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番外編 狙われし者~恋する乙女な団長を助けるために~

第3話

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 幼馴染だから、遠慮がない。
 上下関係もない。
 謙虚さがない。
 
    だから、悪気なく無遠慮だった。
   思ったことを何でも言い合えて、お互いを頼ることができて、思いやりがどこにあるのかわからなかった。

 だけど、こんなに近くにいるのに、どうして私の思いに気づかないのかなって、不思議に思う。
 なんでも知っていて、何でも言わなくても分かり合えることが多いのに、恋だけは気づかれない。
 告白すればいいって思うかもしれないけれど、告白しても冗談みたくとらえたりとかしちゃうの。

 かなり前に「ルイタが好き」って告白したのに、「幼馴染としてね」って笑われたから、「ううん、恋愛として好き」って言ったのに、「アイリスに限って、そんなことないでしょ。からかわないでよ」って、軽く流された。
 その時は、何も言えずにいた。

 ルイタは、他の女の子なら告白されたら、「僕のこと好きだったの?」ってなるのに、私が真剣に告白しても、そうはならない。

 ルイタはいつまでも私だけのルイタでいてほしかったし、隣にいることができるからいいかと思っていた。

「そういえば」
 本を読んで寝転がっているルイタが口を開いた。
「なあに?」
「僕、今日の朝に告白されて、本当に好きな子だったから、明日からその子と付き合いたいって思ってるんだ」

 衝撃的だった。
 ルイタに明日から彼女ができるなんて。

 私は、ショックのあまり、何も言えずに呆然としていた。

「ちなみに、好きになったやつは男なんだ」
「男?」
「うん。僕、恋愛対象が男なんだ」

 長年いたけど、そんなことは知らなかった。
 やっぱり、私たちは何もわかってないんだ。
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