半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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小説に日食シーンを入れてみた

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 小説の宣伝エッセイ、始めます。今回も二つ目の長編小説『「日本人」最後の花嫁』について語ります。


 この小説には、日食と月食シーンを入れました。時間や場所などを、実際にこれから起きる月食や日食に合わせました。
 なんと、In-The-Sky.org というサイトで、2199年までの日食や月食が確認できるんです。日食が発生するルートが、世界地図にわかりやすく表示されています。

 この小説はエジプトをモチーフにしていますが、小説の舞台となった二十二世紀後半、エジプトで皆既日食が起きることがわかりました。そこでこの日食の日を起点として、物語の年代を定めたのです。
 リアリティの追求というより、実際に起きる日食や月食をモデルにした方が楽だからです。日食や月食の時間帯やルートを、考える必要はありません。

 エジプトといえばピラミッド。ギザの三大ピラミッドで起きる皆既日食シーンってカッコいいよな~と日食のルートをよーくみたら……この皆既日食、エジプトを通過しますが、ギザのあたりは部分日食になってしまいます。

 十四年近く前ですが(現在2023年1月)、2009年7月22日、奄美大島近辺で皆既日食が発生しました。
 皆既日食は狭い範囲で発生します。この時は、種子島から奄美大島の間が皆既帯になりました。幅はざっくり300km。東京と仙台の間ぐらいです。
 この時は、太陽は遠く離れ月が近かったため、これでも皆既日食としては範囲が広い方です。
 皆既帯の中心では皆既日食が6分間継続しましたが、今世紀では一番長い日食でした。


 小説で取り上げた日食は、もっと皆既帯が狭く、世界地図に書くと細い線にしかなりません。
 エジプトは大きな国です。地図上の皆既日食ルートに、何かメジャーな都市はないか探しましたが、エジプトなんてピラミッドしか知らない~という自分には、何も見つけられません。
 王家の谷のあるルクソールが近いのですが、それでも皆既帯から外れています。

 悩みました。リアリティに拘った小説じゃないから、ピラミッドで皆既日食にしてもいいじゃん、その方がカッコいいって。
 が、モヤモヤする自分は、日食のルートのある町を確認しました。
 以下がその成果です。
 小説の日食シーンから抜き出しました。

******

 エジプトで見る皆既日食。ルクソールから北西百キロに位置する街ギルガ。
 ギルガは、ギザやルクソールほど知られてはいないが、エジプト王朝発祥の地と言われる。そこから西十キロにある田舎の村、ベイト・ハラフには、ピラミッドの原型と言われる王の墓マスタバがある。

******

 知ったかぶりして書いていますが、ギルガだのベイト・ハラフだの、この小説を書いて日食のルートを調べなければ、知ることがなかったでしょう。
 こういう知識が増えるのも、小説を書く効果ですね。


 ここで終わればなかなかきれいなエッセイなのですが、該当する日食について、もう一度、In-The-Sky.org で調べたら、新たなことがわかりました。

 私がこれまで知ってた日食は、次の三つでした。

・部分日食……太陽の一部が隠れる
・皆既日食……太陽が完全に隠れる
・金環日食……太陽が大きく月が小さいため、太陽は完全に隠れず金の環ができる

 調べたらもう一つの日食を見つけました。それが金環皆既日食です。
 ひとつの日食で、ある地点では金環日食となり、別の地点では皆既日食となる日食です。

 英訳を載せます。
 solar を、lunarに置き換えれば、月食になります。ただし金環日食や金環皆既日食に相当する物は、月にはありません。

・部分日食……Partial solar eclipse
・皆既日食……Total solar eclipse
・金環日食……Annular solar eclipse
・金環皆既日食……Hybrid solar eclipse

 金環皆既日食ってハイブリッドって言うんですね。カッコいい。
 ハイブリッドというだけに珍しく、今世紀にはたった7回しか起きません。
 マニアは金環皆既日食を見たくて仕方ないようです。
 地点をうまく選べば、金環日食と皆既日食を同時に観測できるらしいです。


 今回調べたら、私が小説に登場させた日食が、ただの皆既日食ではなく、金環皆既日食ということがわかりました。

 言い訳です。私が小説を書いた2022年5月では、サイトにはただの皆既日食と表示されていました。totalって書いてあったもん。サイトによっては、まだ「total」と表示されているもん。

 この半年で、修正されたんですかね?
 小説の舞台で皆既日食が発生するのは間違いないようです。
 サイトには皆既の時間が表示されていて、小説の町では、太陽が完全に隠れる時間は四十秒となっています。

 小説の皆既日食シーンは、ざっと三百字です。この文字数、速めに話して一分ぐらいでしょうか。
 皆既日食が短いのは奄美大島に行って経験済みで、一分ぐらいのイメージだったんですが……今さら該当部分を三割も削れないっす。ごめんなさい。
 しかもただの皆既日食ではなく、世にも珍しい金環皆既日食……となると小説の描写も変えた方がいいかなあ、モヤモヤしています。


 小説の完結前なら直そうとがんばったかもしれません。
 が、完結してしまうと、誤字脱字のような明らかな間違い以外はもういいかな~と、甘えたくなります。甘えます。


 小説のネタに困ったときは、日食や月食といった天体イベントを入れてみてはいかがでしょうか? せっかく天体イベントを入れるなら、リアルに寄せると思わぬ発見があるかもしれません。

 といっても、調べ直したら微妙に違っていたという話になったので、説得力ないなあ。
 小説を書かれるみなさま、完結した小説に関して、新たな事実が判明したら、直されます? この辺も、お話を伺いたいところです。
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