133 / 393
番外編 美属性兵隊
第2話
しおりを挟む
何故名前に雨がつくんだろう?
雨が降った日に生まれたかららしい。なら、もっとまともな漢字にしてよね。
今日は雨かあ。雨は好きではない。雪とか、雷とか、晴れとか、その方がいいな。
傘をさしながら歩いていると、
「美属性兵隊‥‥」
と囁く声が聞こえた。
「美属性兵隊候補だな」
どこから聞こえるかわからないし、学校帰りだから誰かがふざけて言っているのかも。
「無視するな。いるのはわかっている」
なんかこわい。関わりたくない。
関わらないのが一番だね。
よし、お得意って程でもないけど、中学生がよくやる聞こえないふりをしよう。小学生でもよくやっていた気がするけどまあいいや。
「こうら、待たんかい」
待たない。待つわけない。
「仕方ない。力ずくだ」
次の瞬間、怪物らしきものが姿を現したら、すごく巨大で‥‥。
アニメとか漫画なら恐ろしさのあまり「きゃああああ」と叫ぶかもしれないけど、ウチはあまりの恐ろしさに声すら出せなかった。
「ここで終わりや」
こわい。とにかくこわい。
「待つのよ」
一人の和服を来た少々が現れた。
「デカデカと現れたわね」
「デカデカとは失礼な!貴様も皆殺しだ」
「させない!」
というものの、和服の少女が怪物にやられそうだった。
どうしよう?あの子じゃ勝ち目がなさそう‥‥。なら、ウチが素手で戦うとか?あんな格闘技術ないよ。
そうだ、傘がある。傘なら‥‥。
傘を怪物に振ろうとした瞬間、「ちょい待ち」という声が後ろから聞こえた。
「あいつに勝ちたいんかい?」
なんだ、こいつ?
筋肉質の子供がいる。
「どちら様でしょうか?」
「美属性兵隊を雇う者だ」
「美属性兵隊って‥‥?」
「美人たる兵隊。どんな人でも変身したら可愛くなれる」
「あの‥‥ウチも戦うの?」
「戦うしかないだろうな」
「勝てるのかな?」
「本人次第だ」
「あれ、強そうじゃない?」
「そんなんでもない。最弱な方と思われる」
「あの子、負けそうだよ」
「攻撃に向いてないタイプもいるからな」
「ウチは攻撃に向くの?」
「なってみなくてはわからない。
あの小娘の場合、戦うことに向いてなくても浄化を得意とするからな」
ウチはどうしたらいい?
戦ったとしても、強いなんて保証はない。無敵なんて辞書は、アニメだけしかない。
戦う以外に方法はないの?
そうだ‥‥!
「戦う以外に解決策はないの?」
「あるにゃある」
「どんな?」
「それは、人類が逃げ延びることだ」
「それ、解決策?」
「ひとつの解決策だ。
我々には戦うなんて一筋の選択肢なわけない。逃げることも、新しい対抗策を考えるのも、選択肢。
人類が戦争をしていた頃に、戦う以外の選択肢を見つけられたから今がある」
「もう、戦い終わっちゃとたよー」
和服の少女がこっちにやってきた。
「もう?」
ウチは何もしてないのに‥‥。
「話長いわよねー。
決めるならちゃっちゃと決めてよ。
今回は良かったけど、最強のボスと戦うってなったら、じっくり話し込むことなんてできないからね」
「あの‥‥」
「助けようとしてくれたの?ありがとう。
だけど、これぐらいで負けたりなんかしないわ。
もし、本当に強いやつが現れたら今度こそ迷わないように。
あと、戦う気がないなら美属性兵隊の関係者にならないでよ。いるだけなのはごめんだから」
気が強そうな感じがするな‥‥。
「君は‥‥助けてくれたんですか?」
「否定するつもりも肯定するつもりもないわ」
どんな反応をすればいいんだか‥‥。
「じゃあね。いつかまた会えるといいわね」
そう言って、和服の少女が高く跳んではどこかへ行ってしまった。
「自己紹介が遅れたな。
オイラは、そるだ。よろしくな」
「ウチは、雨瑚」
「雨瑚って漢字はなんて書く?」
「あは雨の方で‥‥」
「雨かあ。美属性兵隊で、雪瑚《ゆきこ》、雷瑚《らいこ》とか晴瑚《はるこ》、曇瑚《くもこ》もいたもんだ」
「漢字は珊瑚の瑚の方?」
「そうだ。今度、連れて来ようか?
いきなり美属性兵隊なんて言われても何のことだかわからないだろうし、ここは経験者に聞くのが一番だな」
「うん。
さっきの和服の子は、名前なんて言うの?」
「オイラもわからないんだよな。
正体不明なんだ」
「そうなの?」
これからどうなるんだろう?
