上 下
316 / 393
外伝 恋のライバルはいちえちゃん

第2話

しおりを挟む
 1年3組の猪塚君はまた、あたしに話しかけてくる。
 何で、あたしなんかに?

 あたしは、幼馴染みを避けるようになっていた。
「待ってよ」
「ごめん、猪塚君」

 猪塚君が、あたしのことが好きなのはわかっている。
 だから、振られても諦められないんだよね?
 だけど、純粋な恋愛はできないんだ。

 昨日まで仲良くしていても、いじめられるのがこわくて、幼馴染みを避けるようになる。

 あたしは、片思いなんだ。
 猪塚君があたしを好きでも、あたしはどうしてもそんな対象には見れなかった。
 
 あたしの好きな牛縞君は市江ちゃんが好きだし、いちえちゃんも大好きだから、アプローチしている。

 もう一人の好きな人である寅野君はあたしの親友が好きで、市江ちゃんがいじわるをしてくるようになる。

 どうして、恋はうまくいかないの?
 なぜ、あんなに仲良かった幼馴染みなのに、疎遠になってしまうの?
 あの笑い合った日々は何だったの?

 泣きながら向かった先は、1年4組の犬山君の家だった。
 犬山君とは、小学校3年生の頃から仲良しな幼馴染み。

 あたしは、誰を信じていいのかわからない状況だった。
 だけど、犬山君はあたしの弱みを見せることができる存在だった。
 表面は明るくて、元気でも、泣きたい時は犬山君の前でよく泣いたことがあった。
 小学校3年生までのあたしは泣き虫で、転んだだけでも泣くような子だった。
 だけど、犬山君と出会ってから、あたしは人前で泣かないようにした。
 
 あたしは、犬山君に相談することにした。

 だけど、あたしはいじわるグループにより、4組の犬山君、小学校2年生の頃から仲良しな1年5組の幼馴染みの鳥飛君にも、裏切られた。
 あたしのことをグループに報告した元凶と知る。

 この学校にあたしの味方がいない。
 そう絶望した。

 だけど、救いの手はあった。
「同じ高校に進学しよう」
 そう声をかけてくれたのは、小学校1年生から仲良しの幼馴染みである猿川君と、あたしのいとこだった。

 あたしはその声を頼りに、三人で同じ高校の未来を目指した。
 そう、4人グループのいない未来へ。
しおりを挟む

処理中です...