半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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アルファポリスで三十万字書いて百二十円

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 せっかく書いた小説の宣伝のために始めたエッセイです。

 が、宣伝そのものを読んでもらわないと意味ないんだよな~ということに気がつきました。
 読んでもらうためには、キャッチーなネタ

・偏差値35で、ハーバード大行きました!

 とか

・年収百万円のフリーター女子、年収一億円のIT社長と結婚!

 ぐらいのことを書かないと、食いつきませんよね。

 残念ながら、食いつきそうなネタ持っていません。特筆すべきところのない地味な五十女です。
 リアルでのネタがないなら、小説を書けばいいのかもしれませんが……ダメだ。
 小説的にも、どうやったら偏差値35でハーバードに行けるか、思いつかない。フリーター女子とIT長者との結婚の方が現実的だが……何も浮かんでこない。
 宣伝したい小説も似たようなものですが、相手がIT長者じゃなくて宇宙オタク男子というのが……地味だよね……わたし的にはものすごーくツボなんですが……

 宣伝目的のエッセイは厳しそうです。でも、ゼロポイントではないところからすると、どなたかは読んでいるのだろう、と思って続けます。


 ネットに小説を載せるのは、私も含めて、自分ではよくできた小説だと思ってるからでしょう。
 ただの意識低い系のおばさんが、内容はどうであれ、それなりのボリュームの小説完結できた。この達成感だけでも幸せになれます。
 それに自分で書いた小説って……メチャクチャ面白いんだよね、自分にとっては。
 何度も読み直してるし、読み直すたびに自画自賛しています。

・うーん、なかなかおいしいシチュエーションだな
・何か、カッコいいこといってるじゃん
・いや~きれいなエンディングだよね~
・この序盤の会話が伏線で、終盤につながるんだよね~

 暇なとき、落ち込んでるときは、自分の小説を読んじゃいます。何の取り柄もない自分だけど、こんな面白い話、書けるんだぜ、すごい! と励まされちゃいます。

 こんなに面白い小説、アップしたら感想いっぱい来るだろうな~、レス大変だろうな~、トップ10ランキングの人たちみたいになるだろうな~、宝くじを買って一億当たったらどーしよー状態で妄想しました。
 毎日、管理画面にアクセスし、感想があるかチェックする日々でした。

 結果、感想は一つ、お気に入りが十三人、しおりは五つ。

 現在、恋愛カテゴリーで大体、七~九千位、全体だと一万九千位ぐらいです。
 毎日更新してきたときも、全体で一万位ぐらい、恋愛カテゴリーでよくて二千位ぐらいだったかなあ?
 アルファポリスではアクセスに応じて報酬が発生しますが、私は二か月で百二十円です。
 休みなく一話ずつ、七十五話アップしての結果です。
 完結してしばらくは報酬が発生しましたが、一か月たち、ずっとゼロ円です。

 正直言って、もうちょっと反響あるだろうって思いました。


 が、わが身を振り返ってみます。
 無名の小説投稿初心者が書いた三十万字の小説……私だったら読むだろうか?
 三十万字というと文庫三冊分。一日じゃ読めません。一週間はかかるでしょう。
 ベストセラー小説とか、ネットで上位ランキングの小説だったら読もうか、と思いますが、そうでない限り……遠慮します。

 商業ベースの本は、ある程度プロの手によって品質は担保されています。作家はおそらく何らかの新人賞を受賞しているでしょうし、編集や校正も入ってる。本屋で売られている、という時点で保証がついています。
 少なくとも食中毒を起こしたり、使っていていきなり爆発することはないだろう。

 でも、ネットにど素人がアップした小説はに、そういう保証は一切ありません。
 趣味に合わない小説をうっかり読んでも、食中毒を起こすことも謎の爆発を起こすこともありませんが、なんかつまんないものを読んじゃったなあ、時間が無駄だったなあ、……という虚しさを味わう危険性があります。
 何もそんな怪しいものに手を出さなくても、有名作家のヒット作がたくさんあるじゃありませんか。

 もちろん、無名初心者の小説がバズることはあります。
 そういうバズった小説って……やっぱ、面白いんですよね。
 シンプルで刺激的な設定で、先が気になりグイグイ惹きつけられます。

 もう一度わが身を振り返ってみます。
 私の小説は、私にとってはメチャクチャ面白いのですが、無関係な第三者を惹きつけるほどの力はないみたいです。
 それにも関わらず、お気に入りに登録してくれた人二桁いました。
 しおりからすると、1章まで読んでくれた人がいるようです。
 そこから先を読もうという気になれない点に課題がありそうですが……今回、自分的にはこの小説気に入ってるので、今後直すとしても、誤字脱字の修正程度にとどめ、課題は次作に持ち越しです。

 自分だってこの小説がアップされたら読むかどうかわからないのに、目を通してくれた人がいる、それだけでもありがたいことなんだ……

 と、割り切れない自分がすごく嫌……おお! 何か自分、昔の文豪が書きそうな、ダメ~なウジウジ人間になってるぞ!
 昔の文豪って、自堕落な生活して、プライドはめちゃくちゃ高いくせに、案外、名声とか気にして俗っぽい奴が多い……気がする。
 こういうのって、作家的苦悩っていうんだよなあ、気分は文豪みたいじゃん。

 せっかくだから、次回作はこの作家的苦悩をテーマに小説を書いてみるのもいいかもしれない。
 すごい大傑作小説ができたからネットにアップしたが、全然アクセスがなかった主人公は苦悩の上……

 だ、ダメ、その先思いつきません。
 それで猟奇的無差別殺人やったら、シャレにならない!
 もしこの後、猟奇的無差別殺人事件が本当に発生したとしても(もちろん発生しないことを祈るが)犯人、私じゃありません!!

 ということで、リアリズムを重視してこんな話ならどうでしょう?

 私は同居人に尋ねた。
「何で私の小説読まれないんだろう。きれーなお姉さんと宇宙の天才兄さんがイチャイチャして、てんこ盛りの面白い小説なのに。二か月連載して百二十円だよ」
 彼は答えた。
「二か月で百二十円なら、残業一時間した方がいいんじゃない?」

 最近、我が家で繰り返される会話です。同居人は、私の書いた小説、読むつもりはないそうです。
 仕方ないです。私も子ども時代、親が書いた本(地味な業界本二冊ほど)読まなかったので、因果応報ということで。
 この会話も小説になりそうもありません。

「作家的苦悩」をテーマに小説を書くのは、レベル高すぎです。

 なので次の小説も

・書きたいことだけ書くぞ
・書けないことは書かないぞ

 で、脳内妄想突っ走ることにします。
 あれ? 課題はどこにいっちゃったの?
 取り敢えず次作の目標は、なるべく短く! ということにしましょうか。
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