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読み切り プロローグ

第1話

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 僕は、戦う。
 この世界を守るために。

 僕は普段は人間世界で生活しているけれど、異世界に行くことができる。
 異世界ネームと、人間世界でのネームがあって、
 人間世界は生まれ持った名前だけど、異世界ネームは自分で決められ、異世界に転移することができる。
 僕は人間世界では嵯峨《さが》りつ都《と》なので、異世界ネームでは「りつ」という名前にした。

 あの動物みたいなのに頼めば、異世界なんて簡単に行ける。
 人の言葉を話すうさぎ、猫、犬とか何でもいいから「異世界案内人」と名乗るやつに、異世界転移をお願いすれば異世界なんて簡単に行ける。
 だから、いつも通り僕はお願いしたんだ。

 人間世界では黒髪黒目だが、異世界では左目を髪で隠すようになる。

 異世界で今日も、僕はレイピアを持つ。
 これで、気が済んだら、帰るか。
 異世界案内人の動物に頼んでも、「あれ、帰るための方法がない?」いう返事が来た。
「ないって、どうゆうことだ?」
「さっきからそれを探しているのですが、なくて・・・」
 異世界案内人がタブレットを操作していると、画面が変わった。

 画面が暗くなり、音声が流れた。
「諸君らに、お知らせだ。
今から、異世界での扉は閉まった。
君たちは人間世界には帰れない。
ここで死んだら、終わりと思いたまえ。 生き返ることはできない。
人間世界に帰りたければ、黒幕を見つけ、黒幕を倒すしかないということだ。
じゃあな」

「人間世界に帰れないって、どうゆうことだ?」
「こちらにも、何がなんだかさっぱり」

 僕は、人間世界に帰れないし、
帰るためには黒幕を見つけて、黒幕を倒すしかないって、
誰が黒幕なのかわからない以上、どうやって見つけて、倒せばいいのさ?

「すいません。
どうやら、人間世界に帰る方法はないみたいです」
りすが謝った。
 
 そんな・・・・。
 だけど、いいや。
 家族とうまくいっているわけでもないし、僕が跡継ぎとかめんどくさいこと待っているし、帰れないことにこだわらなくていいか。
 無理やり、気持ちを切り替えた。

 だけど、それは無理やりすぎたかもしれない。
 すぐにネガティブな感情がおそってきた。

 僕は、これからどうすればいい?
 どこに住んで、どこでご飯を食べていけばいいんだろう?
 異世界なのだから、知り合いなどいるはずもない。
 
 お腹すいた。
 気晴らしに怪物とかと戦って、人間世界に帰ることしか考えてなかったから、どうしていいかわからない。
 所持金とかない。

 僕は、異世界案内人と別れて、町に向かうことにした。
 これから、何をどうするかなんで、どうでもいい。
 とにかく、町に向かって何かしよう。
 
 何をどうするかって?
 考えていない。
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