とにかく、今決めることはできそうにないよね。
雨が降った日に生まれたかららしい。なら、もっとまともな漢字にしてよね。
今日は雨かあ。雨は好きではない。雪とか、雷とか、晴れとか、その方がいいな。
傘をさしながら歩いていると、
「美属性兵隊‥‥」
と囁く声が聞こえた。
「美属性兵隊候補だな」
どこから聞こえるかわからないし、学校帰りだから誰かがふざけて言っているのかも。
「無視するな。いるのはわかっている」
なんかこわい。関わりたくない。
関わらないのが一番だね。
よし、お得意って程でもないけど、中学生がよくやる聞こえないふりをしよう。小学生でもよくやっていた気がするけどまあいいや。
「こうら、待たんかい」
待たない。待つわけない。
「仕方ない。力ずくだ」
次の瞬間、怪物らしきものが姿を現したら、すごく巨大で‥‥。
アニメとか漫画なら恐ろしさのあまり「きゃああああ」と叫ぶかもしれないけど、ウチはあまりの恐ろしさに声すら出せなかった。
「ここで終わりや」
こわい。とにかくこわい。
「待つのよ」
一人の和服を来た少々が現れた。
「デカデカと現れたわね」
「デカデカとは失礼な!貴様も皆殺しだ」
「させない!」
というものの、和服の少女が怪物にやられそうだった。
どうしよう?あの子じゃ勝ち目がなさそう‥‥。なら、ウチが素手で戦うとか?あんな格闘技術ないよ。
そうだ、傘がある。傘なら‥‥。
傘を怪物に振ろうとした瞬間、「ちょい待ち」という声が後ろから聞こえた。
「あいつに勝ちたいんかい?」
なんだ、こいつ?
筋肉質の子供がいる。
「どちら様でしょうか?」
「美属性兵隊を雇う者だ」
「美属性兵隊って‥‥?」
「美人たる兵隊。どんな人でも変身したら可愛くなれる」
「あの‥‥ウチも戦うの?」
「戦うしかないだろうな」
「勝てるのかな?」
「本人次第だ」
「あれ、強そうじゃない?」
「そんなんでもない。最弱な方と思われる」
「あの子、負けそうだよ」
「攻撃に向いてないタイプもいるからな」
「ウチは攻撃に向くの?」
「なってみなくてはわからない。
あの小娘の場合、戦うことに向いてなくても浄化を得意とするからな」
ウチはどうしたらいい?
戦ったとしても、強いなんて保証はない。無敵なんて辞書は、アニメだけしかない。
戦う以外に方法はないの?
そうだ‥‥!
「戦う以外に解決策はないの?」
「あるにゃある」
「どんな?」
「それは、人類が逃げ延びることだ」
「それ、解決策?」
「ひとつの解決策だ。
我々には戦うなんて一筋の選択肢なわけない。逃げることも、新しい対抗策を考えるのも、選択肢。
人類が戦争をしていた頃に、戦う以外の選択肢を見つけられたから今がある」
「もう、戦い終わっちゃとたよー」
和服の少女がこっちにやってきた。
「もう?」
ウチは何もしてないのに‥‥。
「話長いわよねー。
決めるならちゃっちゃと決めてよ。
今回は良かったけど、最強のボスと戦うってなったら、じっくり話し込むことなんてできないからね」
「あの‥‥」
「助けようとしてくれたの?ありがとう。
だけど、これぐらいで負けたりなんかしないわ。
もし、本当に強いやつが現れたら今度こそ迷わないように。
あと、戦う気がないなら美属性兵隊の関係者にならないでよ。いるだけなのはごめんだから」
気が強そうな感じがするな‥‥。
「君は‥‥助けてくれたんですか?」
「否定するつもりも肯定するつもりもないわ」
どんな反応をすればいいんだか‥‥。
「じゃあね。いつかまた会えるといいわね」
そう言って、和服の少女が高く跳んではどこかへ行ってしまった。
「自己紹介が遅れたな。
オイラは、そるだ。よろしくな」
「ウチは、雨瑚」
「雨瑚って漢字はなんて書く?」
「あは雨の方で‥‥」
「雨かあ。美属性兵隊で、雪瑚《ゆきこ》、雷瑚《らいこ》とか晴瑚《はるこ》、曇瑚《くもこ》もいたもんだ」
「漢字は珊瑚の瑚の方?」
「そうだ。今度、連れて来ようか?
いきなり美属性兵隊なんて言われても何のことだかわからないだろうし、ここは経験者に聞くのが一番だな」
「うん。
さっきの和服の子は、名前なんて言うの?」
「オイラもわからないんだよな。
正体不明なんだ」
「そうなの?」
これからどうなるんだろう?
とにかく、今決めることはできそうにないよね。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
陸上自衛隊 異世界作戦団
EPIC
ファンタジー
その世界は、日本は。
とある新技術の研究中の暴走から、異世界に接続してしまった。
その異世界は魔法魔力が存在し、そして様々な異種族が住まい栄える幻想的な世界。しかし同時に動乱渦巻く不安定な世界であった。
日本はそれに嫌が応にも巻き込まれ、ついには予防防衛及び人道支援の観点から自衛隊の派遣を決断。
此度は、そのために編成された〝外域作戦団〟の。
そしてその内の一隊を押しつけられることとなった、自衛官兼研究者の。
その戦いを描く――
自衛隊もの、異世界ミリタリーもの……――の皮を被った、超常テクノロジーVS最強異世界魔法種族のトンデモ決戦。
ぶっ飛びまくりの話です。真面目な戦争戦闘話を期待してはいけない。
最初は自衛隊VS異世界軍隊でコンクエストをする想定だったけど、悪癖が多分に漏れた。
自衛隊名称ですが半分IF組織。
オグラ博士……これはもはや神話だ……!
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる