半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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オペラ『アイーダ』ってどんな話?

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 小説投稿万年初心者のエッセイ、引き続き小説の元ネタとなったオペラ『アイーダ』の話をします。
 今回は、チョーざっくりとストーリーを説明します。
 わかりやすくするために、オペラと若干、話の順番を変えています。
 なお、私はあるキャラクターをかなり贔屓していますので、ご注意を。


 舞台は古代エジプト。エジプトと隣国エチオピアはしばしば戦火を交えていました。
 戦火の中、エチオピアの少女アイーダはエジプト軍に囚われ、エジプト王女アムネリスの奴隷となっていました。奴隷といっても、王女アムネリスは、アイーダを妹のように可愛がっています。

 ここでイケメン、エジプトの若き将軍ラダメスが登場。
 彼は、奴隷アイーダと密かに愛し合っています。
 一方、王女アムネリスも有能な将軍ラダメスを愛しています。
 さっそくベタな三角関係の始まりです。

 王女アムネリスは女の勘で、愛する将軍ラダメスと自分の奴隷ができてることを見抜き、アイーダにカマをかけます。
アイーダはあっさり白状し「どうか許して」と謝ります。私には「あんた何でも持ってるんだから、男一人ぐらい私にちょうだい」って聞こえますが、気のせいでしょう。
 誇り高いエジプト王女は、怒り狂います。そりゃそうです。王女様の意中の人と敗戦国の奴隷がデキてるって、NGでしょ!


 エジプト王宮に、エチオピア王アモナズロ自らが軍を率いて攻めてきた、との知らせが入りました。
 ラダメスはエジプト軍の総大将に任命されます。
 ここでラダメスは「愛するアイーダ、お前に勝利を捧げよう」と美しく歌いあげます。これがアリア「清きアイーダ」です。このオペラで一番有名なアリアでしょう。

 突っ込んでいいでしょうか?
 アイーダはエチオピア人です。なのに将軍ラダメスは、彼女のために彼女の母国エチオピアをやっつけるぞーって、能天気に歌ってます。うーん……わからねー、なんでそういう発想になるんだか、全然わからねー。誰か、解説お願いします。

 あ、歌は本当に素晴らしいです。将軍としての力強さと、恋する若者の繊細さがミックスされたメロディ、聴き惚れてしまいます。これが歌える男子は、女子にメッチャモテるでしょう。
 なかなか難しい歌ですが、多分カラオケにあると思うので、挑戦してみてください。かなり高音なので、無理せず、キーを下げて挑戦することをお勧めします。


 大事な設定を言い忘れました。
 アイーダはただのエチオピアの少女ではありません。エチオピアの王女です。もちろん、身分を隠して王女アムネリスの奴隷をやっています。
 愛するラダメスが、父王アモナズロの軍勢と戦う。王女にラダメスとの関係がバレてしまった。何重もの苦しみがアイーダを引き裂きます。


 有能なラダメスのおかげで、エジプトはエチオピアに大勝利。ここでサッカーの曲として有名な「凱旋行進曲」が流れます。
 ラダメスの凱旋のあと、衛兵がエチオピアの捕虜たちを連れてきます。捕虜の中に、アイーダのお父さん、エチオピア王アモナズロがいました。
 思わずアイーダは駆け寄ります。アモナズロは王であることを隠し「アイーダの父だ」と名乗ります。

 ここで神官長ランフィスが登場し、捕虜の処刑を主張します。が、ラダメスは捕虜の解放を訴えます。
 王は、凱旋将軍の意見を採用。神官長ランフィスが折れ、アイーダの父以外の奴隷は解放されます。

 大満足なエジプト王は「ラダメスに王女アムネリスを与えよう。娘と共にエジプトを治めるがよい」と、大盤振る舞い。
 アムネリスは「奴隷め! ラダメスを奪えるなら奪えばいい!」とドヤ顔マックス。
 アイーダは、祖国は負け、父は捕まり、恋人は王女に取られ、どん底。
 ラダメスは、王様なんかなりたくない、アイーダと結婚したいのに、と困っているところで、幕が下ります。

