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番外編 左目に隠された不思議な力は~佐藤家の場合~

第5話

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 デイジーだけは、守ってみせる。
 そんな僕の思いは、悲劇を起こすと知らずに。

「幸せになってはいけないですよ。
幸せになるなって、呪縛があるんですから」

 闇の門番がデイジーに鎌で襲い掛かった。
「デイジー、逃げるんだ」
売られた喧嘩は買う主義なんだ」

 僕は、情けないことに呪縛によって、闇の門番に歯向かうことさえできない。
 デイジーは剣で、闇の門番と戦うけれど、デイジーは闇の門番に鎌で切られて、倒れた。

「デイジー」
 闇の門番に殺されても、転生すればまたデイジーに会える。
 呪縛を背負うことになるかもしれないが。

 デイジーは、死んだのかな?
 生きているかどうか確認する勇気は、僕になかった。

「デイジーをどうした?」
「見ての通り、殺しました」
「殺した?」
「ええ」
「転生はしたの?」
「転生なんてさせてあげるわけないでしょう」

 そんな・・・・。
 そんなことって、ある?

 人が死んだら泣くって、思うかもしれない。
 僕は、あまりにも衝撃的なことに涙さえでなかった。

「これが我らのやり方です」
「納得できない」
「はあ、これは従う義務があるんです」
「デイジーのいない世界に意味はない。なら、僕はここで・・・」

 刃向かうことができない僕は、呆然とするしかなかった。
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