半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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恋愛小説に憧れて

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 初めて(今のところ唯一?)完結した長編がR18の恋愛小説という、人生半世紀の年寄りエッセイです。
 さすがに長編一つじゃなあ、と、ようやく、二つ目の長編に取り掛かりました。未来の話なのでSFにしましたが、SF度、低いです。逆にSF敬遠している人も、取っつきやすいんじゃないかと宣伝して、本題に入ります。


 前のエッセイ「アルファポリス恋愛小説大賞に応募して落選した話」で書いた通り、私はR18長編『君を待つ宇宙』をエントリーして落ちました。
 その選評に「目を引く物語でありながらも恋愛色が薄く、惜しくも受賞を見送った作品なども見られた」とありました。
 そう書かれると「じゃ、自分の小説の出来が悪いからではなく、恋愛色が薄いから落ちたんだ!」って勘違いしたくなりません? そんな風にうぬぼれているの、私だけ? ……私だけみたいです。

 ともあれ「恋愛」というカテゴリーである以上、「恋愛色」が濃いに越したことありません。
 この「恋愛色」って何ぞや? 気になります。気になると言うのは、自分の落選に納得してないんだな。はい。

 ラブコメのお約束とは、簡単にヒーローとヒロインをくっつけてたまるか! です。
 ただ私の場合、お約束以前に、非モテゆえの醜いジェラシーが作動しています。
 話が進み、もうヒーローとヒロインくっつくしかないじゃん、という場面になりました。
 非モテな自分、そう簡単にくっつけてたまるか! と嫉妬オーラ全開で、強引に引き離します。
 離す方法は色々ありますが、私はヒロインをトラウマ持ちにしてしまいました。

 また、昔の恋愛物にありがちなヒロインの問題をヒーローが全部解決する、というのが苦手というか、ムカつくというか、いや、自分の問題は自分で解決しろよ……はい、これも非モテの僻みです。
 なので、ヒロイン、作者の嫉妬によるトラウマのせいでヒーローとの関係が危うくなり、そのトラウマと戦う羽目になります……ごめんよ、ヒロイン!


 非モテの作者のせいで、ヒロインとヒーローのR18シーンはそれなりにありますが、その手前の段階の彼ら……宇宙や科学の話ばかりしています。実際の理系さんが彼氏や彼女とデートする時、そんな話をしているか置いといて(私のゴク狭い体験からすると……人それぞれです)、これは私の脳内妄想の世界。せっかくヒーローを宇宙オタク設定したんだから、宇宙話をしてもらいました。
 書く人は、すごーく楽しかったのですが……読み直すと、甘い要素が薄い気がしてきました。

 宇宙をタイトルに入れた小説です。満天の星空ってロマンティックですよね。
 せっかくロマンティックなステージを用意したのに、小難しい宇宙の話ばかりじゃもったいない。
 星空バックのあま~い台詞「星々のように私たちもずっと輝いていたい」とか、くわああああ、無理っす! 恥ずかしいからやめてけれ! ま、言われたことないし、言われることないし、言ったこともないけど。いつか言ってもいいけど……ハードル高すぎる。

 落選したのは、基本的な文章力とかストーリーの問題だと思います。が、エロは開き直って書けるのに、それ以前のデートシーンで妙な照れが入る、というのは、どーなんだ? いい年して。
 問題が見えてきました。
 趣味の小説です。開き直って妄想全開で書いていたつもりです。が、どうも開き直りが足りないようです。

 今さら、非モテからモテになれそうもありません。それに同居人がいるので、モテは倫理的にアウトです。
 ということで、リアルな恋愛ではなく、サイトに載っている恋愛小説を参考にさせていただきますが……みなさん、すごすぎる!

 テーマに真正面から向かい、ストーリーがグイグイ展開し、二人の関係がどうなるか目が離せません。
 レベル違いすぎて真似しようなんて思えません。こういうすごい小説がたくさんあるんだから、何も私が書く必要ない、私は読者でいいや、と思います。

 ではなぜ小説を書くのか? どんな小説を書きたいのか?
 自分の妄想を形にしたい、それだけなんですが、妄想の元は、今まで楽しんできた恋愛系のコンテンツです。
 素晴らしいコンテンツに対する私なりのアンサーが、書きたい小説なんです。

 唯一完結した長編小説は、恋愛小説へのアンサーです。
 恋愛小説に理系ヒーローはよく登場しますが、たまに彼がどんな専門かわからない場合があります。それは小説として問題ありませんが、私はできる範囲で彼の専門分野を絞りたかった。
 ヒロインには、なるべく自力で問題に立ち向かってほしかった。
 恋愛の障害というとライバルの嫌がらせが定番です。私の小説もそうしましたが、本質は他者の悪意ではなく、本人たちに原因があるようにしたかった。
 恋愛に没入しすぎて仕事をサボる人にはしたくなかった……

 ……偉そうなこと書いていますが、やっぱり非モテの僻みだな、これ。
 楽しんでなんぼのネット小説に、中途半端な道徳振りかざしてるってなんだろ?

 非モテがモテのフリするの、無理があります。
 当分の間、私の恋愛小説は、エロいくせに妙に真面目、という路線になりそうです。
 趣味の小説、自分が書きたいことを書くのが一番。またいつもの結論です。

 優れた小説を読んで、一つ覚えました。
 書きたいことをムギュムギュ詰め込んでも、読む人は疲れるだけ。書く人はそこをぐーっと堪えて、中身を絞り、読者さんに想像の余地を与えるようにした方がよいみたいです。
 書きたいことを全部書いても、覚えてもらえず、読む側は苦しいだけ。
 書くことを絞った方が、結果的に相手に伝わります。
 自分、非モテだけでなくケチなので、思いついたこと、ゼーンブ使わないともったいないと思うんです。この辺、今後の課題です。


 締めくくりに、また宣伝を。
 今、連載中の小説『「日本人」最後の花嫁』は、R15設定です。
 二十二世紀の日本、人口一億三千万人のうち、日本語の話者は三人だけ。主人公は最後の「日本人」である十三歳の少女。といいつつ、ゆるゆるまったりしています。
 今回のエッセイでは恋愛の話を書きましたが、今のところ、小説の恋愛要素は微妙で家族愛にシフトしています。


 次回は、表記に関する素朴な疑問について書くつもりです。ではまた!
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