 また突っ込んでいいでしょうか?
 若くて有能な将軍ラダメス。自分の立場からして、次のファラオに望まれているって気がつかなかったんでしょうか? アムネリスの気持ちやファラオの思惑が、読み取れなかったんですかね?
 ラダメス、戦争は強いけど、政争は苦手かもしれません。


 ここから先は悲劇まっしぐらで、曲も凱旋行進曲とはガラッと雰囲気が変わります。


 深夜、神殿の外。悲しみのアイーダは、恋人ラダメスを待っています。が、現れたのは父王アモナズロ。
 父は娘アイーダに、ラダメスにハニートラップを仕掛け軍事機密を聞き出せと、迫ります。
 娘からするとひどいお父さんですが……エチオピア王としてはそれしか手段がないのでしょう。王様の歌によると、先に侵略したのはエジプトみたいだし。

 ラダメスがやってきました。王アモナズロは陰に隠れ二人を見守ります。
 アイーダはラダメスに駆け落ちを迫ります。エジプト総大将のラダメス、はじめは抵抗しますが、ついに駆け落ちを決意。アイーダは駆け落ちのための抜け道を聞き出します。

 そこへアモナズロがドヤ顔で登場。アイーダが聞き出した抜け道に、エチオピア軍を向かわせると言い放ちます。
 ここにてラダメスは、この親子がただのエチオピア人ではなく、王と王女だとわかったのです。
 エジプトを裏切ったと後悔するラダメス。

 その場にアムネリスと神官長ランフィスが、番兵を連れて現れます。アモナズロとアイーダの親子は逃れ、ラダメスは捕らえられます。
 エチオピア王アモナズロは追手に殺されますが、アイーダは逃れたようです。


 怒り心頭のアムネリス。ラダメスなんか死ねばいい! と言うものの、すぐ後悔し彼を救おうと奔走します。
 彼女はラダメスに「アイーダを忘れるなら助けてあげる」と訴えますが、彼は聞き入れません。すでに死を覚悟しています。
 神官長ランフィスたちによる裁判で、ラダメスは無言を貫き、彼は死刑となります。
 アムネリスが神官長たちを責めさいなみ嘆いても、決定は覆りません。

 ラダメスは自分の墓場となる地下牢に閉じ込められます。
 暗闇の中、なんと逃げたはずのアイーダが現れました。
 二人は一緒に天国に行こう~と幸せに歌い、アイーダは、ラダメスの腕の中で息絶えました。
 アムネリスは、ラダメスのために神殿で祈りを捧げ、オペラは終わります。


 かなり主観を交えて紹介しましたが……この主役二人、ダメだろ! 特にラダメス、ダメだろ!
 エジプト軍総大将が、ハニトラに引っかかって祖国を見捨て最重要軍事機密を漏らすなんて、ぜーったい許されんだろ!

 一方、王女アムネリス。どこまで人がいいんでしょう? フィアンセがハニトラに引っかかって国を裏切ったんだよ。なのに、ラダメスへの愛は揺らがなかったのです。あなたは聖母様ですか?

 さて、主役アイーダ……なかなかえげつないヒロインです。一見、オペラのヒロインらしく、可哀相な役どころに見えますが、その辺のヒロインとは違います。
 王女様の思い人とデキちゃうし、そいつからトップシークレットを聞き出しちゃうし。いろいろありましたが、結局彼女は、恋人より祖国エチオピアを選んだ、誇り高い王女だったんじゃないんでしょうか?



 この話を紹介しながら思ったんですが……アイーダって、今はやりの異世界悪役令嬢物に似てません?
 アムネリスって、今の悪役令嬢──悪役に見えて実はいい人──そのものじゃありませんか。
 王女のフィアンセを奪い祖国を裏切らせたアイーダは、悪役令嬢物の聖女様──可哀相なヒロインを装う悪女──にぴったりです。
 ハニトラにひっかかるラダメスは、間抜けヒーローそのものです。

「婚約者が女奴隷に騙され裏切ったので、彼らを追い出し女王になります」

 ってタイトル、どうでしょう?
 厳格で酷薄な神官長ランフィスを若返らせ、真のヒーローにしてあげれば、恋愛面でも幸せになれるな、うん。
 でも軍事機密を漏らしたペナルティーが国外追放って甘すぎるか。
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