半世紀生きて、やっと小説完成しました

さんかく ひかる

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乳がんの話 検査編

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 小説投稿について語るエッセイですが、今回も小説とは関係ない話になります。
 今年の初め、このエッセイで、検診をサボってモヤモヤしたことを語りました。八年前に乳がんとなった私は欠かさず乳がん検診を受けていましたが、ここ最近、なんとなくサボってウダウダしていました。

 今回は、八年前の乳がん診断や手術について語ります。
 一言でまとめると、乳がんの初期に手術をして今のところ再発はしていない、という話です。
 病気ネタが苦手な方は、読み飛ばしてください。
 また、この病気ネタは八年前の体験を、医学知識ゼロのド素人が思い出しながら書いています。
 嘘は書いていませんが、医学的に怪しい可能性大です。ご注意ください。


 二十年ほど前、職場の健康診断で、婦人科検診が受けられるようになりました。当時、三十歳を超えたばかりの自分、せっかく会社が負担してくれるんだから申し込まなきゃ損、とライトな考えて受診します。
 婦人科検診には、子宮がん検診と乳がん検診がありますが、このエッセイでは乳がん検診についてお話します。


1 毎年の乳がん検査

 二十年前、乳がん検診は、触診・超音波・マンモグラフィーと三つの検査がありました。
 若い人だと、「触診」ってなに? って思う方、いらっしゃるでしょうか? 医師が乳房を押して、しこりを確認する検査です。
 2024年の現在、触診は基本、実施されていないようです。2015年~16年に厚労省の検討会が「乳癌検診で触診は推奨しない」と報告したことを受けて、多くの病院で触診が廃止されました。
 私は医者ではないので、この辺はサラっと飛ばし、今、実施されている、マンモグラフィーと超音波検査について、お話します。


 マンモグラフィーとはX線の診断ですが、乳房を透明な板でムギューっと挟みます。私の行く病院では、上下方向と左右方向で撮像します。
 胸って、よくここまでペッタリになるなあと感心しつつも、メッチャ痛いです。検査技師さんが「力を抜いて」「息を吐いて」と言いますが、無理です。
 毎年この痛い検査を受けている人間からすると、検査機器も進化し、大昔よりは痛さが緩和されてる気が……しないでもありませんが、やっぱ痛いです。


 一方、超音波検査は、胸にゼリーを塗られ、検査機器を転がされるのですが、こっちも私、苦手です。
 というのも私は乳腺症なのか、胸を少し押されるだけで痛いのです。
 マンモほど強烈に痛いわけではありません。が、マンモは短時間ですが、超音波は時間がかかります。
 技師さんが、機器をコロコロして頻繁に止めると、(え? 自分、やばい? なんかえらく時間かかってるんだけど)と、怖くなります。
 結構、検査中の私、いや~な顔をしています。


 機器での検査が終わると、医師の面談になります。健康診断の乳がんの検査担当は、かなり年配の男性医師でした。A先生としましょう。
 A先生、年齢のせいか、ITが苦手なようです。コンピューターの画面を見つめ、おぼつかない指付きでポツポツとキーボードを叩いています。画面には、超音波やマンモの検査結果が表示されています。検査技師の報告はびっしり書かれていますが、先生は「途中はどうでもいいの。結論が知りたいの」と、おっしゃいます。
 もしかしておじいちゃん先生だから、画像とか読めない? いや、さすがにそれはないよなあ……と、一抹の不安を覚えます。

 健康診断のシーズンになると、職場の乳がん検診仲間と一緒に、A先生のおじいちゃんキャラをイジっていました。特に文字を入力するおぼつかない手つきが、ネタにされていました。


 毎年そんな感じで検診を受けていましたが、あるとき胸がチクチクし不安を覚え、いつも検査をする病院ではなく、設備のよさそうな病院を受診しました。
 担当した先生はA先生のようなおじいちゃんではなく、五十代ぐらいの風格がある男性でした。

 この先生をB先生としましょう。B先生は、自分で超音波検査の機械を操作します。IT関係は慣れている風でした。
 検査の結果はシロでした。いつも検査している病院の名前を告げると、「あそこは、A先生がいるから大丈夫ですよ」と、繰り返します。
 ド素人の自分は、メカに弱そうなA先生に不安を覚えていましたが、B先生みたいにできる感じの先生がいうなら、A先生ってすごい人? A先生とB先生の年齢差からすると、師弟関係? と思ってしまいました。

 都会の病院だったら、たまたま受診した同じ分野の先生を師弟関係に結びつけるのは、妄想かもしれませんが、ここは田舎です。この田舎の医者の多くは、この町の大学の医学部を出ています。なのでまったくの妄想とも言い切れません。


2 いつもの検査からがん診断まで

 健康診断の結果で恐ろしいのは「要精密検査」。いや、病気を見つけるために検査を受けるのに、なにいってんだがですが。
 年取るとこの「要精密検査」に、なんども出くわします。で、再検査するとシロ判定と出ます。
 私は乳腺症の関係なのか、乳がん検診でもよく「要精密検査」判定を受けます。A先生はよく「念のために半年後」「三か月後」と、検査を勧めます。
 乳がんになる前の1-2年は、三か月か半年に一度は検査を受け、なにごともなかったので、すっかり私は油断していました。

 いつものようにマンモグラフィーと超音波検査を済ませ、私はA先生から説明を聞いていました。相変わらずA先生は、のそのそとキーボードを打っています。
 が、その日の診察は違っていました。

「B先生に紹介状を書いたから、急いで再検査してください」

 B先生とは、一度、私が乳房に不安を覚えて受診した大病院の先生です。
 先生の名前まで指定して、急いで受診しろと言うのです。会社でネタにしていじっていたおじいちゃん先生から、すごい緊迫感が伝わってきました。
 そのまま紹介状を持って、B先生の診察を受けます。
 同じような検査をした後で、B先生は言いました。

「90%がんでしょう」

 油断していました。症状はありません。

 その日の夜は、英語のグループレッスンがあり、休もうかと迷いました。が、心ここにあらず状態で、レッスンを受けました。
 田舎なので移動は車なのですが、ちゃんと車も運転できました。英語のレッスンを受け、気が紛れて良かったです。

 コラムが長くなったので、今回は検査の話でおしまいにします。
 次回はがん治療について語りますね。
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