異最強騎士

野うさぎ

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第2章 聖エッチェレンザー学園の生徒

第2話 カンツウォーネVS赤音

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 私は、案内されるがままにスクアーロという謎の生物についていくことになった。

 私は、両手にはお気に入りのアサルトライフルを抱えている。
 練習はしていたけれど、実践ではやったことがない。
 
 カンツウォーネさんと本当に戦うことになると、生きて帰れるかどうかわからない。
 正直、不安と恐怖でしかない。

「あら、スクアーロ?」

 鋭い女の人の声がして、私はそちらを振り向く。
 眼の前にいたのは、カンツウォーネさん・・・?
 幼い頃はそこまで気にしてなかったけれど、よく見ると美人かもしれない。
 肌も透き通るように白くて、
 緑色の髪にはツヤがあって、
 唇はピンク。
 
「カンツウォーネ、今日こそはおしまいの時だ」

「はん?

ただ、口しか動かせない精霊が?」

「今日は、助っ人を連れてきたんだ」

「助っ人?」

 眉をひそめるカンツウォーネさんに、スクアーロは私を見た。
 一瞬、驚きで心臓がドキッとしたけれど、私は平静を装うと努力した。

「どこかでお会いしたような顔・・・」

 カンツウォーネさんは、私の顔をまじまじと見た。

「あたしと、どこかで会ったこととかある?」

「さ、さあね・・・。

私は、何も知らないけど・・・」

 とっさに出た言葉だけど、見え見えの嘘のような気がする。
 
「そっ。

あたしが、サイコキラーとのハーフであることは、おわかりで?」

 ここは、なんて答えることが正解なのだろう?
 イエスと答えても、ノーと返事をしても、地雷を踏んでいるようなものでしかないように思えた。

 実際にサイコキラーなんてものがどういうものかわかっていないし、ハーフだともっとやばいものなのか、純血よりはマシになってくるのか。
 
 どんなに思考をめぐらしても、出てこない。
 この人に、一般論は通用しそうにないように感じたから。

「サイコキラーなんてものはよくわからないですが、
そんなことは重要じゃないです。

カンツウォーネさんが命を奪った人たちや、家族、友人の悲しみをわかっているんですか?」

 声に怒りがこもっていることが自分でも感じた。
 命を失った人は、二度と戻ってこない・・・。
 二度と・・・。

 ここで、幼い頃に亡くなってしまった紫帆《しほ》ちゃんが脳裏に浮かんだ。
 理不尽かつ、初めて友人を失うことを経験した心の傷は、今も治っていないし、今後も許せていけないと思う。

 紫帆ちゃんがいてくれたら、今頃どうなっていただろうか?
 何か変わったのかな?

 私は、幼馴染と疎遠になってしまって・・・。

「サイコキラーは、無差別に殺人だけを楽しむ種族。

あたしには、それを快楽を感じる血が流れているのよ。

だから、あたしが人殺しをしてしまうのは、しょうがないことなのよ。

それを、おわかりで?」

「わかりません。

全然、わかりたくもないです」

「弱いくせに、あたしに盾つくの?」

 カンツウォーネさんは、あたしを睨みつけた。
 だけど、私は今更ここで怯んだりなんてしない!

「私は、弱くありません!

この武器だって、あります!!」

 こうして、私はアサルトライフルをカンツウォーネさんに向けて、撃った。
 だけど、カンツウォーネさんは蹴りで受け止め、すぐに銃弾を足で潰してしまった。

 嘘・・・、そんなことができるの?
 私の頭は、驚きと恐怖で襲う。

 カンツウォーネさんは、せせら笑う。

「これで、強くなったつもりなの?

何もわかってないし、無謀にもほどがあるわよ。

人間相手なら、銃撃はいい攻略方法になるかもしれない。

だけど、サイコキラーには不利な武器。

人類は、いつもそう。

肉弾戦で戦う方法を習得するよりも、
武器ばかり作り、強化していく。

だから、生身の人間が防御する術もなく、
耐久もないから、
爆弾だけで滅びた歴史があった!

いつになったら、人々は武器は無意味だってことを学ぶのかしら?

あはははははははははははははは!」

「まだ、あるの・・・」

「なんて?」

「武器だけなんて、そんな話はしていないです。

それに、魔法は?

魔法があるの」

 カンツウォーネさんは腕を組みながら、蔑むように私を見つめた。

「人類に魔法なんて使えるのかしら?

だから、魔法の杖なんてものを探すじゃない?」

 これは、完全に油断しているかもしれない。
 私が、お師匠様と修行してきた日々とか、絶対に知らない!
 
 私は、アサルトライフルから炎が出るように念じた。
 
 どうして、お師匠様は私に厳しかったのか。
 あの時は、ただの口うるさい人だということぐらいしか思っていなかった。
 だけど、カンツウォーネさんと戦うことになって、初めて意味がわかった。
 
 私には銃を扱うことだけじゃない!
 魔法だって、使いこなせるはず!

 ここで、私はアサルトライフルをカンツウォーネさんに向けて撃った。

「はんっ!

何度やっても無駄なことを!

銃玉なんて、全部潰されるだけよ!!」

 カンツウォーネさんが足を上げたところに、私のアサルトライフルから出た弾丸から燃えるような火が出た。

「何ですって!?」

 カンツウォーネさんは受け止めることができずに、燃える弾丸を受けてしまった。

「きゃあああああああ!!」

「やった!」

 私は、カンツウォーネさんを倒せるかもしれない。
 私は魔法なんて教わってないように思えて、あの修行の中で習得していた。

 魔法は私が信じれば、使えるようになるんだってね・・・。

「まだよ・・・」

 炎の中から、カンツウォーネさんが現れた。

 あの人は、不死身なの・・・?
 そう思うと、おぞましい。

「あたしを、誰の娘だと思ってるのかしら・・・?」
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