。クリクエ世界には関係ない。めろんぱん的には、武器屋の親父とこういう会話が楽しめただけでも収穫もの。
が、もう少しだけ粘ってみよう。
「鉄が多いのは、地球だけじゃないよ。地球型惑星では、鉄は主成分なんだって。あ、これ太陽系外でも同じみたい。宇宙で生命がある星なら、銅より鉄の方が安いってわけ」
めろんぱんはクリスタルパッドを高く掲げ、ドヤ顔を見せた。
なお、太陽系外惑星の成分は、まだわからないことだらけなので、突っ込まないでほしい。
「ふはははは、言っただろお前さん。現代での話だって。宇宙の星? お前さん、知らねえんだな」
武器屋の親父はぬっと顔を突き出した。
「お前さんのいる地球ではな、昔、鉄が金より貴重だったんだぜ」
武器屋の親父はいかにも武器屋の親父らしく太い腕を組んで、ペッと吐き捨てた。
「ちっ! またか。どっかの勇者が余計な投稿をしてから、そんな奴らばっかりだぜ」
いいねえ、一筋縄じゃいかないところ。めろんぱんは、かえってワクワクする。
「僕、いっつも不思議なんだけど、クリクエだけじゃなくどの世界も、鉄の剣の方が銅の剣より高いんだよね。お金の単位は、ゴールドだったりギルだったりいろいろあるけど」
ここでめろんぱんが一人称に「僕」を使ったからといって、男性とは限らない。この物語では、めろんぱんの性別はどうでもいい。
「あぁん? あったりめーだろ! 鉄の方が銅より硬えからな。だから攻撃力が全然違うんだ。おい、お前さんの世界では、銅より鉄の方が柔らけえっていうのか?」
「ううん、鉄が銅より硬いのは納得だよ。ほら」
新しいクリクエでは、限定された形で、現世から情報を得ることができる。
めろんぱんも新しい力を使って、武器屋の親父に勇者の必須アイテム、クリスタルパッドの画面を見せた。
『鉄の硬さはモース硬度4.5、銅の硬さはモース硬度3.0です』
モース硬度とやらの説明は、ここでは省略する。金属の硬度の指標はほかにも、ビッカース硬度だのいろいろあるらしいが、ここでは触れない。この物語の本筋はそこではない。調べるのが面倒とか、これじゃいつまで経っても話が終わらないじゃんといった、ずるして怠けたい気持ちからではない!
……本題に戻ろう。
「あぁ。わかってんなら、さっさと引っ込め。鉄の剣が欲しいなら、お遣いクエストをチマチマこなして、銅貨をためるんだな」
めろんぱんは、してやったりとほくそえみ、再びクリスタルパッドを操作する。
今度は、鉄と銅の買取価格が表示された。
金属の状態によって値段はかなり変わるが、ざっくりいって、銅は1キログラムあたり千円を超える。一方鉄は、どんなに良い状態でも1キログラム五十円がいいとこだ。
「ほらおじさん、鍋だって同じだよ。銅鍋は安くても三万円、鉄鍋はせいぜい五千円。鉄の剣が銅の剣より高いって、リアリティないよね?」
「はぁ? お前さん、鉄の剣が銅の剣より弱くなっていいのか? そしたらお前さん、さっきのモース硬度とやらを持ち出して、リアリティがないって、モンスタークレーマーするんだろ?」
やった! そうそう、これを待ってたんだよ、と、めろんぱんはニヤニヤする。
前から勇者めろんぱんは、鉄の剣が銅の剣より高いことに納得できなかった。現実では銅より鉄の方がずっとずっと安い。
銅は、オリンピックのメダルになっている。金と銀の次、三番目に価値があるってことだ。ニュースになるのは金メダルかせいぜい銀メダルまでだが、いやいや世界で三番目だよ。銅メダルだって充分すごい!
でも鉄メダルなんて、聞いたことない。
「おじさん、だからさあ、鉄の剣、少しでいいから安くしてよ」
「ふふふ、甘いな、お前さん。銅より鉄が安いってのは、現代での話だ」
そう来るか。そりゃそうだ。鉄が銅より安いのは、しょせん地球の話。クリクエ世界には関係ない。めろんぱん的には、武器屋の親父とこういう会話が楽しめただけでも収穫もの。
が、もう少しだけ粘ってみよう。
「鉄が多いのは、地球だけじゃないよ。地球型惑星では、鉄は主成分なんだって。あ、これ太陽系外でも同じみたい。宇宙で生命がある星なら、銅より鉄の方が安いってわけ」
めろんぱんはクリスタルパッドを高く掲げ、ドヤ顔を見せた。
なお、太陽系外惑星の成分は、まだわからないことだらけなので、突っ込まないでほしい。
「ふはははは、言っただろお前さん。現代での話だって。宇宙の星? お前さん、知らねえんだな」
武器屋の親父はぬっと顔を突き出した。
「お前さんのいる地球ではな、昔、鉄が金より貴重だったんだぜ」
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