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番外編 兵士と騎士とメイドの幼なじみ

エピローグ

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 「はあ‥‥はあ‥‥」
   私は、兵士として戦いに明け暮れた。
   全ては姫を守るため、国王を守るため、
   そして大切な幼なじみを守るために‥‥。

   私は強くなって、いつかみんなを守れる自分になりたいの。
   剣を使いこなし、夜も一人で稽古をしていた。  
   体をとにかく鍛えて、剣を使いこなすの。

   誰も見てない‥‥。
   見ていたら、やりづらいもんね。

  だけど、夜だから眠くなる。
 よくまわりから「しっかり者」「芯が強い」「負けず嫌い」とか言われるけど、
「マイペース」「一度寝たら起きない」「疲れたらすぐ寝る」とかよく言われる。

   眠くなったから寝よう‥‥。
   私は寝ることに忠実だった。


   朝方、私は地面で寝ていることにきずいた。
   髪はすでに泥だらけ。
   着ているものが鎧だから弾いてくれるけど、
   洋服なら泥だらけだよ。

私はりむる。
お城で兵士として活動しているの。

私には幼なじみがいて、お城で活躍する騎士の少年せざる。
お城でメイドとして働く少女らんせ。

本当は幼なじみはもう一人いたはずだけど、一年前に城を出て、それっきり会ってないの。

せざるとは同じ性別ということもあって、親友の間柄だったらしいけどね。
私はらんせと親友の間柄で、
私はピンクのハートのヘアピンだけど、
らんせは赤いハートのヘアピンを色違いのおそろい常につけている程仲良し。

私はピンクが好きだけど、らんせは赤が好きらしいから。
私の方が女の子らしいかと思う?

そうゆうわけじゃないの。
私は昔からお転婆だからすぐ男友達を作るために男の幼なじみがいるし、
やたらリーダーになりたがるし、
あんまり女の子らしい言葉を使うこともないし、
スカートをはくこともないし、
身長は女の子にしてみては高い方だし、
闘うことが好き。

だから兵士になったの。

それに比べて、らんせは女の子らしいと思う。
ファッションにスカートはつきもの、
女の子らしい平均的な身長で、
肌は真っ白、
言葉はおもに女の子ってかんじの言葉だし、
私みたくちょっと悪いことだなと思うところで怒ってしまうところがあるけど、
らんせは怒れなくてすぐに泣いてしまうところは女の子だなって思っちゃう。

私は涙の一粒も出ないからね。

料理、裁縫、掃除が得意とするから、
私も負けてしまいそうだよ。

ヒールのあるブーツをすぐにはくし、
どこからでもまさに女の子としか思えなかった。
髪も背中ぐらいまで長いし、本人曰く「腰まで伸ばしたい」とのこと。
 
せざるとはどうかって?
私はせざるが好きだけど、せざるはらんせが好きみたい。

だから私は諦めてる。

せざるがらんせを好きなら、もうそれはそれでしょうがないし 、どうしようもできないことだと思うの。

せざるは背が高くて、
かっこよくて、
女の子から好かれるはずなのに、
それでもせざるはらんせを選ぶ。

私も他の女の子なら頑張って、女を磨いてやると思えるけど、
らんせ相手ならどうしようもできなくなる。

らんせは私の大切な幼なじみ。
傷つけることなんてしたくないし、
その友情が続くならいつまでも大切にしていたい。

女の友情はいつどこで壊れてしまうかわからないから。

それに、女を敵にまわすのはこわいもの。
だけど、らんせは天然入っているから無自覚にあざといことするんだよなあ。

せざるという騎士として強いかっこいい男に手を出しちゃだめだよ、らんせ。
こうしてらんせには女友達は私以外にいないし、
男には好かれるけど女には嫌われてもらんせは天然だからどうしてそうなるのかわからなかったりする。

せざるはまさに女子からして理想をかねそろえてる。
身長は170センチ代らしいけど、170いくつかまでは知らない。

イケメンで、騎手の中では優秀な人材。
ちゃらいところも一切見られないし、
私に対しては生意気だけど他の女子には優しい。

そしてある時城は何者かに襲われ、
私の住む王国はみーんな木にされ、
助かったのは紫のチビ魔物にされた王様、
不気味な色の紫の馬や緑の馬にされたお姫様。

そして助かった私とせざる、らんせの三人。
こうして旅が始まった。

どうゆう経緯でそうなったか今は語りたくないの。次、行くよ。次、次。

 悲劇は突然に襲ってきた。
 
 私、せざる、らんせと三人で塔にいたら、
 一人の少女が現れて「お兄さんを殺した盗賊め」と言い、いきなり炎を出して襲いかかってきた。

 わけがわからない。
 普段から鍛えてないないらんせはよけれるはずがなかった。
 だから、らんせを守ったせざるは焼かれてしまった。
「せざるー」とらんせ。

 だけど即死のせざるに返事はない。
 返事ができるはずない。
「これでお兄さんの仇は一人討てたわ」
「そんな‥‥せざる、あたしを守るために?」
 
 私は突然のことに思考が追いつかなかった。
 死んだ? 死んだのよね?

 少女がメラメラとらんせをにらみつけて、
 炎を出そうものだから、
 私は少女めがけて剣を投げた。

 だけど避けられてしまった。

「さすが盗賊ね」
「盗賊? 何のこと?」
「とぼけたって無駄よ」

 少女がメラメラと私に向かって炎を投げた。
 私はよけた。
「やめて!」
 そう言い、らんせは私の投げた剣を拾い、少女をさそうと走り出した。

「これ以上‥‥あたしの大切な人を‥‥奪わないで‥‥」
  らんせは泣いていた。
「返してよ‥‥あたしの大切な‥‥せざるを返して‥‥」
 泣いてる。泣いている上に怒ってる。

 だけど、私は剣で少女を刺そうとするらんせの腕をつかんで、止めた。
「やめなよ」

「あたしの大切な人を奪ったのよ」
「だからって、相手の命を奪っていい理由にならない」

 らんせは、剣を落とし、その場で泣き崩れた。
 少女は、呆然としていた。

 もしかしたららんせもせざるのことが好きだったのかな?
 考えてみればあるかも。

 後で村の人に話を聞いてみれば、兄を殺した敵討ちの旅に少女は出ていたらしい。
 それで犯人がわからないうちに暴走したかもしれないと。
 

 王様が「せざる‥‥」とむせび泣いていた。

「王様、私はあなたを守るために戦います」
 前に進むためにはお姫様と王様の護衛しかないと思った。守りたいものを守るために強くなるしかないかないと思った。

 私は本を読みながら、カフェラテを飲んでいた。
 私は、失恋から立ち直る気持ちでいたから、失恋をテーマにした本を読むことにしていた。
 何でそう思ったのかは、説明できないけど、なんとなくそんな気がしたから。

 私は失恋はしたけど、気持ちは追い詰められていない。
 私一人で、失恋したわけではない。
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