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番外編 アクアマリン編集部

第3話

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 一帆は3月30日生まれの高校一年生で15歳。
 ニ帆は3月31日生まれの中学三年生で14歳。

 一帆はオレと同居を始めるようになったし、ニ帆は滴舟さんという血の繋がりがない父親と付き合い始めた。
 こんな若い女の子と付き合っても犯罪にならないかな?

 オレは失恋した。
 30代になるんだし、次の恋に切り替えなきゃと思うのに、なかなかできない。
 オレはやっと編集長まで昇進できたのに、滴舟克がいなければ充実しないとかどうかしてる。
 克さんに認めてもらうために昇進したわけではない。
 認めてもらえなくても、仕事で成果を出してみせる。
 オレは何のために一帆という彼女がいる?

 だけど‥‥
 しばらくしないうちに一帆が妊娠した。
 通信制の高校だから、中退はしなくてもいいかもだけど‥‥。
 16歳になったら、戸籍を入れようという話になった。
 15歳で妊娠した一帆は16歳で出産した。
 
 数年の時が流れた。
 一帆が31歳になって、オレが50代のおじさんになった。
 一帆が生きていたら31歳だな。
 娘がいてな、中学三年生の娘と、中学二年生の娘と、中学一年生の娘と小学六年生の娘と、小学五年生の娘がいる。
 5人の娘を産んで20歳という若さで一帆が死んでしまった。

 ニ帆は現在生きていれば30歳で既に滴舟さんと結婚している。
 娘ではなく、息子がいる。
 小学五年生の長男と、小学四年生の二男と、小学三年生の三男と、小学二年生の四男と、小学一年生の五男がいる。
 ニ帆は23歳という若さで五人目の子供を産んで亡くなってしまった。

 オレはまだ克さんが好きだった。
 裏切られるかもしれないけど、おじいちゃんぐらいの年齢になって定年退職した克さんから復縁希望が来た。
 だけど、何もかも変わり果てていた。克さんはシワシワのおじいちゃんになっているし、子供五人を育てきれなくなって、養子に出したらしい。
 オレは嫌気がさした。

 今さら、どうしてほしいのさ?
 オレはどこで間違えたのだろう?
 
 オレは職場の後輩と付き合うことになった。
 初めての恋人は、克さん。
 二番目の恋人は、一帆。
 三番は、職場の後輩。

 まだ克さんが好きなオレはどうかしてる‥‥。
 オレはどうしたら他の人を好きになれるかな?
 失恋から立ち直れるかな?

 娘たちのために頑張らなきゃいけないとしても、頑張れそうにないよ。
 オレは弱いから、負けちゃうの。

 オレは過去に戻りたい。
 幸せだった頃にやり直したい。
 オレは50代でシワも出来たし、娘は叔父や叔母の家に行ったり来たりするようになった。
 オレは三人兄妹の長男で、弟一人と妹一人いる。
 弟はオレと一回り年が離れているし、妹は二回り離れている。

 体も弱って来たし、生まれ変われるなら、克さんと過ごしたいな。
 こんな人生もうやだ‥‥。
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